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Fränkische Schweiz散策 [ドイツ]

 休演日にFränkische Schweizをドライブした。空いている道道、最高だが、村々に入ると、曲がりくねった細い道で、相当な注意が必要。それと、ノンアルコールビールしか飲めないのは、致命的。
トゥルナウ
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ブルグ ポッテンシュタイン
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トイフェルスヘーレ(鍾乳洞)
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ゲスヴァインシュタイン
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バジリカ
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トゥッヒェルスフェルトのフランキッシェシュヴァイツ博物館
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ラインガウ音楽祭ーグリゴリー•ソコロフ [コンサート]

 朝バイロイトを立ち、ニュールンベルクでラオホビアーを飲んでから、鉄道でフランクフルトへ。到着後、Sバーンでヴィースバーデンのクアパーク行き、幻のピアニスト、ソコロフの演奏を聴いた。クアパークは、駅前からバスで10分ほどの立派な施設でカジノもある。
 (B)は子供の頃、日本で生演奏を聴いて以来、私は初めて聴く演奏家だった。
 何と表現したらよいのだろう。偉大な音楽家は、何の楽器を演奏するかということに意味を持たないような気がした。ピアニストであっても、出てくる音、流れる音楽そのものが、自然の中の音の再現のように感じる。そんなとき、その音楽は、最高に美しいと感じる。楽器を操っているという次元を超え、たまたまその楽器を通して、根源的な世界の音を、音楽で表現することを許される、数少ない芸術家だと感じる。1950年生まれとのことが、見た目より、物凄いエネルギーがあり、音楽が全く途切れない。ミスタッチも皆無で、音量もppからffまで、一瞬たりとも濁ることはなく、プログラム前半だけで、演奏会を終えても良いくらいの、充実感だった。後半のベートーベンも何故あんなにロマンティックに演奏できるのか、不思議なほど、いとも楽々と自由に、奏でる。
 個人的には、情緒的な、特にメランコリックな表現に心を揺さぶられた。人の様々な感情を音で表現できる音楽家だと思う。演奏会は二時間半続き、時間が気になる人はアンコール途中で会場を出たが、その後、人の動きはなく、相当アンコールが続いたと思う。
 どんな風だったか、演奏中の感動を、後で言葉にできないのは、その場の大きな引力に身を任せていたせいだろうか。満ち溢れたソココフエネルギーのせいだろうか。一瞬一瞬があまりに美しくて、言葉が残らなかった。(G)
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バイロイト音楽祭―ジークフリートⅡ [オペラ(海外)]

 10時半からコアザールのDr.フリードリッヒの解説を聞きに行くつもりだったのに、うっかりしてしまい、問題のジークフリートの舞台説明を聞くチャンスを逃してしまった。
 何故ワニが出てくるのか、聞けると思ったのに、残念だ。ファーフナーをカラシニコフで連射したり、ミーメをナイフで刺す殺し方も、現実そのものなのに、最後に突然出てくるワニの位置づけは何だったのだろう。
 二幕、森の中の場面の、ゴミ箱をあさる演出では、缶を潰す時間に合うよう、イングリッシュホルンが調子ぱずれに吹く音が短縮され、聴く方も調子が狂う。ホルンを吹かないジークフリートのホルンは第一チクルスも上手いとはいえなかったが、今回はどうしたことが、大失敗だった。演出がオケのソリストにも影響を及ぼしたのか、第三チクルスの出来栄えを、いずれ、聞いてみたいものだ。
 一方、3幕の音楽の盛り上がりは素晴らしく、ブリュンヒルデが目覚めてから、あんな感動させてくれる3幕には満足した。さすが、ペトレンコ、感謝します。
 第一チクルスとあえて比較しての印象は、ラインゴルトが、それほど軽くはなくなり、日ごとに音楽が雄大になっていく感じが薄れたように思えた。でも自分が構えて聴いたせいもあり、比較すること自体、意味はないと思う。本番はいつも”生”で、毎回違うのが当たり前。席も変われば音も変わる。でもバイロイトの響きは美しい。
 これで、今年の私のバイロイトは終了。初めて、バイロイトのリングを体験できて、幸運な夏にとても満足している。演出家は、来年以降、舞台をどのように修正していくのか、しないのか、それも楽しみだ。(G)
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バイロイト音楽祭―ヴァルキューレⅡ [オペラ(海外)]

 人気演目で当日券も1枚しか出ず、朝5時から並んだが入手できなかった。sucheしている人も多数いたが、成功している人はいないようだ。最後の手段で友の会に泣きついたところ、可哀そうに思ったのか、交通渋滞で開演に間に合わない人のチケットを1枚回してくれた。ヴァルキューレは人気が高い。結局、私(B)が1、3幕、(G)が2幕を見ることになった。席はパルケ6列20番と最高、歌手の細かい動きまで良く見える。
 ラインゴルトと違って、演出は随分おとなしくと言うかまともになった。ロシア(ソ連)の油田らしい相変わらずリアルなセット。1幕ジークムント役ボータは、歌はともかくいくらなんでも太り過ぎで動きが鈍い。対するジークリンデ・カンペはいつもどおり演技派で、大変結構だ。拍手も多い。
 2幕の間は、ホテルに戻ってしばし休憩、万全の体調で3幕へ。演出は相変わらずひねりが無く平凡。ラインゴルトの毒気は無い。ゲネプロはヴァルキューレだけが非公開だったそうで、未だ練れていないのか?来年以降に期待。
 さすがバイロイト、ヴァルキューレたちに、ひとりの穴も無かった。ペトレンコの手腕は、大したものだが、弦楽器を際立たせ、金管や低音楽器を抑えて、全体のバランスを重視する方向性に、違和感を覚える人もいるかもしれない。(B)
 二幕は、第一チクルスより、歌手も慣れている感じがして良かった。複雑な舞台の立ち位置にも慣れたのだろうか。第一チクルスの4場で歌詞がおかしかったと言われたフォスターも、今回は自信に満ち溢れ、拍手喝采だった。二幕最後”Geh’!”の場面で、カメラがパンしてフンディングを撮ったとき、ピット内のペトレンコの姿が一瞬スクリーンに映ったのがはっきり見えた。(G)
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バイロイト音楽祭―リング第Ⅱチクルス チケット事情 [オペラ(海外)]

 第2チクルスが始まり、早朝から当日券に並んだが、ラインゴルトでは当日券は二枚、ヴァルキューレでは何と一枚しか出なかった。第一チクルスとは大違いだ。第二では売り場に並んでいる間、午前中にチクルスまたは、前半、後半などセットで売りに来る一般客と交渉して買うのが早道だった。
 私はバイロイトのリング自体が初体験なので、地道にチケット売り場に並んだが、後半のジークフリートと黄昏はセットで二枚売りに来た女性から、ワルキューレのあと引き継ぐ約束をし、購入した。チクルスチケットが一枚であることは、転売するのに、とても不便だ。後半二枚を譲り受けるとき、チケット売り場で、名前を書き換えて欲しいと頼んだが、それは不可で、当事者どうしでやり取りしてくれとのこと。他人の名前の記載されたチクルスチケットを本人からそのまま購入した。
 運がよければ、売り場に並んでいる間に、チケットが揃う。一方直前にチケット求むと、立っていてもほどんど、望みは薄い。他の演目では、今やローエングリンが一番人気で、ローエングリンⅳでは当日券は一枚も出ず、3幕まで外で立っていても途中で帰る人はさほど居なかったように思う。
 舞台の色彩感、明るさから言うと、ローエングリンはとても美しく感じる。公演も延長され、タンホイザーは来年で終わるが、ローエングリンはまだ続くとのこと。(G)
当日券売り場 開演1時間半前に開く
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現金もいつでも下ろせます
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バイロイト音楽祭―タンホイザーⅳ [オペラ(海外)]

 Taff斡旋の舞台上席を初めて経験した。ピット内の指揮者コーバーと対向配置の両バイオリン(但し位置は通常と逆)の3プルト目までが良く見える。
 開演前のコーバーは、持ってきたタオルをセコバイ1プルトの譜面台に掛けたり、コンマスとにこやかに話すなど、リラックスした感じだが、演奏に入ると、肩や首に相当負担が掛かりそうな大きな身振りで、気合いが入っている。序曲から起伏のある音作りでいい感じだ。
 席は西側の1列目に取れた。合唱の方の出入りのすぐ横で、危うく触れるほど。タンホイザー役ケルルは、たちまち全身汗まみれ、檻の中のヴェーヌスベルクも手に届くような距離だ。
 合唱は近くで見ると相当細かい動きをさせられているが、全体の流れの中では意味不明で、オケ、歌手、合唱がこれだけ頑張っているのにかわいそうだが、演出には相変わらずのブーが出ている。休憩時間中にも舞台上では演技が続いているが、それにすらブーかかる。ラインゴルトと違って、バイオ工場という設定自体の意味が分からず、終幕のゆるキャラ出現部分の安っぽさが情けない。プレミエ時と細かいところは変わっているようだか、指揮者が毎年交代して、不人気演目確定だ。
 幕が降りて、カーテンコールで歌手が順番に出てくるところの裏方は、仕切りが大変だということが分かった。それと女性のプロンプターの方、大振りのコーバーと違い、淡々と拍を刻む。歌手やコアはむしろ彼女を頼りにしている。
 カタリーナは、カーテンコールで観客の前には出ないが、幕が下りている間は舞台にいる。全公演舞台に現れ、関係者をねぎらうとのこと。(B)
サイン会でのケルル、来年日本で会おうとのこと(新国の死の都)
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ラインの黄金(特別公演) [オペラ(海外)]

 今年から始まったインターネット販売の特別公演。でも、客層は普通とそんなには変わらないように思える。
 舞台上にアメリカ片田舎のガソリンスタンド兼バー兼モーテル実物大、超リアルなセット。それが周り舞台で、結構目まぐるしい回転をする。
 演出は午前の解説にあったとおり、神々もヴァルハラも関係なく、ひたすら田舎のチンピラの小競り合いに終始する。暴力描写はセット同様リアルで、ファーゾルト役グロイスベックなど、たけし映画のチンピラやくざそのものだ。
 小心で好色、外面ばかり気にするヴォータンや、軽薄、お調子者のミーメなど男声陣は性格付けがハッキリしている一方、女声は外見からは同じような金髪豊満な典型的アメリカ女だ。歌手は皆相当な演技力を求められるし、回転するセットで、1階がGSとバーとモーテル庭のプール、2階がモーテル客室と廊下、そして屋上と、場面が錯綜する段取りを覚えるだけでも大変だ。
 何より一連の事件(?)をテレビニュースか映画の撮影をする設定となっており、客席から見えないところまで、もしくは見えても別の視点から、しかもドアップで巨大スクリーンに映されてしまう。
 何れにせよ、一般の観客からはど顰蹙なのは当然で 、盛大なブーイングの嵐も演出家には想定内だろう。ペトレンコの疾走する音楽が、逆に殺伐とした演出にぴったりはまり、ワーグナーや指環について何も知らない人は、全く違和感無いのでは?
 歌手は演技含め大熱演で満足、ペトレンコにも大拍手だが、最後に出てきて、外見が一番小者感溢れているのは、影の黒幕なのだからかもしれない。(あくまで見掛けの話、音楽は素晴らしいです。これも異論はあると思うが•••)(B)
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ラインゴルト解説とラインの乙女インタビュー [ドイツ]

 10時半に始まったヴァンフリート館長フリードリヒ博士のラインゴルド舞台解説は、ほぼ満員。演出家カストロフがワーグナーにもバイロイトにも何のリスペクトもないという前提の話から始まった。何でもありで、ドラマトゥルギーもいないという。普通は、演出家を助け、作品の本筋から逸れないよう、助言する仕事がある。音楽かドラマかどちらが重要かという問いには、間違いないなく、ドラマだと。次々と現実を提示していき、シンボリックなものはなく、挑発的で、心地よいものではないが、それこそが、現実なのだ。
 12時からTaff主催のライン乙女3人娘のインタビューがあった。場所は同じコアザールだが、集まった人数は20名ほどと、極く少なかった。約30分間、歌いたい役、カヴァーの役、歌手になったいきさつ、来年もバイロイトで歌いたいかなど、気取らないインタヴューだった。名前も顔もよく認識していなかったが、3人とも美しく知的で、いずれ大きな役を歌うようになるのだろう。
Woglinde Mirella Hagen
Wellgunde Julia Rutigliano
Floßhilde Okka von der Damerau
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サイン会始まる [その他]

  恒例になっているバイロイト音楽祭の歌手たちのサイン会が、市内のマークグラーフェン書店で、始まっている。
 ニールントさんは、今年も定刻よりかなり遅れて来て、ブレットさんを待たせることになった。
 巨人兄弟、ファーゾルトのグロイスベックさんも背が高いが、ファフナーのコリバンさんは更に大きかった。
 フォークトさんの日は雨降りだったので、室内だったが、毎年暑い日に、一時間も外でファンサービスするのは、大変だ。ファンも自分で撮影した写真にサインをしてもらう人がかなりいる。DSC03884.JPGDSC03903.JPGDSC03918.JPG
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ワーグナー像盗難 [ドイツ]

 この頃、祝祭劇場近くの公園に、ワーグナー像を置くのを止めたのかなと思っら、50体ほど盗難被害に遭ったという新聞記事が載っていた。誰も初めに盗まれるかもしれないと一度は想像し、でもそうあってほしくない気持ちで、打ち消したのではないだろうか。案の定やられた。
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ルードヴィッヒ二世の展示 [美術・博物館]

 工事中のヴァンフリートで、ルードヴィッヒ二世がらみの展示をしている。多分ここはお墓正面の広い書斎、窓もそのままだ。
 展示物としては、家族写真が面白かったのと、ノイシュヴァンシュタインの、計画されたが、実現されなかった、チャペルや、イスラム風の部屋などのCG、ローエングリンの洞窟のCGもあった。
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オランダ人 III [オペラ(海外)]

 開演30分前にチケット売り場周辺に立ち、運よく格安でチケットを手に入れることができた。この日は、舞台に気をとられないように心がけた。時々金管がバイロイトとは思えない音を出したが、まあ暑さ故ということにし、ティーレマンの音楽に耳を傾けた。初日に、オケの音が大きく、声が遠く聞こえたのは、席のせいではなかったようで、パルケットほぼ中央でも、同じ印象だった。ハウプトプローベで、歌がものすごく大きく聞こえたのは、まだ、バランスが決まら無かったせいなのか、あれは完成度とは別の意味で、面白かった。
 この日は2幕の女声合唱が、オケより早くなり、少しバラけたが、男声合唱は素晴らしく、シュトイアマンはちょっと不調、ゼンタは絶好調、テーノルらしい美声のエリックは大きな拍手を受けていた。
 ティーレマンの音楽はどの楽器も、全ての音符に動きがあり、必ず音に方向性があるので、無限に音楽が続くように感じる。オランダ人の音楽は、ワーグナー初期のイタオペ的な明るさがあるが、ティーレマンが振ると、キラキラ音が輝き、何故か、他の指揮者では感じることのない華やかさがある。聴けてよかった。(G)
帰り道、雨と雷と虹
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ローエングリン II [オペラ(海外)]

 高額チケットであればsuche していると、ほぼ確実に誰かしら売りに来る。しかしリングを見てしまった今、高くても50ユーロまでのチケットしか、買わないと決めた。
 けれども、手持ちの安いチケットを、わざわざ売りにくる人は少ない。一幕は諦めて、ベンチで夕涼みをしながら、漏れてくるファンファーレの音が聞こえた。一幕後の休憩に、もう一度sucheに立つと、何とギャラリー一列目の正装したお兄さんが二人、売りに来た。ありがたくお支払し、念願の席で聴くことができた。噂どおり、歌もオケもとてもクリアに聞こえ、舞台も良く見えて、とても良い席だった。
 ローエングリンといえば、なぜネズミなのか、最後白鳥はどうしたと、多分去年までは、演出に確実にブーイングが出ていたはずだ。しかし、不思議と、今年は一番人気で、舞台の色彩が何より綺麗だと誰もが思うようになった。他の演目の演出が暗いので、相対的順位が上がった訳だ。
 フォークトに対する熱狂的拍手を聞くと、聴衆はやはり美しいものを求めているのではないかと感じる。オルトルート役のラングの絶叫もすさまじく、ネルソンズの音楽も、去年の印象より、熱く激しいところが目立つように感じたのは、天井近くの席のせいだろうか。歌手もコアも皆が堂々として、今年のバイロイトメインはこのプロダクションだぞという自信を感じた。
 フォークトはppで、オケと溶け合う声が美しく、演技にも余裕が出て本当に適役だ。
 初日のローエングリンの新聞記事で、ヘルデンテノールががバイロイトに居ないというコメントがあった。バイロイト音楽祭の不思議の一つだ。

番外
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ティーレマンインタヴュー"Mein Leben mit Wagner" [講演会]

 ティーレマンが執筆した"Mein Leben mit Wagner"の紹介とサイン会があり、Elke Heidenreich が小一時間インタヴューした。友の会の講演の後駆けつけたが、前の方の席が取れず、またも響きの中でちょっと残念。
 真っ赤なポロシャツ姿で現れたティーレマンは、冷房の無いコアザールで、あっという間に汗だくになってしまったが、終始にこやかに、表情豊かに、普通のドイツ人のように、ジョークを交え話してくれた。
 本の内容には、あまり答えず、バイロイトの話が主だった。一番興味深かったのは、ピットと、舞台と、客席での音の話だ。あちこちで聞き、読む話題だが、ティーレマンの口から、直に聞くと、やはり苦労して造りあげる音なのかと、あらためて感動する。
 ピット内は、本当にうるさいらしい。その音が舞台に上がり、3回回って歌と一緒に客席に届くのだと。またタンホイザーで、Vnのメロディに合唱が加わるとき、遅れないタイミングを見つけるのは、大変らしい。指揮台横の電話は、客席で実際どう聞こえているかのアドヴァイスを聞くためのもので、とても重要だ。かつてヴォルフガングがいたころ、リハーサルの間客席を歩き回っていたそうで、注文をつける訳ではないが、最終的に、ワーグナーがこう言ってると電話で言われると、指揮者もしぶしぶ従ったそうだ。この劇場は、席によって音が違うので、いろんな席に座ると良いと言い、インタヴュアーに、アチコチで聞いたことがあるのかと聞かれると、自分は時々指揮するので、ちょっと、、、と笑わせてくれた。座席の話は本当にその通りだ。それから、練習中や、休憩時間には、歌手や楽団員一人一人に、要望や意見など聞くが、いざ本番の指揮台に立つと、皆とのアイコンタクトで、その日の集中度が分かり、自分がリードする音楽にいかについてくるかで、その日の出来映えも変わると。これも、その通りだ。
 初めてバイロイトに来る指揮者は、最初は感激するが、自分が振っている普通の劇場との違いに次第に不満を漏らすようになるそうだ。まずは暑さを克服せねばならない。オランダ人なら2時間10分だが、ワルキューレ、黄昏となると、集中力が続かなくなると。そして、ピット内の楽器の並びと、音が届く時間差。最後には、バイロイトは酷いところだったと帰ってから言うと、面白おかしく語ってくれた。
 マエストロの身振りや顔の表情を生で見て、生身のティーレマンを垣間見たというか、むしろバイロイトのお客さんのために、サービスしてくれて感謝の念だ。
 本の結びの部分をティーレマンが朗読し、お開きになり、サイン会となった。本当に暑くて、誰か後ろから、扇いでもらえると、ありがたいと言っていた。ちょっと不機嫌ないつもの顔になり、黙々とサインし始めると、急にまた遠い人になった。

追記:
 他の話を思い出した。なぜワーグナーが良いのかという問に対し、ヴェルディのオペラは、トラヴィアータもトスカも最後死んでしまって終わりだが、ワーグナーは、 マイスタージンガー以外は破滅的(zerstoert)であっても、最後に救いがあり、ゼンタは死ぬが新しい世界に行くと。リングの最後は、新たな始まりでなければならないと。
 ブーイングについての質問には、自分が指揮棒を下ろして静まったあと、いきなりブーがきこえると、一体どうしたのかと戸惑うと。新聞の批評なども、ごちゃまぜに書かず、歌、音楽、演出と分けて書いてほしいと。
 どれも話自体は雑談の域を出ないが、活字やビデオと違い、生で、身振り、手振り、表情を目の当たりにした印象が鮮明に残っている。
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ワーグナーと脳の働き/ Hugo Wolf編曲 [コンサート]

 バイロイト友の会の企画で、Prof.Dr.Heimut Reuter が"ワーグナーと脳に"ついて、30分ほど講演し、その後19cの Hugo Wolf編曲による、マイスタージンガーとヴァルキューレのピアノ曲を、Ana-Marija Markovina が演奏した。
 日本でも、昨今、ある刺激に対する、脳の反応を画像や数値で示す実験結果がテレビ番組などで話題になっている。まさにワーグナーという刺激に対する反応を研究している学者で、まだ出版物などは、無いそうだ。
 音楽を聞かなくても、ワーグナーやコジマの絵、ノイシュヴァンシュタインの写真を見せるなど、現代人には、ワーグナーにまつわる多様な刺激があり、ワーグナーという人物認識は、同時代の人とは違う。
 音楽を聴かせると大脳の側坐核(そくざかく、英: Nucleus accumbens, NAcc)が反応することは確かめられているとのことだ。ワーグナーで脳を刺激すると頭の働きが良くなると、笑いを誘っていた。思うに、この導入話は、快楽中枢に関係するという、一般的な嗜好と同じで、日本では、ワーグナー好きという被験者を集めること自体が難しいので、是非ドイツで、ワーグナーが引き起こす脳の働きを解明してもらいたいものだ。
 Hugo Wolf の編曲は、とても主観的で、気に入った。オーケストラの編曲は公明正大で形式や理論を重んじるような気がするが、ピアノだと、何度でも美しいメロディが繰り返され、ああ通り過ぎてしまったという、物足りなさはなく、不自然に聞こえる転調も一瞬のこと、しつこく繰り返される、熱狂的ファンの編曲は、ありがたい。リストを始め、古今東西の、ピアノの名編曲を集めたCDもあるようなので、聞いてみようかと思う。
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Christian Bischof オルガンコンサート [コンサート]

 バイロイト音楽祭の期間中、毎週土曜日正午から、Schlosskirche でオルガンコンサートが開かれ、ワーグナーの曲が演奏されると聞いていたが、今回初めて聴くことができた。今日のオルガニストは、レーゲンスブルクのドームシュパッツェ出身の人で、ミュンヘンから来ている。
 オルガン演奏は、バッハか、アレンジものくらいしか、聞いたことがなく、大概、音が重なって濁って聞こえるので、それがオルガンなのかと思い、演奏会にわざわざ行ったことは無かった。ところが、今日は全く違っていた。リストもメンデルスゾーンも、とてもドラマチックな曲を、オルガンのために書いていた。ここのオルガンが特別なのか、奏者が音色を作るのか、多種多様なオルガンの音色が分離して聞こえ、オーケストラを聞いているようだった。全開の大音量がオルガンの醍醐味なのではないことを知った。
 この日のワーグナーはリエンチだったが、このアレンジはほんのおまけ程度で、他の二曲がとても素晴らしかった。色々な催しが重なってしまうので、諦めるものもあり、残念だ。
リスト:バッハ カンタータ"泣き、嘆き、悲しみ、おののき"BWV12変奏曲
メンデルスゾーン:1845年(晩年)f-moll op65/1ソナタから
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Richard! Mein Leben! 2013 [演劇]

 昨年プレミエの日に見たが、もっと近くで見たいと思い、今年も行った。暗くて暑いテントでの上演だが、さすが演劇、言葉が凄くよく聞き取れて、行ったかいがあった。
 ドイツでは小さな講演会や、朗読会が頻繁にあり、マイクは使わず、肉声で話す機会が多い気がする。日本では、聞こえないと苦情が出るので、すぐマイクを使うが、こちらでは、音楽ホールが講演会場にもなるため、私には話す声が響き過ぎて、慣れるまでしばらく聞き取れないことがある。コアザールの朝のリング解説もマイクなしなので、始まってから、肉声が直接届く前の方に座るべきだったと気づいた。バウムガルテンの時は、皆横並びなので、ほとんど新しい話はわからなかった。日本では、響く会場を探すのが大変なのに、響きが言葉を聞くのに邪魔になるとは、皮肉な話だ。
 この演劇では、4列目の席で、良く聞こえたので、去年よく分からなかったところも、ほとんど納得できた。
 昨年から、ワーグナー生誕200年を目指して始まった演目であることは明らかだったが、ヴァンフリートが工事中の今、コジマとジークフリートが、これからどこで暮らしたらいいのだろうと話すところが、昨年より、切実に感じる。バイロイト音楽際の資金問題では、今年初期三部作が上演されたオーバーフランケンハレが、収容人数が多く、第二の祝祭劇場になるのかなどと、笑いを得ていた。ワーグナーファンばかりが来ているわけではなく、トリスタンや、ワルキューレを連想する場面は昨年のプレミエほど、反応がなく、後半、色々な歴史上の人物が出て来てからの方が、受けていた。
 コジマはワーグナー命!で、夫のビューローには、家庭を守れと言われ、ワーグナーに走る場面もよく出来ている。ワーグナーのそばで一生懸命日記を書くが、最後に、あとは、好きに書いてくれとワーグナーに言わせたり、ヴェーゼンドンク夫人とのことを踏まえ、ワーグナーの人物像を演技で見る面白さは、日本ではまだ味わえない。
 Geld! とKinder, schafft Neues! というワーグナー自身から引き継いだ、資金繰りと新し物好きの精神、創造性の課題は、いつまでも残りそうだ。(G)
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Axel Kober タンホイザー [オペラ(海外)]

 タンホイザー初日、一回目の休憩時間に、Taffが演出家Baumgarten呼んで話を聞くという案内があり、覗いてみた。するとやはり、舞台観覧席の観客しかおらず、15席くらい弓なりに座談会の席が準備されていた。舞台の席はキャンセル待ちとのことだったが、たまたまこの日、一人来なかった人がいて、二幕から、舞台席最後列で聞かせてもらうことができた。
 アクセルコーバーの腕が太い!これが第一印象で、音楽は至って普通、ティーレマンのような緊張感は、残念ながら望めない。
 演出は、また少し変わっていたように思う。意外と東側から歌手が出入りしていることに気づいた。舞台裏でも、演技が続いており、また救護の人が出入りしたり、裏方の雰囲気を味わうには東側、オケピットを見るなら西側が良さそうだ。
 カーテンコールで姿を現したBaumgartenは、どんなに演出を改良しても、ブーイングを浴び続けるのか。来年でこのプロダクションは終わり、ネズミのローエングリンの方が続くらしい。歌手やコアがどんなに頑張っても、最後まで、演出は受け入れられそうにない。
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バイロイト音楽祭―神々の黄昏 [オペラ(海外)]

 朝目覚めて、当日のチケットがあるのは、嬉しいものだ。これまで早朝から当日券に並んでいたので、やっとバイロイトのお客さんの気分で、朝のコアザールの解説を聞きに行った。ヴァンフリート館長Dr.フリードリヒの解説を前もって聞いておくと、舞台で見るべきところを見落とすことがない。
 ワーグナーとかけ離れているのは、もう当然で、カストロフ演出の舞台では、ジークフリートは英雄ではない。以前ベルリンのフォルクスビューネでハーゲンを中心とした演出をしたことがあると言ったようだが、黄昏の主役は間違えなく、ハーゲンだった。ジークフリートを撲殺して、森の中をさまよい歩き、最後ラインの乙女たちに、ボートに乗せられ、静かに川に流される。リングは普通にラインの乙女に返される。チクルス通じて、不安感や暴力が表現され、実は登場人物以外に、ラインゴルトからずっと一人男性が一緒に演技しており、暴力を受けたり、虐げられて、弱い人間の代表のように扱われている。おそらく、この役者の意味も、初日からフリードリヒの解説を聞いていればわかるだろう。
 クロイツベルクのトルコ料理Doennerケバブの店が、ギービビの家。横に野菜の箱が沢山積んであり、後ろは、ベルリンの壁。グートルーネのアップにした髪や服装でも、時代背景が分かるとのこと。カストロフは特に新しい衣装なども作っておらず、その時代のものを採用し、ブリュンヒルデのゴールドの服くらいしか作っていないとか。
 最後確かに、ニューヨーク証券取引所が、多分ヴァルハラとして、現れたが、だから何?という感じ。
 ライアンは下手だけど、この退廃的ジークフリートには役者として適役かも知れない。フォスターはやはり、ドイツ語に問題ありと思った聴衆が結構いたようだ。
 カストロフが言ったのか、Dr.フリードリヒが言ったのか、Eastseid Westseid Story のようなものだと。なるほど集約された言葉かもしれない。
 音楽は、舞台に乖離して、作品に潜むあらゆるワーグナーの片鱗を引き出し、魔法の杖を振っているかのように、美しく、はかなく、強靭 に、崇高に、音にしてくれた。
 カーテンコールでは、ペトレンコだけが、満場一致で、最高の拍手とブラボーを浴び、ニコニコしていた。正反対に、カストロフは、天井から降ってくるブーイングの嵐に対して、肩をすくめたり、客席を指差し、その指で自分のこめかみを差し、あなた方頭悪いのねという意味なのかと思うほど、ひょうひょうとし、自分にも拍手して欲しい様子に見えた。
 演出家グループのブーイング途中で、まだ暗いのに、席を立って帰る人が出てきて、少しして幕が開き、オケメンバーが全員舞台に上がっていて、雰囲気を和らげた。ペトレンコの笑顔が本当にいい。歌手も出てきて、また大拍手、じゃあ一緒にと演出家たちが来ると、またブーイングで、幕内に追いやられたように見えた。指揮者も演出家も、まだ一度もインタビューに応じておらず、天と地ほどの評価を受けるのだろうか。この演出で、良く歌手も頑張ったと言ってあげた方が、良いかもしれない。ペトレンコは、きっとオケの信頼を得て、思いの全てをこの空間に投影できたのではないだろうか。きっと謙虚なコメントが聞けるだろうと楽しみだ。(G)
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 ワーグナーが好きだったというこのピンク、雨に洗われて綺麗になった
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