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METライブビューイング 《ばらの騎士》 [映像・放送]

 Wagner 以外のライヴヴューイングは初めてだが、フレミングとガランチャがこの役は最後ということで、見に行った。映画作品として、歌と演技のレヴェルの高さに感嘆した。もう演じている感じがせず、作品中の人物を全人格的に体現して、どこから見ても、100%マーシヤリン、オクタヴィアン、オックスという人間だった。
 去年夏、バイエルンのペトレンコ指揮のばら騎士で、グロイスベックは、初めてオックスを演じたのではなかっただろうか。歌より自転車競技が良いと言うほどのスポーツマン、高貴な雰囲気の漂うグロイスベックが、どんなオックスを演じるかと話題になったが、metでは、カッコいい残像すらよみがえらないほどの、ダメ男を演じた。設定が19世紀末ハプスブルグ家崩壊直前で、オックスは、よくある、バイエルンの田舎者ではなく、軍服を脱ぐと下品さがみなぎる軍人だった。インタヴューでは、楽譜に沿って役を演じたと。特に下品にという指示はないと、新たなオックス像を樹立したようだ。
 ロバート・カーセンの演出では、3幕が驚きの娼婦の館。衣装は当時のものなのか、よく分からないが、上下に分かれたコルセットに靴下止め、ガウンを羽織るスタイル。オクタヴィアンもそのスタイルで、オックスに迫り、オックスの方が、たじたじになる。お化けが出る場面は、壁の絵画が下がり、女性の飾り窓となり、オックスが怯える。お決まりの鬘の場面も良くできている。一幕で、マルシェリンの髪を整えるのは、かつら担当の技術者で、衣装をつけて舞台に登場した。
 一幕の最後も、三幕の見せ場も、フレミングは素晴らしく、活発なゾフィーのキャラクターも、劇の進行に矛盾なく、最後はやはり涙を誘う。ガランチャは、本当に男性に見えるときもあり、さすがmetのばらの騎士、殿堂入り、恐れ入りました。

2017年5月13日楽日の上演
元帥夫人 :ルネ・フレミング
オクタヴィアン: エリーナ・ガランチャ
ゾフィー:エリン・モーリー
オックス男爵:ギュンター・グロイスベック
ファーニナル:マーカス・ブルック
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