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日本ワーグナー協会 バイロイト報告 マイスタージンガー [その他]

 ワーグナー協会のバイロイト報告会、今年は、既にNHKBSで放映された、新演出のニュルンベルクのマイスタージンガーについて、説明された。
 演出家バリー・コスキーは、オーストラリア生まれの50歳、祖父母の代に移民してきたユダヤ人。ヴァーグナーの反ユダヤ思想が顕著に現れているマイスタージンガーの演出をカタリーナから依頼され、半年考えさせて欲しいと言ったそうだ。コスキーは、ミュージカルとオペラを区別していないとのこと。(私個人的にも第一印象は、ミュージカルのようだということだった。)
 前奏曲と同時に舞台が始まり、場面はヴァン・フリート、そこにリスト→ポークナー、コジマ→エーファ、ヴァーグナー→ハンス・ザックス、ヘルマン・レヴィ→ベックメッサーが登場する。そして、劇中の→の人物になる。ベックメッサーは、初めから、差別的に扱われる。
 一幕終わりで、証言台や、連合軍4カ国の国旗が舞台に登場し、ニュルンベルク裁判の法廷への伏線が見られる。二幕の舞台は法廷の壁に囲まれた芝生、最初寝転んでいるのは、ヴァーグナーとコジマであり、すぐにザックスとエーファに移っていく。最後乱闘の場面で、ベックメッサーはやっつけられ、ユダヤ人を誇張したワシ鼻の模写絵のような面を被され、隣で膨らむ、面と同じ顔の風船の頭にユダヤの星が大きく描かれ、観客に見せつける。夜警は姿を現わさないが、直後に、アメリカのMP(憲兵)の白いヘルメット姿の黙役が立つ。
 3幕はニュルンベルク裁判の法廷のセット、その中で、作品の筋書き通りの劇が演じられる。5場(NHKでは2場)ではコアが大活躍し、舞台を駆け回る。最後までベックメッサーは差別され、ひどい歌を歌い、摘み出された後、二度と舞台に戻らず、追放されたという扱いだ。ザックスの大演説の後、舞台上にオケ(の演技)が残り、後ろへ下がってフェードアウトする。ザックスの芸術についての訴えの後、音楽が残り、その判断は、聴衆に委ねる、と解釈できるかもしれない。
 ベックメッサーは、どんなプロダクションでも、大概一番人気となるものだ。コスキーはヴァーグナーに批判的であったはずだが、結果として演劇的に面白すぎるベックメッサーを描いてしまった。
 全幕とも始まりに、字幕が出て、1幕は、場面説明、2幕はコジマの日記からだが、3幕のシュレーゲ・ナハトムジークというのが、シュレーゲ・ムジークという、双発の戦闘機で、英国軍機を斜め下から攻撃する作戦のことを言っているようだが、劇中の場面とは関係なさそうだ。また、時計がぐるぐる反対回りすることなど、まだあちこちに、疑問点は残る。
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