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スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ ・ 読響 [コンサート]

 サントリーで、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ ・ 読響のトリスタンとイゾルデ編曲版を聴いた。
 プログラム3曲共通して、自分には、音がとても明るく感じられた。舞台横の席は、よく金管打楽器がうるさく感じることがあったが、今回は濁らない綺麗な響きが印象に残った。
 魔弾は、弾く立場で学ぶことが色々あった。クラコンは、とても穏やかで、現代曲でよく出会う爆発・炸裂音はなく、柔らかい音を作る指揮者なのかなと感じる。
 スクロヴァチェフスキの指揮は以前一度は聴いたが、丁寧な印象だった。指揮者は固有のテンポを持っていて、よく演奏時間も話題になる。大指揮者で、音楽の拍子が違っていても、同じ速さで拍を打つ習性を感じるという話を聞いたことがある。今日は、突然そんな基本のテンポの感じを受けた。
 長大なオペラと違い、オケの音楽は、基本に主体的な一定のテンポ枠があると思う。一時間のトリスタンは、オケ作品として、最大限ロマンチックに編曲あるいは、指揮者が演出してくれたように思う。とっさに歌に付ける技能と違い、一団となって、集団が崩壊しないよう守りぬく、キッチリした練習なしで、あんなに躊躇なく歌い、思いっきり演奏出来ないだろうと、パルジファルに続き、オケの指揮者への集中はすごいと思った。
 感情に訴えかけるトリスタンという点からは、暗い部分は気づかせないように、あんなに二人の愛が続いたいいなという、潜在的願望を満たしてくれたような、ストレスのないトリスタンだった。前奏曲と愛の死が大好きな人は多く、そんな人たちの心を満たしてくれる編曲、演奏だったと思う。 
 Vla、イングリッシュホルンの、あまりにロマンチックすぎるソロも、オケの曲ならではの演出だろう。もしこの編曲を、物悲しく演奏したら、全曲聞いてみようという人が、減ってしまうかもしれないと、妙な心配をしてしまう。
 8月にクーラーとテレビをつけたまま、一晩眠ってしまった、翌朝からの体調不良と関係あるのではないかとやっと気づいたが、どうもパルジファルの時から、耳に変調をきたしていると思う。東京文化会館の最上階で、オケの音がうるさく感じられたり、週末、パルテノン多摩のブラ4一楽章で、最後列に移動したくなるほど、耳がVnの音に堪えきれなかった。だから、今日の演奏の本当の音を聴けたかどうか、全く自信がない。視力も聴力もこうして黄昏がれて行くんだなぁ・・・(G)
 ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
 スクロヴァチェフスキ:クラリネット協奏曲(日本初演)
   クラリネット=リチャード・ストルツマン
 ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」(デ・フリーヘル編)
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「フレッシュ名曲コンサート」爽やかな風に乗せて [チェロ]

 東京文化会館が都内の区市町村等との共催で、東京のプロオケに 若いソリストを迎え を、「 フレッシュ名曲コンサート」 を7月~3月 の間に23回開催する。 http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_b_5_12.html
 その一つ、9月22日、パルテノン多摩で、岸本萌乃加(Vn)さんがメンデルスゾーン、岡本侑也(Vc)さんがチャイコフスキーのロココを弾き、後半はブラ4というコンサートがあり、行ってみると客席が半分も埋まっていなかった。
 主催は、多摩市文化振興会と、東京文化会館、東京オーケストラ事業協同組合の協力ということで、東京文化会館に、チラシは置いてあったのかどうか、私は少なくとも、当日初めて、会場でチラシを見た。ソリストが、お客様を呼んでいる風でもなく、お手頃料金なのに、もったいない気がする。そもそもコンサートラッシュの東京で、自主公演と違い、地域で予算付きの催しは、チケット代を安くしても、気づかれないのかもしれない。私自身、二人しか集客出来なかった。でも、一方で、岡本さんにかぶり付きの席にアマオケ仲間を見つけ、八王子のカサドコンクールのことも知っていて、嬉しい出会いもあった。
 岡本さんのロココは、4月に名古屋で聴いた時とはまた変わっていて、とても軽やかで、テンポも早いようだった。さらに、優雅で、透明な雰囲気を醸し、今回も心のまま本番を楽しんでいるようで、客席に幸福感を届けてくれた。若い人は、どんどん成長し、目映いばかりだ。岸本さんは初めて聴いたが、とても清楚な感じで、コンサートの題名のとおり、「爽やかな」お二人だった。このシリーズで、岡本さんは3月いよいよドボコンを演奏する。

 2013年3月20日 (水) 祝日 15:00開演 保谷こもれびホール メインホール
 ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調
           交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』
 指揮:海老原光 管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

 パルテノン多摩に歴史ミュージアムがあり、戦時下の都内から多摩への学童疎開に関する企画展示を見た。70年前の写真はなるほど古いが、学童が描いた絵は明るくて、描きあがったばかりのように、鮮やかだった。一年の疎開の後も、地域の人達とのお付き合いが続いたそうで、いい話だと思う。何十年ぶりかで、疎開のことに接した気がする。(G)
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二期会パルジファル 楽日 [オペラ(国内)]

 バイロイトから戻ってから、音の記憶って何だろうと思う。テンポが遅くても軽く、音の中身が空洞に感じたり、音が持続はするが、平坦であったり、ティーレマンのように、緻密で立体的で、揺れ動き、重量感があるのに流れる音、また、 緩やかでも方向性がある音など、結局自分の好みの音を求めて、バイロイトまで行ってしまった気がする。初め物足りなかった、ヴェールをまとった祝祭劇場の柔らかい音にも慣れ、普通のオーケストラの音に、違和感を感じるこの頃、今日のパルジファルの、生々しい音に何だか戸惑ってしまった。
 前奏が始まるとすぐ、飯守先生の、ピアノを弾きながらの、R.シュトラウスだったか、ワーグナーだったか、作品解説のときのことを思い出した。一つ一つのライトモチーフに感動する思いを抑えきれず、たくさん語って下さる様子に、こちらも心も揺さぶられた。今回のパルジファルは、音楽の隅々まで、ご自身の思いをオケに伝えたのだろうと想像した。そして、オケも本気で応えてくれたように、伝わってきた。あんなに、音楽を表に出しながら、音量を押さえ、歌を消さないようにコントロールし、音の密度が減ることもない。嬉しい発見があった。
 一方では、バイロイトには無い、大音量に驚き、盛り上がりに恐怖すら感じた。以前は、一幕後半の大聖堂の場面の迫力にもの足りなさを感じることが、よくあったが、最上階の席に轟く大音量には、本当に驚いた。でも、幕が進むと耳も慣れ、3幕は、覚悟して臨んだが、今の自分はあのような金管が炸裂する音は心地良くない。
 歌手陣の表現の言い足りない部分を、音楽で補って語っているようで、ライトモチーフに込めた、指揮者の思いが、反映され、メロディが正に、物語の解説をしているように聞こえ、自分にとって、珍しい体験だった。
 これまで聴いた飯守先生のワーグナー中で、私には一番共感出来る演奏だった。後で聞こえてきた話で、オケメンバーに、先生のライトモチーフモチーフ集が、配られたとのこと。やっぱりそうかと納得。演出、歌手については(B)に譲る。(G)
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