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二期会パルジファル 楽日 [オペラ(国内)]

 バイロイトから戻ってから、音の記憶って何だろうと思う。テンポが遅くても軽く、音の中身が空洞に感じたり、音が持続はするが、平坦であったり、ティーレマンのように、緻密で立体的で、揺れ動き、重量感があるのに流れる音、また、 緩やかでも方向性がある音など、結局自分の好みの音を求めて、バイロイトまで行ってしまった気がする。初め物足りなかった、ヴェールをまとった祝祭劇場の柔らかい音にも慣れ、普通のオーケストラの音に、違和感を感じるこの頃、今日のパルジファルの、生々しい音に何だか戸惑ってしまった。
 前奏が始まるとすぐ、飯守先生の、ピアノを弾きながらの、R.シュトラウスだったか、ワーグナーだったか、作品解説のときのことを思い出した。一つ一つのライトモチーフに感動する思いを抑えきれず、たくさん語って下さる様子に、こちらも心も揺さぶられた。今回のパルジファルは、音楽の隅々まで、ご自身の思いをオケに伝えたのだろうと想像した。そして、オケも本気で応えてくれたように、伝わってきた。あんなに、音楽を表に出しながら、音量を押さえ、歌を消さないようにコントロールし、音の密度が減ることもない。嬉しい発見があった。
 一方では、バイロイトには無い、大音量に驚き、盛り上がりに恐怖すら感じた。以前は、一幕後半の大聖堂の場面の迫力にもの足りなさを感じることが、よくあったが、最上階の席に轟く大音量には、本当に驚いた。でも、幕が進むと耳も慣れ、3幕は、覚悟して臨んだが、今の自分はあのような金管が炸裂する音は心地良くない。
 歌手陣の表現の言い足りない部分を、音楽で補って語っているようで、ライトモチーフに込めた、指揮者の思いが、反映され、メロディが正に、物語の解説をしているように聞こえ、自分にとって、珍しい体験だった。
 これまで聴いた飯守先生のワーグナー中で、私には一番共感出来る演奏だった。後で聞こえてきた話で、オケメンバーに、先生のライトモチーフモチーフ集が、配られたとのこと。やっぱりそうかと納得。演出、歌手については(B)に譲る。(G)
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