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バイロイト音楽祭ーヴァルキューレ2 [オペラ(海外)]

 怖いもの見たさで、ドミンゴの指揮するヴァルキューレの高価なチケットに、手を伸ばしてしまった。
 初回は地元紙にも随分叩かれていたようだが、2度目の公演のせいか、噂で聞いていたほどの混乱は無く、ごく自然に舞台が進んで行った。
 初め幕が開いたとき、カンペのジークリンデは、鳥小屋の横に居て、七面鳥に話しかけているというか構っているように見えたが、今までもそうだっただろか。一幕で、ジークムントが歌っている時、少なくともこの鳥が3回鳴いた。不思議とテノールの音域で、さほど邪魔にはならなかったが、これまで劇中で鳴いたと気づいたことはない。羽根を拡げると綺麗だが、鳥さんも代役だったのだろうか。暑くて、不機嫌だったのだろうか。もし、仲間の声と思い、合唱したなら、楽しい話だ。
 インタヴュー記事でドミンゴは、自分は歌手の為に指揮したいと思っていると言っていたが、この劇場の特徴にも触れ、客席でのオーケストラと時間差についても言及している。ヴァルキューレを指揮するのは初めてではないからと余裕を見せたが、この日ドミンゴの音楽が無難に進んだのは、2回目ということもあり、コンマスのリードとオケの技量のお陰ではないかと邪推できないこともない。ウィーンフィルが、指揮者にこだわらず、同じレヴェルの演奏するのと同じく、要所、難所を心得たメンバーは、自主的に波を乗り越えていけるのでは無いだろうか。少なくとも、日本のプロオケでは、かなりオケの自主性に任されているように聞いたことがある。はっきり言って、バイロイトのオケは、誰が指揮者でも、この水準の演奏はするということだ。
 全体の印象としては、重低音が軽く、音の厚みがすっきりした音楽だった。日本人でヴァキューレのGrimgerseを歌った金子美香さんも、とても自然にワルキューレ達に溶け込んでいて、本当に普通に歌い動き回っていた。ということは、相当上手ということだ。これは快挙だ。
 カーテンコールでは、ブーをかき消そうとすかのような、盛大なブラボーが聞こえた。ドミンゴは腰の曲がった好々爺になっていた。
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