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Patric Seibert 氏カストルフ演出についてのインタビュー(ワニの話) [その他]

 カストルフのリングに、あちこち登場する、演出助手の、Seibert氏は、とてもオープンなお人柄のようで、初め参加者が日本人とドイツ人が4人ずつだったので、英語で話を進めてくれた。
 カストルフは、話の本筋に、色々面白い話題ををモザイクのようにはめこみ、横道にそれながら、舞台を進行させる。そういう面白そうな話題をSeibert氏がリストアップし、Castrof が採用する内容を決めるそうだ。
 リングは石油をテーマにしており、今日人類に必要不可欠な石油の歴史をだどると、各時代の役割が明らかになる。ラインゴルトのガソリンスタンドは、当時の軽薄無知な自由を謳歌する象徴だと。ヴァルキューレでは、石油は天然の生産物(資源)であり、バクー油田は、労働者の歴史を物語る。スターリンが若い労働者を雇い、ダイナマイトの大爆発事故があったり、大きなストライキも起きた。ヒットラーもバクーが欲しかったそうだ。
 カラシニコフについては、20世紀最高の武器で、水に浸しても壊れない、完璧な武器であり、ノートゥングに匹敵するということだ。
 ジークフリートでは、色々な階層の人間が登場する。作品にはないが、Siebert は虐げられた人の役、ミーメは、読書したり、ネットで調べたり、情報収集に励むが、結局ノートゥングを鍛える術が見つからない。ラシュモア山には、政治を武器として歴史を変えていく指導者たちの顔が並んだ。18世紀にオイル相場も関係し、ドルが下がった時代背景がある。
 一つ、まさかのワニの話題が出た。幕切れを飾るワニの一家、一幕のアレキサンダープラッツにも、ちらっと姿をあらわす。何故ワニなのかという理由、一つはドストエフスキーにワニという題名の小説、人がワニに飲み込まれる話がある。もう一つは、第二次大戦の爆撃で破壊されたベルリン、街や地下壕の実話。動物園から逃げ出したワニが、地下で生きのび、本当にアレキサンダーブラッツに現れ、とても危険だったとのこと。カストルフは、ベルリンで他でも演出にワニを用いているそうだ。
 個人的には、ベルリンの地下ツアーに参加したことがあるが、あの広い空間で、水道管が爆発したりすれば、水も十分あり、動物が生き延びることもあるのかなあと、とても驚いた。
 黄昏では、汚れた世界に焦点が当たる。東ベルリンの安いプラスチック製品の銘柄は、ドイツ人なら皆知っているそうだ。また、ハーゲン役が韓国人だったのが、特別な魅力があってよかったと。シェークスピアにもあるような、権力があっても王になれないアジアの王様みたいなキャラクターを想定した演出効果があったようだ。 フォスターは今年三年目で、とっても自由にブリュンヒルデを演じていると、やはり言っていた。
 来年は、今のところ28人位の歌手が交代する予定で、また人間関係づくりを一から始めることになると。
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