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新国立劇場-ジークフリート②楽日 [オペラ(国内)]

 楽日の席は4階1列目、私の場合は、手すりが邪魔で、結局手すりと壁の隙間から、双眼鏡を覗く姿勢で見ることになる。先週バックステージの説明を聞いたので、今日は視覚優先で、特に一幕は細かい動きを見るようにした。でも、何故か、鍛冶場面で前回に比べほとんど火花が散らず、少し残念。ミーメは、今日は上手に卵を割った。この舞台は、トンネルリングの完成形だと、先週説明があった。3幕の三角形の舞台は、キース・ウォーナーのTokyo Ringにも影響を与えたとも言っていた。
 音楽は、オケが慣れて来たのだろう、先週よりも、飯守節になっていた。金管を鳴らし、ちょっと私の耳の状態では、オケがうるさかった。でも歌の場面では、さっと音量が下がるので、そこは良い感じだ。きっと一階席のお客様が満足するような音量になっているのだろう。4階席からは、一切オケが見えないが、横のZ席から覗いてみたかった。
 2幕は、ファーフナーの手(足?)に窓が2つ見えるが、人が二人入っているそうだ。後ろから空気を送って膨らませるのだが、音がうるさいので、初めは少しずつ、オケの音量が上がったところで、一気に入れるらしい。今回は、3幕も歌手の表情を見続けたが、正規の演出なのか、二人とも思う存分、なりきって演技してくれた。酷評される心配のないaway公演の解放感があるのかなぁと想像したりもする。主役二人を見ていて、本当に、"愛する"とはどういうことなのか、考えさせられた。リングの筋書きにはすっかり馴染みになっているものの、ヴォータンに対する忖度も加わりブリュンヒルデが引き起こした事件の顛末を思うと、同情の余地ある登場人物ばかりだ。今年の秋には黄昏が聞ける。一年でリング2作品とは快挙だ。

Siegfried:ステファン・グールド
Mime:アンドレアス・ コンラッド
Der Wanderer:グリア・グリムスレイ
Alberich:トーマス・ガゼリ
Fafner:クリスティアン・ ヒュープナー
Erda:クリスタ・マイヤー
Brünnhilde:リカルダ・メルベート
Waldvögel:鵜木絵里、九嶋香奈枝、安井陽子、吉原圭子
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読響・第603回名曲シリーズー宮田大 [コンサート]

 宮田大さんのショスタコ1番を聴いてみたくて、出かけた。私の印象では宮田さんの音楽は落ち着いていて、余裕があった。ブリュッセルのコンクールでショスタコの熱演ばかり聴いてきたせいか、とても老成した音楽のように聞こえた。
 若い人の演奏に心打たれるとき、その要因は何だろう。まずは生気、高みへ挑戦する意欲、万全の準備、豊かな個性など、向こうで感じたことだ。宮田さんも世界のトップクラスの演奏家だと思うが、今日は適度に自重しているように感じられた。一楽章はまだよく音が鳴らず、2、3楽章は美しく豊かに歌ってくれて、4楽章で締めて、無難な演奏だった。テンポも、思ったよりゆっくりで、安心して聞ける。この作品は、追い詰められたり、切迫感があるのが魅力でもあると思っていたが、エリザベート3位の人は、テンポは速くても、温かい音だったし、今回は、余裕のある音、いろいろな可能性があるようだ。
 休憩後のシェエラザードは、読響木管楽器の名人芸を聴かせて貰った。素晴らしい。

指揮=ダニエル・ブレンドゥルフ
チェロ=宮田 大

シベリウス:組曲「レンミンカイネン」から"トゥオネラの白鳥"
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 作品107
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
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METライブビューイング 《ばらの騎士》 [映像・放送]

 Wagner 以外のライヴヴューイングは初めてだが、フレミングとガランチャがこの役は最後ということで、見に行った。映画作品として、歌と演技のレヴェルの高さに感嘆した。もう演じている感じがせず、作品中の人物を全人格的に体現して、どこから見ても、100%マーシヤリン、オクタヴィアン、オックスという人間だった。
 去年夏、バイエルンのペトレンコ指揮のばら騎士で、グロイスベックは、初めてオックスを演じたのではなかっただろうか。歌より自転車競技が良いと言うほどのスポーツマン、高貴な雰囲気の漂うグロイスベックが、どんなオックスを演じるかと話題になったが、metでは、カッコいい残像すらよみがえらないほどの、ダメ男を演じた。設定が19世紀末ハプスブルグ家崩壊直前で、オックスは、よくある、バイエルンの田舎者ではなく、軍服を脱ぐと下品さがみなぎる軍人だった。インタヴューでは、楽譜に沿って役を演じたと。特に下品にという指示はないと、新たなオックス像を樹立したようだ。
 ロバート・カーセンの演出では、3幕が驚きの娼婦の館。衣装は当時のものなのか、よく分からないが、上下に分かれたコルセットに靴下止め、ガウンを羽織るスタイル。オクタヴィアンもそのスタイルで、オックスに迫り、オックスの方が、たじたじになる。お化けが出る場面は、壁の絵画が下がり、女性の飾り窓となり、オックスが怯える。お決まりの鬘の場面も良くできている。一幕で、マルシェリンの髪を整えるのは、かつら担当の技術者で、衣装をつけて舞台に登場した。
 一幕の最後も、三幕の見せ場も、フレミングは素晴らしく、活発なゾフィーのキャラクターも、劇の進行に矛盾なく、最後はやはり涙を誘う。ガランチャは、本当に男性に見えるときもあり、さすがmetのばらの騎士、殿堂入り、恐れ入りました。

2017年5月13日楽日の上演
元帥夫人 :ルネ・フレミング
オクタヴィアン: エリーナ・ガランチャ
ゾフィー:エリン・モーリー
オックス男爵:ギュンター・グロイスベック
ファーニナル:マーカス・ブルック
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新国立劇場-ジークフリート [オペラ(国内)]

 四日目の公演に行った。何も前評判を聞いていなかったが、期待以上で、東京交響楽団が結構つぼにはまっていて、ポジティヴに驚いた。今までしかたなく聞いていた東フィルのあの残念なワーグナーは何だったのか。誰のせいだったのだろう。指揮者とオケの相性だろうか。始まりのFgはスラーじゃないなぁと、警戒したが、すぐに雰囲気が出てきて、テンポ感も、音量も、一、二幕はとても良かった。三幕だけは、力尽きたのか、弦も金管もばらばらになってしまったが、全体的にはヴァルキューレをはるかに凌ぐ実力だったと思う。舞台もノーマルで、私は気に入った。
 ステファン・グールドはじめ、歌手の皆さんも、とても良かった。やっぱりリングはいいなあと、どっぷり浸かって、時々ペトレンコのジークフリートを思い出しながら、ワーグナーを享受した。
 この日運良く、初めて、バックステージツアーに当選した。公演中の大道具の多くが、手動であり、だからこそ、自然に見えるという話は意外だった。一幕のミーメの小屋の鍛冶のセットが見事で、ジークフリートがトンテンカン刀を叩き、火花を散らしながら歌う見せ場は歌手の器用さがかなり関係する。この火花に関しては、初日にご観覧された皇太子殿下からのも、どのようにしているか質問が出たそうだ。グールドは器用で、両手を使って音と火花も同時に出しているとのこと。確かに金槌の音とオケがずれてしまう本番もお目にかかったことがある。このプロダクションでは、森の小鳥は4人出てくるが、そのうち最初の3人は2幕初めから木に登って出番を待っているとのこと。狭い場所で大変な仕事だ。3幕は、主役二人の表情や演技がとても自然で、清々しいプロダクションが見られて、良かったと思う。

Siegfried:ステファン・グールド
Mime:アンドレアス・ コンラッド
Der Wanderer:グリア・グリムスレイ
Alberich:トーマス・ガゼリ
Fafner:クリスティアン・ ヒュープナー
Erda:クリスタ・マイヤー
Brünnhilde:リカルダ・メルベート
Waldvögel:鵜木絵里、九嶋香奈枝、安井陽子、吉原圭子
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バイエルン国立歌劇場ータンホイザー‎(ペトレンコ) [オペラ(海外)]

 昨晩、コンクールの発表が深夜だったので、1時にホテルに戻った。翌朝6/4は朝一のLHでブリュッセルからミュンヘンへ。お目当てはペトレンコのタンホイザー、今秋の来日公演の演目で、先週がプレミエ、勿論チケットは早々に売り切れで、ブリュッセルから4回電話して、戻りチケットのことを聞いたが、どの日も無いと言われ、suche する覚悟を決めた。
 友達の家に荷物を置き、Yuyaさんの写真、ビデオ、インタビューなど、タブレットで見せると、彼女も一緒にsucheすると、言ってくれた。そして、タンホイザーに失敗したときは、夜レジデンツの キュヴィリエ劇場のコンサートがあるからと励ましてくれた。
 二人で14:30劇場前でTannhaeuser のsuche Karte を開始した。開演は16時。すでに、10人くらい、sucheしていた。3時頃だったか、フランス人女性が、チケットを持って、階段を上がってきたので、直ぐアイコンタクトで、近づいた。パルケットの良い席(カテゴリー1)だったので、決断。友達は、3:30頃まで、うろうろしてみたが、結局帰ったそうだ。
 演出はネットにある通りで、日本語でも来日公演の解説が詳しく出ている。 
 個人的には、ペトレンコの精緻で流麗な音楽に魅了され、特に1幕は、別の作品の如く、全く音楽が途切れず、音量も控え目、歌も、力んだり、叫んだりすることなく、例えるなら、公演全体が、フォークトの声のように爽やかで、舞台上で度々風に揺れる、レースのカーテンは、音楽のイメージそのものだった。フォークトは、ローマ語りの最後で少し喉を絞ったが、それまでは、ローエングリンのようだった。
 友達の家に帰ると、シュパーゲルが用意されていた。旅の始まりは、不安なことばかりだったが、すべて、希望が叶い、帰途につくことができた。

Musikalische Leitung:Kirill Petrenko
Hermann, Landgraf von Thüringen:Georg Zeppenfeld
Tannhäuser:Klaus Florian Vogt
Wolfram von Eschenbach:Christian Gerhaher
Walther von der Vogelweide:Dean Power
Biterolf:Peter Lobert
Heinrich der Schreiber:Ulrich Reß
Reinmar von Zweter:Ralf Lukas
Elisabeth, Nichte des Landgrafen:Anja Harteros
Venus:Elena Pankratova
Ein junger Hirt:Elsa Benoit
Vier Edelknaben:Solist/en des Tölzer Knabenchors
ミュンヘン空港にて
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エリザベートコンクール2017--Final6(結果発表) [コンサート]

 コンクール最終日、今日もチケットが無いため、早めの17時頃会場に行って、当日券を手に入れた。一人目のVictorさんは、本当に本選全員の中で、最高に素晴らしい、理想的な演奏だった。
・Victor Julien-Laferrière [Shostakovich, Concerto n. 1 in E flat major op. 107]
 パリ生まれのフランス人、プラハの春国際コンクールをドヴォコンで優勝しているそうだが、今日はショスタコーヴィッチ。すでに、CDもリリースしている。
 二人目は、Mr. Ivan Karizna [Shostakovich, Concerto n. 1 in E flat major op. 107]は、ベラルーシ出身、純朴で懐かしいようなショスタコを聞くことができた。
 22:30頃演奏は終了し、午前零時ごろから結果発表があった。帰る人もおり、客席は自由席と現地の方から教わり、一緒に前から5列目に陣取った。
 ステージ上には、審査員席と後ろに12脚の椅子がならべられ、審査員入場後、王妃がご臨席され、審査員長が一位から、一人ずつ発表すると、舞台袖から出てきて、審査員の先生一人一人と握手し、ホストファミリーらしき人から、花束をうけとり、審査員後ろの席に回る。
 結果一位は、今日演奏した、Victor Julien-Laferrière 、二位がYuya Okamoto、三位が、昨日暖かみのある音だった、コロンビアのSantiago Cañón-Valencia 。私としても全く異存ない順位だと思い、審査員の先生方に感謝だ。Yuyaさん、本当におめでとうございます。
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エリザベートコンクール2017--Final5 [コンサート]

 岡本さんの演奏が終わってしまって、何だか気が抜けたが、コンクールはまだまだ続く。今日と明日の最終2日間は、5月中旬時点でチケットが売り切れていたが、6/2当日に、舞台は見えないが聞くだけの席が出ると前日に言われ、17:45買いに行った。オケとソロとどちらが見たいか聞かれ、ソロの見える一番良い席をお願いすると、2Rang 中央6列目の席をくれた(12ユーロ)。最終日は、もう少し早く来た方が良いと言われた。
 座ってみると、音は小さいが、中央端の席なので、体をずらせば、真っ正面にソリストは見えた。

・Bruno Philippe [Dvořák, Concerto n. 2 in B minor op. 104]
フランス人、2014年ミュンヘンARD3位, フォイヤマン、2015年チャイコフスキーなどのコンクールで賞をとり、演奏活動している。ここで頑張ってキャリアアップ組、と言ってもまだ23才。

・Santiago Cañón-Valencia [Shostakovich, Concerto n. 1 in E flat major op. 107]
コロンビア出身、色々な国際コンクールで受賞。ヴァイマールのリスト音楽院卒業。長髪!

 評価の高いPhilipe さんの演奏を聞くと、優雅であり、強烈なところもあり、個性もあって、さすが、整っている印象だった。フレーズの頭を強調するのは、ヨーロッパ言語圏では、良しとされているのだろう。これは、以前ミュンヘンのコンクールを聞いたときにも感じたことだ。やはり、舞台が暑かったので、ドヴォコンの序奏が終わり、ソロが入るまでに、弦が下がってしまったのか、Yuyaさんと同じく低めの音程で出た。多分、シューマン、ショスタコより、ドヴォコンの方が、ハーモニーが要求されるため、音程(調弦の正確さ)が影響するのではないだろうか。一楽章の難所も、苦労しており、昨日を思い出す。ミュンヘンコンクール3位の人でも、いつもスイスイとはいかないのか。歌い方の好みは様々だが、私には、ちょっと合わないところがあった。
 二人目、コロンビアの人は、音がとてもまろやかで、角がない。Sublimationも乱暴な音は無かった気がする。たまたま、コンクールの映像のページで、マイスキーが叩きつけるような奏法でショスタコを解説しているのを見た後だったため、このように、丸い優しい音で奏でるショスタコは、めったに聞けないかもしれないと思った。

 20時開演まで時間待ちで、眺めのよい芸術の丘で、夕涼み。目の前は、王立図書館。15年以上前のアマオケの演奏旅行の時、よくわからず、三日間通い、7ユーロの当日入館証を作って、バッハ無伴奏5番の、アンナ・マグダレーナのオリジナル楽譜を見せてもらい、ファクシミリを売店で買って帰った。今日では、普通にオリジナルのコピーが出版されている。
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エリザベートコンクール2017--Final4 [コンサート]

 いよいよ岡本さんが弾くする4日目となった。一人目は、
・JeongHyoun (Christine) Lee
 fainalに残った韓国人は2名とも女性、曲はシューマン。ソウル生まれでアメリカで学び、既に欧米でかなりのキャリアだが、最近はここブリュッセルでも学んでいる。
 彼女は、Sublimationが始まってすぐ、情熱的に弾きすぎたかのように、弦を切って、出直してきた。
 でも、とても明るい、ひとなつっこい性格のようで、終始楽しそうに演奏した。私は昨日まで、三階席だったが、運よく昨日、今日の平土間の戻りチケットを手に入れた。そういうわけで、Sublimationは、色々な楽器の音色を、間近で聞くことができた。彼女のシューマンは、楽々と悩ましさもなく、聞き手を鬱々とさせることはない。
 岡本さんは、今まで聞いてきた人とは、全く違うタイプだった。痩せているせいもあるが、体をしならせ、のけ反りながら弾く人ばかり見てきたため、初めは、非力に受け取られはしないか心配になった。でも、Sublimation でソロが、堂々と目立つ必要が、果たしてあるのかなと気づいた。思い悩む人の声が、自然を突き抜けて轟くだろうかと。時には自然(オケパート)に埋もれながら、自分を探し昇華すると考えると、音が大きければいいのかと問いたい。
 岡本さんのドヴォコンは、聞く度に繊細になって行くようだ。とにかく舞台が暑いらしく、大汗をかき、弦は下がり、いつものようにスイスイとは感じられなかった。あまり調弦しない人もいるということは、暑さに強い弦なども工夫する必要があるのかもしれない。
 岡本さんの繊細で深い解釈のドヴォコンは、新境地と言えはしないだろうか。聴衆を次第に引き込み、集中させて行ったように思う。平土間席では、立ち上がって拍手する人が多数いて、毎年来ている人の評判は良かった。
 常連さんの日本人と一緒に、出待ちしたが、まず、ドイツPresseの取材を控え室の方で受けているとのことで、一向に出て来ない。確かに、ドイツ人はひとりも本選に残らなかったので、ミュンヘン音大生のYuyaは、重大な取材対象かもしれない。日本人の取材が終わると、午前零時時だった。
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一人目奏者Lee さんと
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日本メディアの取材
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エリザベートコンクール2017--Final3 [コンサート]

 今日で3日目だが、これが終わってやっと半分、審査員の方々は本当に大変だ。

・Maciej Kułakowski
 ポーランド人だがドイツで勉強している。若いがかなりのコンクール歴。日本には来ていないようだが、欧州各地で演奏している。曲は、ショスタコ。
Instrument : Charles Gaillard (1867), loaned by the Deutsche Stiftung Musikleben

・Seungmin Kang (ソンミンカン)
 韓国人女性、10年前の八王子・カサドコンクールで優勝している。1987年生まれということで、プロとしてのキャリアも長く、本選出場者では最年長だ(80年代生まれはひとりだけ)。曲はドヴォコン。
Instrument : Vincenzo Trusiano Panormo (1811)

 開演前、初めて会場で、細川先生が紹介された。見えなかったが、国王ご夫妻もご臨席されたはず。
 今日の席は2Rang の中央と左側の境、4列目。昨日までと雰囲気が違い、舞台が見えない席が多く、移動しては、戻って来る人続出。私は手すりの隙間から見えたのだが、いざ始まると、前の人が前のめりになり、シャットアウトされ、一人目のショスタコは、立って聞いた。一楽章が終わったところで2Rang 奥の方で、拍手が起きたり、演奏中1Rang仕切り席の警備員の無線の声が、ラジオのように、間近に飛んできたり、間の悪い咳をする人も多く、気の毒だった。
 休憩で帰った人もいて、後半は、急に席があいた。思うに、観劇気分で国王ご夫妻を見にきて、ちょっと音楽聞いて帰り16ユーロなら、お手ごろな値段なのかもしれない。
 Kułakowskiさんの音は、とても真面目で誠実、音楽の細部まて納得行くまで追及しそうな感じ。必要以上になパフォーマンスは無く、地味だが、テクニックの素晴らしさは言うまでもなく、音楽はさらに深い。そういう意味では、前日二人目Pascal さんには、華やかさがあった。Sublimation は、pizzが、ギターの音のように、軽かったのが、印象に残ったが、作品との一体感というか、繊細なオケとの調和があったと思う。
 ソンミンカンさんは、対照的で、終始思いの丈を投入する、情熱的な演奏だった。Sublimationの東洋的な音はさすが手慣れており、京劇の音ように聞こえるところもあった。pizzでは、さっきはギターみたいだったのに、バチバチやったので、前の席の人が驚いていたようだ。残念だったのは、ドヴォコンで3楽章で、オケとずれてしまったことだ。彼女は良くテンポを変え、マイスキーみたいに、最後をはしょるような弾き方をするので、トリルの小節が詰まったのに、オケが対応できなかったのではないだろうか。録音を聞いてみないと、確かなところは分からないが。その直後、泣きそうに悲しいメロディを歌い、軽快に、コンマスとのデュエットに入った。彼女の熱演に、聴衆が湧き、2Rangでは立ち上がって拍手する人も沢山いた。

写真は、昼間見たマグリット、ブリューゲル、ダリ
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