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ピアノ・クインテット・コンサート~揺れ動く時代が生み出した渾身の五重奏~ [コンサート]

 国際音楽芸術振興財団の無料のコンサートがあった。18時に店に着くと、外まで行列が出来ており、しまったと思ったが、列は整然と進み、18時半に開場し、幸い一列目で聴くことができた。ヤマハホールは舞台が低く、室内楽を近くで聴くのに適していると思う。
 ピアニストの松本さんが演奏前に曲目解説をして下さり、無料コンサートに来る客層に不安があったようで、クラシックを聞くのが初めての人?と会場に声をかけるなど、正直なお人柄が垣間見えた。
 ショスタコーヴィチは内面の意味はともかく、初めて聞くには綺麗な曲だった。ホールの遠鳴り状況は分からないが、間近で聞く弦楽器3人の音色が合っており、Vn近藤さんの音色が綺麗でしかも少し甘い感じがとても美しかた。激しくとも弦の雑音が無いのはさすが。Vc江口さんの音が綺麗なのはよく知っており、期待通り、重量感と透明感を兼ね備えた、心地良いチェロの音だった。Vla も堂々とした音色で、5人のバランスも良く、Pfの温かな音はお人柄か、とても自然に音楽が流れていった。
 ドボルザークは、1Vnが上里さんに交代し、まさに模範演奏。充実した内声のハーモニーを堪能し、音楽の起伏と終盤の盛り上がりが凄かった。梅雨時にさわやかな演奏を聞かせていただいた。

銀座ヤマハホール
・ショスタコーヴィッチ ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.57
・ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 第2番イ長調 Op.81 B.155 他
松本和将(Pf)安藤裕子(Va)近藤 薫 (Vn)上里はな子(Vn)江口心一(Vc)
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コンスタンティノス・カリディス、ベルリン・フィルデビュー [コンサート]

 残念ながらDBは信用ならない。余裕を見てKielから予定より1時間早いREに乗ったのに、Hamburgまでも行かれず、全員途中で乗り換えさせられ、ぎゅう詰めで、通路に座らされることになった。こんなに簡単に代替の車輌が手配できるのは、日本では考えられない。代替車輌より、元の列車を予定どおり走らせることに、全力を尽くしてもらいたいものだ。
  ベルリンフィルの指揮者Constantinos Carydis は初めて聞くが、ベルリンフィル・デヴューとのこと。指揮棒なしで、手のひらをこねくり回し、腰を低くしたり、全身で指揮していた。
 モーツァルト、特にプラハがベトっとしているのが、珍しく感じられた。聞きなれないGPもあった。
 前半のショスタコ は、曲が終わっても、長時間指揮棒を下ろさず、樫本さんは、楽器も弓も、中間地点の構えで待っていた。2ndVnの後ろは、きちっと、弓を楽器に置いたまま、姿勢を崩さず動かない。一方、Vla最後列の人は、さっさと弾き終え、楽器を膝に立てて待っていた。ティーレマンどころの長さではない。樫本さんも苦笑い。この日は初日なので、今回のプログラムについては、きっと三日目の方が良い演奏になるだろう。昔のゲルギエフを連想するような、Cbに向けての掴みとるような強烈なPizzの指示には驚いた。
 プラハの前奏の部分は、Vnの音の動きが合わず、コンマスが振り返りながら弾いた。
 ショスタコのオクテットのpppは、本当はいくつpがついているかは知らないが、樫本さんは勿論、各楽器のソロがとても素晴らしい。指揮者のどんな要求でも表現できるベルリンフィルは、やっぱりすごい。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
交響曲第34番ハ長調
ディミトリ・ショスタコーヴィチ
室内交響曲ハ短調(バルシャイによる管弦楽版)
ディミトリ・ショスタコーヴィチ
弦楽八重奏曲からの2つの小品(弦楽オーケストラ版)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
交響曲第38番ニ長調《プラハ》
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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ーM.ヤンソンス  ベルリオーズ《幻想交響曲 》2.3. [コンサート]

 土曜日夕方の定期、ムジークフェライン裏手の楽屋口で、ヤンソンス氏と多分ご婦人、マネージャーの楽屋入りに遭遇。結構小柄な方で、咳をしていた。大丈夫だろうか。ウィーンでの公演が終わった後、パリのシャンゼリゼ劇場とハンブルクのエルプフィルハーモニーへの演奏旅行があるそうだ。まだ先は長い。
 今回は、2階下手側のバルコン−ロジェ3、2列目、前回と聞こえ方が違う。もう少し音が混じりあった感じ。2列目だと1列目の人が身を乗り出すと、舞台が見えずらく、椅子が可動式のため、隣のおじさんからもっと寄っていいよと言われた。
 天気が良く、気温もかなり上がり、途中でお年寄りの女性が倒れ、運び出された。
 演奏も大分こなれてきて、シューマンもアンサンブルが合って、飛び出す人もいなくなり、うまくなっている。逆に幻想は、オケにもうちょっと早く弾かせてくれよ感が出てきた。4楽章、5楽章はかなり遅いテンポだ。3楽章の木管のソロは本当に見事。
 会場にキュッヘル夫妻の姿もあった。
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 そして、翌日日曜、ライヴ放送のあるマチネの定期、この日の席は、2階バルコン-ロジェ8、上手の最後方の角。シューマンがとても良くなり、音が溶け合って聞こえ美しかった。
 幻想は勿論完璧、何度聞いても三楽章の木管の優しい音と、ささやくようなエコーの小ささに驚く。
 四楽章位から、ヤンソンスの様子が少し変わってきて、五楽章では、身体が完全に斜めになって、最後まで、振り終えたものの、その場で動けなくなり、客席に向き直ることなく、団員に支えられて、舞台そでに何とか戻った。その後も拍手は続いたが、マエストロは結局姿を現さず、そのままお開きとなった。
 昨日の咳といい、あの寒さからの急な気温の上昇は、身体に応えるだろうと思う。自分のイメージよりヤンソンスが一回り小さくなっており、年齢より上に見える。心臓に持病があるらしい。四日連続指揮などせず、身体を大事にしてもらいたい。ウィーンフィルの仕事は、大変だ。
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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ーM.ヤンソンス  ベルリオーズ《幻想交響曲》1. [コンサート]

 5月30日はキリスト昇天祭で祝日。 11時からウィーンフィルを聴きにムジークフェラインへ行った。
 前半は、シューマンの「春」で、作曲家特有のくすんだハーモニーにせいか三楽章まではパッとしない印象で、奏者の飛び出しなどが気になって、ウォーミングアップのような感じだった。
 今回このシリーズは4日間連続で、事前に詳しい方から最初の方の公演は観光客向けなので多少練習モード、後半の定演がメインという話を聞いていたので、やはりそうなのかという気がした。
 ところが、休憩後の「幻想」は、期待を遥かに超える美しさで、心底驚いた。遅めのテンポで、各楽器の音の間に紙1枚隙間がある感じで音が分離しており、音が混ざらず、はっきり聴こえる。多分ホールの特徴なのだろう。これほどはっきり聞こえるなら、ゆっくり目の演奏の方が響きを堪能できる。
 ふだん聴いている(弾いている)音と少し違うところがあり、未確認ながら、一楽章始めの方と、確実なのは、2楽章のハープと重なるチェロのPIZZを弾かなかったこと。
 三楽章のイングリッシュホルン、終わりのTimpも、四楽章の鐘も、舞台裏からの響きが素晴らしい。
 客席はもちろん満員だが、私の座った2階中央バルコンの最後列には空席があった。
 指揮:M.ヤンソンス
  シューマン《交響曲 第1番 変ロ長調「春」》
  ベルリオーズ《幻想交響曲》
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ヨーヨー・マ 無伴奏全曲演奏会 [コンサート]

 到着初日の夜は、ムジークフェラインにヨーヨー・マのバッハ無伴奏組曲全曲を聴きに行った。最近1ヶ月で、クニャーゼフの全曲とシュテッケルの4番を生で聴いているが、さすがにヨーヨー・マはすごかった。
 全体的に流れるような演奏だが、ただ流麗というのではなく誰にも真似できない祈りのような気配がある。音もとても美しい。
 弱音が強調され、プレリュードは必ず小さく始まる。瞑想のような感じ。ただ、ご本人には、各曲後の拍手がお邪魔のようで、鳴りやまないうちに次の曲を始めてしまう。
 ムジークフェラインは巨大で、ソロではどうかなと思っていたが、さすがに良く響き、多くの観客は皆天井を向いてじっと聞いていた。
 私の席は安い2階席なので、舞台が良く見えず、仕方なく立って見ていた。そういう人は結構いた。客席はギュウ詰めの超満員だった。
 定刻19時30分から若干遅れて始まって、終演の22時10分まで何と休憩無しに弾き通した。奏者と聴衆の根比べのようで、客席では、明らかに寝入って物を落としたり、呼吸を整えたいざわめきもあった。
 ご本人を見たのは久しぶりだが、以前の爽やか万年青年のイメージから比べ大分太ったようで、巨匠感が溢れている。日本で言えば、堤先生クラスか。
 弾き方は変わらず、目をつぶって、仰け反る感じ。面長だった顔だちが、四角になっていた。
 アンコールの鳥の歌も、細く静かに伸びて、天に届くような美しい響きだった。
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読響《第10代常任指揮者就任披露演奏会》 セバスティアン・ヴァイグレ [コンサート]

 マエストロ ・ヴァイグレが読響の常任指揮者に就任した。 私が体験しているヴァイグレは2011年バイロイトのマイスタージンガーと2013年の東京の春。他にオケの曲だがCDでヴァイグレの演奏をお手本として練習したことがある。
 以前ベルリンシュータツオパーのHr.奏者だったが、バレンボイムに見いだされ指揮者になったという。ヨーロッパの家庭には音楽が溢れており、偶々プロとして選んだ楽器以外の才能が後年発覚し、歌手になったり、指揮者になったりすることもあるのだ。西洋音楽文化の心髄と思うが、血液の中に音楽がながれているようで羨ましい。
 ヴァイグレの音楽に安定感と中庸さを感じるのは、プレーヤーとして手堅く演奏する大切さが身に染みていることと関係ありはしないかと想像してしまう。テンポ感を譲らないところもそうだ。オケ全体がまろやかな音で、ブルックナーも低音の上に乗るのではなく、Hr.パートのハーモニーのように全体が丸い音に聞こえる。
 ヘンツェの7つのボレロは初めて聞いた。心地は好いが、各ボレロの違いが一度ではよくわからない。テンポ感が同じだからだろうか。曲の終わり方が似ているせいだろうか。いずれ他の演奏も聞く機会があるだろうと思う。
ヘンツェ:7つのボレロ
ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB.109
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こどもの日ファミリーコンサート トモキヨ音楽院&中島ゆみ子ファミリー [コンサート]

 上尾賛称!こんなに音楽家の家族が活躍する市とは知らなかった。最近ヴァーグナー協会で歌って下さりすっかり身近になった友清崇先生のご実家が、上尾であり、テノール歌手のお父さまが50年の実績のあるトモキヨ音楽院の院長、お兄様が新聞記者でテノール歌手というご一家だということを、この催しで知った。さらに以前から尊敬しているVn中島ゆみ子先生が、トモキヨ学院の一期生だった。この日ソプラノ歌手の安井陽子さんが夜の女王を歌われるというので、どうしてだろうと思っていたら、何と、崇先生とご夫婦であり、お子さん方も舞台に登場した。安井陽子先生は有名で、最近では私もマーラ8番を聴いており、勿論、魔笛、ホフマン物語、ジークフリートの森の小鳥など、当然のように聴いていた。受付では多分ピアニストの友清家のお母さまが活躍され、友清ファミリーの存在感は凄い。
 中島ゆみ子ファミリーはご主人がチューバ、お嬢さんがVnとVc、下のお嬢さんが中学生になって家族全員でコンコンサートができるようになった。ゆみ子先生の歌うVnは本当にいつも素晴らしく心打たれる。今回の魔笛の伴奏はPfとこの弦楽器三人とFlだけで、ゆみ子先生だからこそ、これほど舞台を盛り上げることが出来たと確信する。
 上尾のお子さんたちは、こんなにハイレヴェルな、楽しい魔笛はを体験出来て幸せだと思う。日本語上演だったが、有り難いことに、夜の女王は原語(独語)で美しく歌って下さった。安井さんは素敵なお母さんでもあり、終演後お子さん方も、さすが、上手にこいのぼりを歌って下さり、会場全体が和やか空気に包まれた。
トモキヨ音楽院
Tomokiyo Concert Vol.4. さいたま市 プラザノース
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LFJ ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団 ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 [コンサート]

 音楽仲間とくつろぐ恒例のLFJ、今年は宮田大さんのブラームス・ドッペルコンチェルトを選んだ。5000席あるAホールの二階席前方は初めてで、どんな風に聞こえるのかと皆思っていたが、意外とオケの音が響き、ソリストの音も聞こえて、視界も良く、気持ちよく楽しめた。
 ドッペルコンチェルトのチェロは、力で弾くというイメージだったが、宮田さんはとてもやさしく美しい音色で歌って演奏してくれた。Vnの方はイメージ通りの力技で、ガリガリ弾いていた。本来は二人の弾き方を揃えるのが理想だが、この手のお祭りではこれで十分だ。宮田さんの音はいつも朗々として、室内楽でも全エネルギーを込めて弾かれる。巨大な会場で弾くには相当力のあるソリストでないと客席にとどくものは希薄になってしまう。仲間皆、改めて実は美しい曲だったと認識を新たにした。
 終演後すぐ、CD売り場で宮田さんのサイン会があり、とてもにこやかに対応され、個人別の写真撮影会まであった。宮田さんは音楽家とては勿論、人としても円満な方のようで、お客さんを大事にしてくれるのはうれしいものだ。

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op.9
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 op.102
オリヴィエ・シャルリエ (ヴァイオリン)
宮田大 (チェロ)
ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団 (オーケストラ)
フアド・イブラヒモフ (指揮者)

 その後、ワセオケの無料コンサート「フィンガルの洞窟」と、「ラコッツィ行進曲」を聴いた。技術的にも素晴らしい上に、調和のある音を求め、お互いを聞きあう姿勢には感服した。フィンガルのアンサンブルは完璧、ラコッツィも金管を抑えた大人の演奏で、現代の主流である力まない綺麗な音は、最早アマチュアオーケストラの域を超えており、ますます驚く。アマチュアは技術でなく情熱だと教えられた時代は前世紀のこと。皆さん普段どんな練習されているのか、本当に見事なオケだと思う。
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ユリアン・シュテッケル 無伴奏チェロリサイタル 宗次ホール [コンサート]

 GWに入り、高速バスで名古屋に向かった。想定が甘かった渋滞に加え、事故や途中休憩の出発時間に遅れる不届きな乗客もいて、8,5時間かかり、うかつにも、コンサート前半を聴き逃してしまった。
 ユリアン・シュテッケルは、2010年ARDミュンヘン国際コンクールで、一位になったチェリスト。ミュンヘンコンクールとはどんなもかと、私も聴きに行っていた。(二位は横坂さん)
https://gruen.blog.so-net.ne.jp/2010-09-01
 準決勝は指揮なしの室内オーケストラとハイドンのC-Dur、決勝はドヴォコンだった。それ以来一度も、シュテッケル氏の演奏を聴くチャンスがなく、近年ミュンヘン音大のプロフェッサーとして、岡本侑也さんが師事するようになり、是非とも聴いてみようということで、連れ合いと名古屋まで行くことにした。
 9年前は、生き生きとエネルギーみなぎる力強さが印象的だったが、この日は昔の印象とずいぶん違い、バッハはさらさら流麗で詩的、瞑想するようなチェロだった。デュティユーは、音の雰囲気がとても合っていて、理想的な演奏だと感じた。音が綺麗で、途切れず、響の中に包み込まれる。聞き手が立ち止まらずに聴けるデュティユーは珍しいと思う。この作品は、他の生演奏、ユーチューブも聞いているが、同じ楽譜でここまで違うものかと、美しさに感動した。
 終演後、CDを買った人向けにサイン会があったので、私も並んだ。ミュンヘンコンクールを見たと言ったら、結構驚いていて、東京にも来て、演奏して頂きたいと言うと、横に立つ日本のマネジャー次第との回答。今回はびわこホールで沼尻・京都市交響楽団でドヴォコンとソロの2公演、名古屋でこの日の1公演で、帰国は東京経由のフライトらしい。
 たまたま先週クニャーゼフのバッハを聴いたばかりで、奏者の世代差、個性が如実に感じられる。バッハ無伴奏組曲の可能性は無限大だ。私の中では、ある時期、バッハはこういうものだという思いがあったが、今は壮大なバッハの世界を楽しむことに幸せを感じる。
 
ルトスワフスキ:ザッハー変奏曲(無伴奏チェロのための)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第4番 変ホ長調 BWV1010
デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフェ
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クニャーゼフ・バッハ無伴奏チェロ組曲全曲 かつしかシンフォニーヒルズ [コンサート]

 昼のさなか、バッハ無伴奏全曲聴くという素晴らしい企画があり、青砥まで行ってきた。
 バッハの全曲演奏会は意外と聞いておらず、何十年か前、藤原真理さんが始めた誕生日にバッハ全曲弾くというコンサートの第一回目を聞いて以来の気がする。何故なら、客席で、緊張するのがちょっと辛いからだ。一曲弾くのと全曲弾くのでは、演奏が変わってくるのは、自然なことだと思う。
 今回は、4時間に及ぶ、長時間コンサート。1、2、3番を弾いて、15分休憩、4、5番の後もう一度休み、6番の演奏時間は、40分位だろうか。最後立ち上がって拍手する人もかなりいて、疲労感漂う中、お気の毒に、アンコールの声に応えて、一番のメヌエット1を可愛らしく演奏してくれた。
 個人的印象としては、思っていた以上に濃い演奏で、現実を忘れる特別な時間となった。痛く感動したのは、全曲弾くというのは挑戦であり、勝負事のように、不屈の精魂が必要だということ。バッハ無伴奏組曲の演奏は様々だが、クニャーゼフは、高度なテクニックの心地良さではなく、正直に自分をさらけ出す、むしろ重苦しい姿が感動を誘うものだった。
 クニャーゼフは1961年生まれ。悲運の経歴を何も知らない人でも、このバッハを聞き、時折意識が飛んでいるようにも見える姿には何かを感じると思う。時にさらさらと、大部分は充実した音色でねっとりと弾き、繰り返しには、かわいらしくトリルを加え、時に即興演奏のような勢いで突き進む。オルガンも弾く方で、サラバンドなどは、ものすごくゆっくりで、オルガンのような持続した高密度で重量感のある音質に、逃れられない力を感じる。重音をぴったり同時に弾くのも、オルガン的かもしれない。エネルギーが滲み出てくる様は、汗だくになった黒シャツ姿が物語っている。
 一度エンドピンを刺したら、楽器は微動だにせず、わずかな身体の動きで音の重さをコントロールしているらしいのが、後方の座席でもうかがえる。弾く姿が何ともワイルドで、背後の反響版の模様の横線がちょど肩のあたりにかかり、時々その線が地平線に見え、野っ原で強風に耐えて演奏している、労働感に感情移入してしまう。
 直立して、左手に楽器、右手に弓を持ち、にこにことお辞儀する姿も、気取らず、人懐っこい感じがして、微笑ましい。
 
アレクサンドル・クニャーゼフ 
作曲家の秘密 シーズンI 第1回 ヨハン・セバスティアン・バッハ
かつしかシンフォニーヒルズアイリスホール (チケット¥2000)
実際の終演 17:30
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東フィル チャイコフスキー/交響曲第4番 [コンサート]

 この定演プログラムは、バッティストーニが新天皇の即位を祝っての組んだものとのこと。
 モーツアルトの生の演奏を聴くのは、とても久しぶりだった。やはり音が軽く綺麗で、心身が癒される体感を得た。これから年齢とともに、モーツアルトにはお世話になっていくと思う。
 バッティストー二のチャイ4は緩急が自由自在で、エネルギーが爆発し、弦楽器が指揮に食いついく姿を見て、若いなあと感じ、約一名、4楽章の難所を捨てていたように見えた奏者もあり、もし、これほどエネルギッシュな指揮者だった場合、今の自分が全力で弾き通せるか相当の覚悟が必要だ。
 昔は2楽章冒頭のメロディをD線で弾くなどと考えなかったが、次回はトライするかもしれない。もう二度と弾きたくなかった4楽章の難所も最後と思い力を尽くしてみようと思う。

指揮:アンドレア・バッティストー二
ピアノ:小山実稚恵
ウォルトン/戴冠式行進曲『王冠』
モーツァルト/ピアノ協奏曲第26番『戴冠式』
チャイコフスキー/交響曲第4番
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デュオの煌めき 2019 岡本侑也&阪田知樹 都民芸術フェスティバル  [コンサート]

 地味なタイトルで気取り過ぎたか、せっかくの日本演奏連盟主催の演奏会は目立たなかったようで、お客さんの入りは6割程度だった。
 でも、静かな雰囲気の中、ため息が出るほど格調高い演奏を聞かせてもらった。二人とも20歳台だが、悟りの境地に到達しているかのように、全身全霊を込めて美しい音を追究している感じだ。
 岡本さんは、エリザヴェートコンクールの後、国内で色々と名誉ある賞をいただいたが、実際に演奏する楽器には恵まれなかったように思える本番があった。この日は黄色い楽器だったが、近くで聞くと、晴れやかな気持ちが伝わってくる音に感じられた。どんな経緯があったにせよ、すんなり迎えられる本番など無いだろう。苦労を気づかせないのが、プロなんだと思う。
 現在、若い演奏家たちは、皆さん素晴らしい楽器を貸与されている。大昔はプール付きの家を売って、ストラディヴァリのVnを購入した話があったが、現在では、色々な財団のご縁で、名器に出会い、貸与されるらしい。
 この日の楽器の調整は中高音は素晴らしく明るく、音色は必ずしも豊かとは言えないまでも、岡本さんのように軽やかで色彩感が自在に変化する演奏には合っていたと思う。時代の潮流として、指揮者で言うなら、ペトレンコのような、自然な流れと美しい音程、ハーモニーのバランスが他に比類ない音楽家の路線ではないかと、この日の音を聞いて、益々期待が膨らんだ。
 思うに、ドイツ人のように身体が大きいわけでもないので、迫力では勝負せず、楽器に低音の重厚さが期待できないなら、無理して、大音量のコンチェルトにこだわらずとも、例えば、エリザヴェートコンクールの時のような、岡本さんのドヴォルザーク、まだ聞いていないが、岡本さんのショスタコーヴィチなど、岡本さんならではの演奏と評価されることの方が、むしろ価値があるのではないだろうか。
 この日のプログラムは、あまりに阪田さんも岡本さんも上手なため、軽めの曲と錯覚しがちだが、作品ごとの音色を特徴づけ、テクニックと完璧な和声の素晴らしさが満喫できた演奏だった。プーランクは、ちょっと聞いたことのないチェロの音色に魅了された。アンコールは、お得意のポッパー:ハンガリー狂詩曲。楽器の鳴りを確認したような、余裕の締めくくりだった。
 益々豊かに自由に揺らぎ、まるで生きているような響きがホールに溢れるような、人生の伴侶となる楽器に、いつか巡り合える時が来るようにと切に願っている。
 
チェロ/岡本侑也
ピアノ/阪田知樹
シューマン:幻想小曲集 作品73
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 作品58
黛敏郎:BUNRAKU~無伴奏チェロのための
プーランク:チェロ・ソナタ FP.143
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神奈川フィル・N響ーハンス・ロット 交響曲第1番 [コンサート]

 去年の5月にドイツでハンス・ロットのこの曲を弾いて以来、生ではもちろんCDなども一切聞いておらず、既に忘れていることや、練習で苦労したところなど、神奈川フィルの舞台を近くから見て、よみがえってきた。あの本番は、自分にとっては、あまり楽しい経験ではなく、ネガティヴの要素の方が強かったのだと気づいた。
https://gruen.blog.so-net.ne.jp/2018-05-22
 ホルンがとにかく目立つ曲だが、神奈川フィルのトップの若い女性の技量が素晴らしかった。全体の音は、結構新鮮で、これまで聞いたあらゆゆるCDのイメージと違い、スコアをそのまま音にしてみましたという新鮮な発見があった。転調や特有のハーモニーやらが良く聞こえず、弦楽器が弱いせいで、あれ、こんな曲だったかなという非力な部分があった。
 ホルンは7名、ペット4名、弦は14型、コンバスは7名に増強していたが、4楽章ではやはり弦が聞こえづらくなった。
 一方N響は、さすが、ヤルヴィはCDも出しているだけあり、ハンス・ロットのイメージは完璧だった。神奈川フィルはやたら、ティンパニ、トライアングル、ホルンなど力強い部分だけが目立ったが、N響は弦楽器がものすごく弾いていて、よしよしという感じ、これでこそハンス・ロットだ。
 でもNHKホールの二階席で、かなり距離があったせいか、ホルンの吠えるような迫力はなく、Tpもミスはあったが、そつなくこなしていた。全体のまとまりとして、N響の方が上だが、神奈川フィルの手づくり感は、アマオケぽくて、好感が持てた。
 N響はホルン8本と神奈川フィルより更に増強、完全に倍管、トランペットは5本、弦は16型。驚いたのは、打楽器が3人、まさかトライアングルにアシ?と思ったら、3楽章の一部にティンパニのロールを付加、それと4楽章にスコアにはないシンバルを派手に1発、これはヤルヴィの考えか?
 N響の弦と、神奈川フィルの一生懸命のHornと共演してもらえたら、楽しいだろうと思った。
・神奈川フィル
マーラー/リュッケルトの詩による5つの歌曲
ハンス・ロット/交響曲第1番ホ長調Op.35
指揮:川瀬賢太郎(常任指揮者)、藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)
・ N響
R.シュトラウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品8
ハンス・ロット/交響曲 第1番 ホ長調Op.35
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ、リョーナ・バーエワ(ヴァイオリン)

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新響・飯守ーワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」抜粋 [コンサート]

 新響のトリスタン前奏曲、2幕全曲、3幕3場の演奏を芸劇2階の最前列中央で聞いた。何年か前の新響のトリスタン演奏会の時は、自分が興奮ぎみで、仲間たちとステリハも聞かせてもらった。時がたち、今回はドラマチックというより、全体的に手堅い演奏に感じられた。歌手はオケの後ろに配され、仕方ないことだが、声は聞こえても言葉までは明瞭には客席に届かない。オケは音楽の起伏には乏しい感じだったが、無理して崩壊するより、安定を目指したのだろうか。
 この日、池田さんの演技つきイゾルデに魅了された。3幕の最後は双眼鏡を覗きながら、涙が流れてしまった。池田さんの歌唱は、聴くたびに、感動が増す。こんな素晴らしい歌手が近くに居てくれることが幸せだ。必ずしも海外へ向かわずとも、日本で本物のをワーグナーを全国に浸透させてくれるようなそんな芸術家がいても良い。池田さんは特別な存在なのだから、しがらみのない歌手として、好きなように羽ばたいていただきたい。もっと言えば、昨年末のN響第九の、テノールとバリトンは、バイロイトの名だたるワーグナー歌手だったが、あの見事に強烈な声量に伍する日本人はまだ育っていないと思うから。(テレビで見ただけだが)
 バイロイトでヴァルキューレを歌った金子さんのブランゲーネは優しい声だった。男声歌手陣もオケも皆楽しそうだった。
 指揮もいつになくかっちりしており、きっと練習ですべての思いをオケに伝えてあり、安心して振られたのではないかという気がする。プロでは時間切れで言い尽くせずとも、アマオケはたくさん練習するので、ここまで安心して聞ける演奏になったのではないかと思う。団員の平均年齢は、とても高いが、皆さん衰えを見せず、さすが上手だ。久しぶりに聞いて、華やかだった新響が、アマオケの巨匠へと変貌していくのかなと思った。
指揮:飯守泰次郎
トリスタン:二塚 直紀
イゾルデ:池田 香織
マルケ王:佐藤 泰弘
ブランゲーネ:金子 美香
クルヴェナール:友清 崇
メロート:今尾 滋
牧童:宮之原 良平
舵取り:小林 由樹
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マーラー8番 千人の交響曲 新宿文化/東フィル [コンサート]

  新宿文化センターは開館40周年とのこと。私たち世代にはノスタルジックな場所。今ではプロオケはあまり使わないのだろうと思っていたが、意外にも新宿区は頑張っていた。新しい街東新宿に地下鉄駅が通り、集客も良くなったのだろう。プロオケを呼んで、ハイレヴェルの演奏会を催している。
 昨年の秋、都響・大野さんワーグナーのとき、連れ合いが今日のチケットを買った。新宿文化で8000円とは、一瞬迷うが現代の価格なのか。合唱団がおよそ370人、受付には花束が一杯で、チケットは完売、会場は満席だった。
 連れ合いは、学生時代8番を演奏したことがあり、いまだに大音量が好きだ。私は8番の生演奏を自分から進んで聞きにいくほどではなく、今日はしみじみマーラーらしさに浸っていた。合唱の練習は大変だったろうと思う。迫力はないが、よく頑張った。オケはさすが上手で良く聞こえた。ホルンは素晴らしいかった。指揮者のバッティストーニは見た目は突撃モードの熱烈な指揮をするが、オケをよくまとめていると思う。ソリストたちも良かった。合唱が非力なので、湧き上がるようなエネルギーは感じられないが、引き締まったテンポで気持ち良く聞かせてもらった。
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ソプラノ:木下美穂子 今井実希 安井陽子
アルト:中島郁子 小林由佳
テノール:福井敬
バリトン:青山貴
バス:ジョン・ハオ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新宿文化センター合唱団
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6人の若獅子が集う 奇跡のチェロ・アンサンブル [コンサート]

 二年ぶりにメンバー6人が結集、皆大人っぽくなり、かつての弾きたがり屋の少年たちの面影はもう無い。この二年の間に各々が経験を積み、全員が世界で活躍するソリストに成長したことは、本当に喜ばしい。皆すごい楽器を貸与され、全員がスターだ。僅か2回の練習で、ここまで息が合うのは凄い。一人ひとりが自分の音楽と技を披露しつつ、調和していて、皆がアンサンブルを楽しんでいるのが伝わってくる。
 自分にテーマが回って来て、一気にエネルギーが爆発するとき、また思いの丈を歌いきるとき、他のメンバーが主役に寄り添う眼差しが、見ていて心地よい。こんなにお互い聴きあえるチェロアンサンブルには日本では希だ。ご臨席された、メンバーの先生でもある大御所の方々も、次世代に引き継ぐ嬉しさを感じられたのではないだろうか。
 若者はグローバルな文明の恩恵に浴し、前世代にはない素晴らしいテクニックと音楽性をものにしたと思う。そして模範演奏のような賛歌から、ピアソラまで、聴きごたえがある、本物の音楽の世界を聞かせてくれた。
 みんな大好き、ポッパーのハンガリー狂詩曲では、持ち回りでメロディーを分かち合うアレンジに、小林さんのチェロ愛のような仲間への友情を感じる。オリジナルのチェロ6重奏の曲は少ないので、ほとんどの曲を、6人皆が楽しめるように、小林さんが上手に編曲しており、貴重な人材だ。
 次回は来年の12/27東京文化会館小ホールで開催予定とのこと。彼らは一段階段を上り「奇跡の」チェロ・アンサンブルというタイトルは、もう大仰なものではなく、ベルリンフィルの12人のような、本物の「奇跡」のチェロアンサンブルに近づくよう、続けて行ってもらいたいと思う。
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出演(チェロ):
辻本玲、伊藤悠貴、小林幸太郎、伊東裕、岡本侑也、上野通明(年齢順)
曲目:
クレンゲル:賛歌
バリエール:2台のチェロのためのソナタ
ピアソラ:リベルタンゴ
フォーレ:パヴァーヌ
ドビュッシー:月の光
リムスキーコルサコフ:シェヘラザードより
ポッパー:ハンガリー狂詩曲 ほか
アンコールは、ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
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フェルメール展&藝大フィルハーモニア管弦楽団ー高関健 マーラー交響曲第7番 他 [コンサート]

 マーラー7番を生で聴いたのは数えるほどだが、この日、奏楽堂の最高の席で、素晴らしい演奏に接することができた。まず、舞台全体を見渡せる中央の席に座したことが奇跡の第一歩だ。全席自由とはありがたい。感謝感激だ。
 そして、演奏会がお祭りではなく、研究発表の場であったことがすごい。楽譜は、国際Mahler協会のMahler新全集版を使用。新全集では、高関先生のご研究も楽譜に反映されている。高関先生が、世界的な学者で、芸術家でいらっしゃることを心から尊敬する。プログラムの先生のインタビュー記事は、必見だ。
 整然としていて、すべての楽器の響きが生かされるような演奏は、作曲家の意図を最大限表現してくれているように感じる。奏者も皆素晴らしく、偉業を成し遂げたような、充実感があふれていたように思う。先生のお話で、出来るだけ固いバチで叩くよう指示があるという、ティンパニーの音色は、今まで聞いたことがないほど、音楽にピッタリとマッチして、感動的だった。この日行かれなくなった連れ合いが気の毒に思える。
 前半のマーラー編曲のバッハの管弦楽組曲からの作品は、1909年ニューヨークフィルで初演された。当時バッハ作品がニューヨークで演奏されることは多くなかったとのこと。弦は16型で華やかだ。マーラーは、生涯で20回位指揮したとのこと。フルートは聞こえることが大事なので人数を増やすか、クラリネットを加えてもよいという指示があり、この日はフルート4本、指揮台正面、弦楽器の間に配された。
 アカデミックな素晴らしい演奏会だった。分析され、再構築された7番の音の違いを、自分には聞き分けることはできないが、音の細部を自ら聴き取りに行く姿勢が音楽を面白くすることを、この夏、ペトレンコの6番からも学んだ。少し距離を置いていたマーラーをあきらめず、また狩りに出ようようと思う。次は年明けの一千人だ。
 コンサートの前にフェルメール展へ行った。今回展示されている8点の中で初めて見る作品は赤い帽子の娘だけだが、ロンドンとワシントンにまだ見ていない作品がある。ベルリンの2作品は、ともに日本に来ているのには、苦笑してしまう。というのは、ベルリンに滞在する時には、閉館前1時間ほど、2作品の前に座るのだが、ほとんど人は足を止めないからだ。2点貸し出しても来館者から苦情が出ることはないだろうという意味なのか。今回入場は予約制なのに、とても混んでおり、残念だった。仕方ないことだが、展示作品と見る人の距離は、日本の方がはるかに離れている。
■曲目
マーラー編曲:《J.S.バッハの管弦楽作品による組曲》
Ⅰ序曲 4/4(第2番より)
Ⅱロンドーバディヌリー 2/2 - 2/4 - 4/4(第2番より)
ロンド→バティヌリー→ロンドの順で演奏。
Ⅲエール 4/4(第3番より) G線上のアリア
Ⅳガヴォット1-ガヴォット2  2/2(第3番より)
編成:フルート(他人数、またはクラリネット1を増強)オーボエ2、トランペット3、ティンパニ、クラヴィチェンバロ(ピアノ)、オルガン、弦楽合奏
マーラー:《交響曲第7番》
■出演
指揮・プレトーク  高関 健 
芸大フィルハーモニー管弦楽団 於 奏楽堂
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2018弦楽器フェア、 骨髄バンクチャリティーコンサート [コンサート]

 午前中に科学技術館の弦楽器フェアを覗き、午後は、骨髄バンクのチャリティーコンサートへ行った。
 去年、冷やかしで購入した安いチェロ弦1セットは使うことなく一年過ぎ、今年は面白い魂柱を見つけた。
 弓と同じ材質の木をらせん状に削りプラスティックのようなもので覆う。形は魂柱型。その上下にマグネットを取り付け、磁石の力で魂柱を立て、中間部のネジで圧を調節し、整ったところで、ネジは外す。半延久的に使えて、音色も優しいと、作者がヴァイオリンを弾いてくれた。ミュンヘンに店舗があり、魂柱は家で制作しているとのこと。実際使っている人がいるのか尋ねるとYouTubeを紹介してくれた。慣れれば自分で取り付けたり外したりできると。
 確かに実際のチェロの音を聞いてみたいものだ。
https://www.soundpost.com/
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 今年の骨髄バンクのコンサート会場は本郷にある求道会館。大正年間に作られた、仏教の教会?とのこと。靴を脱いで入り、二階席は座布団を並べる、段差の小さい階段状になっている。
 昨年の会場の音響が良くなかったからだろうか、この場所は、演奏メンバーが利用し、とても趣のある場所で響きも良いので、骨髄バンクに提案したとのこと。やはりモティベーションが上がるのだろう、大変な熱演で、チェロの音もとても良かった。
小澤洋介(チェロ)三戸素子(ヴァイオリン)高田匡隆(ピアノ)
プログラム:
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調「幽霊」
骨髄バンクミニシンポジウム
マルタン:アイルランド民謡による三重奏曲
ブラームス:ピアノ三重奏曲 第2番 ハ長調 作品87
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国際音楽芸術振興財団コンサート 室内楽のア・ラ・カルト [コンサート]

 銀座ヤマハホールで、国際音楽芸術振興の公益認定記念コンサートがあった。ネットで登録すると、全員ご招待だ。
 フルート、チェロ、ピアノという珍しい組み合わせに思えたが、ウェーバーのフルートトリオ他、オリジナル曲のようだ。ヴィラ=ロボスのジェットホイッスルという作品は、なかなか面白い。先月、シャリーノのフルート曲を聞いたばかりなので、フルートの音色としてのホイッスル音は、程よい刺激だった。
 中木さんは、ヨーゼフ・グァルネリ(多分グァルネリ一族?)のチェロを貸与されているとのこと。突き抜けるような強く素晴らしい音で、ドビュッシーも迫力があった。後半は、三人の音が溶け合って聞こえ、心地良い演奏会だった。
 このホールは初めて行ったが、18時までホールのある最上階に入れず(エレベーターが行かない)、1階に人が溢れていた。

出演
・三浦友里枝(ピアノ)・上野由恵(フルート)・中木健二(チェロ)
演奏曲目
ゴーベール ロマンティックな小品
ドビュッシー シランクス
ドビュッシー チェロとピアノのためのソナタ
ヴィラ=ロボス ジェットホイッスル 
《休憩》
C.P.Eバッハ トリオソナタニ長調Wq.151より第1楽章
ウェーバー フルート三重奏曲 作品 63

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ワーグナースペシャル 大野和士/都響 [コンサート]

 お帰りなさい!という気分で、大野さんを聴きに行った。新国立劇場の音楽監督になられたので、オペラを指揮される機会も増えるのかと思っていたが、そうでもないようだ。この日は地味に新宿文化センターで、密やかに都響とワーグナー抜粋を聞かせて下さった。
 本場のオペラ指揮者という安心感と期待で、何となく嬉しく、抜粋プログラムではあったが、過去にドイツで聴いた、大野さんの丁寧な演奏を思い出した。随分前2006年のことだが、私の初タンホイザーは、急遽大野さんに指揮者変更となったベルリンドイチェオパー だった。その後は、2012年ミュンヘンのオランダ人。大野さんを聴くのはそれ以来だ。
 歌手もオケも整然としており、爽やかで良かった。全く違う公演であっても、過去に聴いた同じ作品の場面
が頭に浮かび、その時の幸福感をも回想できるなら、眼前の演奏は、きっと良い演奏なのだろうと今回気がついた。
 会場は満員には程遠かったが、あそこに集まった聴衆の多くは、日本で、大野さんのリングチクルスを聴ける日を想像したのではないだろうか。
 数日前都響の定期で、ツェムリンスキーを同じ歌手で指揮されており、10月の他のプログラムを見ても、最早、話題性のない作品は日本では指揮されないのかもしれないと感じた。日本であまり聞く機会のない音楽は結構あり、これからマニアックな作品を色々紹介していただけそうだ。

指揮/大野和士
ソプラノ/アウシュリネ・ストゥンディーテ
バリトン/アルマス・スヴィルパ
ワーグナー:歌劇『タンホイザー』序曲(ドレスデン版)
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」
ワーグナー:楽劇『ワルキューレ』より第3幕第3場(最終場面)
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イザイ音楽祭ジャパン2018 [コンサート]

  イザイ生誕160年と言われても、イザイのことは良く知らず、ベルギー繋がりのチェロの岡本さんが出演するので、チケットを買った。日本イザイ協会主催のなかなか興味深いコンサートだが、チケット発売当初、イヴェントの全体像がつかめず、当日も開演が遅れるなど?マークの会場運営だったが、それとは無関係に、演奏もイザイの音楽も素晴らしかた。
 イザイは名ヴァイオリニスト。身長は2m近かったとのこと。そして作曲家、指揮者、教育者でもあり、ヴィルティオーゾと言われる。
 今回の音楽監督は、パリ国立音楽院、ブリュッセル王立音楽院の教授、イザイの弟子に師事したPhilippe Graffin という大柄のヴァイオリニスト。氏のテクニックと雄大なヴァイオリンの音色に感動し、何とはなしにイザイの姿と重なる。四隅がくしゃくしゃになった楽譜を、屈託なく床に落としながら演奏し、右足を鳴らしながら、身体の動きも自由奔放、お人柄に思いをめぐらし、微笑んでしまう。
 プログラム2曲目の冬の歌は日本初演ではなかったと訂正のアナウンスがあった。個人的にはイザイは無伴奏ソナタしか知らなかったが、まだまだ、日本で演奏されていない作品があり、グラファン氏が演奏した、半年ほど前に見つかった無伴奏ソナタ遺作は、6番の原曲だったらしい。没になったものを拾ってきて演奏するのは、作曲家本人にとっては、どんな気分だろうかと思う。静かに流れていくタイプの曲も、超絶技巧を見せつけるような大胆な音楽も、聞いていて全くストレスを感じさせず、根底に優しさを感じる。グラフィン氏は、まだ演奏されていないイザイ作品を日本に紹介したいという使命感をお持ちのようで、次の機会も是非作っていただきたい。
 休憩時間に、ベルギービールVEDETTのエクストラホワイトが振舞われた。外国人(ベルギー人?)も多く、林元文科大臣もおられた。
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自由席 なので、ロビーに長蛇の列
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3テーブル一杯に提供されたVEDETT
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ポリーニ・プロジェクト I   ハーゲン・クァルテット他 [コンサート]

 1947年生まれ、サルヴァトーレ・シャリーノの音楽を多分初めて聴いた。フルートの曲を多く作っているそうだが、静寂の中で、フルートから溢れる息づかいというか、空気の振動で生じる音のヴァリエーションをきっちり分類し、整然と使い分ける音楽だった。時折発する耳をつんざく突然の高音に、前の座席の人が飛び上がったが、私もこの音は苦手だ。Vnの時も、前の人は同じ反応を起こした。Vnの曲が自分は一番美しく感じられたが、これも音のヴァリエーションが明確で、ほとんど耳をそばだてないと聞こえないかすかな音を観客は探しに行く。近くの人のおなかが鳴った音の方が、Vnの音より大きい場面もあり、今回も、現代は微妙な音を探し狩猟するような時代だとまた痛感した。
 後半のシューベルト弦楽五重奏は、美しすぎる曲だが、ストラディヴァリを聴いた後のせいもあり、堤先生の楽器がいかに素晴らしいかが分り、自分の座席からは、その音が突出して聞こえ、微妙に癖のある節回しはあったものの、チェロの2番の活躍が著しかった。むしろハーゲン・クァルテットを堤先生がリードするほどの音に感じられた。後で調べたら、ヨーヨーマと同じモンタニャーナを使っているという記載がネット上にあったが、プログラムには使用楽器の記載は無かった。

プログラム
シャリーノ: 急激に成長するクリスタル[日本初演]/ マッテオ・チェザーリ(フルート)
シャリーノ: 三美神が花開かせるヴィーナス / マッテオ・チェザーリ(フルート)
シャリーノ: 《6つのカプリッチョ》より / 辻 彩奈(ヴァイオリン)
シャリーノ: 反転した空間 / 若林 かをり(フルート), 金子 平(クラリネット)
辻 彩奈(ヴァイオリン)、 岡本 侑也(チェロ)、
中川 賢一(チェレスタ)
シューベルト: 弦楽五重奏曲 ハ長調 D956/ ハーゲン・クァルテット、堤剛

トッパンホール
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紀尾井 午後の音楽会 義太夫三味線とチェロ [コンサート]

 紀尾井小ホールに初めて入った。5階にあり、とても眺めが良い。
 初めに、鶴澤寛太郎さんの、義太夫三味線のについての簡単な説明があり、導入としてとても良かった。長い曲で、太夫と三味線が他の組みに交代するときに用いられる、独特の旋律「オクリ」という、決まりがあり、言葉も途中で途切れて次へ送られる。今回は、鶴澤寛太郎さんの作曲した、「雪月花」をオクリから始まめ、次のプログラム、岡本侑也さんが演奏する 黛敏郎のBUNRAKU の冒頭のオクリに受け継がれるよう企画されていた。
 BUNRAKUは、オクリのピッチカートで始まり、三味線の音色は勿論、義太夫の声も表現されている。古典芸能のプロには、聞こえ方も、曲の理解もずっと深いようだ。
 ラメンタティオは、弾いている音と歌う声と音程が違うので、慣れるまで難しいと岡本さんがお話された。悲しむこと、嘆くことという意味だが、岡本さんの弾き歌いが聞く者の心を捉える。今回は舞台に一人だが、コンチェルの後のアンコールでは、オケの皆さんの驚きの表情を客席から見るのも楽しい。
 後半、野平一郎先生の新作は、三味線とチェロの音色が意外にも良く合い、絡み合う音に楽器の差違を感じず、自然だった。演奏前に二人の対談があり、鶴澤寛太郎さんは、五線譜が読めないので、楽譜を三味線用に書き変えるのに苦労されたそうだ。「いろはにほへと」で表わす楽譜には無い音を作り、西洋の音程にピッタリ合わせて演奏されたのは、さすがだと思う。珍しい世界に浸り、充実した、1時間だった。
曲目
三味線組曲「雪月花」/ 鶴澤寛太郎、野澤錦吾、鶴澤燕二郎(義太夫三味線)、
黛敏郎:無伴奏のためのBUNRAKU、G.ソッリマ:ラメンタティオ、/ 岡本侑也(チェロ)
野平一郎:もつれ 義太夫三味線とチェロのための(紀尾井ホール委嘱・初演)/ 鶴澤寛太郎、岡本侑也

建築中の新国立競技場
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都響×アプリコ ドヴォルザーク- 岡本侑也 [コンサート]

 久しぶりに都響の音を聴き、小林研一郎の指揮を見た。アプリコ開館20周年とのこと。早いものだ。ただ、客の入りが今ひとつなのは残念。
 岡本さんのドヴォルザークのコンチェルトを聴くのは、去年夏の読響以来。今回は連れ合いの希望で、最前列を陣取り生音を拝聴。堂々とした演奏を連れ合いはとても気に入り大絶賛。確かに岡本さんの生音で弓と弦が接する摩擦音が聞こえたのは初めてかもしれない。楽器が変わり、ちょっとヤンチャな音に聞こえるが、遠鳴り具合は如何だったのだろう、興味津々だ。生演奏は、聞く位置によって印象が変わる。各ホールで、一番音のバランスが良い席で聞ければ幸いだが、どの席で聞いても、それは本当の音であり、岡本さんの歌心と華麗なテクニックを堪能できる。
 10/10 紀尾井ホールの「午後の音楽会」で、一年ぶりの、ラメンタティオの全曲を聞かせてもらえそうだ。

指揮/小林研一郎
チェロ/岡本侑也
曲目
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104 B.191
ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 op.88 B.163

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今日は短縮版
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蒲田駅前も変貌か
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新国立劇場ー世界若手オペラ歌手ガラゴンサート [コンサート]

 この日は、読響/カンブルランのロココとチャイ4、N響/ヤルヴィのウィンナワルツ+マラ4と、魅力的なコンサートがあり、朝読響に電話したところ、当日券があると言われたものの、早くから並ぶほどの意欲が無く、結局電話で席まで指定できる、楽な新国立劇場に行くことにした。
 新国立劇場研修生の発表会は何度か聞いて来ているので、今回世界若手オペラ歌手と銘打っているが、出来栄えには懸念があった。でも、結果的に素晴らしいガラコンサートだった。まず舞台の花のデコレーションに驚き、オペラ研修所20周年記念コンサートだったと気づく。舞台の進行がとても手際よく、代理で登壇した指揮者が慣れていて、雰囲気もとても良かった。海外からのゲストも日本人歌手も、十八番の曲を思う存分歌い、小品18曲、どれも楽しかった。芸大フィルもキッチリ演奏してくれて、お客さんの入りが半分では、もったいない。多分2日目の方が盛況だったことと思う。
 特に目立って素晴らしいと思ったのは、バイエルンの研修所からのテノール チャン・ロンさんだった。日本人ではメゾの清水さんが自分は好みだった。日本人と外国人との差が無くなってきていると訴えかけるように、20年の研修所の実績を示す、良いコンサートだった。

【指 揮】ダグラス・ボストック (※飯守泰次郎より変更になりました。(2018年9月13日))
【管弦楽】藝大フィルハーモニア管弦楽団
【合 唱】新国立劇場合唱団 二期会合唱団 藤原歌劇団合唱部

ゲスト出演
※オペラ研修所修了生
安藤赴美子(第3期修了)ソプラノ
清水華澄(第4期修了)メゾソプラノ
城 宏憲(第10期修了)テノール
桝 貴志(第5期修了)バリトン
※ロンドン・ジェッテパーカー・ヤングアーティストプログラム(JPYAP)
マイケル・モフィディアン(バスバリトン)
パトリック・テリー(カウンターテナー)
※ミラノ・スカラ座アカデミー
サラ・ロッシーニ(ソプラノ)
アンナ・ドリス・カピテッリ(メゾソプラノ
※ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場研修所
张 龙(チャン・ロン)(テノール)
セレーネ・ザネッティ(ソプラノ)
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岡本侑也チェロ・リサイタル [コンサート]

 山形でロココを聴いた一週間後、練馬で岡本さんのリサイタルがあった。ピアニスト小林海都さんは、2年前江副財団のコンサートで室内楽を共演して以来とのこと。ベルギーつながりを感じさせる、二人の綺麗な音がまず印象的だ。
 出光音楽賞受賞頃から正式に発表しているが、岡本さんの楽器が変わり、去年、先生も変わり、力強さ、逞しさが加味された方向へ音が向かっている感じがする。シューマンが、かなり硬い音に聞こえ意外だった。
 ベートーヴェンは軽やかと重さのバランスが絶妙で流麗で、ピアノもチェロも音がとても透明で綺麗だった。持ち前の繊細さはさらに音色の幅が出て磨きがかかっている。ヤナーチェックはちょうど今年5月にミュンヘンの教会で、物語の朗読付きで聴いたことがあった。その時は、各楽章の演奏が話の後に来るので、とても短く感じられたが、今回は3つの楽章が一つの流れの中にあって、続けて演奏され、この方が私は好みだ。最後のショパンは凄かった。深刻な曲でありながら、ピアノとチェロが溶け合う美しい世界へ若い二人がグイグイ引き込んでいく。巨匠の演奏を聴いた後のような、恐れ入りましたという感覚だった。さらにこの少し重苦しい興奮状態をクールダウンしてくれる、美しいアンコールは、タイスの瞑想曲と、白鳥。後半冒頭には奏者自身のお話も入り、至れり尽くせり、行き届いた配慮を感じる、聴き応えのある演奏会だった。22〜23歳の若者達であることを忘れる、老成した音楽を聴かせてもらった。

■日時 2018年9月9日(日) 15:00開演(14:30開場)
■場所 練馬文化センター 小ホール(つつじホール)
■出演 岡本侑也(チェロ)、小林海都(ピアノ)
■曲目 
シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調Op.70
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第2番 ト短調Op.5-2
ヤナーチェク:おとぎ話
ショパン:チェロ・ソナタ ト短調Op.65
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「わ」の会 第5回公演 Erwachen:覚醒 [コンサート]

 調布市文化会館たづくり くすのきホールへ「わ」の会のコンサートを聞きに行った。年々歌手の方々が身近な存在になってきて楽しい。偶然所属のアマオケに出て頂いた先生方もいらして、さらに、今年バイロイトデヴューされた、金子先生もエルダとして出演され、役作りがさすが、上手だと思った。
 今年のジークフリート3幕は、本当に期待していたのだが、お気の毒に、4日前に名古屋でジークフリート全曲歌われた片寄先生が急な体調不良で、後半が、昨年と同じプログラムの黄昏のブリュンヒルデの自己犠牲に変更された。でも、池田先生は去年よりもっと素晴らしかった。輝けるディーヴァの風格で、ちょっとした身のこなしも、ゾクッとする迫力があり、客席にいてとても誇らしかった。
 前半は、マイスタージンガー3幕前半、ハンスザックスとベックメッサーの好きな場面で、つい3週間前に見てきたバイロイトの舞台と結びつき、何ともいえない美しい記憶が甦った。演技指導があったにしても、大沼先生のベックメッサーの演技は、身のこなしの軽やかさが、素晴らしく日本人離れしていて、適役だと感動したのは、私だけではないだろう。全幕通して是非ご出演頂きたい。段々と聴衆も欲張りになり、ヴァーグナーを聞ける有り難さだけで満足せず、買ってながら、抜粋でなく、全曲演奏を聞ける時が来るのが、待ち遠しい。
 ピアニストはたった一人で、超絶技巧で弾き続け、指揮者が入って連弾になると、さらに盛り上がり、オケの音が聞こえてくる。観客数は200人ちょっと。もっと沢山の方に聞いて頂きたい。
 
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ジークフリート3幕3場は、神々の黄昏3幕3場に変更になりました
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山形交響楽団ー岡本侑也 ロココ風の主題による変奏曲 [コンサート]

 山形交響楽団の定期演奏会で、土日2日続けて、岡本さんがロココを協演し、私は2日目を聞きに行った。この日の雰囲気がとても良く、本番を聴く時の緊張感はほぐれ、岡本さんも、とても楽しそうにリラックスしている様に見えた。
 このホールは自分の席では音が良く響き、去年初台でロココを聴いた時より、どの変奏曲も一層歌い込んでいて、若い岡本さんの姿に、早くも風格を感じた。これは、自分にとっては、初めての感覚だ。もう超絶技巧に驚くこともなく、音楽平安を感じる。こちらが、一音一音に感嘆していた頃は、全部の音を完璧にサラッと弾く様に感動したが、今は本番を幾つもこなす演奏家として、少し位、A線高音の発音が悪くても、本人が神経質な様子をあまり見せなくなったので、客席でも安心して音楽の流れに身を任せることができる。
 自然に湧き上がる音楽に思わず引き込まれていた時代から、大きく一段と包容力が増し、声色のような、安らぎを感じる穏やかな音に包まれるとき、これからもこの幸福感を皆さに運んでほしいと切に願う。
  アンコールがまた、生き生きと躍動感があり、本当に素晴らしかった。ラメンタチオの本人の歌声とチェロの音が、ハモって聞こえたし、昔から重音のハーモニーが完璧だったが、重音の威圧感は皆無で、アローンでは、更に各声部を歌い分け、音の重なりに色調が加味され、決して濁らず、例えるなら、オケの指揮者がスコアから選び取るハーモニーにより、それまでと違う音楽に聞こえるマジックのような驚きを感じた。
 指揮者の阪さんも、熱く歌う指揮者なので、どのプログラムも、楽しかった。インタビューで、岡本さん一家とご自身とレーゲンスブルグの関係に触れられたこと、阪さんのご両親が山形ご出身であることなど、演奏者側の人のことを言葉で紹介するのは、聴衆へのアピールになるし、この演奏会にいらした方々は、岡本さんのことを覚えて下さったに違いない。
 山形交響楽団は人数は少ないが、アットホームな雰囲気が良い。開演前のロビーコンサート(ビオラパート素晴らしい!)、開演直前の指揮者インタヴュー、終演後の親睦会など、地元を大事にした経営努力に頭が下がる。
 山形駅に降りたのは初めてで、中心地をぐるっとバスで見物したに後、駅西側の高層ビルに行ってみると、24階に展望台があり、周囲の景色が見渡せた。城跡が霞城公園になっており、ビルの名も霞城ビルだ。駅の東側は、繁華街、西側は新しく、広々としており、コンサートホールがある。帰り道、ようやく、山形駅の正面の駅名が見えて、山形に来た実感がわいた。
 次の日曜は、東京でリサイタル。また、題名の無い音楽会の放送もある。10月にも4回生演奏が聞ける。
 
指揮 阪 哲朗
チェロ 岡本 侑也

ワーグナー/ジークフリート牧歌 作品103
チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33
メンデルスゾーン/交響曲 第3番 イ短調「スコットランド」作品56 
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第28回出光音楽賞受賞者ガラコンサート [コンサート]

 チケットが当たったので行ってみた。職場が西新宿なので引き換え開始の17時45分にはオペラシティに着いたが、既にかなりの行列ができており、ハガキに印刷されている整理番号順に指定席券を貰うシステム。
 整理番号が若いから良い席が来るとは限らず、200番くらいなのに2階Rの前の方だったが、却ってソリストは良く見えた。もちろん無料なので文句は言えないが、2階正面席は多分ご招待なのだろう、ガラガラなのは頂けない。
 始まる前に表彰式やら、舞台セッティングの時間潰しのため指揮者インタビューがあり冗長だが、これも仕方がない。沼尻さんのお話は、賞金の話とかちょっと下世話な内容で、自分で喋って自分だけ受けている印象だ。
 1曲目、上野耕平さんのサクソフォン、この楽器のコンチェルトを聴くこと自体初めてなのだが、アルトサックスという楽器の音域のためか、音量はあるのにTUTTIになるとオケの音によく言えば溶け込んでしまうというか、つまりは埋没してしまう。不思議な感じだ。ご本人はサックスは美しい音は勿論だが、汚い音も出せる旨のお話だったが、聞いてみてそういう印象は無かった。
 休憩後バイオリンの辻彩奈さんはショーソンの詩曲、名前は良く聞くがこれも実演は初めてだ。辻さんは美音というより、大変しっかりした芯のある音で、舞台上のパフォーマンスも落ち着いていて、はたちと聞いて驚いた。
 トリは岡本侑也さんのロココ、いつもどおりの安定感、パフォーマンス的なものは一切無く、淡々と弾いているが、全く自然で曲の技術的難しさは微塵も感じさせない。
 最後のダブルのオクターブのパッセージも普通にほぼインテンポで弾いていて、全く見えを切らないが、ここをあんなふうに弾ける人はそうそういないだろう。
 演奏前後に司会の男女アナウンサーによるインタビューがあり、年嵩の上野さんはさすがに馴れたものだったが、若いふたりは優等生的な固い印象になってしまった。司会者はもう少し事前に取材して、リラックスした雰囲気を作るべきだろう。(B)

授賞式、指揮・沼尻竜典氏のお話
上野耕平 イベール:アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲
ー休憩ー
辻彩奈 ショーソン:詩曲op.25
岡本侑也 チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲イ長調op.33

沼尻竜典 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
司会:寺崎貴司、松尾由美子 アナ
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レーゲンスブルク〜ヴァンフリート・コンサート Arthur Hornig [コンサート]

 Regensburg から Weiden 乗り換えでBayreuth に戻ることにしたが、乗り換え時間は6分。懸念した通り、事件は起こった。レーゲンスブルから、浮浪者らしい男性が乗り、隣に来た。匂いがするので、席を移ろうかと思っていたら、すぐ車掌さんが検札に来た。男性は、身障者だから無料でどこへいくのも自由だと大声で騒ぎたて、それでも、女傑の車掌さんは負けない。言い争いの間私は移動したが、車掌さんは、しばし運転室に入った後、いくつか先の停車駅に警察が来て、男性は大騒ぎで連れて行かれた。結果電車が遅れ、乗客は殆どいないが、全員がWeiden で降り、今回は重い荷物がないので、私も2分の乗り換え時間に何とか間に合い、写真も撮ることが出来た。
 猛暑の夜のWahnfried のコンサートは冷房がきいて、寒いくらいだった。慣れたお年寄りは、毛布のような、ショールを持参していた。チェリストArthur Hornigは30歳くらい。ベルリンドイチェオパーのソリスト、フェストシュピールオーケストラ首席で来ている。演奏はイタリア組曲だけだったが、私にとっては、新鮮なタイプのチェリストで、勿論上手、勢いがあり、華やかなでダイナミックな弾きぶりが印象的だ。速いボーイングの軽妙な音色が、久しぶりに耳にする予想外の音で、日本人の体格では、残念ながら、ちょっと難しい表現のように感じる。ピアニスト Florian Hölscher はフランクフルト音大の教授で、さすがに音が綺麗で、有り難く拝聴した。
 Arthur Hornigはドイツ各地に、ゲストソリストとして赴いている。桐朋でも客員教授として指導しているようだ。
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