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東京・春・音楽祭 エレクトラ [オペラ(国内)]

 今年の東京・春・音楽祭最後の演目がエレクトラだった。演奏会形式の二公演、トリスタンと比べると歌がよく聞こえ、オケも冒頭からまとまった響きで迫力も維持出来て、東京春祭で、ここまでオペラ演目が進化してくれたのは嬉しい。20年目の快挙か。
 とはいえ、私が過去本場ドイツで3回程聞いたこの作品の印象では、歌手は絶叫していなかった。直近では2022年コロナ後に、ベルリンシュターツオパーで聞いたエレクトラと比べてしまっては申し訳ないが、日本も次のステップとして、メラメラと燃え上がる秘めたる激情を知性で抑えるような、観客も共に苦しみを感じるような演技まで到達してもらえたらと、つい欲張ってしまう。対照的に、オケの音は、もっと鋭利な印象だ。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2022-06-16
 この作品は音楽が綺麗なところも多く、薔薇騎士や、ブルックナーを連想する美しいハーモニーに癒される次の瞬間に、突然野生的な叫びでなく、屈折した心の叫びが聞けたら、格調高い舞台になる気がする。
 個々の感想としては、ヴァイグレの指揮が見た目にも情熱的でよかった。パンクラトヴァは、厚みのある声で、不安なしだ。パーペのオレストはベルリンでも聞いたが、時間が許せば、どこへでも行って、さっと歌ってくれる余裕が有難い。藤村実穂子さんは、ベルリンでの同役マイヤーでも感じたのだが、殺される時の絶叫は喉を痛めないのだろうかとつい思ってしまう。オークスは、2013年〜バイロイトのカストロフ・リングで、ずっとグートルーネを歌っていた。最近では、2022年ライプツィヒでヴァルキューレアのブリュンヒルデを聞いた。私の中では声が若々しいイメージで、控え目な印象だったが、今回の上野のでは、外見が変わってしまい…パンクラトヴァの声量と競い合えるような、若声の立派なドラマティックソプラノになっていた。
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
エレクトラ(ソプラノ):エレーナ・パンクラトヴァ
クリテムネストラ(メゾ・ソプラノ):藤村実穂子
クリソテミス(ソプラノ):アリソン・オークス
エギスト(テノール):シュテファン・リューガマー
オレスト(バス):ルネ・パーペ
第1の侍女(メゾ・ソプラノ):中島郁子
第2の侍女(メゾ・ソプラノ):小泉詠子
第3の侍女(メゾ・ソプラノ):清水華澄
第4の侍女/裾持ちの侍女(ソプラノ):竹多倫子
第5の侍女/側仕えの侍女(ソプラノ):木下美穂子
侍女の頭(ソプラノ):北原瑠美
オレストの養育者/年老いた従者(バス・バリトン):加藤宏隆
若い従者(テノール):糸賀修平
召使:新国立劇場合唱団
 前川依子、岩本麻里
 小酒部晶子、野田千恵子
 立川かずさ、村山 舞
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
合唱指揮:冨平恭平
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東京・春・音楽祭 ワーグナー『ニーベルングの指環』ガラ・コンサート [オペラ(国内)]

 リングの抜粋ではなく、1時間半弱の、歌のガラコンサートは、お客さんの心を掴み、1F席はほぼ満席、ロビーも大混雑で、大変な盛況ぶりだった。
 演奏会形式と言うより、オケが主役の舞台で、大音量のN響に負けず、パンクラトヴァは良く歌ったと思う。最初に彼女を聴いたのは、2018年ティーレマン/ドレスデンのジークリンデで、バイロイトのクンドリで名を上げ、ヴェーヌスも聴き、初めてブリュンヒルデを聴いた。圧倒的な迫力がある。
 今回のプログラムは、ヤノフスキーの置き土産のような気がする。こういう演奏会もできますよと、教えてくれたようで、オケだけの部分は入れず、かなり短いが、普段なら自分がその場面が来るのを待つ身であるのに、向こうから名場面がやって来てくれるガラコンサートは、ちょっと嬉しい初めての気分だった。短い場面であれば、日本人歌手も全力で歌えるので、これを機に、日本人のリングガラの企画にもトライして欲しい。
 N響はヤノフスキーのお蔭で、リングを物にした。ついVcを見てしまうが、藤森さんの熱演ぶりが感動的で、もしかしてヤノフスキーのヴァーグナーでは、今回最後の主席なのかもしれない。楽器を揺らしなが力一杯刻んでいる後ろで、ご子息始め若手メンバーが伸び伸びと弾いており、父は背中で伝えているんだろうなぁと勝手な想像を楽しんだ。更に個人的にはリング抜粋を弾いて1年余、N響の素晴らしい低弦を目の当たりにし、苦労した当時の記憶が懐かしいものに変わって来た。

舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』より
序夜《ラインの黄金》より第4場「城へと歩む橋は……」〜 フィナーレ
  ヴォータン:マルクス・アイヒェ(バリトン)
  フロー:岸浪愛学(テノール)
  ローゲ:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)
  フリッカ:杉山由紀(メゾ・ソプラノ)
  ヴォークリンデ:冨平安希子(ソプラノ)
  ヴェルグンデ:秋本悠希(メソ・ソプラノ)
  フロースヒルデ:金子美香(メゾ・ソプラノ)
第1日《ワルキューレ》より第1幕 第3場「父は誓った 俺がひと振りの剣を見出すと……」〜第1幕フィナーレ
 ジークムント:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)
  ジークリンデ:エレーナ・パンクラトヴァ(ソプラノ)
第2日《ジークフリート》より第2幕「森のささやき」〜フィナーレ
 第2場「あいつが父親でないとは うれしくてたまらない」―森のささやき
 第3場「親切な小鳥よ 教えてくれ……」〜第2幕フィナーレ
  ジークフリート:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)
   森の鳥:中畑有美子(ソプラノ)
第3日《神々の黄昏》より第3幕 第3場ブリュンヒルデの自己犠牲「わが前に 硬い薪を積み上げよ……」
 ブリュンヒルデ:エレーナ・パンクラトヴァ(ソプラノ)
指揮:マレク・ヤノフスキ
管弦楽:NHK交響楽団(ゲスト・コンサートマスター:ウォルフガング・ヘントリヒ)
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
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東京・春・音楽祭 《トリスタンとイゾルデ》 [オペラ(国内)]

 東京・春・音楽祭が始まって、今年は第20回、ワーグナーシリーズは第15回だが、その間、東日本大震災とコロナで2年、計3回の公演が中止になった。N響で、毎春ヴァーグナーを聴く楽しみができ、ヤノフスキーの厳しい要求を克服して来た本番の姿は、通常のN響と違う。
 今年の第一印象は、以前ほど、ヤノフスキーのオケに対する強要が激しくないのではないかということ。以前は隅々まで容赦なかった。勿論オケのメンバーが若返り、管弦共に、個人がレベルアップしたと認めたのかもしれないし、教え子たちの自主性に多少は任せるようになったのかなと、勝手に想像している。少なくとも、オケサイドのエネルギーは出しきっていたと思う。
 個人的には、ゲストコンマスが、メットのコンマスになったこと、チェロ主席の辻本さんの奏でる、ストラドの音色が素晴らしく、情熱一杯に演奏してくれたことは、今年の嬉しいポイントだった。
 ヤノフスキーは、作品そのものへの感動というより、あの複雑な音楽をコントロールしている自分に、指揮者としての自負があるのではないだろうかと思ったりする。研究する行為、解き明かす行為が好きな学者先生のように。それで高速でお仕事をし、聴衆に負担を掛けないことも集客の秘訣になるかもしれない。
 老化した自分の耳に自信が無いので、たまたまその日、どう聞こえたかという話になるが、三幕で、1Vnの難所を無事超えた後の2Vnの音が消えた事や、良くできたところと練習されていない所の落差が見受けられたのは、やはり指揮者の加齢に伴うお目溢しなのか。また、一幕の男声合唱が、異様に大きく感じられたが、フリードリヒの指導なのか、指揮者とフリードリヒ共に高齢なので、当然耳も変化してきているだろう。
 東京春のヴァーグナーでは、どちらかと言えば、歌手より、多分オケが主役なので、イゾルデが聞こえなくとも、オケが抑えることはなさそうだ。
 思い起こすと20年以上前は、N響の方々で、自分はヴァーグナーは聴いた事がない、でも済まされていたと思う。初めてN響のトリスタン三幕を聴いた時、イングリッシュホルンが、抑揚なくひたすら譜面通りのリズムで吹いたことに、聴衆の何分の一かは愕然としたと思う。その時から比べれば、東京春祭で、毎年ヴァーグナーを演奏させられたことで、メンバーの意識が変化したことは想像できる。
 今年の木管ソリストの皆様は素晴らしかった。発展途上であっても、N響のトリスタンがここまで来たことは、嬉しい。
 スケルトンのトリスタンは、2016年メットのライブビューイングで初めて聴き、その後2022年、23年のミュンヘンフェスティバルの実演までチャンスがなかった。問題無く、悟ったように歌い尽くしてくれたが、やはり、かなりの体型なので、御身ご大切にお願いしたい。
指揮:マレク・ヤノフスキ
トリスタン(テノール):スチュアート・スケルトン
マルケ王(バス):フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ
イゾルデ(ソプラノ):ビルギッテ・クリステンセン
クルヴェナール(バリトン):マルクス・アイヒェ
メロート(バリトン):甲斐栄次郎
ブランゲーネ(メゾ・ソプラノ):ルクサンドラ・ドノーセ
牧童(テノール):大槻孝志
舵取り(バリトン):高橋洋介
若い水夫の声(テノール):金山京介
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ベンジャミン・ボウマン)
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
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タンホイザー 二期会2024 [オペラ(国内)]

 春のコンサートシーズン到来。
 二期会のタンホイザーは行くつもりは無かったのだが、間際になってもまだ残席があるので、平日17:00〜ならばということで、初日のチケットを買ってしまった。
 途中で気づいたのだが、これは、再演で、2021年まだコロナ禍の時、指揮者はヴァイグレで、ダブルキャストでチケット購入し、がっかりしたことを思い出した。今回は仕上がっていて、随分進歩していると思う。
 指揮者のアクセル・コーバーは、2013年バイロイト初登場の時のタンホイザーを舞台上で聴いており、コロナ明けの2022年バイロイトのタンホイザーもコーバーだった。初めて聴いたのは、2006年マンハイムのラインゴルト、あっさりと嫌味のない音楽という印象だった。
 今回初来日とのことで、演奏を聴いて、この指揮者は、タンホイザーが得意で、好きなんだなぁという純粋な思いを感じた。
 何故こんなに、オケの音に厚みがないのか、4階席だからなのか、これは個人的な印象に過ぎないが、むしろ二幕の軽く素直な感情表現が新鮮で、今後もヴァーグナーを聞くかどうか迷う人には、好感を持たれるかもしれない。自分自身、心が平安のまま聞くことができる演奏も、悪くないと思った。
 一方、キース・ウォーナーの演出は、結局3年前、話題になったのかどうか気づかないまま時間が過ぎ、改めて、コロナ禍が去ったからとはいえ、何故あんなに、エリザベートとタンホイザーがベタベタするのか、珍しい舞台に感じられた。
 サイモン・オニールが、タンホイザー役デビューとのことだが、色々あって、順番が巡ってきたのも、人の運命かもしれない。オニールのワーグナーに限って言えば、多分2008年ストラスブールのジークムントが初めてで、2016年バレンボイムのフェストターゲのジークムント、2018年ペトレンコ/ミュンヘンも、ジークムント、そして久しぶりに聞いたのは、2022年ライプツィヒで、何とテルラムントになっていた。そして東京での、初タンホイザー。是非日本を練習場所にして、レパートリーを拡大して頂きたい。
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こうもり 新国立劇場 2023 [オペラ(国内)]

 年忘れという言葉はあまり聞かなくなった。1年間の嫌な事を忘れて、ハメをはずすし、英気を養うという行為は、今の世の中、あまり通用しないというか、忘れられないネガティブな現実が多すぎる。前回、こうもりを見たのは、2020年まだコロナ禍の時たが、なぜか、今の方が気持ちが暗い。
 少なくともコロナ禍以降、完全に忘れていた心の動きに、気付かされた。悩んでもどうにもならないなことを忘れられる人は、幸せなりという、19世紀の世紀末感漂う中での願望を身近に感じた。少し早いが、年の瀬の安堵感を束の間味わったので、一旦これを飲み込み、現実の年越しに向かう。
 客席は満席で、今年の演出は、さらに細かい日本語ジョークが増強され、そこだけは大きな笑いが起こっていた。三幕は、今年らしい話題が入ったが、看守のオリジナルの台詞も、もう少し反応してあげたいものだ。新国立劇場では、これまで看守は俳優が演じでいたと思うが、今回の看守役は歌手であり、ちゃんと歌ってくれた。昨今では俳優並みの演技を見せてくれる歌手が増えており、好ましい傾向だと思う。
 ロザリンデ役が、二幕で新国立劇場のバレーダンサーと踊るのも、初めてだと思う。歌って踊って演技できる歌手を、日本人も目指してもらいたい。
 アルフレード役の伊藤さんは適役で、今や日本でトップのテノールとなられ、台詞の中に、ロザリンデが、日本人テノールが楽しみだといったジョークが入っていたのは嬉しいことだ。監獄でとても美しく歌い上げてくれたし、新国立劇場で、こうもりと魔笛は完全にレパートリーになって来て嬉しいことだ。
 演奏は、軽妙だが、金管の音がアメリカのマーチングバンドの様に割れ気味に鳴り響くのが、ちょっと気になった。
[指 揮】パトリック・ハーン Patrick HAHN
【演 出】ハインツ・ツェドニク Heinz ZEDNIK
[ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン】
  ジョナサン・マクガヴァン Jonathan MCGOVERN
【ロザリンデ】エレオノーレ・マルグエッレ Eleonore MARGUERRE
【フランク】畠山 茂 [12/8更新]
【オルロフスキー公爵】タマラ・グーラ Tamara GURA)
【アルフレード】伊藤達人
【ファルケ博士】トーマス・タツル Thomas TATZL
【アデーレ】シェシュティン・アヴェモ Kerstin AVEMO
【ブリント博士】青地英幸
【フロッシュ】ホルスト・ラムネク Horst LAMNEK
【イーダ】伊藤 晴
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東京・春・音楽祭 マイスタージンガー [オペラ(国内)]

 国立競技場から直行。
 毎年恒例、演奏会形式なのだが、出演者の多くが舞台の雰囲気を作ってくれた。ベックメッサー役のエレートは、カテリーナ演出のバイロイトで新しいキャラクターを演じ大活躍だったが、東京でも一人だけ暗譜で役になりきって聴衆を魅了した。シリンスは、ハンスザックスデビューとのことで、緊張しているように見え譜面から離れられなかった。東京で練習して、今後の舞台に役立てて欲しい。ダニエル•ベーレはコスキー演出のバイロイトで素晴らしいダーヴィットだったが、サイン会にやって来た彼の素顔を、誰も分からなかったことが思い出される。気のせいか今回は声が少しかすれていたように思う。
 指揮のテンポが速く、初めのうち歌がついていけない個所もあった。でもこのシリーズは舞台にオーケストラを上げるので、隅々まで良く見えるし、音もクリアで楽しい。二幕以降は、オケが四苦八苦している悲鳴のような音が時々聞こえてきたが、三幕最後にはヤノフスキが容赦なく弦楽器にエネルギー出し切るよう要求しているのが見てとれ、オケはきつかっただろうと思う。

指揮:マレク・ヤノフスキ
ハンス・ザックス(バス・バリトン):エギルス・シリンス
ファイト・ポークナー(バス):アンドレアス・バウアー・カナバス
クンツ・フォーゲルゲザング(テノール):木下紀章
コンラート・ナハティガル(バリトン):小林啓倫
ジクストゥス・ベックメッサー(バリトン):アドリアン・エレート
フリッツ・コートナー(バス・バリトン):ヨーゼフ・ワーグナー
バルタザール・ツォルン(テノール):大槻孝志
ウルリヒ・アイスリンガー(テノール):下村将太
アウグスティン・モーザー(テノール):髙梨英次郎
ヘルマン・オルテル(バス・バリトン):山田大智
ハンス・シュヴァルツ(バス):金子慧一
ハンス・フォルツ(バス・バリトン):後藤春馬
ヴァルター・フォン・シュトルツィング(テノール):デイヴィッド・バット・フィリップ
ダフィト(テノール):ダニエル・ベーレ
エファ(ソプラノ):ヨハンニ・フォン・オオストラム
マグダレーネ(メゾ・ソプラノ):カトリン・ヴンドザム
夜警(バス):アンドレアス・バウアー・カナバス
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
東京文化会館
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平和の日<日本初演/セミ・ステージ形式上演> [オペラ(国内)]

 日本初演、聴くのも初めての作品。R.シュトラウスのオーケストレーションが素晴らしい。オケは大編成でもないのに、充実した音が鳴っている。
 第二次大戦直前の1938年初演、1940年までにナチス政権下、ドイツ国内で98回演奏されたという。無血入城を讃え、大衆を扇動する音楽は、例え作品名が「平和の日」であろうとも、戦後封印されても止むを得ない内容なのかもしれない。
 最後音楽が急激に盛り上がり、大合唱となり、ソリスト達がパワー全開で、神に感謝し神を讃えるエネルギーが2階席後方まで迫ってきて、圧倒されれた。何か話がすり替わる感じがするが、大団円を迎える。

指揮:準・メルクル
包囲された街の司令官:清水勇磨
マリア その妻:中村真紀
衛兵:北川辰彦
狙撃兵:高野二郎
砲兵:髙田智士
マスケット銃兵:松井永太郎
ラッパ手:倉本晋児
士官 :石崎秀和
前線の士官:的場正剛
ピエモンテ人:前川健生
ホルシュタイン人 包囲軍司令官:河野鉄平
市長 :伊藤達人
司教 :堺 裕馬
女性の市民:石野真帆
渋谷オーチャードホール
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未だにマスク推奨指示
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新国立劇場ーホフマン物語 [オペラ(国内)]

 2003年プレミエから5回目の上演、その三日目の公演へ行った。オケは過去4回は東フィルが担当し、今回初めて東京交響楽団だった。とはいえレパートリー公演としてもう少しレベルの高い舞台を期待していた。オケは最初の一音から、あれっどうかしたのかという音だった。私の耳のせいかもしれないが、オケのソロのメロディーは美しいのに、Tutti 部分は音ががさついており、本当は透明感のある流れる音楽のはずなのに、終始濁った音色に聞こえた。
 歌の方は、重唱場面はよく練習してあったが、ソロの場面では、日本人の配役が十分物語を語りきれないレベルで、場面ごとに気になった。コロナ禍の時、あれほど情熱を見せてくれた新国立劇場が、いつの間にかコロナ前の未完成公演という日常に戻ってしまったのか。それほど仕事が忙しくなったのなら、それは喜ばしいことだが、再びレベルダウンせざるを得ないなら問題だ。これからチケットも値上がりするし、演目を絞るのは結構だが、ホフマン物語の作品としての価値は分からないが、舞台が綺麗だと思うので、是非残して頂きたいものだ。
 今回のホフマン役は、アメリカ人だが鼻母音が得意のようで、ルックスもよく声量もあった。でも、かつてフォークトが歌った時の様な華やかさは感じなかった。バス•バリトンのシリンスの方が声に潤いがありっていいなと思い、後で気づけば、2022年バイロイトでヴォータン役だった。かつて新国立劇場でアムフォルタスも歌っていた。
【指 揮】マルコ・レトーニャ
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【ホフマン】レオナルド・カパルボ
【ニクラウス/ミューズ】小林由佳
【オランピア】安井陽子
【アントニア】木下美穂子
【ジュリエッタ】大隅智佳子
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】エギルス・シリンス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】青地英幸
【ルーテル/クレスペル】伊藤貴之
【ヘルマン】安東玄人
【ナタナエル】村上敏明
【スパランツァーニ】晴 雅彦
【シュレーミル】須藤慎吾
【アントニアの母の声/ステッラ】谷口睦美
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団
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新国立劇場-ファルスタッフ [オペラ(国内)]

かなり久しぶりにファルスタッフを見た。今回は18才以下を対象に、抽選で692名のご招待があり、定員に達せず二次募集まであったとのこと。家族連れが大勢さんいて、朗らかな雰囲気だった。小さなお子さんもいた。この作品は登場人物は把握できずとも、場面の変化のテンポが早いので、子供でも飽きることはなく、何だかわからないが、大男が窓から川へ落とされたことは記憶に残るだろう。
 ファルスタッフはヴェルディ最後のオペラで、シェイクスピア原作だが、作品について考えたり調べたりしたことはなく、この喜劇作品の意義などは理解できていない。
 2004年がプレミエで再演5回目の人気演目で、舞台演出が17世紀のオランダ、フェルメールの絵画の世界になっている。テムズ川が出てきても違和感なく笑える。
【指 揮】コッラード・ロヴァーリス
【演 出】ジョナサン・ミラー
【ファルスタッフ】ニコラ・アライモ
【フォード】ホルヘ・エスピーノ
【フェントン】村上公太
【医師カイウス】青地英幸
【バルドルフォ】糸賀修平
【ピストーラ】久保田真澄
【フォード夫人アリーチェ】ロベルタ・マンテーニャ
【ナンネッタ】三宅理恵
【クイックリー夫人】マリアンナ・ピッツォラート
【ページ夫人メグ】脇園 彩
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新国立劇場-タンホイザー [オペラ(国内)]

 2007年プレミエのプロダクションで今回4回目であり、この演出が好きなわけではないが、とりあえずは行く。前回のタイトロールは、トルステン・ケールだった。グールドは日本でワーグナー全演目練習したのかと勘違いしていたが、タンホイザーはその必要がない得意役だったのだろう、バイロイトで鳴らした後、新国立に戻って来ての初お披露だった。
 指揮者は初めての方で、嫌みはないが、穏やかで、ドラマチックな感情の起伏が音に現れるタイプの方では無いようだ。巡礼の合唱は、やはり素晴らしく、バイロイトの男声合唱を思い出す。
 次は何年後になるのか、新演出の新国立劇場のプロダクションに期待したい。

【指 揮】アレホ・ペレス
【演 出】ハンス=ペーター・レーマン
【領主ヘルマン】妻屋秀和
【タンホイザー】ステファン・グールド
【ヴォルフラム】デイヴィッド・スタウト
【ヴァルター】鈴木 准
【ビーテロルフ】青山 貴
【ハインリヒ】今尾 滋
【ラインマル】後藤春馬
【エリーザベト】サビーナ・ツヴィラク
【ヴェーヌス】エグレ・シドラウスカイテ
【牧童】前川依子
【4人の小姓】和田しほり/込山由貴子/花房英里子/長澤美希
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新国立劇場ーボリス・ゴドゥノフ [オペラ(国内)]

 このプロダクションはポーランド国立歌劇場と共同制作で、トレリンスキは今活躍中の演出家とのこと。ウクライナ侵攻のためポーランドでのプレミエが中止となり、新国立劇場が初演となる。
 新国立劇場ではまず、HPかプログラムの解説を読んでから観るよう推奨していた印象だ。今年のバイロイトのリングもそうだが、まず演出コンセプトを読んでから見てほしいというのが、昨今のオペラなのだろうか。ムソルグスキーの原典版と改訂版をミックスしたストーリーになっているとのこと。 
 国内でボリス・ゴドゥノフを観るのは初めての機会。特に関心があるわけでもないが、以前2016年に超真面目な舞台をプラハで見た。15年くらい前にはフランクフルトで内容を知らずに立ち寄り、舞台の暗さに苦しくて帰りたくなった覚えがある。過去2回は舞台近くで聴いたため、民衆の合唱が鬼気迫って来て怖かった。
 音楽はロシアの民族音楽のような旋律が聞こえ、劇的盛り上がりは無いが。綺麗だと思う。今回は4階席の端なので、遠くからの印象だが、内容は暗くとも、舞台としては色彩感がありほっとした。合唱は場違いなほど美しい。ロシア人歌手は早期にキャンセルしているが、上演できてまずは、よかったと思う。
 演出家が、いくら戦争というテーマから離れ、ボリスの心理劇のように描きたいと言っても、現在のロシアをイメージする残酷なストーリーを見せつけられる。幕切れなど、まさにそうだ。Pの後に現れる人物がさらに酷い生き物かもしれないと暗示される。まだ公演チケットはかなり残っているが、いつか再演できる平和な時代が来ればよいと思う。
【指 揮】大野和士
【演 出】マリウシュ・トレリンスキ(ポーランド国立歌劇場芸術監督)
【ボリス・ゴドゥノフ】ギド・イェンティンス
【フョードル】小泉詠子
【クセニア】九嶋香奈枝
【乳母】金子美香
【ヴァシリー・シュイスキー公】アーノルド・ベズイエン
【アンドレイ・シチェルカーロフ】秋谷直之
【ピーメン】ゴデルジ・ジャネリーゼ
【グリゴリー・オトレピエフ(偽ドミトリー)】工藤和真
【ヴァルラーム】河野鉄平
【ミサイール】青地英幸
【女主人】清水華澄
【聖愚者の声】清水徹太郎
【ニキーティチ/役人】駒田敏章
【ミチューハ】大塚博章
【侍従】濱松孝行
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二期会ーパルジファル [オペラ(国内)]

 まずは演出で、巷では種々言われているようだが、結構力作ではないかと思った。宮本氏はプログラムで、オファーを受けるまでパルジファルやワーグナーについてはあまり関心が無かったようなことが書いてあったが、結果として勉強して色々考えたり、過去の演出を見たりしていて、詰め込み過ぎで訳分からなくなった感がある。かつてどこかで見たようなアイデアや、唐突な場面が頻出することで、評価を下げているのかも、それでも演出家の良心のようなものは十分に伝わった。公演を重ねて刈り込んで行けばすっきりしてくると思うが、多分日本での再演は無いので、今回だけで終わってしまうのが残念だ。
 新国立劇場現演出の温さ(いくら巨匠と言え、演出家が20年も前に亡くなっているのでやむを得ないが)に比べれば、ずっと今の時代に沿っていると思うがどうか?
 それと舞台セットの貧弱さというかカネをケチった感がひどい。美術館・博物館の周り舞台は小学校の学芸会並みの書き割りで情けない。合唱の迫力の無さと相まって、全体の重厚感を損なった。
 歌手は皆さん好演していたと思う。純日本人キャストでここまでできれば、大したものだ。
アムフォルタス:清水勇磨
ティトゥレル:清水宏樹※
グルネマンツ:山下浩司
パルジファル:伊藤達人
クリングゾル:友清 崇
クンドリ:橋爪ゆか
第1の聖杯の騎士:新海康仁
第2の聖杯の騎士:狩野賢一
4人の小姓:宮地江奈、川合ひとみ、高柳 圭、相山潤平
花の乙女たち:宮地江奈、松永知史、杉山由紀、雨笠佳奈、川合ひとみ、小林紗季子
天上からの声:増田弥生、小林紗季子
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新国立劇場-オルフェオとエウリディーチェ [オペラ(国内)]

 この作品は過去に一度しか観たことがなく、今回一観客としての印象では、オルフェオ役のカウンターテナーの美しい声と、指揮者 鈴木優人氏の軽やかで端正な音楽が融合し、調和のとれた音に聞こえた。バロックの音色を耳にするのは久しぶりで、歌より伴奏の音に耳が行ってしまう。久しぶりに、さっぱりした心地よい音楽を聴き、上演中、心も身体もリラックスしていることに気づいた。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2007-03-04-3
 勅使川原三郎氏の舞台と衣装が美しく、水盤にユリを生けるデザインが変化していくような演出で、
バレーのことはよくわからないが、エウリディーチェのブルーの衣装が、色といいデザインといい、上品ですてきだった。
【指 揮】鈴木優人
【演出・振付・美術・衣裳・照明】勅使川原三郎
【エウリディーチェ】ヴァルダ・ウィルソン
【オルフェオ】ローレンス・ザッゾ
【アモーレ】三宅理恵
【ダンス】佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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《二期会創立70周年記念公演》エドガール [オペラ(国内)]

 7月のパルジファル狙いで、大分前に二期会のシーズン券を一人分買ったので、それに付いてきた今回公演「エドガール」に行って来た。
 全く聞いたことが無い曲だが、そもそもイタ物は久しぶり、2021年10月新国のチェネレントラ以来、ベルディ・プッチーニとなると、2021年5月、これも新国ドン・カルロ以来だ。(そうでもない?この間、ローエングリン、マイスタージンガー、タンホイザー、バラ騎士、魔笛2種などあったから)
 渋谷のオーチャードホールも本当に久しぶり、前いつ来たか覚えていないほどだ。雨の中、かなりの人出で、若い人が多い。駅前の変貌は激しいが、東急本店付近はそう変わらないようだ。
 席は3階の1列目で悪くは無いはずだが、座ってみて驚いたのは、手すりが邪魔になってちょうど歌手が歌うオケ手前のひな壇の視界が妨げられる。上演中かなりのストレスだ。今回は演奏会形式だが、通常のコンサートなら、まさに指揮者やオケ第1列の来る位置なので、客から苦情が出ているのでは?以前新国の4階席でも同じようなことがあって、改修後手すりの形状が変わったことがあった。
 このオペラは、台本が欠点であまり上演されないとプログラムに書いてあったが、プッチーニ自身の改訂で4幕を3幕にしたことで、筋が更に訳が分からなくなっているのでは?合唱(農夫たち)に筋書きを説明させるような仕組みになっているのだが、今回オケ後ろの紗幕に隠れて見えないので、動きが無くオペラ的でない。2幕3幕は通して演奏されたが、2幕などたった15分しかなく、取って付けたようだ。全体も短くて、14時開演で休憩を入れても16時で全て終わっていた。
 プッチーニの音楽はかなり派手目で、金管など華々しく鳴る。歌手も負けじと熱演で、特にタイトルロール樋口さん素晴らしかった。(B)
指揮:アンドレア・バッティストーニ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
エドガール:樋口達哉
グァルティエーロ:清水宏樹
フランク:杉浦隆大
フィデーリア:大山亜紀子
ティグラーナ:成田伊美
合唱:二期会合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
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新国立劇場-魔笛  [オペラ(国内)]

 コロナ禍のサービスで配られたAtre会員割引クーポンは、公演が2000円引きになるのだが、行きたい演目は当然予め購入してあるので、使い勝手が悪い。今回たまたま魔笛の平日公演があり、会社帰りに寄れるので前日の日曜に予約した。平日夜公演はこの日のみだが、満員とはいかなかった。4階中央席。
 2018年の再演で、今回は完全に日本人のみのキャストとなっているが、ドイツ語のセリフ含め違和感無く、楽しめた。プログラムに載っている過去のキャスト表を見ると*印の方は2018年公演と同じだし、演出は違うがタミーノの鈴木さん、弁者他の町さん、パパゲーノの近藤さんは2016年公演、パミーナの砂川さんは2006年公演で歌っているので、手慣れたものなのだろう。魔笛は人気があるし万人が楽しめるので、主役クラスに若手を抜擢し脇をベテランが固めて、こうした形でレパートリーとして定着させて貰いたい。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2018-10-15?1650677679
 ザラストロの河野さんは低音が苦しいところもあったが、代役のオランダ人に続き、見た目も良く貫禄があった。安井さんの夜の女王は正にはまり役で、前週のゾフィーより更に良かった。モノスタトスの升島さんは芸達者で、が〜まるちょばを思わせるパントマイムが嵌まっていた。
 オケは小編成だが、雷など効果音を打楽器で良く表現していて、グロッケンシュピールも普通使うチェレスタとは違う、かなり硬質な大きい音がしていたので、何か工夫があったのだろうか?(B)
【ザラストロ】河野鉄平
【タミーノ】鈴木 准
【弁者・僧侶Ⅰ・武士Ⅱ】町 英和
【僧侶Ⅱ・武士I】秋谷直之*
【夜の女王】安井陽子*
【パミーナ】砂川涼子
【侍女I】増田のり子*
【侍女Ⅱ】小泉詠子*
【侍女Ⅲ】山下牧子*
【童子I】前川依子*
【童子Ⅱ】野田千恵子*
【童子Ⅲ】花房英里子*
【パパゲーナ】三宅理恵
【パパゲーノ】近藤圭
【モノスタトス】升島唯博*
【指 揮】オレグ・カエターニ
【演 出】ウィリアム・ケントリッジ
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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新国立劇場 ーばらの騎士 [オペラ(国内)]

 新国立劇場は、「ばらの騎士」を元帥夫人役以外、日本人キャストで上演できるようになった。アネッテ・ダッシュはロールデヴュー。入国後何日隔離期間があろうとも、日本で歌いたかったに違いない。終わってみて、どんな感想を持たれたか、感想を聞いてみたい。
 最近は日本人歌手故の違和感など、感じられないほど皆さん上手だ。声が出ていて姿もよく、オクタヴィアンの小林さんは適役だったと思う。妻屋さんが海外でオックスをどれくらい歌ってきたのか知らないが、日本では初めて主役が回ってきた印象だ。欲を言うなら、ゾフィー役安井さんの動きが、小間使い風、お人形風(オリンピア風)で、ちょっとお嬢さん風ではなかった。せっかくの貴重なコロラトゥーラなので、演技ももう一工夫していただけたらと思う。海外アーティストに頼っていたこの業界は、コロナ禍で特に日本人の才能が開花し、躍進した分野ではないだろうか。
 日本人にも出来るのだということに、聴衆も誇りを感じており、今後も日本人歌手、日本人指揮者を進んで受け入れていくと思う。
 2幕、3幕のドタバタ場面は人を減らした演出になっていて、もしかしたら、演出が簡素化されることで出番が減り、士気が下がるような弊害が出るのだろうか。でもwith コロナ時代の新しい舞台に慣れていかねばならない。
 オケでは、歯切れのよい冒頭のホルンに圧倒された。オーボエもすばらしい。指揮者は見えず、うねるような方向性の演奏ではないが、音にはメリハリがあり、4階4列目中央あたりの席では楽器の分離もよく、これという不満は無かった。でも多分こちらの聴力が衰えてきており、本当の音は聞こえていないだろうから、すべて個人の印象でしかないが、最後の三重唱は美しく聴きごたえがあった。
【指 揮】サッシャ・ゲッツェル
【演 出】ジョナサン・ミラー
キャスト
【元帥夫人】アンネッテ・ダッシュ
【オックス男爵】妻屋秀和
【オクタヴィアン】小林由佳
【ファーニナル】与那城 敬
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】森谷真理
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】大塚博章
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】濱松孝行
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】青地英幸【テノール歌手】宮里直樹
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】土崎 譲
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】多摩ファミリーシンガーズ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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ローエングリン 東京・春・音楽祭 2022  [オペラ(国内)]

 3年ぶりに開催された東京・春・音楽祭 2022年は、Wagnerシリーズ第13回目になる。
2014年にヤノフスキーのリングが始まり、音楽祭の連続性が担保されたように感じる。マエストロの巻頭言を読んで、仰っる通りだと思う。この先ヨーロッパの音楽活動は、コロナ禍以前には戻らないかもしれないと覚悟した。
 東京春祭でのローエングリンは二度目で、2018年はフォークト だった。コロナ禍でトリスタンとパルジファルが中止となり、シャーガーは過去2年間キャンセルになっている。
 上野で聴くWagnerに一喜一憂して10年が過ぎたが、今年はオケが若返った印象だった。今年はN響のゲストコンマス白井圭がゲストコンマスだった。白井さんは全員と直にコンタクトをとり、そのがっちり束ねた糸を撚り上げてオケの音をつくる感じが、私は好きだ。日本にもようやく、情熱を見せつけてくれるオケが出現したようで、こういうヨーロッパ風のオケが増えれば、もうドイツまで遠征せずとも、落ち着いて老後が送れるかもしれない。
 と言っても、今日の演奏については、やはり1幕のキラキラ感が足りないと感じた。ヨーロッパでは、基本、音楽が神様に届くよう、教会の尖塔まで、音を高く上げようとしているように感じる。やはり、日本人の苦手なところではないだろうか。一方2幕のオルトルートとテルラムントの場面は、よく練習してあるのが分かる。テクニカルな演奏にN響は燃えるのだと思う。
 N響のベテラン弦奏者が、熱演する様子も心地よい。お仕事モードから脱したようで、今N響を聴くなら、コンマスが白井さんの時が好い。
 ヤノフスキー氏が日本を活動の場として気に入ってくれたことは有難い。もう一つ、今年の幸運は、バイロイト音楽祭の前の合唱指揮者のフリードリヒ氏が日本に指導に来てくれていたことではないだろうか。舞台でお姿を拝見するまで来日されていたとは知らなかった。歌手は代役が多かったが、遠いアジアの果でのワーグナー経験を、各々のステップアップにつなげていただきたいものだ。公演直前の交代は、ロシア人のツィトコーワだった。言うまでもないが、残念だ。
 ローエングリンは、やはりVogt の美声が聴きたいのが本音だ。いつどこで聴いても完璧に歌ってくれるVogtは、本当に凄いと益々思うようになった。
 2023年のプログラムはマイスタージンガーの予定で、8人のマイスターたちを選ぶはオーディションは、既に行われている。

東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.13
《ローエングリン》(演奏会形式/字幕付)
東京春祭 ワーグナー・シリーズ

日時・会場
2022年3月30日 [水] 17:00開演(16:00開場)
2022年4月2日 [土] 15:00開演(14:00開場)聴いた公演
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:マレク・ヤノフスキ
ローエングリン(テノール):ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
エルザ(ソプラノ):ヨハンニ・フォン・オオストラム※(マリータ・ソルベルグから変更)
テルラムント(バス・バリトン):エギルス・シリンス
オルトルート(メゾ・ソプラノ):アンナ・マリア・キウリ※(エレーナ・ツィトコーワ(から変更)
ハインリヒ王(バス):タレク・ナズミ
王の伝令(バリトン):リヴュー・ホレンダー
ブラバントの貴族:大槻孝志、髙梨英次郎、後藤春馬、狩野賢一
小姓:斉藤園子、藤井玲南、郷家暁子、小林紗季子
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
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新国立劇場―さまよえるオランダ人(楽日) [オペラ(国内)]

 初演から15年たったシュテークマンの演出に、手を加えた指揮者デスピノーサのコメント動画を見ると、やる気満々だった。入国制限により、指揮者、歌手の交代が余儀なくされ、どうやら、N響の指揮者として来日する(していた?)デスピノーサを捕まえて、滞在延長を交渉したようだ。氏は読響も代理で振っている。シュテークマンとはリモートで初対面し、序曲にハープを入れたいと話したという。公演後に知ったが、マエストロは若い頃6年間ドレスデン・ゼンパーオーパーのコンサートマスターで、当時音楽監督を務めていたたファビオ・ルイージと出会い、2008年指揮者に転向した。
 以前なら、この軽さはヴァーグナーではないと嫌っていたかもしれないれが、実際演奏はイタオペっぽく、符点は、はずむスキップのリズム、重厚さも暗さも感じず、却って今はよかった。コロナ禍で心沈みがちな上、ことさら陰鬱な気分にならずにすむ。オケの中音域が薄く、音の厚みが無い分、個々の楽器の音がよく聞こえる箇所もあって、ティーレマンほど美しくはないが、今日の傾向として、重苦しさは和らいでいた。
 席は4階一列目、マリーの代役として舞台袖に立って歌って下さった金子美香さんの声は、ちょっと聞こえにくかった。演技者は殆ど後ろ向きだったので、声が聞こえなくてもよいという設定なのだろうか。海外では舞台の端で、マイクまで立てて、楽譜を見ながら堂々と歌うのを聴いたことがあり、やはり、姿が見えた方が聴衆としては嬉しい。金子さんは、東京の春音楽祭の子供のためのワーグナー(オランダ人)で、マリーを歌っている。
 合唱は上手だった。2幕の女性合唱はとても綺麗でバイロイトを思い出す。3幕幽霊船の合唱の録音はいつもどおり4階後方のスピーカーから流れたが、激しくずれることもなく、4階の客席で聴くのには良い感じだった。
 今回は指揮者の意向で、序曲にもハープが入り、初めから救済ありの未来を暗示する演奏。
 日本人の歌手陣は、コロナ禍の交代で出番が増え、自信をつけられたのではないだろうか。河野さんの声はオランダ人のイメージに合っていた。ゼンタのバラードは、前半のGのアウフタクトの鋭い感じが、これまで体験した歌い出しとは違い、太くて、広がった声の印象だった。2022年のオランダ人がイタリアっぽい公演になったことは、時代の流れのようでもあり、新国立劇場にとっても、一つの転機のような気がした。
【指 揮】⇒ガエタノ・デスピノーサ
【演 出】マティアス・フォン・シュテークマン
【ダーラント】妻屋秀和 (予定通り)
【ゼンタ】⇒田崎尚美
【エリック】⇒城 宏憲
【マリー】⇒山下牧子⇒金子美香
【舵手】鈴木 准 (予定通り)
【オランダ人】⇨河野鉄平
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新国立劇場 ニュルンベルクのマイスタージンガー③ [オペラ(国内)]

 楽日の席は4階4列の端、座ってみると、妙に体になじむ席だった。コロナ以前、次第にD席が買いにくくなり、ストレス低減のため、C席を買うようになったが、4階1、2列の視界はあまり良くない。4列まで離れると舞台が一つの画面サイズになり、却って舞台の様子がよくわかる。長年見てきた視界だからかもしれないが、それなりに見やすい。前の週の三階席の観劇は予定外だったが、最終日はベックメーッサをできるだけ追ってみた。
 エレートは本当に演技も上手で、2幕最後の喧嘩場面で殴られるスローモーションが素晴らしい。怪我して足を引きずる姿もリズム感も最高だ。
 3幕最後、シュトルツィングの歌を聴き、盗んだ歌詞の書いてある紙を取り出し、先週の日曜は、そうか、なるほどと、紙を叩いたり、うなずいたり、シュトルツィングを称賛しているように見えたが、この日は、頭を抱え、おでこを平手打ちして、自分の失敗を悔いているような、落ち込んだ様子を演じていたように見えた。近づいてきたシュトルツィングの眼差しにも答えず、一切目を合わさずうつむいていたと思う。毎回演技を変えているのかもしれない。
 このシュトルツィングは、これまで私が観たマイスタジンガーの中で、特に気が荒いタイプだったので、幕切れは当然の成り行きだろう。
 平日の楽日の公演はめったに来ることが無いが、歌手陣は伸び伸びと歌い演技していたようだ。
 伊達さんは、絶好調。Vinke は結局ずっと苦しそうで、3幕Morgenlich...の歌いだしは3日とも声が出なったが、最終日のVinkeは歌量があがり、歌いながら踊ってった。(クルリと回転した)前に気づかなかっただけなのだろうか、楽しそうに見えた。3幕の五重唱は、音程も音量的にも、最終日が一番よかっと思う。バイロイトではプロダクションの最終日にアドリブが入るが、歌手が楽しんで帰ってくれれば、嬉しい。
 終わってから二日たち、確認したい内容もあって、お口直しに、バイロイトのコスキー演出のマイスタジンガーの一幕を少し見た。一幕の登場人物たちの心理が細やかに表現されていて、確かにマイスターたちは、初めシュトルツィングの新しさに目を見張っていたが、途中から自分たちの立場を危ぶみ、守りに入ったことが有り有りと見てとれた。聴覚より視覚が優位に立ってしまう舞台だったが、映像として楽しむには素晴らしい。
 他のプロダクションでは、ハンスザックスが民衆のマイドコントロールをできる存在であることに焦点を当てたカテリーナW演出が過去にあったが、その要素が潜んでいることは確かに作品中に感じる。また、劇中劇で3幕がケルンの劇場前のお祭り場面だった演出もあり、多分自分たちの生活、実社会の問題に直結している舞台作品なのだろう。どこの町の話にでも転用できると思えば良いのかもしれない。
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新国立劇場 ニュルンベルクのマイスタージンガー② [オペラ(国内)]

 二度目は、4日目の公演、3階席だったので、舞台の中の動きがかなり見えた。やはり、この劇場のキャパシティに適した舞台演出があるのだ。マイスタージンガーのように個々の登場人物を見たい場合、4階席で肉眼では、自分には難しい。ずっとオペラグラスを覗いていなくてはならない。できれば、これくらいの距離で見たいものだ。しかし、¥17,820散財するのは苦しい。日本は芸術活動に対する公費補助が少ないので、オペラチケットがとても高い。
 席の関係なのか、音楽は先週より格段に良いと感じた。特に静かな場面の表情は美しい。大音量になると、やはり音が汚い感じがしてしまう。
 3階席からなら「観劇」したと言える気分だ。マイスタージンガーは人間像が伝わって来ない席ではつまらない。例えばザックスとエーファが、歌だけで思いの全てを表現できる域に達するのは難しい。やはり演技も見たい。
 一つ大事なことが視界に入った。3幕最後、ベックメーッサーはシュトルツィングが歌っている間、自分が盗んだ歌詞が書かれた紙を見て、なるほどとうなずいていた。そこに敵意はなく、参りましたと言った感じだった。
 劇中劇のアイデアが利用しやすかったところは、二階に道具部屋や、化粧部屋を設定できたことくらいだろうか。これは4階席からは見えない。2幕若い二人が身を潜めてザックスを見ている場所が道具部屋であったり、3幕お祭りの衣装を持って出て行った後、確かに劇場なら身支度する楽屋があるのが自然だ。
 4階からは見えないマイスターたちの写真、2幕最後の大きな月も見えた。だんだん欲深くなり、そのうちドレスデンで、舞台の動きが自然に目に入る距離で見てみたいと思った。この金額を出せば1階最前で、風格あるザックスや、心惑うエーファが見られるはずだ。
 でも、とにかく困難な状況下で、公演が成立したこと、エレート始め、海外から歌手陣が遥々日本へ来てくれたことに、感謝している。
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二期会―こうもり [オペラ(国内)]

 日生劇場へ行くのは久し振りだが、ふつうのオペラ専用劇場に比べても残響が全く無いので、序曲の最初はすごい違和感を感じる。でも慣れてくるとオケの音がくっきり聞こえて、これはこれで結構はまってくるが、オケはごまかしようがなく大変そうだ。
 ハコの規模がちょうど良く(席数1400弱)、歌手のセリフ(日本語)まではっきり聞き取れるのでストレスが無い。新国と違って二期会なので当然全員日本人歌手だが、皆さんスリムな美男美女美声かつ芸達者、大変楽しめた。
 ちょっと残念なのはフロッシュの森公美子。目玉の配役だろうし、本人も張り切っているのは分かるが、話に常套の時事的な話題や世間に対する風刺を入れる訳でもなく、全く個人的な漫談になってしまっていて、しかも長い。それに酔っ払いの演技が何故か途中から全く消えて、単なる独演会と化してしまった。ということで後半が少しだれたが、全体的には十分楽しめる内容だった。
 同じ時間、新国ではマイスタージンガーをやっていた訳で、連れ合いはそちらに行ったのだが、終演の頃私はとっくに家に着いていた。(B)

アイゼンシュタイン 小林啓倫
ロザリンデ 木下美穂子
フランク 杉浦隆大
オルロフスキー 成田伊美
アルフレード 金山京介
ファルケ 加耒 徹
ブリント 大川信之
アデーレ 雨笠佳奈
イダ 内山侑紀
フロッシュ 森 公美子
指揮 川瀬賢太郎
合唱 二期会合唱団
管弦楽 東京交響楽団
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新国立劇場 ニュルンベルクのマイスタージンガー① [オペラ(国内)]

 新国立劇場では2005年以来のマイスタジンガーのニュープロダクション。ザルツブルグイースター音楽祭とドレスデンSemperoper、コロナ禍で8月中止になった東京文化会館の共同制作で、ようやく日本での実現に漕ぎつけた。
 配役交代もたくさんあったが、ヘルデンテノールのStefan Vinkeが、代役で日本に来てくれたことは嬉しい。私には一番多くの回数を聴いた、ジークフリートだ。
 バリトンのThomas Johannes Mayerにとっては、初のハンスザックス役、東京がデビューの地となった。2010年にはStephan Gould が新国立劇場でトリスタンデビューを果たしている。是非今後もロールデビューには批判の少ない東京をご利用いただきたい。
 Vinke のジークフリートは、どちらかというと、太い声で、苦しそうに歌い上げるタイプだが、シュトルツィング役の高音域には難儀していて、何だか申し訳ない。調べてみるとドイツでは10年前までしか、シュトルツィングは歌っていない。やっぱり、声質の違いで、Vogtの高音がいかに美しいかということなのか。以前はVogtと言えばローエングリンだけだったのに、バイロイトのコスキー演出でたくさん聴いたせいだろう、耳に残っているシュトルツィングの声もいつの間にかVogtになっていた。
 歌手陣は皆さん良かった。ダーヴィット役の伊藤達人さんが健闘していたと思う。
 座席は4階一列目、舞台の奥の方はいつもどおり見えないが、今回は舞台上方も見えなかったのが残念、肖像画が並んでいたのも知らなかったし、2幕の二階物置らしい場面も殆ど見えなかった。オペラグラスは使っているが、劇中、手に取っている肖像画の判別もできないし、歌手の表情も部分的にしか分からない。 
 このプロダクションは、全体的に優しい雰囲気の、マイスタージンガーだと思う。見たのは2回目の公演日。ザルツブルグ音楽祭とドレスデンSemperoperでは既に上演されており、ドレスデンのビデオクリップで舞台を見ることができる。劇中劇でSemperoperが舞台になっているのだが、ほんのちょっと見ただけで、諸々差が出てしまうが、日本のプロダクションも優雅に育って行ってもらいたい。マイヤーのハンスザックスはカッコよいが、深みはまだない。その点、経験豊富なエレートのベックメッサーは、このプロダクションにも出ており、遠目にも素晴らしく、やはりもっと近くで観たい。
 初めて、プログラムにザルツブルグとSemperopeの両広告が入っていたのは、ヨーロッパと東京のオペラの距離が縮まったようで、何となく嬉しい。
 オケの第一印象は、4階席での音はがちゃがちゃ騒がしい感じがした。好みの問題だが、出だしから、予想していたより音が汚いと感じてしまった。
【指 揮】大野和士
【演 出】イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
【ハンス・ザックス】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【ファイト・ポーグナー】ギド・イェンティンス
【クンツ・フォーゲルゲザング】村上公太
【コンラート・ナハティガル】与那城 敬
【ジクストゥス・ベックメッサー】アドリアン・エレート
【フリッツ・コートナー】青山 貴
【バルタザール・ツォルン】秋谷直之
【ウルリヒ・アイスリンガー】鈴木 准
【アウグスティン・モーザー】菅野 敦
【ヘルマン・オルテル】大沼 徹
【ハンス・シュヴァルツ】長谷川 顯
【ハンス・フォルツ】妻屋秀和
【ヴァルター・フォン・シュトルツィング】シュテファン・フィンケ
【ダーヴィット】伊藤達人
【エーファ】林 正子
【マグダレーネ】山下牧子
【夜警】志村文彦
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団、二期会合唱団
【管弦楽】東京都交響楽団
【協力】日本ワーグナー協会
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幕間のビュッフェ屋外で再開
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プログラムの広告
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資料室の展示
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新国立劇場 ーチェネレントラ [オペラ(国内)]

 2021/22のシーズンが始まった。コロナ禍が収束するのか、それとも次の感染の波は来るのか、1か月先もわからない曖昧な日常の中で自粛を解除しつつある今、バタバタと落ち着かず、現実感のある話の筋に、どうも気分的に没入できなかった。年齢のせいかもしれない。
 新制作のチェネレントラでは、ヒロイン役メゾソプラノ脇園さんが素晴らしい歌を聴かせてくれた。メゾが主役のオペラは少ないが、本当にスターの風格だ。王子役テノール バルベラ氏も絶好調で、2幕、王子が彼女を見つけ出すと歌う見せ場で拍手が止まず、アンコールに応えてくれた。これはお決まりのアンコールのようで、何度でも聞きたくなる爽やかな美声だ。
 ロッシーニのチェネレントラの舞台は、過去に多分3種類しか観たことがないが、2009年に新国立でも観ていたことをすっかり忘れていた。この作品は喜劇でありながら中身は真面目で、おとぎ話の内容とは違う。クライマックスでは、人の上にたつ人間の在り方を朗々と歌い上げる。冒頭では、貧相なチェネレントラの独り言のような暗い歌声が耳につき、憂鬱な気分になる。脇園さんはそれほど暗さを出されなかったが、ここでいかに鬱屈した気分にさせるかは、ストーリー運びにも関わってくると思う。
 舞台演出は、映画監督がヒロインを公募するという設定のようだが、だからと言って、特別に何か訴えかけて来る感じは無かった。
 始まるなり、オケの音色が暗く感じ、ロッシーニの駆け上がるような軽さが十分伝わらない印象だった。オケピットを浅くしていたそうだが、何故か日本のオケでイタリアものを聴くと、弦楽器のビブラートが下向きに聞こえ、音を高く空中に飛び立たせるような軽さが失われる気がする。
 もし指揮者の城谷さんがチェンバロを弾かれたら、また別の雰囲気になったのかもしれないが、今回の、場面から連想される様々なオペラ名場面集のようなチェンバロ演奏について、客席の受けはよかったが、個人的には、引用されたあちこちの作品へ、一瞬気持ちが飛ぶことで、舞台が中断されてしまう違和感があった。自分にとっては意外で、ちょっとやりすぎな感じだった。ただ勝手に普通の演奏を期待していただけなのだが・・。
 真面目さが混ざった喜劇は、舞台表現が難しいと今回気づいた。途中のドタバタとクライマックスのギャップが大きく、もし台本通りに聴き手へメッセージを伝えたい場合、ラストの歌唱だけに頼ることになるのではないだろうか。
 急な交代で登場した指揮者城谷氏は、きっちりと役目を果たされたと思う。
【指 揮】城谷正博
【演 出】粟國 淳
【ドン・ラミーロ】ルネ・バルベラ
【ダンディーニ】上江隼人
【ドン・マニフィコ】アレッサンドロ・コルベッリ
【アンジェリーナ】脇園 彩
【アリドーロ】ガブリエーレ・サゴーナ
【クロリンダ】高橋薫子
【ティーズベ】齊藤純子
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二期会 魔笛 [オペラ(国内)]

 2月の二期会公演タンホイザーを聴いた後、秋からの5演目セット券を一組衝動買いした。割安感があったが、やっぱり色々用事が出来たり、キャスト不明のまま曜日で買ったので、他にもう一日買わねばならない公演も出てきた。
 この魔笛は2015年がプレミエで、今年初再演らしい。序曲の間の導入部分の舞台は、5階正面ではよく見えなかったが、本編に入ってからのプロジェクションマッピングの背景はとても良かった。本物の舞台美術を作るのと、このような映像と、どちらの方が経済的なのか分からないが、今や仮想現実を体験するのは日常的なことなので、演出が全て映像になっても、むしろリアルで自然に見える。特に魔笛の演出は原作通りであれば、およそ想像通りだ。一時代前話題になったベルリン・コーミッシェオパー(コスキー演出)の魔笛とはまた違う、リアルで立体的な舞台だった。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2013-01-06
 この演出はジングシュピールの場面は自由に変えていた。リンツと共同制作なので、ドイツでもこのセリフでやっているのだろう。二幕ザラストロの演説で、タミーノは王子でなく、一般人であることを強調し、世界では、戦争している地があることを憂いている。
 女性のシュレキーテさんの指揮は、きびきびとして、軽やかで心地良かった。読響も上手だし、歌手も頑張っていたし、魔笛はもっと頻繁に再演すればお客さんは入るような気がする。自分自身久しぶりの魔笛だったので、楽しいひと時だった。

指揮: ギエドレ・シュレキーテ
演出: 宮本亞門
ザラストロ 斉木健詞
タミーノ 市川浩平
弁者  河野鉄平
僧侶I 的場正剛
僧侶II 澤原行正
夜の女王 高橋 維
読響
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新国立劇場―ドン・カルロ(楽日) [オペラ(国内)]

 ドン・カルロも他のヴェルディ作品のように、場面の明暗に関係なく音楽が美しい。それで歌詞より音楽を聴いているうちに、話のつながりが分からなくなってしまったことがある。新国立劇場のドン・カルロは2006年のプレミエ以来だが、その後、少なくともドレスデンとハンブルクで見たことはあった。しかし、ドイツのイタオペには期待できず、ウィーンまで南下しないとイタリアの音色は味わえないと思っている。
 友情のテーマを皮切りに、たくさんの美しいメロディーが耳に残っている。また、宗教裁判官のテーマは、自分のイメージでは、タンホイザーの最後、教皇が自分の杖が芽吹かない限り救われない、という場面と共通する恐怖感が押し寄せて来る。
 4幕版で休憩は一回、場面が度々変わり、音楽も途切れるせいか、前半が長く感じた。後半3幕以降は、内容がシリアスで、佳境を迎え、歌手も力が入る。前半はロドリーゴ役の高田さんの声量が目立ち、題名役はちょっと物足りなかったが、後半に入ると充分したテノールの美声が4階まで響いていた。3幕冒頭フィリップ2世役妻屋さんの見せ場も素晴らしいく、王の悲哀が伝わってきて、舞台に惹きこまれた。エリザベッタ役はソフトな声から後半はドラマチックな声まで幅広い歌唱が要求され、小林さんはコロナ禍の中、益々絶好調だ。3幕の四重唱もしっかり聞こえたし、音程が気になる歌手はいたが、相殺すれば、なかなか楽しい舞台だった。妻屋さん、高田さんなど、普段海外で活躍されている歌手が、コロナ禍故、日本に留まって下さるのは有難く、公演を続ける新国立劇場の強さにも誇らしい思いがする。
 オケは多少気になった。流れが良く、さすが、イタリア人指揮者だと思うが、金管の音量ばかり轟き、音質が付いてこない感じで、随分と声をかき消していた。確かにイタオペの楽譜はfffなどfの数が多いが、出てくる音の質感、音の勢いと音が向かう先など、なかなか理想通りには行かないものだ。
【指 揮】パオロ・カリニャーニ
【フィリッポ二世】妻屋秀和
【ドン・カルロ】ジュゼッペ・ジパリ
【ロドリーゴ】髙田智宏
【エリザベッタ】小林厚子
【エボリ公女】アンナ・マリア・キウリ
【宗教裁判長】マルコ・スポッティ
【修道士】大塚博章
【テバルド】松浦 麗
【レルマ伯爵/王室の布告者】城 宏憲
【天よりの声】光岡暁恵
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『ニーベルングの指環』ハイライト特別演奏会 [オペラ(国内)]

 海外から来日できなくなった音楽家が続出する中、飯守泰次郎傘寿記念、シティフィルのリング公演のため、入国時2週間の隔離を経て、バイロイト歌手3名が出演してくれた。コロナ禍の中でこの企画を知ったとき、まさか一人のキャンセルだけで、緊急事態宣言下、これほど盛り上がる公演になるとは期待していなかった。実現されたことが、とにかく素晴らしい。チケットは座席の半数のみ販売して、めでたく完売御礼。
 久しぶりに、広く音楽関係の友人たちに出会い、休憩時間の会話を自粛せよと言われてもそれは難しい。ロビーは密にはなっていなかったが、グループで会話する横を、会場係の方が注意喚起のプラカードを掲げ、軽く会釈して通って行った。
 席は3階サイドだったが、特にコニエチュニーの声が轟いていた。自然な演技は舞台を盛り上げる。途中、拍手や歌手の出入りで進行が中断されても、大きな違和感は感じない。実際は作品のごく一部しか演じられないので、先に飛んだ時、カットされた、たくさんの場面が蘇る。
 ワルキューレの騎行に歌は入らず、ホヨトホー!の旋律がVnで演奏され、歌手への音量配慮も無用、オケはエネルギー全開だった。全曲通じて、オケが思いっきり鳴らしていることが多く、抜粋の演奏会形式ならではの、不満解消のような、ちょっとした興奮状態に誘導された。
 シュテファン・グールドは、ジークフリートとして、いきなり最初が1幕の鍛冶の歌で、観客を喜ばせ、大きな拍手を受けていた。3幕3場を歌っても余力が有り余り、黄昏3幕小鳥の回想も力強い歌唱だった。
 ダニエラ・ケーラーは、今年バイロイトで歌うヴァルキューレの一人。さらに期待が膨らむブリュンヒルデだと思う。金子美香さんは、バイロイトでヴァルキューレを歌った方、現地ではよく聴き分けられなかったが、ラインの乙女の、若々しく可愛らしい透明感のある声が耳に残った。
 もしかすると、1階席では歌手陣の声量の差は気にならないかもしれないが、3階まで離れると、日本人との差は紛れもない現実だ。
 この日、知人だけでも、初リング体験という人が何人もいて、コロナ禍の中、忘れられない公演になった。たとえ抜粋でも、ヴァーグナーの音楽は素晴らしい。短くも、幸せな4時間半だった。公演関係者全ての方に感謝してます。

 座席は一列おき、ブロックでは、市松模様。自分はブロックでは2列目だが、1列目、3列目は全部空席、席移動は不可。一階席で杖をつきながら遥々移動したお年寄りが、元の席に戻されるのが見えた。しかしその直後、暗転してから移動した人は見逃された。

指揮:飯守 泰次郎(桂冠名誉指揮者)傘寿記念
ブリュンヒルデ:ダニエラ・ケーラー 
ジークフリート:シュテファン・グールド
アルべリヒ、ヴォータン、グンター:トマス・コニエチュニー
ハーゲン:妻屋秀和
ミーメ:高橋 淳
ヴォークリンデ:増田 のり子
ヴェルグンデ:金子 美香
フロースヒルデ:中島 郁子

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休憩 2回15:00、16:30 各30分
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新国立劇場 ー夜鳴きうぐいす/イオランタ [オペラ(国内)]

 京王新線が事故で止まっており、久々に新宿から歩いた。甲州街道沿いのお店が、以前と結構変わっていた。一応13:30開通予定と駅員さんは言っていたが、開演は10分程遅れ、終演時間はほぼ予定通りだった。
 コロナ禍でも諦めない、リモートによる演出家参加の、美しいニュープロダクションは、ロシア語のメルヘンオペラ 二本立て、新国立劇場では初の試みだ。完成度に不安なく、新国立劇場の実力が上がってきていると思う。楽日に鑑賞したが、チケットは全席発売したので、残席確認はしなかったが、4階席は満杯だった。
 演出は、ストーリー通りで、夜鳴きうぐいすのいる暗い森は、ジークフリーと森の小鳥を連想させた。イオランタはシンプルな舞台で、感染対策として、どちらも歌手が向かい合って歌うことはない。昔のオペラ映像では、歌手が客席を向いて歌うのが普通だったので、横並びで歌い、接触なしの演技に工夫していることが2021年の記憶となるのだろう。
 メルヘンオペラといえば、ヘンゼルとグレーテルしか見たことはなかった。ストラビンスキーのle Rossignol、チャイコフスキーIolanta、どちらも題名だけは過去にドイツの劇場の上演リストで見たことがあったが、一晩費やしてみようとは思わなかった。今回指揮者が高関先生に変更されなければ、本気で聴かなかったかもしれない。オペラではオケの手堅さが、聴く側の安心感に直結する気がする。
 予習として、夜鳴きうぐいすの方はスコアを追うユーチューブで聴いた。なるほど始まりは火の鳥に似ているし、劇場でも整然と演奏され、きれいな曲だと感じた。
 イオランタは、英語字幕付きの小さな舞台をユーチューブで見ておいた。生で聴くとずっと美しい音楽で、さすがメロディーがあふれ出てくるチャイコフスキー、イタリアオペラのような美しい重唱も音楽はチャイコフスキーだ。高関先生はよくハープをきかせるので、とても美しく、金管もかなり派手に聞えていた。
 メルヘンの台本としては、イオランタは後半が重すぎて、イオランタがヴォテモン伯爵に出会ってからの急激な変化に、ちょっと戸惑う。童話でなければ、罰せられるべきは、秘密をばらした伯爵より、許嫁でありながら、イオランタ以外の女性を愛するロベルトではないかという気もする。あっさり眼の手術も成功してハッピーエンドではあるが、メルヘンといえども、現代では差別に通じかねないお話で上演しにくいのではないだろうか。
 うぐいすも、機械仕掛けのうぐいすを皇帝に献上する日本の使者の演出に、日本を小馬鹿にしたような皮肉を感じないわけではなく、あえて、中国と日本の関係に今こんな形で光を当てることもないような気がする。
 勿論、両作品とも純真な心の尊さを歌ったものではあるが、ストーリーの枝葉の部分を台本通りでなく、現代に合うようアレンジしても良いのではないだろうか。
 題名役のお二人、三宅さんも、大隅さんもとても素晴らしい。国王役妻屋さんは、さすが役柄通り、舞台を引き締めてくれた。この二作は、日本人キャストのレパートリーとして残すのもいいかなと思う。
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ヴァルキューレ新国立劇場2021 アッバス版 [オペラ(国内)]

 珍しいアッバス版ヴァルキューレを聴いた。アッバス版については指揮者大野氏がYouTubeで詳しく説明している。
 https://www.youtube.com/watch?v=ZeCIPrFPMQ8
 Alfons Abbassはマイニンゲン劇場の1Vn.Vla奏者だったが、後に音楽監督になった方らしく、コーブルク劇場でリングチクルスが上演された時(1906-7年)、リングとパルジファルの縮小サイズの版を何種類か作ったらしい。
 https://gruen.blog.ss-blog.jp/2012-07-08-3
 最近では2017年、客席数1,000席のアン・デア・ウィーン劇場(Theater an der Wien)で使用され、若い人にも関心を示してもらえるようにと、四夜にわたるニーベルングの指環を短く改編し、三夜(三部作として休憩込みで、初日ハーゲン編3時間15分、二日目ジークフリート編4時間半、三日目ブリュンヒルデ編4時間と、一晩一人ずつ描く視点で)の物語として、次世代に向けたDie Ring-Trilogieと名付けた。指揮はトリンクスで楽譜はアッバス版を用いた。
 https://www.theater-wien.at/en/programme-tickets/production/765/Hagen 
 音楽も4夜をミックスして3夜に編集してあるらしい。  
 http://www.omm.de/veranstaltungen/musiktheater20172018/WIEN-TW-ring-trilogie.html
 新国立劇場では、フルート4→3本、他の木管楽器は4→2本、ピッコロ、コール・アングレ、バス・クラリネットは2番奏者が持ちかえなので、2番奏者は大変忙しい。ホルン8→4本、トランペット3→2本、バストランペット1本、トロンボーン4→3本、チューバ1本、ハープ6→2本、ティンパニー2→1、打楽器、弦16→12型、Cb5本は結構な低音のヴォリューム。スコア上足りない音は新国立劇場で独自に書き足した。ワーグナーチューバは無い。
 劇場により、ヴァルキューレの出だしは案外、全体の雰囲気を暗示するものだが、第一印象は、音が透明でフランスのオケみたいな明るい感じがした。低弦の音の粒がはっきり楽譜通りに聞こえ、合わせることに専念したせいか、音の躍動感は無かったが、まあ、ドイツ以外ではこんな軽めの演奏もある。2幕以降はオケがまだ練習途上で、事故も多く、音としては、カンマームジーク風ヴァルキューレとう感じか。小劇場ではこんな代用をしていたのかと想像しながら聴いた。恐らく最終日くらいには、楽譜にも慣れ、タイミングよく演奏できるのではないだろうか。2幕はオケの音量をかなり絞っており、歌いやすいかもしれない。
 ジークムントが1幕と2幕で交代するというのも初めてだ。村上さんは、明るい声で、イタオペなら素晴らしいと思う。でも多分ドイツ語で歌うことはあまり無いのだろう。語尾の子音が出ないせいなのか、歌うのが苦しかったのか、一幕終盤、盛り上がってくると、端折りぎみで、どんどんテンポが速くなり、オケがついてけなくなった。
 2幕の秋谷さんは、暗めの重い声で、村上さんとお互いカヴァーするのは難しいように感じる。これまで、1幕と2幕でジークムントのキャラクターが変化するのは自然なことと思っていたが、まるで別人のように変貌、成長するジークムントをトータルで歌うことが、いかに難しいかと、気づかされた。
 ジークリンデ小林さんは声が生き生きしていて、可愛いらしさがあり、ヴァーグナーをもっと歌っていただきたい。藤村さんは、堂々たる神の風格が漂い、久しぶりに聴かせていただいたが、女神フリッカ像に感動した。自分の年齢が上がったせいか、初めてフリッカに思いが至った。ヴォータンはやはり要なので、しっかり役割を果たしてくれて、来日していただき感謝だ。そして池田さんはやはり凄い。経験を重ね、歌も演技も深みのある日本のブリュンヒルデだった。益々期待のふくらむワーグナー歌手だ。
 結局、最後はこの作品の素晴らしさに落ち着く。距離をとる演出かと感じる場面もあるが、コロナ禍で、今後新演出は変化するだろう。オリジナル通りの、ヴァーチャルリアリティ演出など見てみたいものだ。
 先日のタンホイザーも好かったが、やはり作品の好みで自分の気持ちが動いてしまう。残り3回の上演の完成度が上がると信じ、見守りたい。
 コロナ禍の中、ヴァーグナーが上演される日本は素晴らしいが、あえて、劇場の事情として気づいたのは、収容率50%の件、最初の頃は一席おきに販売していたが、ヴァルキューレでは4階席の販売席数を絞ったようで、3、4列は殆ど空席、一方1階席中央部は満杯だった。自分は4階一列目。
 劇場のHPに掲載されてはいるが、休憩時間のペットボトル販売もなく、ロビーでの飲食も原則禁止。緊急事態宣言下、日曜に5時間聴いて夜7時過ぎ終演だと、夕食難民も出かねず、せっかくのヴァーグナーの余韻も失せる。緊急事態宣言が3/7に終了することを予想し、チケット追加販売予告のハガキまで送ってくれて、50%のままでは気の毒だ。ひょっとして3/21解除になったら最終日だけ追加販売するのだろうか...
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タンホイザー 二期会② [オペラ(国内)]

 タンホイザー楽日、前日と別キャストだが連れ合いは高崎の岡本侑也リサイタルに行ったので、私一人で行ってきた。
 連れ合いはダブルキャストでの公演の質を気にしていたが、その辺はあまり気にならなかった。むしろ個性が現われて、聴き比べには良かった。
 タンホイザーは、迫力・声量では片寄さんだが、芹澤さんは3幕の確かな演技力でしっとり聴かせた。ヴェーヌスは池田さん貫禄勝ちか。ヘルマンのベテラン・長谷川さんは少し惜しかった。
 演出は細かくいろいろやっているようだが、今一全体像が良く理解できない。幕ごとに出てくる子供や、床に散らばる紙片、それを妙に気にする ヴェーヌスやヴォルフラムなど…
 かつてトーキョー・リングでのウォーナー演出は、分からない部分が様々な解釈を呼んでそれなりに楽しかったが、今回はそういう感じでもない。コロナ禍でドイツとのリモート演出だったそうで、苦労されたとは思うが、消化不良は免れない。
 読響は、前日公演では序曲からバッカナールに掛けてどうなったかと思う出来だったが、今日は修正されていた。ともかくこの時期ワーグナー公演ができるということだけでも、感謝しなければならない。(B)
演出:キース・ウォーナー
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
ヘルマン:長谷川 顯 タンホイザー:芹澤 佳通 ヴォルフラム:清水 勇磨
ヴァルター:高野 二郎 ビーテロルフ:近藤 圭 ハインリヒ:高柳 圭
ラインマル:金子 慧一 エリーザベト:竹多 倫子 ヴェーヌス:池田 香織
牧童:牧野 元美 4人の小姓:横森由衣・金治久美子・実川裕紀・長田惟子(全日)
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タンホイザー 二期会 [オペラ(国内)]

 本公演はダブルキャストで、聴いたのは題名役が片寄氏の土曜日の方。片寄さんの声は良く通り、美しい。幕が進むにつれて舞台は良くなり、2幕3幕は音楽も盛り上がって、ローマ語りで頂点に達したと思う。しかしながら、舞台は生もの、1幕はどういうわけか音程が悪く、ヴァルトブルグで騎士たちに出会うまでの舞台は言いようのない状態だったと思う。オケも調子が出ない。指揮者が穏やかな音楽づくりが得意な印象なので、ヴァーグナーはどうなのかなという気もしてきたほど。
 弦の人数を減らしてピットを広く使い、ピット上舞台の高さで左右に紗幕を張り、左にハープ2台と大太鼓(に見えた)、右は2幕の歌合戦のファンファーレのバンダ席となっていた。序曲に続くバレーの場面(バッカナール)は、必ずしも、皆が大好きとは限らず、今回はどんな事情があったのか、残念ながら、動きがない音の羅列に感じられた。比較してよいかどうか、ペトレンコや、ティーレマンはこの部分の音楽にとても工夫をこらしている。
 個人的には、好かったのはヴォルフラムで、舞台を引き締め、リードしていたと思う。
 コーラスは、見たところ、人との間の距離をとっており、三澤先生のご指導で、新国立劇場のように美しく声がそろい、素晴らしかった。
 もう一方のキャストの出来栄えがどれ程なのか分からないが、ダブルキャストで舞台の質が下がるのだとしたら残念なことだ。二期会はめったに聴く機会がないが、経営はどこも大変なのだろうが、せっかく大掛かりな舞台上演するなら、もう一歩、上を目指していただきたい。
 タンホイザーは男声合唱が本当にすばらしい作品だ。席が5階で、キース・ウォーナーの舞台演出は、よく見えなかったが、別に構わないという気分。演出補のキルシュバウムさんが、バイロイトからリモートで指導したという話を聞いていたが、周囲から演出に関する良い感想は聞かれなかった。
 最後は音楽も高揚し、やっぱりヴァーグナーを聴けて好かったと思った。日本に長期滞在しているマエストロに対しては、ここまで引き上げてくれたことへの感謝と、日本のヴァーグナーはまだこの段階です・・という恐縮な思いとが、ないまぜな心境だ。

演出:キース・ウォーナー
指揮: セバスティアン・ヴァイグレ
ヘルマン 狩野賢一
タンホイザー 片寄純也
ヴォルフラム 大沼 徹
ヴァルター 大川信之
ビーテロルフ 友清 崇
ハインリヒ 菅野 敦
ラインマル 河野鉄平
エリーザベト 田崎尚美
ヴェーヌス 板波利加
牧童 吉田桃子
4人の小姓 横森由衣(全日)
金治久美子(全日)
実川裕紀(全日)
長田惟子(全日)
東京文化会館
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