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エリザベートコンクール2017--Final4 [コンサート]

 いよいよ岡本さんが弾くする4日目となった。一人目は、
・JeongHyoun (Christine) Lee
 fainalに残った韓国人は2名とも女性、曲はシューマン。ソウル生まれでアメリカで学び、既に欧米でかなりのキャリアだが、最近はここブリュッセルでも学んでいる。
 彼女は、Sublimationが始まってすぐ、情熱的に弾きすぎたかのように、弦を切って、出直してきた。
 でも、とても明るい、ひとなつっこい性格のようで、終始楽しそうに演奏した。私は昨日まで、三階席だったが、運よく昨日、今日の平土間の戻りチケットを手に入れた。そういうわけで、Sublimationは、色々な楽器の音色を、間近で聞くことができた。彼女のシューマンは、楽々と悩ましさもなく、聞き手を鬱々とさせることはない。
 岡本さんは、今まで聞いてきた人とは、全く違うタイプだった。痩せているせいもあるが、体をしならせ、のけ反りながら弾く人ばかり見てきたため、初めは、非力に受け取られはしないか心配になった。でも、Sublimation でソロが、堂々と目立つ必要が、果たしてあるのかなと気づいた。思い悩む人の声が、自然を突き抜けて轟くだろうかと。時には自然(オケパート)に埋もれながら、自分を探し昇華すると考えると、音が大きければいいのかと問いたい。
 岡本さんのドヴォコンは、聞く度に繊細になって行くようだ。とにかく舞台が暑いらしく、大汗をかき、弦は下がり、いつものようにスイスイとは感じられなかった。あまり調弦しない人もいるということは、暑さに強い弦なども工夫する必要があるのかもしれない。
 岡本さんの繊細で深い解釈のドヴォコンは、新境地と言えはしないだろうか。聴衆を次第に引き込み、集中させて行ったように思う。平土間席では、立ち上がって拍手する人が多数いて、毎年来ている人の評判は良かった。
 常連さんの日本人と一緒に、出待ちしたが、まず、ドイツPresseの取材を控え室の方で受けているとのことで、一向に出て来ない。確かに、ドイツ人はひとりも本選に残らなかったので、ミュンヘン音大生のYuyaは、重大な取材対象かもしれない。日本人の取材が終わると、午前零時時だった。
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一人目奏者Lee さんと
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日本メディアの取材
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 一夜明けて、岡本さんのアップされた録音をiPhone で聞いた。きっと、一番音のバランスが良いところで録られたのだと思うが、本当にすべてが自然な歌のようで、3次元の空間を自在に飛び回る音楽の精霊の存在を感じる。Yuyaさんの音楽は、自然との調和した、理想郷のイメージだ。彼がメロディーを歌うと、オーケストラは、呼応せずにはいられなくなり、音は溶け合う。
 Sublimation での昨日の印象は、自分では間違っていないと思う。ドヴォコンは、ドヴォルザークが抱いた郷愁の念を、そのまま伝えてくれた気がする。
 エリザベートコンクールは、毎年恒例のお祭りという印象が強い。コンクールには結果がついて来るものだがYuyaさんが、もし昨日、暑さや楽器のコンディションなど、何もトラブルがなく、あれだけのメッセージを聞き手に送ることができたなら、もう人間の域を超えてしまうだろう。自分の心を余すところなく伝える努力を芸術家はするのだが、その手段、媒体が、芸術家を悩ませる。昨日、あの自然すぎるドヴォコンを嫌いと感じた人は、果たしていただろうか。
 演奏前のYuyaさんのドイツ語のインタビューを聞いた。緑ゆたかな庭で練習するのが好きだと。なるほど、ヨーロッパは、日本に比べ、チャペルや、石づくりの建物など、音響のよい空間が多い。でもきっと彼は自然と同化し自分をの感性を磨くような時間を、大事にしているのではないだろうか。エネルギー源は、バナナとチョコレート。舞台では、自分はBotschaft だと。作曲家や作品のメッセンジャーという意味合いだと思う。
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