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バイロイト音楽祭ートリスタンとイゾルデ3 [オペラ(海外)]

 今年のトリスタンは、前日にティーレマンのリラックスしたインタヴューを聞いた後ということもあり、ローエングリンが終わり、涼しくなって、やっとトリスタンに取り組める喜びのようなものを、勝手ながら音楽の中に感じた。音楽は集中力が凄く、全速力で突進し、不意に何かを見て急停止するような、エネルギーの起伏が、最高潮に達し、音の渦の中に身を置く気分は、本当に素晴らしかった。
 席は6列目の右端。3年目にして、初めてあの暗い舞台を近くから見た。音は、バイロイトの音というより、生音でかなり大きく聞える、普通のオペラハウスのような感じだったが、これもまた良しだ。去年より、グイグイ盛り上がるのが、とても身体近くに音を感じられる。前奏曲であそこまでテンポを巻くとは驚いた。昨今は、感情を抑え、トリスタンが出てくるまで控えめで進行するような印象だったが、もっと感情の波は高く、時空間をねじり、反動で戻ってくるような、抵抗不可の勢いを感じる。2幕も本当に美しく、全幕通して、気になるような箇所はなく、強いて言うなら、ラングの3幕幕切れの言葉がはっきり聞こえなくなってしまったことぐらいだろうか。グールドは絶好調、ブランゲーネは、おどおどする演技を抑え、歌に勝負をかけてきた気がした。美しかった。
 3幕の三角形は、さらに今年も改善され、見易くなっていた。
 最後幕が下りてくると、音が消えないうちに拍手する観客は、益々増えている印象。開演前の撮影禁止の表示とともに、幕に反応せず拍手は音が消えるまで余韻を味わうよう、日本のように、来年から注意喚起して貰いたいものだ。或いは幕を下ろさず暗転するとか、工夫が必要かもしれない。
 でも、兎に角今まで聴いたトリスタンの中で、忘れられない最高の演奏だった。
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