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マラ1・ボレロ・イタリア奇想曲の連弾 [コンサート]

 Kammermusiksaal Steingraeberでプログラムを見ると、演奏者の年配の女性二人は、知った顔だった。日本で、テレビ放映されたと思う。この前、二台のピアノに編曲された第9は、演奏が自分の好みには合わなかったので、今回は少し不安だったが、この4本の手の意味は、二台のピアノではなく、連弾だった。
 Sontraud SpeidelさんとEvelinde Trenknerさんは、真っ赤なドレスで現れ、Speidelさんが、年季の入った楽譜を用意し、Trenker さんが、椅子の向きを変えたりと、担当があるようだった。ベテランの演奏は、何の迷いもつまずきもなく、身をまかせて楽しめた。 前プロがマラ1なのかと意外だったが、全て聴き終えて思うことは、大曲だと、原曲のイメージが強すぎて、私の場合、自然とオ ケの音と同時進行してしまう。ワルターの編曲はオケと同じ緊張感を味わえた。4楽章で、GPの後Vlaが緊張して入るところは、トレモロの伴奏が入っていた。 ボレロの盛り上がりは、凄かった。自分がオケで弾いているとき、ピッチカートしながら各楽器のソロを聴いているのだが、だんだん複雑に音が重なってくると、ついまだ終わらないかな..というネガティブな気分になってくる。ところが、耳をつんざくような、ピアノの音で迫られると、そのエネルギーにひれ伏してしまう。
 イタリア奇想曲も、自分がオケで弾いている時より、はるかに楽しかった。大勢で方向転換し動き回るのは大変でも、4本の手な ら、自由自在に空間を飛び回り、手品のように、様々な音を聞かせてくれた。これは、ボレロ以上に表現が変化するので、テンションが上がりとても楽しかった。(G)
マーラー交響曲 第一番"Titan" ブルーノワルター 編曲
ボレロ ラベル編曲
イタリア奇想曲 チャイコフスキー編曲
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さまよえるオランダ人 ティーレマン [オペラ(海外)]

 新演出オランダ人第二回の公演の日に、劇場前でチケットをsucheし、運よく短時間で、自分の分と知人の分と2枚手に入った。演出が最悪と言われており、ハーケンクロイツの刺青問題で、オランダ人役が交代したことは、今年の音楽祭で最悪の話題だろうと思う。というのも、今年、verstummte stimmenと銘打ち、1876年~1945年までの、バイロイト音楽祭とユダヤ人との関わりの特別展示をしているからだ。第三帝国のプロパガンダにワーグナーが利用されたこと、ヴィニフレートとヒットラーとの関係、音楽祭に参加し、後に犠牲になった指揮者、音楽家、歌手などの紹介パネルが、祝祭劇場下の公園に展示されている。せっかく真摯に反省しているところに水をさす、スキャンダルだった。
 ティーレマンのオランダ人は、私が今まであちこちで聞いた、オランダ人公演と全く違って聞こえた。歌手が、絶叫しない、合唱も全体的に軽やかだ。二幕の女性合唱も、3幕の水夫と幽霊船の合唱も一糸乱れず、 各人が楽に、一番歌いやすい形で、一番美しく歌ってくれた気がする。
 エリック役のMichael Koenigがとても甘い声で、3幕で愛を語り、オランダ人に見つかる前の場面は、音楽もとても、感情豊かで、初めて、オランダ人を聴いて、Romantisce Operという側面を体感した。これまで、オランダ人といえば、大音量の怖くて激しい音楽、叫ぶ歌手、3幕のずれてしまうオケと合唱、救済のハープがあるか否かだったが、ティーレマンが全てを払拭し、新しいオランダ人のイメージを、教えてくれたように感じる。勿論劇場の特性もあると思う。いくら演出が最悪と言われても、結局は音楽と言葉がワーグナーを語るのではないだろうか。タンホイザー公演も、ティーレマンによって、生まれ変わったと思う。どんなに不評の舞台でも、音楽が素晴らしくて、満足させてくれるマエストロ・ティーレマンは、本当に素晴らしい。(G)
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