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ラインの黄金(特別公演) [オペラ(海外)]

 今年から始まったインターネット販売の特別公演。でも、客層は普通とそんなには変わらないように思える。
 舞台上にアメリカ片田舎のガソリンスタンド兼バー兼モーテル実物大、超リアルなセット。それが周り舞台で、結構目まぐるしい回転をする。
 演出は午前の解説にあったとおり、神々もヴァルハラも関係なく、ひたすら田舎のチンピラの小競り合いに終始する。暴力描写はセット同様リアルで、ファーゾルト役グロイスベックなど、たけし映画のチンピラやくざそのものだ。
 小心で好色、外面ばかり気にするヴォータンや、軽薄、お調子者のミーメなど男声陣は性格付けがハッキリしている一方、女声は外見からは同じような金髪豊満な典型的アメリカ女だ。歌手は皆相当な演技力を求められるし、回転するセットで、1階がGSとバーとモーテル庭のプール、2階がモーテル客室と廊下、そして屋上と、場面が錯綜する段取りを覚えるだけでも大変だ。
 何より一連の事件(?)をテレビニュースか映画の撮影をする設定となっており、客席から見えないところまで、もしくは見えても別の視点から、しかもドアップで巨大スクリーンに映されてしまう。
 何れにせよ、一般の観客からはど顰蹙なのは当然で 、盛大なブーイングの嵐も演出家には想定内だろう。ペトレンコの疾走する音楽が、逆に殺伐とした演出にぴったりはまり、ワーグナーや指環について何も知らない人は、全く違和感無いのでは?
 歌手は演技含め大熱演で満足、ペトレンコにも大拍手だが、最後に出てきて、外見が一番小者感溢れているのは、影の黒幕なのだからかもしれない。(あくまで見掛けの話、音楽は素晴らしいです。これも異論はあると思うが•••)(B)

ラインゴルト解説とラインの乙女インタビュー [ドイツ]

 10時半に始まったヴァンフリート館長フリードリヒ博士のラインゴルド舞台解説は、ほぼ満員。演出家カストロフがワーグナーにもバイロイトにも何のリスペクトもないという前提の話から始まった。何でもありで、ドラマトゥルギーもいないという。普通は、演出家を助け、作品の本筋から逸れないよう、助言する仕事がある。音楽かドラマかどちらが重要かという問いには、間違いないなく、ドラマだと。次々と現実を提示していき、シンボリックなものはなく、挑発的で、心地よいものではないが、それこそが、現実なのだ。
 12時からTaff主催のライン乙女3人娘のインタビューがあった。場所は同じコアザールだが、集まった人数は20名ほどと、極く少なかった。約30分間、歌いたい役、カヴァーの役、歌手になったいきさつ、来年もバイロイトで歌いたいかなど、気取らないインタヴューだった。名前も顔もよく認識していなかったが、3人とも美しく知的で、いずれ大きな役を歌うようになるのだろう。
Woglinde Mirella Hagen
Wellgunde Julia Rutigliano
Floßhilde Okka von der Damerau