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バイロイト音楽祭―ヴァルキューレ [オペラ(海外)]

 当日券に並び、4枚出た4人目で、パルケット15列目という、好みの席が回ってきた。 舞台はテキサスのモーテルから、旧ソ連 アゼルバイジャンへと変わった。相変わらず映像を出すスクリーンは登場するが、色々工夫がこらしてはある。舞台設定を説明する映像も流れる。後で調べたら、バクー油田の石油を掘る機械が3幕で、登場し、パイプラインや、鉄道など、かなりリアル。ラインゴルトのモーテルも、ガソリンスタンドがあり、車も動きとても具体的だ。
 座席の良さもあると思うが、ラインゴルトと打ってかわって、ヴァルキューレは、とても堂々した演奏となり、一幕の美しい場面は最高にピュアに、泣けるほど美しく、二幕の、ブリュンヒルデが、初めてジークムントの前に現れる場面も、情感たっぷりで、満足だった。勿論三幕の告別のシーンも、音楽が気持ちを正直に語っているようで、もう終わってしまうのかと、名残惜し気分だった。
 一つ気の毒に思ったのは、歌手が俳優並みの細かな演技を要求され、顔もアップで撮られるので、歌に集中できるのだろうかという点だ。それとも、あの映像は全部録画なのだろうか。カメラを敢えて使うということは、リアル映像なのかとも思い、良く分からない。
 今回高所恐怖症の歌手は、大変だと思う。実は二幕のカーテンコールで、ブリュンヒルデ役のフォスターにブーが出た。私は一応黄昏GPを聴いているので、まだ2幕だし気にならなかったが、上記のシーンで、大きな女性に梯子を降りてきて、柱に捕まって大事なシーンを歌わせるのは、どうなのだろうという気がする。勿論歌手も演技が要求されるのはわかるが、全員俳優並みだ。2幕では、先輩に花をもたせ、彼女は3幕で、本領発揮し、ブラボーを受けた。
 1幕主役のヨハンボータ、アニアカンペ二人とも、素晴らしかった。特にジークリンデの優しさのある声に、一番の拍手が集まった。ジークムントは、体型的に、演技するのは難しいが、歌は素晴らしく、最高水準の一幕だった。ヴォータンも、思えば細かな演技が歌に影響しているのかもしれない。
 これまで、色々見てきた各地の演出の中で、普通に舞台で見てきたものを出さず、個人が自由に想像する場面をカメラ映像で敢えて限定的に提供するという経過になってる。オイル(指環)を有する者が世界を支配するという方向で、話が進んでいくようだ。
 メルケル首相ご夫妻は、ラインゴルトも、ワルキューレもプライベートで、いらしているそうで、私もこの日、2mの距離でご夫妻のご尊顔を拝した。信じられない。
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バイロイト音楽祭―さまよえるオランダ人(初日) [オペラ(海外)]

 プレミエのチケットを持っている時に、赤絨毯の見物人になるのは、これで最後にしようと思う。今年は一列目の場所を取れたのに、非常識な東洋人学生グループ(日本人ではない)が、無理やり手すりを掴んで、体を隙間に入れてくるという力技に抵抗せねばならなかった。失礼だから手を放してと言っても無駄で、食い込んで来る手が二本になり、後ろから押され、肋骨が痛くなり、もう懲りた。
 オランダ人の座席は、パルケットの一番上の扉で端の方の席だったので、オケがかなり響いて、大きく聞こえた。歌が消されてしまう席があるのを体験し、値段にはそれなりの理由があると、納得した。
 新しく変わったと感じたところは、二幕の女性合唱のテンポを落とし、僅かな乱れも起きないよう、しっかりコントロールしたことと、二幕、三幕の、コーラス場面で、女の子や水夫という庶民の歌声を、オペレッタのような弾む音楽にしたような印象を受けた。勿論、イタオペのような、とてもロマンチックで美しいところに、さらに新しい要素が加わったような感じがした。
 先般のLiebesverbot が好評だったので、ちょっとやってみたのか、映画館で放映されるので、本当に美しい音を伝えるより、楽しい雰囲気を演出したのかな、など想像をめぐらすが、私としては、その日、その時提供された音楽を、素直に受け入れたい。(G)
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