SSブログ

バイエルン国立歌劇場ーペトレンコ指揮ニュルンベルクのマイスタージンガー [オペラ(海外)]

 バイロイト音楽祭の休演日、DBのバイエルンチケットでミュンヘンまで3時間、ペトレンコのマイスタージンガーを聴きに行った。ミュンヘン中央駅では、特にテロの影響は感じられずいつもの賑わいだった。
 宿に荷物を置いて、ボックスオフィスにチケットを取りに行った。今回やっと購入したのが、最上階の聴くためだけの席、座席はふかふかだが、座ると舞台は見えないのだ。念のため、今回も戻りチケットがあるか聞いてみると、バルコニー席中央という、最高ランクの席が2枚あると言う。この前ばら騎士のとき、この席の良さについて、日本人の友達に聞いていたので、思い切って購入した。立ち見席は今日なら売れると窓口の女性に言われた。
 開演一時間前になり、立ち見券を売りにいくと、何とチケットを売りたい人が山ほど居た。ホテルの制服の人もおり、なんだ買い占められていたのかと、小さな怒りがこみ上げてきた。自分は最高の席を入手できてラッキーだったが、テロの後にキャンセルが出たのだろうか、とてもその日の全部は売れなかっただろうと想像する。私も開演30分前には売るのを諦めて中に入った。
DSC09168.JPG
DSC09169.JPG
 ペトレンコのマイスタージンガーは、これまで聴いたことがない精緻な演奏で、素晴らしかった。始まりから違う。前奏曲の後の教会ミサのコーラスからして、耳慣れたハーモニーとは違って聞こえた。二幕の最後の場面は、オケも合唱もパワー全開で、しかも乱れのない、完璧な見せ場を作ってくれた。
 録音でミキシングという作業があるが、ペトレンコは生の音を瞬時に取捨選択し、複雑にミキシングもして、美しい旋律とハーモニーを構築しているように思える。耳で覚えている音楽はスコア上の音のごく一部であり、本当はこんなにクリアに音が絡み合っているのかと驚かされる。オケの音は、バラ騎士のときは繊細さを感じたが、今回は、去年のバイロイトで感じたように、音の密度が高いというか、伸ばしている音が、瞬間の連続として躍動感を持っているのがとにかく素晴らしい。こういう音は聞き手の体の中に入ってきて、感性を目覚めさせてくれる。今年の夏の一番の収穫は、このペトレンコのマイスタージンガーだろう。昨年は帰国したあとも、自分の体の中にペトレンコの躍動感が残っており、アマオケの練習で、自分もそう弾きたいという衝動に駆られた。今帰国して2日目だが、忘れたくないと念じたマイスタージンガーがの感動も遠くなっており、バイロイトでむしろエネルギーを消耗した年となった気がしてならない。
DSC09160.JPG
DSC09161.JPG
DSC09182.JPG
楽屋口で出待ち(Okka von der Damerau)
DSC09188.JPG
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽