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コーミッシェオパー―シンデレラ(Cendrillon) [オペラ(海外)]

 ロッシーニのチェネレントラかと思っていたら、マスネのサンドリヨン(シンデレラ)、フランス語上演だった。ドイツ語上演専門だったコーミッシェも、改装後は字幕装置が座席に付いて、言語を選べるようになり、その後はオリジナル言語の上演となっている。配役表の一番目立つところに、終演時間を載せたり、プログラムの内容も、指揮者、演出家のコメントが、十分載っており、お客様のためのオペラ劇場になろうとする、企業努力が感じられる。
 ロッシーニと同じで、シンデレラ役はメゾ、王子も女声。サンドリヨンはシンデレラのメルヘンとほぼ同じ。音楽を初めて聴いたが、バロックぽくて、あまりロマンティックでないところが良い。
 演出の舞台はバレースクール、怖い先生が継母で、娘二人と女装した男性バレリーナの弟子たちがおり、サンドリヨンは、足を怪我し入院中、再帰の見込みが無いことが伝わってくる。父親は子連れで、継母と結婚し、スタジオの下働きだ。チェネレントラと違うところは、妖精の美しくコルラトゥーラが魔法の場面に出てくるところ。妖精のコーラスもある。妖精はお婆さんたちという設定。本当のお年寄りの女優さんもいて、サンドリヨンが薬をたくさん飲んで、死のうとしたとき、"Nein!"と囁いてしまったのは、まあご愛嬌か。魔法のお蔭で、舞踏会では王子と華やかに踊ったが、現実に戻り、置いていったトーシューズが合う女性を王子が探しに来るが、見つけた彼女が最早踊れないと知ると、トーシューズを投げ、王の反対を無視し、彼女の生涯の伴侶として選ぶ。
 演出家によると、歌って踊れる歌手が沢山いるので、この演出を考えたとのこと。過去においては、イタリアオペラまでドイツっぽく演奏されていると感じていたが、時代は変わり、このマスネは、軽やかに揺れて、踊りも映え、手放しで楽しめた。実は、ナナジのあの一点に集中する棒の力に負うところが大きいのではと、ずっと指揮を見ていて思った。(G)
指揮:Henrik Nánási
Cendrillon (Aschenputtel):Nadja Mchantaf
Madame de la Haltière:Agnes Zwierko
Le Prince Charmant:Karolina Gumos
La Fée:Caroline Wettergreen
Noémie:Mirka Wagner
Dorothée:Zoe Kissa
Pandolfe:Werner van Mechelen
Le Roi:Carsten Sabrowski
Le Doyen da la Faculté:Christoph Späth
Le Surintendant des plaisiers:Nikola Ivanov
Le Premier Ministre:Philipp Meierhöfer
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ダリ美術館とリンデンオパーの工事現場 [美術・博物館]

 いつからあったのか、個人の収集したダリの美術館がポツダム広場にある。入ってみると、所謂シュールな大作ではなく、もっとデザイン的なリトグラフなど、家にも置きたいような静かな作品が多かった。ドンキショット、トリスタンとイゾルデ、カルメンなど、オペラ舞台の場面のリトグラフが美しい。有名な白黒映画らしいが、「愛の死」の音楽を使った、美しいが不気味な短編映画が上映されていた。音楽に惹かれて見てしまったが、私のような想像力欠如の者には、難しい映像だった。
 日常的な作品という意味では、1968年のダリがデザインしたオリンピックメダルがあった。またフランスのSNCF(国鉄)の観光キャンペーンポスターだろう、土地の題名のついた、控え目な作品もあった。アルプスのリトグラフが気に入った。
 アップした写真は道路に面して拡大ポスターのように張ってある。蝶が黄色い地面に立っている作品は、SNCFのRoussillon 。
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 ここの作品は私物なので、絵ハガキは作っていない。写真撮影も禁止で、自分の中に印象を留めおくしかない。後でネット検索したら、アルプスの本物は9700ドルだったが、コピーなら、15ドルで買えるようだった。
 次にずっと建築中のシュターツオパーの様子を見に行った。去年は仮囲いで、何も見えなかったが、やっと正面が綺麗に幾分ピンク色がかって、姿を現していた。私は、2013 年に建築現場のツアーに参加したが、今もまだやっており、寄付のつもりで、もう一度、2時間15 ユーロで行く価値があるだろうか。(G)
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ベルリンシュターツカペレ―エロイカ [コンサート]

 何年も工事中だった気のする、Gendarmenmarktが美しく甦っていた。以前はコンツェルトハウスの中央の階段テラスは立ち入り禁止だったが、終演後は、景色を見ながら広い階段の赤絨毯を優雅に下りられるようになった。ここは、本当に美しい広場で、立つだけでほっとする。
 Widmann の作品では、ティンパニィの外側をバチの逆側で擦ったり、縁をコツコツ叩いたりと、少し和太鼓の縁の音に似ているところがあった。
 バルトークは、2楽章用の打楽器が舞台前方に用意され、バレンボイム自らマイクを取って、一楽章は、後方の普通のパーカッションを、2楽章で、前方の一団が活躍すると説明した。この打楽器的ピアノ演奏の為に、シフほどの人が駆り出されるところが、さすがバレンポイムだ。拍手に答えて、バルトークぽい曲をアンコールに演奏してくれた。
 エロイカは、生き生きと、楽しげな演奏だった。繰り返されるメロディラインの最後クレッシェンドでアッチェルランドするのは、リングでも同じマエストロのアプローチだ。音楽が何とも言えず若々しいのも、バレンポイムの特徴ではないだろうか。音が明るくて、踊りたくなるスウィィングする感じが魔法なのかもしれない。(G)
指揮:Daniel Barenboim
ピアノ:András Schiff
JÖRG WIDMANN »Con brio«
BÉLA BARTÓK Klavierkonzert Nr. 1 Sz 83
LUDWIG VAN BEETHOVEN Sinfonie Nr. 3 Es-Dur op. 55 »Eroica«
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ベルリナーアンサンブル―DIE RÄUBER(シラー・群盗) [演劇]

 朝HPではチケットがあったので、一時間前に当日券売り場に行くと、売り切れでキャンセル待ち。6~7番目だったが、待つことにした。途中一人チケットを売りに来たらしい人が見えたので、次のチャンスを狙うべく、窓口近くに移動した。20分前、キャンセル待ちの人に割り当てが始まったころ、人混みの中、一枚あるが、誰かいるか?と男性がチケットを掲げた。誰も反応しないので、警戒しながら近づき、交渉成立。6列目に座ると三人並びの内側席。お年寄りのお母さんをベルリン在住の息子が招待したとのこと。男性は赤い縞のシャツを着て、お婆さんもお洒落で、美しいドイツ人母子だった。
 客席には年配のご夫婦と、引率された若者のグループが目立った。シラーであっても、舞台は過激。作品初演時の人の驚きに匹敵するほど、お年寄りは驚いたのではないだろうか。この年になって、舞台上から、巨大な扇風機で客席にゴミや塵を撒かれるとは!お隣の綺麗なお婆さんも、口数が減っていった。
 話の筋は台本どおりだが、盗賊は、血だらけのマフィアの黒服美男子集団だ。弟フランツ役Mosbachは、色々な見た目の人間を演じて、見た目に囚われるなと言っているようだ。後戻り出来ない悪の道へ足を踏み入れた兄の悲哀と、弟の嫉妬と策略、日本では絶対ありえない凄い舞台も、たまにはよろしいということにしよう。
 観光客らしい初老夫婦がいかにもベルリナーらしい服装の同世代夫婦に、どう思うかたずねる場面を見たが、ここはベルリンよとあっさり。終演23時、フリードリヒシュトラーセからトラムでオラニーレンブルガーシュトラーセ、ハッケンシャマルクト、ローゼンタールプラッツと、ここ10年で知った地域を通り抜け、あれこれ記憶の甦る、変貌する町の風景を見ながら帰宅した。(G)

Mit: Roman Kaminski (Maximilian, regierender Graf von Moor), Felix Tittel (Karl, sein Sohn), Matthias Mosbach (Franz, sein Sohn), Antonia Bill (Amalia von Edelreich), Luca Schaub (Spiegelberg), Raphael Dwinger (Schweizer), Felix Strobel (Razmann), Sven Scheele (Schufterle), Anatol Käbisch (Roller), Jaime Ferkic (Kosinsky), Fabian Stromberger (Schwarz), Uwe Dag Berlin (Hermann, Bastard von einem Edelmann), Peter Luppa (Daniel, Hausknecht des Grafen Moor), Michael Kinkel (Ein Pater)

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シラー劇場―ヴァルキューレ [オペラ(海外)]

 前日の反省から、完璧に体調を整えて出掛けた。隣のご夫妻には、前日の失態で邪魔したことを一応詫びた。奥さんも暑くてキツかったと。昨日の開演直前の事件が明らかになった。注意を促す携帯の音を大きくホールに流してから、扉を閉じる手順が正しいのだ。昨日は、誰かが何処かでミスをして、指揮者にGoサインを出してしまったのかもしれない。皆昨日の事故を理解した。
 1幕は、隅々まで指揮者の思いが届いているようで、歌手もオケも全員が最高のパフォーマンスだった。バイロイトが登竜門なら、ここはあらゆる経験を積んできた歌手仲間の、同窓会のような舞台だ。それぞれが、役を演じている。オケの音量は、登場人の心の内を反映するかのように変幻自在だ。激しい場面は限界まで強く、ささやく場面では耳をそばだてたくなように、でもしっかり主張している。このホールで、音の美しさで勝負できるのは、さすがバレンボイム。ハープはずっと6台のまま、素晴らしいCbは6人だった。
 2幕はやはりオケの集中力が完璧とは言えなかったが、オケと舞台と客席で協力して盛り上げたような一体感があった。3幕は、世界最強のヴァルキューレたちに感動した。かくまっているブリュンヒルデを出すようヴォータンが 迫ってきた時の重唱の迫力は耳に突き刺さるようだった。カンペは美しく、テオリンは生き生きと、オニールは誠実に、ヴォータン役パテーソンは、佇まい自体に風格があり、フンディング役のシュトゥルクマンは、役の設定より徳がありそうに、それぞれの醸し出す雰囲気も素晴らしかった。個人的には英語的な発音が気にならないわけではないが、日常的に聴いている人にとっては、インターナショナルなチームの良さも歓迎すべきなのかもしれない。
 休憩時間には、3階にサッカー中継画面が用意されており、皆さんヨーロッパ選手権スロヴァキア戦を観戦していた。(G)

指揮:Daniel Barenboim
Siegmund:Simon O'Neill
Hunding:Falk Struckmann
Wotan:Iain Paterson
Sieglinde:Anja Kampe
Brünnhilde:Iréne Theorin
Fricka:Ekaterina Gubanova
Gerhilde:Sonja Mühleck
Helmwige:Vida Mikneviciute
Ortlinde:Anna Samuil
Waltraute:Anja Schlosser
Schwertleite:Anna Danik
Siegrune:Julia Rutigliano
Grimgerde:Anna Lapkovskaja
Rossweiße:Heike Grötzinger
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ベルリン・シラー劇場―ラインの黄金 [オペラ(海外)]

 シラー劇場に移ったばかりの頃は、悪条件でのリングチクルスと言われたが、2013年フェストターゲ以来2度目のリングだ。バレボイムの仲間たちとでも言える、超一流の歌手陣の魅力にはかなわない。今回キャンセル待ちで手に入れた席は、2.Rang、後ろから2列目で、視界は素晴らしい。遠いといっても十分楽しめる。
 外気33度で、あまり空調の効かない天井近くは物凄く暑く、バイロイト並み、休憩無しのラインゴルトは、本当にキツイ。開演前扇子で隣のご夫婦に風を送ってあげたが、扇子をしまうと、残念そうで、このドイツ人に開演中貸して良いものか、一瞬迷った。
 まだ、時差に慣れず、耐え難い空気にかなり記憶が飛んでしまった。なぜか、3階扉が閉まらぬうちに、棒が降り、携帯が鳴り、誰かが叫んで、仕切り直しとなった。
 一番印象深かった場所はCbの音。細かいパッセージまではっきり聞こえ、またパーカッションが後ろの方から聞こえたような激しい反響だった。
 今日の音楽は、ガンガン進む感じで、同じ作品がどうしてこうまで指揮により違うのかと驚く。2013年は、まだバイロイトでリングを体験する前で、ラインゴルトは甘く綺麗な印象だったが、今回は各楽器ががっしり組み合わされ、ゴツゴツと進んで行った感じだ。歌手は、もったいないほどの布陣、バレボイムが呼ばない限り集まらない、最高のメンバーだ。(G)
指揮:Daniel Barenboim
Wotan:Iain Paterson
Donner:Roman Trekel
Froh:Simon O'Neill
Loge:Stephan Rügamer
Alberich:Jochen Schmeckenbecher
Mime:Wolfgang Ablinger-Sperrhacke
Fafner:Falk Struckmann
Fasolt:Matti Salminen
Fricka:Ekaterina Gubanova
Freia:Anna Samuil
Erda:Anna Larsson
Woglinde:Evelin Novak
Wellgunde:Anna Danik
Flosshilde:Anna Lapkovskaja

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2016年夏 ベルリンに着いて [ドイツ]

 22日にベルリンに着いたが、今年はまだ観光地をぶらついておらず、U2の東の終点近くの生活圏から、フィルハーモニーやら、シラー劇場、ドイチェオパーなどへ往復している。長らく工事中だったU2がOlympiastadionまで直通になっていて良かった。
 一度だけ、アレキサンダープラッツからSバーンでフリードリヒシュトラーセまで行ったが、何年もかけてきれいになったアレックスが、この1年の間に汚ならしく変貌してしまった気がする。まず地面の汚れ、物乞いの視線が挑戦的で、哀れみを乞う目でないのが、少し怖い。昔から何処へ行ってもそういう人には出合っていたのだが、今年はちょっと雰囲気が違う。駅の通路にも、若者の物乞いが目立つ。フリードリヒシュトラーセから、ウンターデンリンデンいく間は、観光客が多く、通りに座っている人の中には、頭に布を巻いた、こぎれいな母と可愛い子供たち、ミュージシャンのグループも居た。たまたまかもしれないが、夜10時過ぎると見ない。何か禁令があるのか、寝床を確保しに行っているのだろうか。
 地下鉄の検札は初日に出合った。いつも音楽会へ行く途中夜7時~7時半の時間帯。翌日はStadtmitteで下車した人を検札していた。地下鉄内のパフォーマーは一度だけ、金管部隊に出会った。相変わらず、路線図を持った外国人観光客は多く乗ってくる。
 泊めてくれている家主がエビ好きと去年知り、坂角のエビせんべいの、一口サイズのカラフルなパックに、何のエビかと聞かれて、困ってしまった。ことしは、元祖"ゆかり"と、連れ合いが八重洲の北海道物産館で仕入れてきた、甘えびの乾燥させた物を持参した。坂角は去年HPを送り、説明したが、普通何のエビかと問う日本人はいない。甘えびはDeep-water shrimpで、甘いエビという意味だと説明し、普通生で食べると話した。
 彼女は、ベルリンの回転寿司で、小えびのフライを二皿平らげる。日本の大きなエビフライを一度食べさせてあげたいものだ。
 こちらでは、ベビーシッティングだけでなく、ハウスシッティングといって、学生など無料で住まわせ、家を管理してもらうのは、一般的とのこと。日本でやっと民泊が始まりつつあると言うと、こちらは、何と、一定期間家自体を交換するサイトがあるそうだ。お向かいで鍵を渡してくれた家族は、ミラノから来ており、自分たちの住まいをお向かいのベルリンの家族に提供している。ヴァカンスにお互い宿泊費ゼロだ。パリは、昔から部屋貸しがあるが、かなり税金が高いそうだ。彼女は今ヴェルサイユ勤務なので…。つまりベルリンとヴェルサイユに家があるということだ。日本では考えられない。(G)
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コーミッシェオパー コンサートーマイスキー・ドヴォコン [コンサート]

 とても久しぶりに、マイスキーを聞いた。自由自在にテンポを揺らす、個性を持った、情熱的巨匠ソリストとして長く活躍している。私が初めてコンサートを聞いた30年以上前、汗だくで後半途中で服を着替える様子に、ちと髭を剃ったらよさそうなものだと隣のお爺さんが呟いたのを思い出す。今日見たら、楽器の胸当てで、度々汗を拭っていた。
 指揮のナナシは小柄に見えるが、身ぶりは大きく、腕を目一杯伸ばして、キビキビと打点を出し、揺れ動くソロと一心同体の如くで、オケも同時進行で気持ち良かった。歌劇場のオケは、歌でも楽器でも、ソリストの個性にピッタリ合わせられるという自負があるように見えた。
 オケピットに蓋をして、舞台の奥行き深くオケが広がるのだが、チェロは内側で縦に4プルト並び、さらに奥に管打楽器と、日本では見られないセッティングだった。英雄の生涯での若いコンマスのソロは、残響少なめのこの場所で、固めの音がストレートに聞こえ、堅実そうなコーミッシェオパーの今を有りのままに披露するような、好感の持てるコンサートだった。(G)
Dirigent:Henrik Nánási、
Solist (Violoncello):Mischa Maisky
Antonín Dvořák — Konzert für Violoncello und Orchester h-Moll op. 104
Richard Strauss — Ein Heldenleben Tondichtung für großes Orchester op. 40
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ベルリンドイチェオパー エレクトラ [オペラ(海外)]

 3階席後方で聞いたせいか、ラニクルズらしい音なのか、強烈な音は控えめで、何だか身体が宙に浮くような、音が高密度に詰まっていないオケの音だったように感じた。
 シュティンメ、マイヤー共に絶叫せす、伸びのある美声に拍手喝采だった。物足りなかったのか、3階席でマイヤーにブーイングした男性が周囲から否定される場面もあった。この日も、世の中穏やかな音楽が好まれてきたのかなという印象を受けた。
 この時期夜10時でもまだ薄明るく、ようやくネオンが灯った時刻、ポツダマープラッツでも見かけたが、ドイチェオパーの前にも開演前まで、初夏のワイン祭りのようなブースが出ていた。

Musikalische Leitung Donald Runnicles
Inszenierung Kirsten Harms
Bühne, Kostüme Bernd Damovsky
Chöre William Spaulding
Choreographie Silvana Schröder
Klytämnestra Waltraud Meier
Elektra Nina Stemme
Chrysothemis Manuela Uhl
Aegisth Burkhard Ulrich
Orest Tobias Kehrer
Der Pfleger des Orest Seth Carico
Die Vertraute Nicole Haslett
Die Schleppträgerin Alexandra Hutton
Ein junger Diener James Kryshak
Ein alter Diener Stephen Bronk
Die Aufseherin Nadine Secunde
1. Magd Annika Schlicht
2. Magd Rebecca Jo Loeb
3. Magd Jana Kurucová
4. Magd Fionnuala McCarthy
5. Magd Elbenita Kajtazi
Chorus Chor der Deutschen Oper Berlin
Orchester Orchester der Deutschen Oper Berlin
Tänzer Opernballett der Deutschen Oper Berlin
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ベルリン・フィル―ショスタコーヴィチ:交響曲第13番《バビ・ヤール》 [コンサート]

 ベルリンのテーゲル空港に到着し、宿に荷物を置いてから、ポツダマープラッツに着いたのが開演10分前、まあ大丈夫と思い、走って駐車場から大ホールに入ろうとしたが工事中で金網が張ってある。焦って正面に回り飛び込んだら小ホール、大ホールにはまだ人影が見えた。階段を駆けあがり、やっと席が見つかり、汗だくで開演。前半はバルトークのVnコンチェルト1番、ソリストはグルジア出身の、話題の美人ヴァイオリニストLisa Batiashvili(リサ・バティアシュヴィリ)。バルトークが献呈したゲイエルという女流ヴァイオリニストの遺産の中から発見されたという、2楽章の、緩やかな印象の曲。バティアシュヴィリの音は優しく、僅かに表出する激しいパッセージも、優雅さを備えていた。
 後半のバビ・ヤールは、ドイツ語の字幕が出た。隣の女性は、CDの歌詞持参、前のめりで聞いていた。セガンの指揮は見た目が派手で、指揮者の指定なのだろうか、出てくる金管の音が、いわゆるアメリカっぽい、華やかな音だった。バスのソロは、抑揚があり、30人のコーラスは、腹の底からの叫びでなく、音量がよくコントロールされて潤いのある人の声だった。全体的には金管の音色が支配し、華やかで、言うまでもなく、とにかく上手い。どの楽器に音がひきつがれても、オーケストラが一つの楽器のようだと、ベルリンフィルを聴く毎に感心する。最後の弦楽の部分は、美しいだけでなく、昇天するような、微妙な揺れを感じた。昨今では、音楽に激しさより、安らぎを感じる演奏が好まれるような気がするのは、現実の世の中が厳しすぎるせいだろうか。(G)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
ベラ・バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番  ヴァイオリン:リサ・バティアシヴィリ
ディミトリ・ショスタコーヴィチ:交響曲第13番変ロ長調《バビ・ヤール》
ミハイル・ペトレンコ(バス), ベルリン放送合唱団男声合唱, ギース・レーンナールス(Chorus Master)
 

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ジャン=ギアン・ケラス ケラスが弾く20世紀、21世紀―。 [コンサート]

 良く知られるコダーイの無伴奏と文楽、それといわゆる現代音楽3曲、最後に若手有望チェリスト6人との競演という魅力的なプログラムだ。
 ラッヘンマンは楽音が1つも無い(騒音のみ?)という曲。それでもここまで徹底していると却って清々しい。細川作品はそこまで突っ込んでいる訳ではなく、一応普通に弓で弾く部分もある。特殊奏法を駆使して音色の多彩化を狙っているが、逆に中途半端に感じる。最後の弓二刀流は、見た目は惹くが音的には何の効果も無いのでは?
 藤倉作品は、世界初演とのこと。細かなフラジオ音と低弦の力強い音が交錯して、部分的に不思議な美しさがあり一番好感が持てたが、ともかく曲が長過ぎる。
 ケラスはどの曲も涼しい顔で何も苦も無いように弾いている。(現代曲では破損が怖いのか、楽器と弓を替えていた。譜面はIpad)
 コダーイは誰かの「松脂が飛び散る」という大熱演風でなく、流麗な歌のような演奏。文楽も三味線のピツィカートが粒立っていて美しい。
 最後ブーレーズは、トップ岡本侑也さん以下若手の皆さんも良く奮闘したが、結局全てケラスに持って行かれた。唖然!(B)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
伊東 裕(チェロ) / 上野通明(チェロ) / 岡本侑也(チェロ) / 門脇大樹(チェロ) / 長谷部一郎(チェロ) / 堀 沙也香(チェロ)
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「わ」の会コンサート vol.3 Berauschung:陶酔 [コンサート]

 今回3回目で定着してきていることもあり、不安定な天候にも係らずほぼ満員の盛況だった。演る方も観る方も皆ワグネリアンということで、良い意味での内輪感覚というか、演者を暖かく見守るという心地よい雰囲気で満ちていた。
 230名ほどの小さな会場なので、声量と真近に見える歌手の演技が凄い迫力だ。大劇場の天井桟敷席からだと、イゾルデとブランゲーネが見た目も声も遠目では区別が付かず、その場でどちらが歌っているのか分からないことがあるが、今回字幕も理解しやすく、大変勉強になった。
 9月二期会公演で同役を歌われる池田香織さんが渾身の熱唱で、本公演が楽しみだ。それとピアニスト木下さんは、正に最初から最後まで出ずっぱりで全てを弾き切り、素晴らしかった。トリスタン2幕、これまで眠くなってしまうこともあったが、ピアノ伴奏だとタメもなく案外サクサク進むので、カット無しにも関わらずあっという間だった。次回も是非行きたい。(B)

リヒャルト・ワーグナー
《タンホイザー》第2幕より「歌合戦の場」
《トリスタンとイゾルデ》第2幕全曲
すみだトリフォニーホール 小ホール

池田香織(メゾソプラノ) / 片寄純也 (テノール) / 大沼徹 (バリトン) / 大塚博章 (バスバリトン) / 山下牧子 (メゾソプラノ) / 友清崇 (バリトン) / 木下志寿子 (ピアノ) / 操美穂子 (ハープ) / 城谷正博 (指揮)/ 吉田真(字幕・解説)
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東フィルオペラシティ定期シリーズ-岡本侑也/ドヴォルザーク・ チェロコンチェルト [コンサート]

 東京フィルハーモニーのオペラシティ定期で、岡本さんが、ドヴォルザークのコンチェルトを演奏した。感動体験を一言で言うなら、ドヴォコンが自己顕示から離れ「捧げる」音楽として聴衆に届けられた幸福。
 一楽章の第二テーマで、一気に岡本さんの音楽の世界に引き込まれた。こんな風に違いが溢れでるのかと。一般的に、聴衆の期待値には、超絶技巧を堪能できるかどうかという段階があるが、岡本さんの演奏は、そういう緊張感とは無縁で、聞き手は一貫した安らぎと余裕の中で、楽譜を超えた語りの世界を体験する。比較的舞台近くで聞いたのだが、お芝居に例えるなら、「一言一句魂の入った表現」を音楽で創造しているようだった。
 テクニックに裏打ちされたという言い方も良く聞くが、岡本さんの超絶技巧のご披露は、もう子ども時代に済んでおり、それは練習量や器用さ、耳の良さだけではなく、作曲家の音楽に、自分自身を捧げることを許された者だけに備わる才能である気がする。自然のままの流麗な音楽の中に、微妙な揺らぎを表現できるのは凄いことで、これは、演奏者の都合ではなく、楽譜の中の音楽が表現者をそのように導くのだと思う。こんなに詩情豊かなドボコンを聞いたことがない。ソリストの音楽が、曲をリードする印象だった。きっと東フィルの方々も岡本さんの音楽に共感したのだろう。指揮者でも、全身全霊を芸術に捧げているとき感じるとき、その純粋さに自分は感動を覚える。
 二年前に聴いた岡本さんのドボコンも美しいと思ったが、その後ヨーロッパでさらなる経験と研鑽を積み、益々音楽の魅力が拡がったのだろうと感じた。コンマスに送る鋭い眼差しに、機が熟するという言葉が頭を過ぎる。 
 
指揮:尾高忠明
チェロ:岡本侑也*
ドヴォルザーク/序曲『謝肉祭』
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲*
ドヴォルザーク/交響曲第8番
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新国立劇場ーローエングリン [オペラ(国内)]

 フォークトのローエングリン最終日を聞いた。去年の夏までは、何万回歌っても、美しい声は変わらないように思えたが、私が認知していているだけで5年目くらい、声の変化を感じても不思議ではない。透明感のある声が少し太くなったように聞こえ、ローエングリンからパルジファル歌いに移行するのかなと期待を抱いている。ミュンヘンでは、タンホイザーにも挑戦、日本に持って来るらしい。バイロイトでは、今年一年だけ、パルジファルを歌い、来年から、マイスタジンガーのヴァルターに移る予定。自分にとって、フォークトの最後のローエングリンになるだろうと思う。
 ペトラ・ラングのオルトルートは、この日に限ってのことなのか、期待ほどの迫力が伝わって来なかった。エルザ役、マヌエラ・ウールの声は、密度が高く華やかで、幕が進むほど力強く、オルトルートとエネルギー差は感じられないほどのエルザだった。ちょっと音程が気になったのは、自分の耳のせいだろうか。オケは4階席では全体的に大きく聞こえるのだが、例えば、3幕場面転換の間奏はもっと躍動感をもって音で、ローエングリンの名乗りの場面は、ガチャガチャせずに、もう少し気を付けて美しく演奏してもらえれば、フォークトの歌唱がもっと引き立ったのではないだろうか。(G)
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