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BDLO2023 本番当日 [チェロ]

 前の晩良く寝たので、ドイツに来て初めて頭がスッキリした感じだ。午前中少しホールで確認練習し、日本人は大型タクシーを用意してもらい会場へ移動した。ドイツ人は、自分の車か、仲間同士乗り合いで移動した。
 本番会場はWürzburg 音大の大ホールで、前に演奏した教会の隣だった。舞台がとても狭く、ティンパニを地下から舞台にせりあげたり、Vcは後方の2Pulは正面木管前のひな壇に上がり、譜面台は譜面台は下に置くので、譜面と距離ができ、色々初めのことがあり、拡大した譜面が役だった。右隣はCBトップの先生で、狭くないか、大丈夫かと何度も聞いてくれたが、まさかのC線で、先生の高級楽器に3度コツンと当たってしまった。左側のVcの人の弓ともかすったりするので、途中から、弦ごとに向きを変えて弾いた。
演奏結果のコメントは聴いた人に任せ、ともかく終了した。
ホール入り口
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お隣にある前々回演奏した教会
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ホール内
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BDLO2023 練習3日目 [チェロ]

 3日目朝からハープが入り、3楽章の美しさが本物になった。午後Kaffeepause の後だったと思うが、指揮者がHaubt Probeはここまで。これからは、Gebeten (祈り)ですと言った。そして少し摘んで練習した後、初めて全曲通し、夕食前で練習はおしまい。夜の練習は無くなった。
 今回練習場の鍵が寸前まで開かないので、ホールで朝練が出来ない。それで、離れた建物の宿舎に初めて楽器を持ってきた。個人的には、部屋で何ヶ所か見直すつもりだったのに、電気をつけたまま20時に寝落ちし、同室の人が午前1時に宴会から部屋に戻って来て目が覚めた。それから楽譜をチェックし、ゆっくり睡眠をとることが出来た。
 ホールの椅子は大きく、座り心地よく、疲れにくく、国内のように、途中で立ち上がりたくなるような苦痛を感じることはなく、ありがたい。
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ランチ
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巨大な消毒マシン
踏むと筒が回転して、強烈なアルコールが吹きでる。もう誰も使わないけれど
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BDLO2023 食生活 [チェロ]

朝食 手作りジャムが色々
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Kaffeepause
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練習後ケラーで宴会ができる。庭で飲んでいる人も多い。ビールは全て2ユーロ、ワインもある。
お水は無料で食堂横のカフェテリアでもらえる。
コーヒー類は、0.5ユーロ
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消毒器
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BDLO 2023ブル8 チェロパート練習 [チェロ]

 2日目は朝からパート練習があった。参加者は、ドイツ人は6名、日本人4人、先生で計11人編成だ。毎回思うことだが、BDLOのパート練習はとても為になる。
 中心的注意点として、重くならず、流れるように前へ、遥か遠くを望む感じで弾き、無駄な力は入れず右は脱力、左手は、音程が濁るのでほぼnon vib で、音程と音楽のフレーズ作りを大切にせよと、まさに理想的なご指導だった。とはいえ、ドイツ人男性3人は、多分ブルックナーへの思いが深く、それぞれ個性があり、ちょっと長めに弾いたり、思いっきり弾いてしまったりするので、パートとして音が溶け合うことを目指すのだと先生が度々おっしゃった。一方日本人Vc4人は、現地で手配して頂いたレンタル楽器で弾き、勿論そういう覚悟で来ている訳だが、私自身は、2019年参加時に次はブル8と決まり、前のトレーナーの先生に、レンタル楽器でハイポジションは無理だからもう来ませんと言った覚えがある。それでも、いらっしゃいと言って貰い、コロナ禍で欲がでて、図々しくなったのか、今回、レンタル楽器に対する恐怖など全く感じず、やってきた。慣れということなのだろうか。
 今年は若いベルギー出身のトレーナーで専門はピリオド楽器や、室内楽方面のなので、より綺麗な音を追及しようとする繊細さを繰り返し教えて頂き、有難い経験だった。
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岡本侑也 CDリリース DVD付(IN CONCERT Recorded at Takasaki City Theatre 2021) [チェロ]

 岡本さんにとっては、2017年エリザベートコンクール実況版を除けば、初めてのCDが6/23発売になった。高崎芸術劇場の大友直人氏のプロジェクトで、リサイタルの無伴奏の一発ライヴ録音。Amazonでは現在、「一時的に在庫切れ」になっている。
 https://www.youtube.com/watch?v=3XP3j-OXibA
 聴いてみて驚くのは音楽的な迫力ではないだろうか。音一つ一つの躍動感は岡本さんだけのもの、音を聴いて真似できるものではない。収録された曲に興味がないと、このCDを買ってまで聴く気になれないかもしれないが、メディアに露出の少ない、岡本さんの音源は貴重だ。CDになったことで、初めて、多くの人に岡本さんの音楽を聴いてもらえる。バッハ5番一曲でも十分感動する。CDは本番の曲順なので、バッハは一曲目。
 さらに凄いのは曲ごとに奏法も音色の特徴も変化すること。ライヴ録音で、ここまで変化をつけられるというか、それぞれの音楽を深く表現できるすごさに驚く、恐るべきCDだと思う。
 DVDは演奏会の前後の日に撮影され、メーキング映像は、普段の様子が垣間見えたり、よそ行き顔の若者が現われたり、若い芸術家を紹介する温かい目線で作られていると思う。
 30歳になる前に、1回目のバッハ全曲の演奏会を開き、ライヴCDを出してもらいたいものだ。
 懐かしい2017年エリザベートコンクール  https://gruen.blog.ss-blog.jp/2017-06-03-1
【曲目】
[CD]
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011
ヒンデミット:無伴奏チェロ・ソナタ 作品25-3
デュティユー:ザッハーの名による3つのストロフ
カザルス:鳥の歌
黛 敏郎:無伴奏チェロのための「BUNRAKU」
クラム:無伴奏チェロ・ソナタ
[DVD]
黛 敏郎:無伴奏チェロのための「BUNRAKU」
メイキング映像
【演奏】
岡本侑也(チェロ)
【録音】
2021年2月19-22日、高崎芸術劇場にて収録
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ルートヴィヒ・クヴァント チェロ公開マスタークラス [チェロ]

 日曜の晩のせいか、思ったより聴講者は少なかった。曲は、菅井さんがドヴォルザーク、山本さんがドン・キホーテ。受講生は事前に自分の先生などの指導を受けていなかったのだろうか。ドヴォルザークの楽譜に海賊版があることは聞いていたが、この日使用された楽譜の中の間違いを何点か指摘された。また、ドンキホーテでは、音の読み間違えを指摘されるなど、意外な場面があった。
 どちらの曲もテクニック的に最高峰だが、音楽で語る何かが無いと、エチュードのようになってしまう。音色で語ること、想像力を持つことの大切さを手取り足とり丁寧に指導され、クヴァント先生のお人柄が伺える。
 ドイツではよく終演後、演奏者がロビーに出て来てくれて、お客さんと話してくれる。クヴァントさんは人当たりが良く、質問をかわすようなことはされず、同じ目線で答えて下さるという印象を私は持っている。この日も休憩時間に、舞台から降りてきて、聴衆の皆さんの個人的質問に答えてくれていた。
 実は最近ベルリンフィルのデジタルコンサート映像で気づき、結構驚いたのだが、クヴァント先生は右手の小指あたりを輪ゴムで弓に止めて演奏される。この日間近に見て、先に弓に輪ゴムを括り付けてあり、ゴムの間に指を通すことが分かった。想像するに、無駄な力が抜けて、体から弓へエネルギーが伝わり、右手のテクニックにすごい効能があるだろうと思う。でも、普通の人がそんなことをしたら、小指の訓練をしているか、指を故障して弓が支えられてないのではないかと思われてしまう。誰だって、腕と弓が一体だったらいいのになと思うものだ。クヴァント先生だから新しい奏法として認められるのだろう。会場にいらした方に聞いた話では、以前直接指導を受けた生徒さんの感想として、輪ゴムで止めると、指がかなり痛いらしい。

サントリーホール ブルーローズ
受講生 :菅井 瑛斗、山本 大
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BDLO4日目&コンサート [チェロ]

 最終日の朝はTutti、ホールではチェロの先生がまた美しく練習していて、管楽器が遠慮がちに座っていた。定刻が近づき、人が集まってきて、ホールの緊張がほぐれると、先生が「影の無い女」のソロを弾き始めた。私が即反応して近づいたので、先生も機嫌よく続けて弾いてくれた。3回聴いたのでしょと言われ、指揮はティーレマンですと言うと、知らなかったようで、それは凄いと。今までドレスデンでフリーで活動してきた先生は、どんなポジションを狙っているのだろう。相当上手だと思うのだが。ドレスデンフィルと日本に来たこともある。
 今年は練習会場と本番が同じ場所だったので、本番はとてもうまくいった。各パートの首席はプロなので、オケがまとまりやすい。個人的には、カーボン弓を持参したため、楽器との相性でppでのソフトな頭打ちの音色が最後までコントロールできず、申し訳なかった。金管も木管も、本番だけは素晴らしかった。去年も確か、管楽器が本番だけ凄いという印象だったのだが、なぜなのだろう。私にとっては、多分人生最後のチャイ4であり、一応悔いなくメロディを弾き納められてよかった。
 終演後のレセプションの時、思い切って指揮者に尋ねてみた。単なる興味本位なのですが、と前置きし、1月来日時、札幌でマエストロ、ハーディングがころんで骨折したとき、その場にいたのかどうかと。するとja,、jaと、目を輝かせて、自分が全曲リハーサルをしたんだと誇らしげに語った。本人が、あまりに得意顔だったので、大変でしたねと言っていいのか少し迷い、無難に日本人的にお礼を言うにとどめた。しかし、相手の期待した反応は、やはり、労いの言葉だったと感じた。本当に正直な方だと思う。コンサートを聴きにきたのかと聞かれ、行っていないんですけれど、、、と答え、話題になっているのか?と聞かれ、代理をたてなかったのがすごいと話題になったと話した。後で分かったのだが、その場にいた女性は指揮者のお母さんで、この日の演奏をとてもほめてくれた。
 チェロの先生とサイドの若者が出発するとき、お礼を言うと、またもや、じゃ、また来年ね!と念を押された。3度目は無いですと否定したが、ここまで親しげに誘ってもらえると、本気でなくても嬉しいものだ。去年は、教師のお決まりの挨拶で、何か少しでも、役に立てたなら嬉しいという言葉だった。レセプションの途中で、多くのメンバーが出発した。
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BDLO3日目 [チェロ]

 三日の朝になると、突然この楽器でキチンと弾きたいという欲求が湧いてきて、同室のVnの人とホールで朝食前の朝練をした。ポジションの微妙な違いによる音程が気になり、やっと楽器との対話できるところまで慣れてきた。そんな時、突然ホールのドアが開き、チェロの先生が楽器を担いで立っていた。あまりにびっくりして、とっさに立ち上がり、おはようございます!と言ってしまった。勿論言い直したけれど、先生の練習場所を占拠してしまったのだ。
 今年先生は空き時間にいろいろなソロを弾いている。どこかのオケか歌劇場の試験を受けるらしい。昨日朝も散歩していたらお城の中から素晴らしいHaydn D-Durが聞こえた。休憩時間もホールでドボコンやハイドンを弾きまくるので、オケメンバーは練習したくても音が出せず、座って静かに聞いている。昨日パート練習部屋へ早めにいったら、すでに先生が練習中だった。
 午前のパート練後のTuttiの時、先生と楽器ケースが隣同士だったので、声を掛けられ、どこで楽器を借りたのかと聞かれた。去年も楽器を借りていることには驚かれた。ここで用意してもらったと言うと、じゃあ来年も来いよ!と親しげに言うので、来年はブルックナー8番で3楽章のハイポジションで美しいメロディがあり、借りた楽器で弾くには難しすぎると言うと、先生は8番は弾いたことがないけど、大丈夫だよ、来いよ!と言われ、じっと目を見られた。ドイツ人は2回目だと急に親しげになるので、トップサイドの若者も去年とは比べられないほどの笑顔を見せてくれる。
 来年のBDLOの指揮者が初日から来ており、夜、お城の小さな古いチャペルで、30分間オルガンの説明と演奏があった。この方も英語とドイツ語を交互に話し、やはり日本人に理解してもらうために、英語を使った方が良いという考えたのかもしれない。

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BDLO2日目 [チェロ]

 朝9時からのパート練習(Stimmproben)は、お城内の部屋に分かれて行われ、普通は見学コースになっている綺麗な場所だった。パートによっては豪華な天井画のある部屋だったようだ。Tuttiをするコンサートホールとは地下道でつながっており、お城地下の食堂に直接降りようとすると、なかなかたどり着けない。
 チェロの講師は昨年と同じRaatz氏で、今年も綺麗な音で、周囲を聞くよう、リラックスした音での開放弦のロングトーン、チャイ4のF-dur3オクターブの音階から始まった。
 一楽章の難所も4楽章の難所もゆっくりから合わせ、テンポを上げていくと、合うようになるものだ。弾き方を合わせるところも、オケの常識に違うところはない。
 2楽章冒頭のメロディはできればD線で弾くよう言われた。参加前、私は構わずA線を使って弾いていたが、昨年知り合ったドイツ人の方が今年も参加され、メールでコンタクトをとっていた中で、D線で弾くのかと聞かれ、色々映像を調べたところ、オーケストラスタディにはスルDと書いてあるらしい。ちなみにベルリンフィルの映像では自由(どちらもあり)だった。念のため私もD線でさらって行ったが、ウィーンで10日間楽器にさわらず、現地で初めて借りる楽器で弾くリスクはやはり小さいとは言えなかった。
 午後のTutti2楽章の時、指揮者(チェリスト出身)に冒頭メロディの音が上がったところで音量が下がるのは逆であり、それくらいならA線で弾いたほうが良いと言われ、まるで自分が指摘を受けているような気がした。あっさり、もう諦きらめようとしたのだが、たまたまお茶の時間にRaatz氏(講師)といっしょになり、思わず、スルDで準備してきたが、10日間遊んできて、慣れない楽器でうまく弾けないとぼやくと、あと2日あるから大丈夫だと言われ、それもそうかなと気を取り直した。
 指揮者のチャイ4の説明がとても興味深い。ドイツ音楽ではないので、苦しんだ先に希望は無く、どこまで行っても鬱で、運命から逃れられないと。そして泣きそうな顔で指揮するので、素直にこちらも共感して、そのように弾きたくなるのだ。出だしの金管にも、希望は皆無なので、そんなに華々しくなく、暗めにと指示。すると確かに音色が暗くなる。
 純粋で、格好つけず、ストレートで、とても好ましい指揮者だ。出来なくてもイヤミは言わず、金管には、せいぜい「譜面合ってますか?」まで。Vn、Vlaには、早いパッセージで、「後ろのプルートが遅れる!」と爽やかに、何度も言った。
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BDLO初日 Alteglofsheim [チェロ]

 到着後、夕食前にホールに行ってみると赤いチェロケースが二台立っていた。世話役の女性に尋ねたが、日本人が借りる楽器ではないと。でも夕食後、マネージャーの方からからこれだと言われ、日本人二人それぞれケースを開けた。彼女のは落ち着いた黄色系、私の方は赤く光った新しそうなものだった。初練習は、夕食を取った後、18時から始まった。
 今年参加した理由は、開催地がAlteglofsheimというRegensburgの隣町であるという理由だけだった。Rregensburgを初めて訪ねてから何と16年が過ぎ、現地の家族との付き合いも続いており、この地で演奏できるということは私のドイツ旅の集大成として、避けて通れない好機だった。家族にとっても特別の体験であり、喜んで聞きにきてくれて、最終的には、家族の家へ泊って、翌日出発することになった。
 最初の夕食後、たまたま指揮者と食堂の出口で出会い、挨拶して、ウィーンで影の無い女を3回聴いてきたと言うと、とても驚かれ、昨日の公演かと、いきさつを知っていた。自分もウィーンから来たと言われ、リハーサルはドイツ語と英語とどちらが良いかと尋ねられた。Beck氏は英語でもかまわないという。私個人としてはドイツに来たからのだからドイツ語を希望すると答えたが、今後BDLOがもっと国際的になれば、英語でのワークショップもありえるかもしれない。
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コンサートホール
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タマーシュ・ヴァルガ - チェロ公開オーケストラ・スタディー [チェロ]

 日本チェロ協会恒例のウィーンフィル首席、ヴァルガ氏の公開レッスンがあった。今回は予定が合い、聴講できた。生徒さんは、見た感じ高校生だろうか。8人が自己紹介代わりに、運命2楽章冒頭を一人ずつ演奏よう言われた。
 とにかく強弱・表情記号は楽譜通り演奏するよにと何度も言われた。首席として、仲間に楽譜通りにとお願いをするのは、楽しいものではないと。運命の初めのメロディでは、和音の変わり目ごとに、フレーズを作る。周りと弾き方や音量を合わせるよう、もっと周りを聞くようにと。その集中力が本番で大事なことで、集中力があるから、少しの練習で本番がこなせるのだ。
 チャイコ4番の二楽章では、メロディは3回繰り返しながら発展していくという基本の話。運命はともかく、生徒さんたち、チャイコ4番の音楽をその気で聞いたこと、或いは弾いたことあるのかなとふと感じる時もあった。まだ若いから、オケは授業の一コマなのだろう。最後聴衆へのサービスで、夢のあとにをヴォルガ氏が1番を弾き、初見のアンサンブルを披露してくれた。ヴォルガ氏の音楽は本当に音がとぎれなくて美しい。
 舞台の奥に先生、客席に背をむけて、8人が弓なりに並ぶので、聴講は音を聴くだけでほとんど何も見えない。せっかくサントリーの小ホールを使うなら、広土間でやってくれたら、同じ平面からよく見えたのに残念だ。そうと知ってか、或いは曲のせいか、聴講に来た人は前二列ほどで、とても少なかった。
課題
① L. V. Beethoven 交響曲第5番 第2楽章より
② P. I. Tchaikovsky 交響曲第4番 第2楽章より
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フレッシュ名曲コンサート 西東京の音楽家 [チェロ]

 日本フィルと岡本侑也さんが、保谷こもれびホールで、ドヴォルザークのチェロコンチェルトを共演した。客席はほぼ満席、指揮者の海老原さんも優しそうで、良い雰囲気のコンサートだった。
 爽やかで、伸びやかで、軽々と天空への階段をかけ上がるような、流れる軽快感、全ての音がクリアに聴こえ、音楽はいつものように心から歌い、高校を卒業した"喜びの春"の気持ちのお裾分けを頂いた気分。初めてのドボコンとは思えない。いつものように、苦労のあとは、全く感じさせない。高校生活の集大成のドボコンの後、来週は札幌で山崎先生との共演、それで本当の卒業なのかもしれない。
 ドボコンを聴くと、そのチェリストの思い入れ、個性や技量、人柄までも伝わってくるようにいつも感じる。濁りの一切ない音程とハーモニーは、コンチェルトの最高峰の魅力を雄弁に語ってくれた。私の知る限りで連想するのは、やはり巨匠ペレーニだが、広い世界には、若くて魅力に溢れたチェリストが、どれくらいいるのだろう。今日聴いたドボコンは、忘れないだう。(G)
http://www.rokkatei.co.jp/cultual/index2.html 3月27日(水)19時 於:札幌 真駒内六花亭ホール
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タマーシュ・ヴァルガ 無伴奏チェロ・リサイタル 紀尾井ホール [チェロ]

 タマーシュ・ヴァルガ(チェロ)のバッハ無伴奏2番、4番とコダーイ無伴奏ソナタ を聴いた。ヴァルガはウィーンフィルの首席奏者だが、今年の夏、ウィーンフィルと離れ、ザルツブルグ音楽祭でなく、バイロイト音楽祭のオケピットで首席を弾いていた。市内のマチネコンサートでは、開演前、お早うございますと日本語で挨拶してくれたり、祝祭劇場裏で見かけ、軽く会釈したら、あちらから近づいてきてくれるほど、何と構えない人なんだと驚いた。それ以前の接点は、若くしてウィーンフィル主席になった直後の、東京での公開レッスンを聴講しただけで、今回の紀尾井ホールが、私にとっては初めての真剣勝負のリサイタルだった。
 時代とともに、バッハ無伴奏の弾き方は変化してきて、2000年か少し前ごろから、原典版を採用するのが一般的になり、ボウイングもオリジナルに近くなり、バッハは自由に弾いてよいというお墨付きは過去のものとなったようだ。
 初めて聴くヴァルガのバッハは、今の自分にとって、まさに聞きたいと欲している無伴奏に近く、嬉しかった。柔らかい音色と自由自在に変わる響きは、どこか天井が高い欧州の教会で聞いているようで、空中に浮遊する和音は、ピッタリはまり、色の変化がドキッとすほど美しい。座席は一階バルコニー左、舞台上手上方にあたかもステンドグラスがあり、窓を通して入ってくる光が様々な色の変化をもたらすような色彩感を感じ、とても素晴らしいと思った。
 一つの組曲で、音楽が途切れることがなく、全曲終るまで弓を下げない。フレーズもどこまでも続き、区切りというほどの間は取らない。このあたりは、ペレーニの教えに共感しているのだろう。これぞ右手左手ともに最高のテクニックのなせる業だが、山や谷があっても、どこまでも道が途切れない、ずっと続く安心感を味わうのは、久しぶりの気がする。自己都合による、間も呼吸もなく、表現されるべき音楽がまずあり、それに導かれる演奏という感じがした。
 コダーイの一楽章は、以前はシュタルケルの、松ヤニが弦とこすれるような激しい演奏が主流かと思っていたが、同じハンガリー人のヴォルガは、ペレーニともまた違い、全般にわたって潤いのある音で、起伏や衝撃よりストーリーを語るような連続性を感じた。弓の毛を切っても、音は汚くならず、垂れ下がる毛を左手で切る間も、音楽や楽章を途切れさせず、はっきりと、音楽が主体、奏者の都合は微塵もなかった。
 シュタルケルもペレーニも、公開セミナーの際、コダーイは、誰よりも自分が知っているという自負を強調し、この場だけで、伝えたい本質をとても言い尽くせないという場面を見たことがある。コダーイへの誇りが継承されつつ、直接作曲者を知らない時代が始まったんだのだと気づく。
 あえて、比較する気はないが、仙人か修行僧のような感じのペレーニに対し、ヴァルガはちょっとは事故も起こすし、正直でひたむきな人柄が伝わってくる。テクニックの苦労を聴衆に気づかせない、作品主体の音楽を体現する二人のチェリスト、どちらも好きだ。
 終演後サイン会があり、帰るお客さんとほぼ同時に、にこにこと、ロビーに現れたのには驚いた。自分の音楽を聴きにきてくれたファンを大事にする、飾らない人なんだう。(G)

ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第4番 変ホ長調 BWV1010
ゾルタン・コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8
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山崎伸子 チェロ・リサイタル with 清水和音 [チェロ]

 山崎伸子さんの、50代の歴史を飾る10回シリーズ第6回目。毎年燃えさかる炎ような、ほとばしる情熱を感じる。共演するピアニストによって、大先輩をいたわったり、若者のエネルギーと真っ向から戦ったり、チェロに全身全霊をささげる強い女性に、感銘をうける。
 今年のピアニストは清水和音さん。同世代の同窓仲間でもあり、息がぴったり合っているような、自然な感じがし、いつもより、おしとやかで、力の抜けた演奏会だったように思う。清水さんの印象は、優しくロマンチックで、チェロの音を包み込み、邪魔せず溶け合い、聴いていて、暖かい気持ちになれた。後でプログラムを見たら、今年山崎さんは、「東燃ゼネラル音楽賞」なるものを、受賞されたとのこと。勝手な想像するに、この十年計画の手応えを得て、鎧を一枚脱ぎすてた清々しさのようなものを感じた。
〈プログラム〉ベートーヴェン:モーツァルト「魔笛」の「娘か女房か」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 op.66
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
ウェーベルン:2つの小品、チェロ・ソナタ、3つの小さな作品 op.11
R.シュトラウス:チェロ・ソナタ ヘ長調 op.6

 2013都民芸術フェスティバルで、2013年3月5日(火)19:00 於 東京文化会館小ホール、清水和音さんは、チェロ岡本侑也さんと共演する。岡本さんは今高校3年生。楽しみだ。
http://182.93.117.36/concert/?m=detail&l=6&d=43
<プログラム> ストラヴィンスキー:イタリア組曲
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番 イ長調 作品69
デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフェ
ショスタコーヴィチ:チェロソナタ ニ短調 作品40
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「フレッシュ名曲コンサート」爽やかな風に乗せて [チェロ]

 東京文化会館が都内の区市町村等との共催で、東京のプロオケに 若いソリストを迎え を、「 フレッシュ名曲コンサート」 を7月~3月 の間に23回開催する。 http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_b_5_12.html
 その一つ、9月22日、パルテノン多摩で、岸本萌乃加(Vn)さんがメンデルスゾーン、岡本侑也(Vc)さんがチャイコフスキーのロココを弾き、後半はブラ4というコンサートがあり、行ってみると客席が半分も埋まっていなかった。
 主催は、多摩市文化振興会と、東京文化会館、東京オーケストラ事業協同組合の協力ということで、東京文化会館に、チラシは置いてあったのかどうか、私は少なくとも、当日初めて、会場でチラシを見た。ソリストが、お客様を呼んでいる風でもなく、お手頃料金なのに、もったいない気がする。そもそもコンサートラッシュの東京で、自主公演と違い、地域で予算付きの催しは、チケット代を安くしても、気づかれないのかもしれない。私自身、二人しか集客出来なかった。でも、一方で、岡本さんにかぶり付きの席にアマオケ仲間を見つけ、八王子のカサドコンクールのことも知っていて、嬉しい出会いもあった。
 岡本さんのロココは、4月に名古屋で聴いた時とはまた変わっていて、とても軽やかで、テンポも早いようだった。さらに、優雅で、透明な雰囲気を醸し、今回も心のまま本番を楽しんでいるようで、客席に幸福感を届けてくれた。若い人は、どんどん成長し、目映いばかりだ。岸本さんは初めて聴いたが、とても清楚な感じで、コンサートの題名のとおり、「爽やかな」お二人だった。このシリーズで、岡本さんは3月いよいよドボコンを演奏する。

 2013年3月20日 (水) 祝日 15:00開演 保谷こもれびホール メインホール
 ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調
           交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』
 指揮:海老原光 管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

 パルテノン多摩に歴史ミュージアムがあり、戦時下の都内から多摩への学童疎開に関する企画展示を見た。70年前の写真はなるほど古いが、学童が描いた絵は明るくて、描きあがったばかりのように、鮮やかだった。一年の疎開の後も、地域の人達とのお付き合いが続いたそうで、いい話だと思う。何十年ぶりかで、疎開のことに接した気がする。(G)
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日本音楽コンクール-受賞者発表演奏会 [チェロ]

 銀座の王子ホールで、昨年行われた日本音楽コンクール各部門で優勝された方のお披露目のような演奏会があった。ホルン、チェロ、バイオリンの3名が出演、なぜか一人の演奏時間は15分~40分くらいと、楽器により差があった。
 チェロの岡本侑也さんは、シューベルトのアルペジオーネ・ソナタを演奏した。17歳という若さで、人生の喜怒哀楽全てに思いが及ぶような「歌」だった。音の跳躍が激しいこの曲は音をとるだけでも難しいと言われているが、技術的不安を何ら感じさせない流麗な音楽が心に染みる。演奏者本人が、音楽を愛し感動しているからこそ、私たち聴き手に幸福感を届けてくれるのだろう。いろんな演奏をもっと、もっと聴いてみたいと感じた。(G)
銀座ヤマハでやっていた東京ウィンナホルン協会ミニコンサート
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第2回「チェロの日」 チェリストの集い [チェロ]

 日本チェロ協会の催しがあり、二日目を聴講した。
 初めにルイス・クラレット先生のマスタークラスがあり、伊藤裕さんが、バッハ無伴奏組曲3番から、鈴木皓矢さんが、6番からレッスンを受けた。さすがのアドヴァイスで、弓の支え方、自分の音を聴くこと、体を楽にすることなど、どんどん音が変化していく優秀な生徒さんを見て、音楽を表現する心と体のバランスの難しさを改めて思い知らされた。クラレット先生はもう何年も日本でマスタークラスを開催されており、昨今学生さんのレヴェルがとても高くなっていて、日本の先生方にも感謝していると、コメントがあった。
 次はオーケストラスタディ。何をするのかと思ったら、今回はPizzの勉強。アマチュアがよく弾くオケの曲の中で、幾つかのパターンを、約70人のメンバーにオケプレーヤー幸田有哉先生が教えて下った。我々アマ奏者がPizzを真剣に習う機会はあまり無い。基本柔らかい音は親指で、発音を明確にしたいときは、中指ではじく。とはいえ、楽器の鳴りやすい場所、出したい音色を追究すべしということだ。
 
 70人のチェロ合奏の前に、正規にプログラムには無い3人の素晴らしいソロ演奏があった。昨年の日本音楽コンクール優勝者、岡本侑也さん:黛敏郎「文楽」、同じく全日本学生コンクール優勝者、上村文乃さん:「バッハ無伴奏組曲3番プレリュード」、そしてクラレット先生:P.カザルス弟「E.カザルス作曲の無伴奏組曲より」
 「文楽」の和の音色と和の音程が本当に素晴らしかった。浄瑠璃に詳しくないが、重い響きの太棹の三味線でバチの音を表現した指板に当たる弦の音が、琵琶の音にも似て激しく迫ってきた。歪んだpizzもarcoの音もチェロの演奏だと忘れるほど、異質な日本の音の中に引き込まれた。これほどの「文楽」はなかなか聴けないのではないだろうか。
 上村さんの魂のこもったバッハは、近くで聴いて、ほとばしる若いエネルギーを全身に浴びたような気がする。クラレット先生は、音楽の安らぎを与えて下さった。
http://oncon.mainichi-classic.jp/common/concert2011.shtml日本音楽コンクール 受賞者発表演奏会 
http://www.jti.co.jp/knowledge/arthall/performance/ensem/schedule/62/index.html若きチェリストたちの響演Ⅳ5/25 

 いよいよ、総勢80人のアンサンブル。最大8パートに分かれる。前と後にプロの先生方も加わった。コンマスは堤剛先生、お隣が岡本さん、2番頭はクラレット先生、お隣は幸田先生。とても楽しい演奏だった。堤先生の素晴らしい音が、重厚なアンサンブルを突き抜けるように、皆をリードしていたように思う。客席と演奏者がとても近くて一体感があり、皆いっしょに燃焼した。(G)

マスタークラス:ルイス・クラレット
オーケストラ・スタディー講師:幸田有哉
全体アンサンブル指揮:山本祐ノ介
曲目:カザルス|サルダーナ、C.ガルデル|首の差で、カッチーニ|アベ・マリア、サティ|ジュ・トゥ・ヴ
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ペレーニのチェロセミナー 札幌キタラ [チェロ]

  リスト音楽院のセミナーでペレーニが指導すると聞きに、札幌へ聴講に行った。
 初めて聴く、キタラ小ホールの特徴なのかもしれないが、コンサートの時のペレーニの音がとても柔らかいのに驚いた。トッパンホールとザルツブルクのモーツァルテウムでリサイタルを聴いたことがあるが、もっと硬質の音のイメージだった。でもキタラで聴く優しい音は、まるで体から直接出てきているか錯覚を起こすほど、とても自然だった。

 翌日から3日間のセミナーは小さなリハーサル室で行われたため、極近くで先生の弾く姿を見聴くことができた。先生はとてもにこやかで、決して生徒を傷つけない。ユーモアを交えてたくさん話され、何度も何度もお手本を弾いてみせて下さった。
 基本はテンポジュスト、基本のテンポをいつも持っていて、アテンポでは必ずその速さにもどるように言われた。また、どの作品についても原典版の楽譜を使うように、後世の人が書き加えたり、また自分が弾けないからと間をとったり、ゆっくりしたり、弓を返したり、不用意に音を強調したりしてはいけない、楽譜に記載されているスラー、フィンガリングを尊重するようにとのことだった。
 なるほど、ペレーニの演奏を聴いたことがある人は、淡々と冷静に全てインテンポで弾ける恐るべきテクニックを知っている。でも本当は、初めに「思い」ありきなのだ。
 ひとまとまりのフレーズで音楽を捉え、そこの意味づけをし、その表現のための道具(テクニック)を用意するのだと話して下さった。
 右手で弓の圧力をコントロールすると柔らかい音を出すことができ、左手は5本(4本ではない)の指を自在に使い、自然に音楽が流れて聞こえるよう工夫する。勿論そんなテクニックをにわかに身につけられるものではない。

 近くで聴くとペレーニ先生の音はとても柔らかく優しい。曲によって、音色が変わるのは、明確に弓の圧力をコントロールしているからだと見受けられる。作曲者の指示通り、一つのフレーズは一弓で弾き、一瞬のブレスで音楽をどんどん先へ進めていくことが最も重要だということを親身に指導して下さった。(G)
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チェロ・コングレス・イン・ジャパン 2011 オープニング・コンサート [チェロ]

 日本チェロ協会ならではの企画「マエストロから気鋭の若手まで6人のチェリストたちによる無伴奏チェロ組曲の競演」というというコピーの通り、6人の個性が光る緊張した空気の演奏会だったように思う。前の演奏の余韻を味わう間もなく、次々と演奏者が出てくる。マエストロの方々は前世紀から何十年も演奏家を続けておられる。果たして何回バッハ無伴奏の本番を経験されたことだろう。そんな先生方が育てた次世代の若い演奏家とって、日本のチェロ仲間が聴衆として自由に聞き比べることのできるこのステージは、珍しい機会ではないだうか。
 チェロに対する真摯な思いが聞き手に伝わってきて、一曲の向こう側に弾き手の人柄がやっぱりにじみ出てくるものだ。初めて聴いた人なのに、音楽を通して聴衆と会話するってありえると今日は感じた。
 
 鈴木先生がチェロという楽器と作品の原点を追究され現代のバッハ第一人者として、ピリオド楽器で一番の難曲「5番」を弾かれた意味はとても大きいと思う。先生のお話を聞いた人は口をそろえて、「目から鱗が・・」と言う。昔、バッハの奏法はある意味自由だと言われていた。今日では研究が進みバッハの音楽の常識も変化し、今やいろいろな規則性をコンピュータにインプットしたら作曲当時の音を再現できるかもしれない。それでも、やっぱり、これからも、若者が生涯をかけて弾き続け、コングレスのテーマのように後世にリレーされて行くのだろう。
 アマチュアでも努力すれば楽譜から大切なことを読み取ることができ、奏者各々の人間を通して何か語りかけてくるこの作品はやは、やはりチェロ弾きのバイブルだなあと、この四半世紀を振り返って、あらためて確信した。
J.S.バッハ作曲 無伴奏チェロ組曲
第1番 ト長調 BWV1007 :岩崎 洸(桐朋学園大学院大学教授)
第2番 ニ短調 BWV1008 :岡本侑也(ガスパール・カサド国際チェロコンクール奨励賞)
第3番 ハ長調 BWV1009 :倉田澄子(桐朋学園大学教授・日本チェロ協会評議委員)
第4番 変ホ長調 BWV1010:中木健二(ルトスワフスキ国際チェロコンクール第1位)
第5番 ハ短調 BWV1011 :鈴木秀美(バッハ・コレギウム・ジャパン/オーケストラ・リベラ・クラシカ/
東京藝術大学古楽科講師)
第6番 ニ長調 BWV1012 :加藤文枝(ビバホールチェロコンクール 第1位)


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ミュンヘン国際音楽コンクール チェロ部門本選(ARD Musikwettbewerb ) [チェロ]

 本選から一夜明け、スタバでネットにつなぎ結果を見た。一位がドイツ人のユリアン、二位が横坂さん、三位がトリスタンだった。
http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/teilnehmer-cello-2010-ID1277986369006.xml
 やはり、コンクールで優勝するのは華のある人なのだ。昨日3人の経歴を読んで、優勝したユリアンは以前Riviniusというこのコンクールで優勝した有名な先生についていたことを知った。既にドイツでは有名なのだろう。弾き方もかっこよく、実際目を閉じて聴くと音が変わるわけではないのに、視覚的パフォーマンスで音楽が変化するように感じるのが不思議だ。
 二位は横坂さん。演奏後、前列のドイツ人が話していたのが聞こえたのだが、確かに上手だが、音がざらついていて、音色はユリアンの方が美しいと批評していた。的を得ていると思う。この二人は視覚的にも聴衆にアピールできる演奏家だ。
 トリスタンは経歴を見ると、シュトゥットガルトのSWRでもエキストラで弾いており、室内楽ではソリストとして活躍しているらしい。この丹精で、美しい表現は室内楽の方があっているかもしれない。3楽章が始まり、A線の音程が若干下がってきて、どうするのかと思ったら、一瞬の休符の間にアジャスタを回した。普通ならオケのみの部分が来るまでそのまま弾き続けると思うのだが、こういう神経質なところは、コンクールに向かないのかもしれない。完璧を目指すが故のことだろうが、完全に私にとっては音楽が途切れたような、息を飲む瞬間だった。彼はこれからどんな道を進むのだろう。
 本選を聴いて、コンクールの相場みたいなものが何となく分かったような気がする。やはり大勢の聴衆に受け入れられ、売れる演奏家が求められているのかもしれない。次のチェロ部門は2014年、どんな人が登場するのだろう、楽しみだ。(G)
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聴衆賞の投票券
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ミュンヘンコンクール ARD Musikwettbewerb (チェロ部門)速報 [チェロ]

 チェロ部門本選をヘラクレスザールで見て、遅くなるので結果を見ずホテルに帰ってきた。3名ともドヴォコンを弾いた。
 地元ドイツ人のJulian Steckelさんが、やはり1番拍手とブラボーを受けていたが、私としてはフランス人Tristan君のペレーニを思わされるような思索的なチェロが好きだ。横坂さんも持ち味を生かした積極的な音楽で、大健闘だった。でも私個人としては、Tristanのチェロが一番好きだ。(G)
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ミュンヘン国際音楽コンクール チェロ部門セミファイナル(ARD Musikwettbewerb ) [チェロ]

 本選に残った3人は、昨年12月八王子のカサドコンクールで2位だったフランス人のTristan君、日本人の横坂源さん、初めて聴いたドイツ人のJulian Steckelさんだった。
 セミファイナルの課題曲のうち、このコンクールのために委嘱されたEsa-Pekka Salinen"knock breth shine”(無伴奏)をTristan君とSteckelさんだけが暗譜で弾いた。ほとんどの人が重厚なピッツで弾き始めた曲を、トリスタン君は流麗なテンポで最後まで、まったく異質に美しく弾き切った。カサドコンクールの時もとても繊細なチェロに感動したが、さらなる大舞台では、以前感じた神経質そうな面は一切見せず、音は小さいが、テクニックはダントツだと思う。
 横坂さんは、すごい人気で、何人もの聴衆がサインを求めに来ていた。彼は漢字でしっかりサインしており、私をピアニストと間違えた地元のおじさんからこれは正しいかと見せられた。
 コンチェルトはトリスタン君はハイドンDdur、他の二人はCdurを選んだ。伴奏はミュンヘン・カンマーオーケストラで、指揮者はいない。従って、コンマスとのコンタクトが大事になる。オケはさすがに素晴らしく、一生懸命ソリストに合わせ、本気で演奏してくれたと思う。
 コンチェルトでは横坂さんだけ雰囲気が違っていた。他の人は室内楽的に常にコンマスやオケと気持ちを共有しようと努めているように伺えたが、横坂さんの場合、殆どアイコンタクトなど無いのに、ぐいぐいオケを引っぱっていく。
 どんなオケでも俺について来い!というような、アグレッシヴな馬力が彼の魅力だと思う。朗々と完璧に弾き切って、オケからもブラボーがでた。
 ドイツ人のユリアン(ジュリアン?)さんはCdurの乗りと音色がとても魅力的だった。ちょっと音程は甘かったが、ソロ曲の暗譜が評価されたのではないだろうか。他の人の「はらはら編」はまた後ほど。
http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/teilnehmer-cello-2010-ID1277986369006.xml
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プロジェクトQ・ゲヴァントハウス弦楽四重奏団公開マスタークラス [チェロ]

 ゲヴァントハウスSQを講師として、メンデルスゾーンに挑戦する若者カルテットの指導をする公開マスタークラスがドイツ文化センターであった。
 メンバーが一人ずつ一つの楽章を担当して、それぞれ特徴ある指導をされた。どの先生に当たるかは、恐らくその時点で決まったのではないかと思われる。
 全体的なメンデルスゾーンの特徴として、sfやアクセントをくっきり出すこと、ppからffまで段階ごとに差をつけること、テンポが落ちないこと、心地よいテンポではなく、常に緊張感があり疲れる速さだという点を何度も強調されていた。
 4組のカルテットを聴いたが、歌うときテンポ感が緩んでしまうこと、方向性のある長いクレッシェンドが苦手なことは日本人に共通する特徴なのかなと感じた。カルテットはやはり1stVn次第だ。よく準備して彼らなりに完成したものを持ってくるので、もっとこうしたら良いと言われても適応できない場面があった。公開練習は発表の場であり、かつ講師固有の音楽を学ぶチャンスなのだから、その場で適応できる心のゆとりは大事だと思った。(G)
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カサドコンクール 本選 奨励賞 [チェロ]

 本選は満員の大ホールで東フィルとの共演、私は後ろの方で聴いた。曲を熟知している人には分かるのだろうが、素人の耳には一人目ミハルさんの音は小さくてよく聞こえなかった。二人目辻本さんは、今日も絶好調、堂々とした音がホール中に響き渡った。ただし譜面を置いていた。三人目はもうすぐ18歳になるマシュー君。完璧な演奏で、オケとの共演にもすっかり慣れているようで、コンマスに合図を送るなど、余裕を感じさせる。難曲のプロコフィエフをあそこまで弾く演奏家は世界に何人いるのだろう。4人目トリスタン君は、スリムで繊細な音楽。デュティーユの音色の変化を余すところ無く聴かせてくれた。
 一位マシュー君、二位トリスタン君、三位辻本さんという順位には誰も納得するだろう。予告されていたガスパール・カサド作品最優秀演奏賞はキム・アリムさん、日本人作品最優秀演奏賞は辻本さん、聴衆賞はマシュー君が受け、今回審査員が急きょ設けたという奨励賞を、15歳の岡本君が頂いた。彼は、誰とも競争せず、ただ楽しんで演奏しただけという、そういう純粋さが人の心に響くのだろう。もっとたくさん本番を経験し世界へ羽ばたいてほしい。(G)
http://www.cassado-cello.jp/p4web/index.html
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カサド国際チェロコンクール 二次予選(ニ日目) [チェロ]

 20人全員聞き終えて年齢を見てみると、10歳代が6人いた。皆ずば抜けて光るところがあり、昨日の19歳の日本人は色々な表情を持つ曲を弾き分けて、テクニックも音楽も相当完成度が高かったと思う。今日は17歳のアメリカ人のコダーイが凄かった。
 全体的には年齢が上がるとやはり落ち着いた演奏になり、完成度も上がる気がする。最年長は28歳のイタリア人だったが、決してガリガリいわせることなく、歌うように激しい音楽を表現できることを教えてくれた。24歳のフランス人は繊細で美しいppをたくさん聞かせてくれた。彼も色々な曲を完璧に暗譜で美しく演奏した。今日の9人はすべて外国人で、チェロの音色も様々だった。21歳のポーランド人は、女性とは思えない、男性と同じ質感のある豊かな音色で本当に驚いた。彼女のテクニックも凄い。
 課題曲のカサド無伴奏組曲も十人十色、間のとり方とメロディーラインの作り方で、音楽の表情が変わる。カサドの特別賞をもらうのは、どんなタイプの演奏家だろうか。
 本選に残る3人は誰だろう。どんなチェックリストで判定されるのだろうか。完成度か個性か、将来性か・・・そろそろ結果が出るころだ。(G)
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カサド国際チェロコンクール 二次予選(一日目) [チェロ]

 月曜の夜遅く二次出場者がネット上に発表になった。火曜は二次予選一日目、午前は予選一日目からの4人の女性だった。二次まで来ると、どれくらい準備してきたかで、随分差がある。楽器を完璧にコントロールして音楽を語る人、譜面を見てはいるが、楽器に導かれ自然と歌ってしまう人、模範的な気持ちよい演奏も聞けた。
 午後は一次二日目からの男性陣、もう一度聞きたいと思った、外国人三人の男性は残念ながら、不調だったようだ。応援している男子は、いつも全身で音楽を楽しんでいる感じが伝わってくる。美しい響きに観客から声が漏れるほどだった。パガニーニの奇想曲も単なる超絶技巧のみでなく、音楽として聞かせてくれるところが、凄いと思う。彼は全部暗譜だ。
 夜の部の3人は聞き応えがあった。体が小さいのに、最高にエネルギッシュに弾く女性、男性的で、重厚なチェロの響きを聞かせてくれた男性は大きな拍手を受けた。最後の男性は冷静に朗々と歌ってくれた。最後の二人の音を聞き、自分が期待していたチェロの音はこれなんだと欲求が満たされた思いだった。たくさんのカサドの無伴奏を聞いたが、テンポや歌い方など、この二人は安心して聞ける大人っぽい演奏だったように思う。やっぱりチェロは男性の楽器だという私の先生の持論が頭をよぎった。
 一つの疑問は、こんなに素晴らしく弾けるのに、本当に楽譜を置く必要があるのかということ。審査対象になると要綱に書いてあった。これから二次予選二日目に出かけます。(G)
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第二回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール in 八王子 [チェロ]

 予想以上に志願者が多く、4日間(57人)の一次予選で20人に絞られ、12月1日、2日が二次予選、5日の本選でオケと共演できるのは僅か3名とのこと。既に棄権した人もいるようだが、締め切り時点では日本人18人、外国人43人の国際コンクールだ。
 私は2日目の一次選考を途中まで聞いた。みんな良い楽器を持っているなあというのが第一印象だった。バッハでは楽器の音色で勝負できる人は5番を選び、テクニックで勝負する人は6番、無難な4番という感じだった。
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 幾つか感想を言えば、個性を感じるのは外国人で、印象に残った三人の男性がいる。一人はルーマニア出身、カーボンチェロで演奏した。カーボンヴィオラはエッセンオペラの主席が使っており、チェロもどこかにあるのだろうとは思っていたが、ついにその音を体験することができた。彼はバッハ6番を選んだ。フレスコバルディも、ベートヴェンも素晴らしく、ピアニストがとにかく秀逸、もの凄い。「ピアノとチェロのためのソナタ」のアンサンブルをとっくり楽しませてもらった。彼らはすでに演奏家としてこの場に来たのだと思う。カーボンチェロの音量は自由自在で、ppでもはっきり聞き取れる。一つ意外だったのは、尾高氏作曲の課題曲「瞑想」で、この楽器では音色の変化がつけられないことがはっきり分かってしまったことだ。現代曲は音色不要のように思っていたが、こういう曲こそ音色が必要なものなのかと気がついた。
 もう一人はイタリア人、長身でとても心穏やかな演奏をする。エネルギッシュな演奏する人が多い中で、彼は異質だったと思う。宗教的な神聖な雰囲気があり、隅々まで歌い上げていた。残念ながら、日本人ピアニストとあまり合わせていなかったようで、アンサンブルの妙技は感じなかった。「瞑想」まで歌にしてしまう、さすが歌の国イタリアの音楽家だと思った。
 もう一人は、中国人で第一回にも応募したとのこと。とても上手でだれか有名人のCDを聞いているように、とても綺麗だった。あんなに自然な模範的な演奏がどうしてできるのだろうかと印象に残った。ジュリアード留学中のアメリカ/韓国人の女性は、地味ながらとても音楽に対し真摯な態度を感じ好感を持った。
 私が応援に行ったのは、日本の中3男子、久しぶりで演奏を聞いたが、この時期の少年の成長ぶりは想像を絶するものだった。毎日身長が伸び、心身ともに昨日と同じ自分がそこに居ないという悩み多き時期をみんな乗り越えて、大人の演奏家になるのだろう。彼のバッハ6番はさらに磨きがかかり、生き生きとして、音が濁らないからだろうか、まるで教会で聞いているような響きだった。
 課題曲全てを納得できるように演奏できる人は少ない、あらゆる面を審査するコンクールの課題曲はよく選ばれているとつくづく思った。今日も一次審査が続いており、昨日までの演奏はHPから聞くことができる。演奏後30分でCDも作られ、ハイテク時代のコンクールだ。(G)
http://www.cassado-cello.jp/japanese/j_index.html
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ウィーン・フィル首席チェロ奏者 タマシュ・ヴァルガ氏によるマスタークラス [チェロ]

 ロマン派以前の音楽を自然に表現することは、東洋人にとって容易なことではない。今日も音楽の方向性と聴衆への語りかけという演奏家としての基本姿勢について言及された。
 思うに、日本の伝統文化は「静」「内省」を重んじ、言外の意、行間を読む等、微細な部分に感動するのを美徳をしている。でもこれを西洋音楽にも適用することはできない。ある意味、日本人の方が作品を深く研究し、レッスンの内容も濃い部分はあると思うが、公開レッスンで必ず言われるのは、聴衆に分かるようにという点だ。「もっと大げさに」と百回言われても、自分の殻を打ち破るのは難しい。日本人は留まる音はとても美しいが、自分で方向を決めて進むのは苦手のようだ。
 ベートヴェンのソナタはピアノとチェロ両パートの役割を熟知し、ピアノの和音の中からチェロと同じ音を選んで合わせること、合図を送るのではなく、お互い目を閉じて心を合わせることも試すとよいとのことだった。
 R・シュトラウスのソナタを弾いた若者には、テクニックより気持ちの表現を優先する方がうまく行く場合があると助言していた。素晴らしい楽器だと思ったが、音色におぼれることなく、もっと楽器と一体になって、力強く天まで駆け上がって欲しいなあと、飛躍途中の若さを感じ、今後楽しみだ。
 弓づかいについて、音が変わるとき短い音が聞こえにくいので早い弓を使うようにとのことだった。
 ウィーンフィルで毎日オペラの演奏をするようになった影響で、言葉をより意識するようになったというような感想があった。タマシュ氏はハンガリー人だが、当然のようにとても分かりやすいドイツ語だった。アルファベットを母国語として使う人であっても、言葉を通して音楽を知るアプローチがあるようだ。
 心穏やかな正当派のチェリストという印象で、さすが、ウィーンフイルの主席らしい流麗な音だった。(G)
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チェロ大手術 [チェロ]

 友人から譲り受けたチェロを調整に出したところ、大きな外科手術をすることになってしまった。
 私の場合10年に一度くらいの割合で、楽器にお金がかかる事態が起こる。今回お世話になった所は新横浜、自然豊かな住宅地にある、清々しい工房だった。
 楽器屋さんとのおつきあいは難しいとつくづく思う。元来、技術者は、良い楽器を扱いたいものだ。でも、アマチュア愛好家がこれだけ多いと、素人にも楽器を売り、悲惨な修理もせざるを得ない。患者の立場であっても、お店との相性はあり、店主の人柄に魅力を感じ、楽器に対する博愛精神が伝わってくる病院に我が子を入院させたいと思うのだ。
 これまでも、一等地に店を移し、プロのお客さんが増えたとたん、アマチュアはもう間に合っています・・・という雰囲気を漂わせるところがあった。楽器屋さんは皆気位が高くなるものなんだと、少しがっかりしたが、自分が歳をとってくると、その気持ちはわかる。
 我々のような素人は、一生懸命治療してくれる、若い工房を訪ねれば良いのだと気づいた。心から楽器を愛し、上手に丁寧に直してくれる、そんな新横浜の工房は、いわば救いの空間で、ここで診てもらえて良かったと思った。10年、20年したら、風格漂う、私達には手の届かない先生になってしまうのだろうけれど、それで良いと今は思える。若い人には大きな夢を実現してほしいから。(G)
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セミナー最終日 [チェロ]

 土曜の晩は、内輪の演奏会があり、前日演奏しなかった人達が全員発表した。
 金曜の晩の外部演奏会の後の初宴会のおかげで、既に皆うちとけており、内部演奏会の雰囲気は一段と朗らかだ。お互いの拍手が鳴り止まず、拍手しながら別れを惜しんでいるようだった。演奏会の後、10:30からピザパーティが始まり夜中まで延々と続いた。
 3月最終日曜日から夏時間となり、一時間早まったので、翌朝8時半の朝食に定時に来た人は、ほとんどいなかった。
 そんな中、最終日のレッスンで、14歳の彼がハイドンD-durの自作カデンツァを披露した。二日前の宿題だ。とにかく素晴らしい。これからもたくさんのカデンツァを作っていくのだろう。限りない未来に胸が一杯になった。
(G)
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