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2013バイロイト指環報告会 [その他]

 東条 碩夫さんのバイロイト指環新演出の対談形式の報告会を聞きに行った。評論家としての厳しいご意見が出るのかと思ったら、意外と正直で、分からないことは、はっきりそうおっしゃる。皆も一番聞きたかった、ジークフリートにワニが登場する理由は分からなかった。
 演出について憤慨すれば、カストロフの思うつぼと思うが、指環を石油に置き換え、世界を制覇の象徴とするアイデアは面白いが、舞台上、上手く反映されず、リアリティーを追及しながら、詰めが甘く、演出意図が読めない、驚きの舞台だと集約される感じの対談だった。
 "演出家の意図"という言葉を良く使うが、一方で、演出家は、聴衆に問題を投げ掛けるだけで、各自が考えればそれで良いと考えているという話も聞いたことがある。
 今日聞いた話では、歌や音楽だけでは面白くないので、舞台に動きを入れるだけという人が居り、指揮者が怒ってその演出を止めさせたとか。もしそんな理由で、無意味な映像を使うなら、舞台上の動きが音楽を邪魔することを、誰か良く演出家に説明してほしいものだ。ドラマトゥルグのいないオペラ演出は、宜しくない。
 バイロイトのDr.フリードリヒが話した、ワーグナーに対する敬意も無い、ジークフリートを英雄とも思わない演出だという大前提を、常に念頭に置かねばならないだろう。日本流に言えば土俵が違うというところか。
 ペトレンコの音楽は、大絶賛だった。よく制御された、引き締まった音が素晴らしいと。私は、ペトレンコだけで、満足だ。(G)

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N響・ブロムシュテット-ブラームス2番、3番 [コンサート]

 N響・ブロムシュテット-ブラームス2番、3番へ出かけたのは何年ぶりだろう。二人ともN響には、お世話になっている先生がいるし、ブロムシュテットのブラ2・ブラ3を聴いてみたいと言われた。20代まではブラームスが大好きだったが、昔は交響曲2曲プロなど無かったように思う。あれば、飛びついただろう。最近、向山さんがチェロの主席も弾かれるそうなので、見てみたいという気持ちもあった。
 偶然電車の中で、N響の先生に出会い、話を聞いて、期待が膨らんだ。実際は、後半のブラ3の方が、曲自体がドラマティックでもあるし、演奏も張り詰めた心地よさがあった。前半のブラ2は、のどかな田園風景は感じたが音色の起伏は要求されなかったのか、2楽章のチェロも穏やかな音色で、倍音のある張った音は聞くことができなかった。こんなにテンションが低くなるなら、前半にブラ2を入れるなんてもったいないプログラムという気がする。
 いずれにしても、ブラームスの交響曲は、どんなにお腹いっぱいでも、供されれば、喜んでいただくし、例えオケで一年中4曲順番に練習しても、飽きずに幸福感を味わえる、私には大切な音楽だ。(G)
この夏のヨーロッパ公演、ヴィースバーデンでの写真パネルがあった。
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NHKホールの帰りは、やはりこの店しかない!(B)
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ワーグナー生誕200周年記念コンサート サントリーホール [オペラ(国内)]

 台風をやり過ごした晩、ワーグナー協会主催の、生誕200年記念コンサートは無事開催され、大盛況だった。私の興味はオケにあり、ほとんど身内意識で、今は自分が演奏した後のような脱力感だ。本番を見事に成し遂げてくれて嬉しい。指揮者の飯守先生の詳解は勿論、副指揮者や、コンマスを引き受けて下さった、戸澤先生の忍耐強い、具体的なご指導の賜物だと思う。
 玄人はだしの技術を持つメンバーだからこそ、体得し、実現できたワーグナー、何を教わったかということが、想像できる、気持ちよいヴァルキューレだった。
 今回、特にワーグナー好きでもない音楽仲間たちが、喜んでくれたのがとても嬉しい。そういうお客さんに聴いていただくことと、若手の歌手に演奏の機会を提供することがこの企画の目的だったのだろうと思うので、お客さんの入りは、成功と言えるだろう。
 プログラムを見たら、オケに知人が何人もおり、人生経験を積んだ、平均年齢の高さが、音楽の理解にも結びついたのではないかとも感じた。大音量の力強い音楽のところは、大きすぎるほどのエネルギーがあった。ジークリンデが盛り上がっていくと、オケもいっしょに大きくなってしまうのは、まあご愛嬌で、もしppに落として感情表現ができるようになれば、一流のワーグナーオケになれる。テンポがゆっくりな分、全部の音を正しく出すと、どうしても大きくなってしまうのだろう。でも、リズム感や、言葉と音楽が関わる歌い方は本物で、心地良かった。一幕最後も、本番では、Vnのきざみが、ぴったり揃って、奇跡のようだった。
 オケの皆さんが費やした時間と労力にお礼を言いたい。東京でワーグナーの音を出せる、ワーグナーの徒が一気に100人増えた。(G)

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