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新国立劇場ー神々の黄昏 [オペラ(国内)]

 10/7の公演を聴いた。まず言えるのは、マイヤーが素晴らしかった。
 席は四階一列目中央右寄り。聞こえてくる音は大分予想と違っていた。この席での印象だが、どの幕も初めの音を発する瞬間がぴったり合っていないように聞こえる。冒頭では意図的なのだろうが、木管の音が突出していて、待ち構えていた響きとは違っていた。全体にオケの音量が大き過ぎて聞こえるのは、飯守マエストロ新国立のリングの特徴で、金管、打楽器は音色、音質より音量が重視されているのだろうか。
 ペトレンコがスコアを分析して予想外のハーモニーを聞かせてくれるのとは別の意味で、予期しない音に驚く場面に何度も出会った。一階席で聴いたこともないくせに、4階席のオケの大音量を嘆くのは間違った感想かもしれないが、全ての指揮者で思うことではないので、やはりこれは、好みの差はあっても飯守先生の音なのだろう。3幕ジークフリートの死以降、初めてオケの音量が、相対的にppp位まで落ち、幕切れまで、ものすごいクレッシェンドが持続されて、昔だったら、私も大喜びしただろう、巨大な音楽だった。
 一幕でラングが声をセーヴしていたのが、ちょっと残念。イゾルデ役ではさほど感じなかったが、ブリュンヒルデではもう少し声の幅が必要なのか、激しさみなぎる絶叫場面の方が本領発揮してるようだった。グールドも声量が落ちないことは、バイロイトのトリスタンで証明済みだが、この二人と飯守先生の大音量オケの取合せは、自分の経験内では、珍しいタイプの公演だった。
 マイヤーのヴァルトラウテの場面では、独立したマイヤーの世界が広がり、やはり別格、飛び抜けて素晴らしかった。歌詞も4階まではっきり聞こえ、この場に居あわせて、幸せだと痛感した。ラングはマイヤーに伍してというより、演出上も、マイヤーに花を持たせたのか、控え目な印象だった。
 演出上舞台が奥深いせいもあるが、2幕のハーゲンの号令も男声合唱も声が遠く、迫力が出なかった。合唱の人数は相当いたようだし、バンダのスティアホルンは素晴らしかったが、弦楽器は聞こえず、バランスが難しい。ここはもっと前方で、歌ってもらいたいものだ。と言うより、全体にオケの音量が大き過ぎる。
ジークフリートのホルンは、なめらかで、勢いがあって、素晴らしかった。
 この日、本公演3回目の方々にも会い、だんだん良くなっているとのこと。一週間後には、どんな変化があるだろうか。

指揮:飯守泰次郎
ジークフリート:ステファン・グールド
ブリュンヒルデ:ペトラ・ラング
アルベリヒ:島村武男
グンター:アントン・ケレミチェフ
ハーゲンアルベルト・ペーゼンドルファー
グートルーネ:安藤赴美子
ヴァルトラウテ:ヴァルトラウト・マイヤー
ヴォークリンデ:増田のり子
ヴェルグンデ加納悦子
フロスヒルデ:田村由貴絵
第一のノルン:竹本節子
第二のノルン:池田香織
第三のノルン:橋爪ゆか
合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団
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