特別試写会「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」 イタリア文化会館 [芸能]
日本は江戸末期の1859年、ボローニャで暮らすユダヤ人一家の男児エドガルドが、乳児期にキリスト教の洗練を授けられていたというアクシデントが、7才になって発覚し、教皇のもとに強制的に連れ去られるという実話に基づいた映画。
ローマに連れて行かれ、他の改宗を強いられる境遇の男児達と寄宿舎生活を送り、司祭へと成長する。両親に対しては、子供を取り戻したければ、キリスト教に改宗せよと迫り、両親は、教皇の誘拐事件として、世界中に情報発信する。
映画は、誘拐されたエドガルドが、初めは家に帰りたくて、ラテン語でキリスト教の教義を丸暗記しつつ、次第に服従していく複雑な心境を描くと同時に、教皇在位期間31年以上という最長記録を持つ、教皇ピウス9世の話でもあり、中世から市民運動が勝利する迄のカトリック権力の変遷の一コマを覗いた気がする。
押場先生の解説によると、ピウス9世はヨハネパウロ二世により、聖人の称号を受けたとのこと。
後でウィキペディアで見たら、聖人に次ぐ地位の列福となっていた。また日本との関係においては、秀吉の時代、長崎での「26聖人殉教者」全員を列聖した教皇でもある。
ベロッキオ監督の、怒りの拳が、見る側の心をせつなく苦しめる。
ショスタコーヴィッチの音楽が使われている。オープニングクレジットで確認できた文字は、Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks だったと思う。
通し狂言 妹背山婦女庭訓 国立劇場さよなら特別公演 [芸能]
オペラも狂言歌舞伎も、見たからどうというものではないが、支離滅裂な筋書きは、イタリアオペラも同じようなもの。女庭訓とは、江戸時代の女性の教訓書もようなもので、命をかけて、愛する人や家を救うという、犠牲の精神は、ヴァーグナーの「救済l」とどこか似ているかもしれない。
蘇我入鹿に恨みを持つ人々が登場し、最後藤原鎌足の子孫が懲罰するのだが、別に時代考証もなく、漠然と宮中を想像しつつも、基本歌舞伎は江戸のお話しに見える。
全体を通して、浄瑠璃、三味線が素晴らしく、浄瑠璃の声が舞台上の配役の感情のこもった声を補い、盛り上げる。声色まで似せられのだ。三味線も弾きながら効果音のような声を発する。人形浄瑠璃ではどうなっているのだろう。白熱した演奏だった。
昔習った、日本舞踊の手や形が繰り返し出て来て懐かしく思われた。この出し物は踊りが多いように感じる。手踊りの意味するところは、女性の細やかな感情表現だが、今回は舞台を近くから見ることができ、踊る姿に特に感動した。
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スペース・ゼロ新春寄席Vol.31 ~動物・ほっこり・落語・たっぷり~ [芸能]
人気の喬太郎師始め、協会・芸協・立川流横断の若手・中堅の出演で、当然大入りかと思ったが、そういう訳でもなかった。ただ、正月寄席の顔見世興行とは違い、ひとり2~30分の持ち時間があり、ネタ出しで予習していたこともあり、楽しめた。
ベテランの皆さんもちろん持ち味を生かして個性的だが、前座のはち水鯉(8ミリと読む)さん、舌足らずと言うか、若干滑舌が悪いのが味で却っておかしい。オタク(古いか?)風の見た目とともに今後注目か?コマの三増師匠はテンション上がり過ぎ。
喬太郎師の「お若伊之助」は圓朝作と言うが、人情噺なのか怪談なのか何か奇妙な噺で、後味が少し悪い。「親の因果が子に報い」で続きがあるらしい。(B)
開口一番 瀧川 はち水鯉 「寄り合い酒」
落 語 三遊亭 わん丈 「動物園」
落 語 笑福亭 羽光 「46億の妄想」
落 語 立川 談笑 「猫の女郎」
~仲 入 り~ (15分)
曲 独 楽 三増 紋之助
落 語 柳家 喬太郎 「お若伊之助」
鈴本演芸場 正月初席 第1部 番組詳細 [芸能]
はねてまだ午後1時、天気も良く不忍の池から湯島に出て天神様に初詣に向かうが、地下鉄湯島駅から男坂へは通行止めで、ぐるっと正面参道まで廻ることになる。警備のお巡りさん総出で、元日からご苦労様だ。翌2日からは駅伝警備もあるだろうから大変だ。境内には、20名程度に分けて順繰りにはいる。
湯島から更に神田明神に向かう。こちらは敷地も広いし、裏参道の階段を登って普通に境内に入れるが、本殿にお参りするためには、正面の鳥居のところから並ばなければならない。結構な人出だ。
その後神田から地下鉄に乗って銀座へ。ライオンのビアホールは意外と空いていた。
新宿末広亭 [芸能]
今回、ベテランは定番の古典を手堅くまとめ、女流も3人3様でそれぞれ個性的。その中では新作派は伸び伸びやっていて楽しめた。
駒治師の都営vs東京メトロ地下鉄対決、きく麿師のカッパの手の出汁の話は、馬鹿バカしくて大笑いだ。もちろんトリの彦いち師の「青畳の女」、協会から高座の座布団を使うのを禁止されたそうで、自宅から持ってきた?座布団で大熱演!
それと男女組の「おしどり」が気になった。これまで知らなかったが、アコーディオンと紙切りならぬ針金切りで作った作品をお客さんに渡すパターン、それとテルミンを高座に持ち出してパントマイム含みで操る。時間が無いのに詰め込み過ぎで少し消化不良気味だが、なかなか面白く期待できるのでは?
昼の部トリの扇辰師は代演(扇好師←左竜師)、翌28日の楽日も通りすがりに見たら代演だったようで、どうしたのだろう。(B)
新宿地下道にて
蝶花楼桃花 真打昇進披露興行-池袋演芸場 [芸能]
70人くらい並んだ開場30分前の正午になって列が動いたので、早めに入れてくれるのかと思ったら、地下にある入り口まで取り合えず先頭が進んだだけで、薄暗い階段の途中で更に30分待つ羽目になった。
やっと入場して席を確保、前座が始まった12時45分頃になっても、まだ立ち見客の入場が続いている。何せ客席入り口が1つしか無いから大変だ。パイプ椅子の補助席15と立ち見が30人として、130人以上は入った本当の大入り、楽日だったこともあるが、ネタにもなっている通常の入りを考えると前代未聞では?超密な上、何かあったら避難もできない。ついには立ち見の客にも「お膝送り」のお願いアナウンスが出てしまった。
肝心の真打昇進披露口上は生では初めて見たが、師匠方のお話がそれぞれ個性的で興味深かった。型通りのことを仰る人は誰も無く、自分の経験を織り交ぜながら新真打の将来を見守り、後押しするような話だ。小朝師は弟子の人知れぬ苦労を、小さん師は意外と毒舌、玉の輔師の司会は妹弟子に対する思いやりに満ちていた。市馬会長は、ほかの新真打含め皆勤賞だろうからご苦労様だ。しかも必ず一席やるだろうし、歌入りで。
トリで春風亭ぴっかり☆改め蝶花楼桃花師匠は、今回一連の興行初日にネタ下ろししたという「屑のよりこ」(と言っていたと思う)を披露。途中捨ててあった(想定の)三味線を手に、弾き語りで民謡や歌舞伎の人形ぶりまで熱演して、勉強の成果を見せ大いに受けた。「アニメ声」なので、ご隠居や大家さんよりこういうネタの若旦那の方が合っている。
その他本日引き立て役に回った馬るこ師、一之輔師、扇遊師、小満ん師、ベテラン揃いで手堅い高座だったが、口上後の後半はさすがに時間が押して、端折った形となった。
終演後、池袋名物「ガチ中華」に行ってみた。(B)
納涼名選会 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 権太楼・さん喬一門 特選集 [芸能]
それより代演が喬太郎ということで、7月の出演時もあっという間に売り切れていたので、ネット売り出し時間にスタンバイしたが、案外余裕で買えて拍子抜け。
さて落語では、皆さんお馴染みの演目でそれぞれ個性的だったが、先日大阪に行って馴染んだせいか、
中入り前の霧の新治師匠、初見だがいかにも上方で面白かった。くすぐりが東京と何か違っていて新鮮。
色物では、江戸家子猫はいい味出していた。林家あずみは知らなかったが美人ですね。紙切りの正楽師匠は動きは少なくなってきたが、もはや名人芸だ。
トリの喬太郎師は「お札はがし」、マクラ無しで8:50きっかりまで存分に聞かせた。さすがだった。(B)
京都南座 玉三郎特別公演2021夏 [芸能]
以下はHPのコピー。
一、口上(こうじょう)
2年ぶりとなる南座での公演にあたり、玉三郎よりご来場の皆様にご挨拶申し上げます。これまでの舞台で実際に使用した、豪華絢爛な打掛の数々も披露いたします。
二、雪(ゆき)
芸妓:坂東玉三郎、三絃・唄:富山清琴、筝:富山清仁
江戸中期の天明期につくられたとされる地唄の曲で、大坂・南地の実在の芸妓をモデルにした哀婉な女心をうたっています。今は俗世を離れて仏門に入った芸妓が、雪の夜に一人淋しく恋人を待ちわびた過去の思い出を回想します。
三、鐘ヶ岬(かねがみさき)
清姫:坂東玉三郎、三絃・唄:富山清琴、筝:富山清仁
長唄『京鹿子娘道成寺』を江戸で初演した初世中村富十郎が、その後上方唄を用いて再演したときの曲が伝わったとされる地唄です。清姫が恋する安珍を釣鐘ごと焼き殺したという「安珍清姫伝説」の後日談の形をとり、美しい桜の下で若く、高貴な女が舞い踊ります。
通の方々が自身のHP等で詳しく舞台の説明をされているので、私は素人の印象のみメモしておく。
4枚の打掛は玉三郎が身に着けて、舞台上で美しい姿を披露してくれる。どれも素晴らしい。
雪、鐘ケ岬は地唄。地唄とは江戸時代上方の三味線音楽であり、劇場ではなく、室内楽のように、狭い空間のお座敷や家庭などで歌われ舞われた。自分は武原はんの映像で予習したが、鐘ヶ岬は歌も踊りの手もうっすら記憶にあり、自分が習ったかどうかは分からないが、日本舞踊のお稽古で、誰かが習うのを繰り返し見ていたのではないかという気がする。私が昔習ったのは坂東流だった。玉三郎は14歳から鐘ケ岬を踊っているという。
武原はんの舞は年代により変化し、晩年の、動きを止めない踊りはとても美しく優雅で、踊り手の気配を感じさせない。
雪は白い衣装で傘を持って踊る。口上では、武原はんの舞とは違い地唄を歌舞伎役者が舞うという前提で見てほしいというような話だったと思う。確かに武原はんの雪は、動く絵画のように、どの一瞬を切り取っても美しい。玉三郎の踊りにイメージを重ね合わせて観て、やはり美しかった。
天満天神繁昌亭 [芸能]
東西落語ユニットWEというのは、申し訳ないが全然知らなかったが、新作落語のSWAとか、落語教育委員会みたいな集まりだろうか?
自宅が大宮方面で、寄席に行くのは専ら鈴本なので芸協の噺家は殆んど見たことが無いが、桂宮治師匠は最近何人抜きかの真打昇進とかで結構話題になったことは知っていた。ネタは青菜だが、かなり破天荒で豪快。最期押入れに閉じ込められていたカカアが出てきて、暑さで息絶え絶えに「義経」まで言ってしまってそのまま悶絶、師匠の口調が突然神田伯山に変わり、声を潜めて怪談調でこの続きは…とやるのは受けた。
代演の桂福丸師匠は京大卒とのこと、大変品の良い噺ぶりで好印象。トリの桂そうば師匠は親子の酒飲みの話でオチは東京と同じの「親子酒」なのだが、途中うどん屋に延々絡むところがあって、時蕎麦(うどん)のようでもある(攻守逆だが)。こちらの酔っ払い振りも良い。帰ってWikiを見ると関西ではこういう演出だそうだ。
18時40分から21時過ぎまでたっぷり聞けて満足した。(B)
大阪の寄席で面白かったのは、結構若い人(大学生?高校生?)が来ていて、何でもないギャグや楽屋落ちにもいちいち大爆笑なこと、本当に周りの客に飴を配っているおばちゃんがいること。(お盆まで持参)
国立演芸場1月中席 [芸能]
17時45分くらいに到着、入口でチケットを買うと指定席で、その場で画面から席を選べるようになっている。なぜか1列目のほぼ中央の席が空いており購入、入ると既に前座がやっていた。
正月なのに少しお寒い入り、1/3くらいか。最近はあまり聞かない噺家のボヤキも出た。ここは上野・浅草や新宿のような盛り場でないので、フラッと入る人がいなくてやむを得ないかもしれない。
それとこれは正月だからなのか色物が多い感じ。漫才ではなくコント風のものや、クラウンのパントマイム、太神楽の現代版?(洋装でやっている)もあって、私はあまり見たことが無かった。(普通なのか?)
落語は3席、大分酒が入っており睡魔と闘う。定番替わり目、時そばのあと、トリの寿輔師のマクラまで何とか持ったが、その後爆睡して気付いたら9時お開きとなった。一番前なのに申し訳ない。隣席のご夫人はかなり気合が入った拍手していた。(B)
落語 古今亭 今いち
曲芸 ボンボンブラザース
落語 古今亭 今輔
奇術 瞳 ナナ
落語 柳家 蝠丸
ー仲入りー
クラウン びり&ブッチィ―
落語 三遊亭 圓馬
コント チャーリーカンパニー
落語 古今亭 寿輔
2015年 新作落語 お正月寄席 プーク人形劇場 [芸能]
新作落語のテーマを選ぶには、人間や世相の観察眼と独自の演出センスが必要なのだろう。衣装もセットもなく、漫才のようにストレートでない分、人間描写を通して、お客さんが人情を好きに解釈できるところは、演劇に近いかもしれない。
この日のテーマは、誰もが知っていること、個人の特異な体験、社会の中の新情報、落語業績ネタ。何故かヤーさんネタが被った。(G)
出演者
前座(三遊亭わん丈)、古今亭 駒次、桂枝太郎、林家 彦いち、柳家小ゑん、三遊亭白鳥、三遊亭円丈
浅草から上野へ [芸能]
天気も回復しスカイツリー効果もあって、地下鉄浅草駅からもう大変な人出で仲見世はまともに歩けない状況、裏道を伝って台東区生涯学習センターにたどり着く。1階には池波正太郎図書館もあり、なかなか立派な建物でびっくり。新しい施設のようでホールの音響も良く、演奏含めてなかなかだと思った。
終演後河童橋商店街を冷やかしながら、徒歩で上野へ向かう。鈴本でGW権太楼噺である。ここも超満員で大変結構なことだ。
本日圧巻だったのは、菊之丞師代演の喬太郎師、噂の極道版(?)つる。これはスゴい。アウトレイジ真っ青の極端にデフォルメされた親分子分だが、それでもどこかに本当にいそうな現実感。枕で言っていた終電後のターミナル駅のカップル描写もそうだが、すごい人間観察力だ。
たわいのない前座噺をそのままやったって、現代人には受けないでしょ、というお話は全くごもっとも!現代のオペラ演出にも通じるものだ。噺家は脚本・演出・俳優を兼ねているので、喬太郎師にはオペラ演出でも是非やって欲しい。「愛の妙薬」などどうか?それにしてもここまでやられてしまうと次の演者は大変で、同情してしまう。
お目当ての権太楼師、十八番の代書屋を相変わらずの大熱演で沸かせたが、やはり多少声の張りがなくなり、おとなしくなったように感じる。時間も30分弱と若干短いような・・いつまでも元気で頑張って欲しいところだ。(B)
新作落語お正月大会 初笑いは新作落語で-プーク人形劇場 [芸能]
どんなものかと思ったが、テレビで流れる今風の漫才よりはるかに面白かった。寄席と違うと一番感じたところは、枕から話に入ると噺家の雰囲気が一変することだ。伝統芸能では、高座に上がった瞬間からそれなりの雰囲気をかもし出すが、ここでは枕までは普通の人で、突然話に入ると芸人になるという印象を持った。出囃子はジャズ、話題も色々だが、私が一番気に入ったのは柳家小ゑん師の昭和を懐かしむ話。全くありえないナンセンスな笑いより、まことしやかで、哀愁を伴う笑いの方に引き込まれた。噺家のタイプもいろいろあるが、この人は本当に涙を流しているような、舞台演技を見せてくれた。古典落語も同じだが、本当にありそうな話のようで、聞いていて、眼前に場面が浮かんでくるような感覚が私は好きみたいだ。大笑の涙と悲哀の涙と両方出てくるなんて、落語も面白い。(G)
鈴本夏まつり「吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集」 [芸能]
アメ横は相変わらすの賑わい、鈴本前の中央通りはやっと工事が終わって、歩道が拡幅され、地下道が御徒町駅から上野駅までつながっていた。
恒例「鈴本夏まつり」、最初は空席もあったが、仲入り後両御大登場で立ち見も出た。お目当てのさん喬師は、ネタ出し「明烏」はあまり得意ではなく、年に1度くらいしかやらないと、マクラで訥々と語っていたが、さすがの貫禄で聞かせた。権太楼師は時間が押したかマクラ無しでいきなり噺に突入、暑さの中大熱演。定評ある「不動坊」で今年も期待どおりの大爆笑編だった。(B)
池袋演芸場-二ツ目勉強会 [芸能]
全てネタ出しで、初花師「出来心」は一番時間を取っていたが、緊張気味か滑舌が少し・・早口過ぎて聞き取りずらい。小駒師「夢の酒」、女房やお内儀が何とも色っぽくて良い。風車師「小間物屋政談」、元々何か割り切れない話だが、大家が相当の粗忽者ということで、うまくまとまっていたと思う。一之輔師「代書屋」、元気良い爆笑編、真打の貫禄でした。時松師「ねずみ」、枕からとても真面目に演じていたが、もう少し個性が欲しい・・というところだろうか。
終演後地上に出ると、池袋もいつもと変わらぬ賑わいで、今年もはや前半が終わってしまった・・。(B)
池袋演芸場-12月下席(昼の部) [芸能]
鈴本演芸場-吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集 [芸能]
前座はなく、初っ端から市馬師登場で驚く。浅草の住吉踊りに時間を取られて、妙にせせこましい詰め込みと違って、鈴本はたっぷり聞かせる。喬太郎師がやはり抜群の勢い、自分の前に演ったネタまですぐ取り入れ、笑わせてくれる。
権太楼師の蛙茶番も爆笑編だが、夏休みで子供の客も多く、やりにくそうではある。しかし何といっても今日はさん喬師の「らくだ」で、これを期待に来た人が殆どだろうが、前に座っていた会社員風二人連れが、トリを前にして帰っていったのは何故だろうか?
「らくだ」は昼間の歌舞伎座のようにやってしまえば、馬鹿げたお笑いなのだが、実際なかなか怖い話なのだ。久六が酔って本性を表してくるところなど、人間の業というか恐ろしさが出ている。さすがさん喬師だ。
最後は駆け足ながら、「冷や1杯くれ」まで演じて大満足だった。(B)
浅草散策 [芸能]
落語は林家さん喬が断トツに良かった。その場の空気を変える話しっぷりはさすがだ。
雷門に来ているのがほとんど外国人なのには驚いた。タイ人と思われるツアー客もいて、そうだ浅草はお寺だったと気づかされた。お隣にある重要文化財の浅草神社が、小さいながら三社祭の神社だったことも知った。(G)
上野公園の桜と鈴本演芸場 [芸能]
人出は多分ウィーンの100倍だが、肝心の桜は殆ど咲いていない。僅かに公園入口の2本がほぼ満開ぐらいだ。(これは早咲き種のようで、鈴本のマクラでもよく話題になる)
それでも、既に宴会モードに入っているグループも多く、マスコミ取材まで来て、更にそれを取り囲む野次馬で既に凄い騒ぎだ。日本だけの風景だろう。
その後鈴本へ行く。日曜夜なので、半分の入り。扇橋師匠は「つる」、前座話だが、さすがに味があるね~。玉の輔師は「宗論」、ぶっ飛んだ爆笑編、元気良し。
しかし何と言ってもトリの喜多八師匠の「猫の災難」、例によって虚弱体質自慢?のマクラだが、迫真の酔っ払い描写はいつ見ても凄過ぎ!。はっきり言って、身に覚えのある人は笑えない・・(私も)(B)
↓東京文化会館前、何ですか?これは
↓公園内はせいぜいこの程度
↓テレビ局の取材?
↓公園入口の桜
第6回渋谷東横落語会 [芸能]
定席の寄席はバラエティに富んで楽しいが、ひとり15分の持ち時間でどうもせわしないということで、今回思い立ってローソンの機械でチケットを買った。
場所は渋谷のセルリアンタワー地下深くの能楽堂、入り口までの動線が長く、雰囲気が良い。
前座「子ほめ」のあと、喜多八師匠が例によってけだる~く登場するとそれだけで場内が沸く。こういう恋愛ものは苦手だとぼやきながらの「宮戸川」で、いい味出していた。
続く圓丈師匠は我々世代では新作もの落語家イメージだが、今日は「居残り佐平次」、有名な話だが枕でしっかり背景を説明してくれ、さすがにサービス精神旺盛である。
トリは御大圓歌師、ネタは「坊主の遊び」、坊主頭の気のいいご隠居の風情がぴったりだ。郭噺が重なってやりにくいなんて言っていたが、これは冗談だろう。
それにしても能舞台で落語をやるとは、なかなか面白い。今回チケットを買ったのが寸前だったため、脇正面の一番端の席となって、噺家を真横から見ることとなったが、落語は人物を演じ分けるとき目や顔の角度を変え、要はいつも真正面を向いて喋っているわけではないので、かえって新鮮だった。中正面の更に真ん中の席は柱(目付柱というそうだ)で遮られるので販売していないようで、誰も座っていなかった。(オペラなら全く舞台の見えない席でも格安で売るが・・)
喜多八師匠は柱に向かって挨拶しているようだ、と言っていて笑ってしまった。(B)
鈴本演芸場 [芸能]
暑い中寄席に行った。鈴本演芸場は、子どもの頃、日曜午後のテレビ中継があったように記憶している。落語ばかりでなく、色物として曲芸、手品、漫才も入っている。昼12時半に始まり、初めは大笑いしていたが、枕がかぶったりしてくると、座っているのが苦痛になってくる。ちょうどそんな時、エコノミー症候群の話が出て、3時の休憩が待ち遠しい感じだった。
ダブった枕というのは、ダンボールの中に肉まんが並んでいるのかと思ったとか、外は猛暑で、世の中は物騒、寄席が一番安全というPRだった。普通持ち時間は15分だが、トリ、五明樓玉の輔は4時から30分、ルックス・声ともが良いが、新作落語の苦労は想像できるにせよ、ちょっと長さを感じた。(G)
「香道」体験 [芸能]
香道を習っている友人に、一度お稽古に連れて行ってもらった。初めて見る世界だ。香道については御家流のHPを一応読んではみたもののよく分からなかったが、百聞は一見にしかず、今は優雅な競技だなと感心する。絶対音感のような、絶対嗅覚みたいなものが無い限り、七種の香木の香りを覚えることが、前提になる。その相違を言い当てるのだ。季節のテーマ、今回は納涼香と荷葉香(はすの葉)だったが、これに和歌や季語のようなものが関わって来てイメージが膨らむ。
香木がものすごく高価で、良いもの求めるのは難しいそうだ。香を聞くときは鼻の近くで左右片方ずつ深く吸い込むのだが、片方でしか匂いはわからないと聞き驚いた。人により、その日によっても違うそうだが、確かに私も片方は、頭のてっぺんまで突き抜けるように香が通るが、もう片方は日常の嗅覚程度だった。深呼吸は体に良い言われるが、恐らくは薬効もある香木の香を一生懸命吸うことは健康にもよい素晴らしい楽しみだと思う。複雑で優美なキャラの香りに魅せられてしまった。(G)
シアターアプル-桂三枝独演会 [芸能]
日曜の午後に歌舞伎町へ行って来た。ここはコマ劇場の地下だが、「劇場」とは言え元映画館のような感じで、天井が低く薄暗い雰囲気。飲食物場内持込可というところも映画館ぽい。超満員で、補助席も出ていた。和服姿の人も多かった。
独演会と言っても全部ひとりでやるわけではなく、弟子2人が1話ずつ、師匠が3話で全部で2時間強の高座。お囃子でなく、ジャズやラテンのBGMで登場する。
教育問題、リストラ、高齢化など世相を巧みに取り入れた創作物で、やはり三枝師匠が圧倒的である。特に最後の出し物「カラオケ葬?」(題目忘れ)が、エコーを効かせたマイクを小道具に使って歌いまくる熱演。涙が出るほど笑わせてもらった。
BOSEのスピーカーに、どんな伴奏も木魚を叩ける坊主のところは、意味が分からないお客さんも多かったようだが..。(B)