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読響・第603回名曲シリーズー宮田大 [コンサート]

 宮田大さんのショスタコ1番を聴いてみたくて、出かけた。私の印象では宮田さんの音楽は落ち着いていて、余裕があった。ブリュッセルのコンクールでショスタコの熱演ばかり聴いてきたせいか、とても老成した音楽のように聞こえた。
 若い人の演奏に心打たれるとき、その要因は何だろう。まずは生気、高みへ挑戦する意欲、万全の準備、豊かな個性など、向こうで感じたことだ。宮田さんも世界のトップクラスの演奏家だと思うが、今日は適度に自重しているように感じられた。一楽章はまだよく音が鳴らず、2、3楽章は美しく豊かに歌ってくれて、4楽章で締めて、無難な演奏だった。テンポも、思ったよりゆっくりで、安心して聞ける。この作品は、追い詰められたり、切迫感があるのが魅力でもあると思っていたが、エリザベート3位の人は、テンポは速くても、温かい音だったし、今回は、余裕のある音、いろいろな可能性があるようだ。
 休憩後のシェエラザードは、読響木管楽器の名人芸を聴かせて貰った。素晴らしい。

指揮=ダニエル・ブレンドゥルフ
チェロ=宮田 大

シベリウス:組曲「レンミンカイネン」から"トゥオネラの白鳥"
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 作品107
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
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METライブビューイング 《ばらの騎士》 [映像・放送]

 Wagner 以外のライヴヴューイングは初めてだが、フレミングとガランチャがこの役は最後ということで、見に行った。映画作品として、歌と演技のレヴェルの高さに感嘆した。もう演じている感じがせず、作品中の人物を全人格的に体現して、どこから見ても、100%マーシヤリン、オクタヴィアン、オックスという人間だった。
 去年夏、バイエルンのペトレンコ指揮のばら騎士で、グロイスベックは、初めてオックスを演じたのではなかっただろうか。歌より自転車競技が良いと言うほどのスポーツマン、高貴な雰囲気の漂うグロイスベックが、どんなオックスを演じるかと話題になったが、metでは、カッコいい残像すらよみがえらないほどの、ダメ男を演じた。設定が19世紀末ハプスブルグ家崩壊直前で、オックスは、よくある、バイエルンの田舎者ではなく、軍服を脱ぐと下品さがみなぎる軍人だった。インタヴューでは、楽譜に沿って役を演じたと。特に下品にという指示はないと、新たなオックス像を樹立したようだ。
 ロバート・カーセンの演出では、3幕が驚きの娼婦の館。衣装は当時のものなのか、よく分からないが、上下に分かれたコルセットに靴下止め、ガウンを羽織るスタイル。オクタヴィアンもそのスタイルで、オックスに迫り、オックスの方が、たじたじになる。お化けが出る場面は、壁の絵画が下がり、女性の飾り窓となり、オックスが怯える。お決まりの鬘の場面も良くできている。一幕で、マルシェリンの髪を整えるのは、かつら担当の技術者で、衣装をつけて舞台に登場した。
 一幕の最後も、三幕の見せ場も、フレミングは素晴らしく、活発なゾフィーのキャラクターも、劇の進行に矛盾なく、最後はやはり涙を誘う。ガランチャは、本当に男性に見えるときもあり、さすがmetのばらの騎士、殿堂入り、恐れ入りました。

2017年5月13日楽日の上演
元帥夫人 :ルネ・フレミング
オクタヴィアン: エリーナ・ガランチャ
ゾフィー:エリン・モーリー
オックス男爵:ギュンター・グロイスベック
ファーニナル:マーカス・ブルック
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