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岡本侑也チェロ・リサイタルー佐川文庫 [コンサート]

 水戸にある「佐川文庫」の「木城館」という真新しい建物で岡本さんのコンサートがあった。ピアニストは同世代の阪田知樹さん。
 遠くに山並を望む畑の中に、佐川一信氏のメモリアルホール、佐川文庫がある。氏は水戸市長を3期務め、水戸芸術館の設立と運営に力を尽くした方と知った。佐川文庫では氏の愛蔵書、CDなどを閲覧、視聴できる。月一回一流アーティストを招き、コンサートが開催されている。
 ガラスばりで、階段状の木ホールは、屋外の風景と一体化し、都会の喧騒と無縁の優雅な時間を味わえる、140席程の空間だ。
 これで、音響さえ良ければ、最高なのに・・・というのが一緒に聞いた友人たちと共通した感想だった。老化した自分の耳にそう聞こえただけかもしれないが、絨毯の上のデッドさとは違い、ピアノは丁度よく聞こえるのに、何故チェロの音が飛んでこないのか、天井の構造の問題なのか、気になるところだ。
 この日プログラムはドイツもので、どの作品もその真髄を作曲家と共有しているかと思わせるような、素晴らしい演奏だったと思う。表現者たるもの、どんな環境でもベストの音楽を披露せねばならない、過酷な仕事だと、初めて感じた演奏会だった。あと少し残響があったら、素晴らしいアーティストたちの最高のパフォーマンスを体験できるのにと、ホールがあまりに美しいゆえ、欲張った感想を抱いてしまった。(G)
http://www.sagawabunko.com/doc/index.html
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新国立劇場ーサロメ② [オペラ(国内)]

 およそ4年に一度再演されてきたサロメ、3日目の公演は、初日に比べ、オケも歌手も伸び伸びしていたように感じられた。まずオケの鳴りの良さに驚いた。初めから全開で、先日と逆に、むしろ7つのヴェールの踊り以降おとなしく繊細になっていった印象だ。
 主役4人以外は全部日本人キャストで、演技や台詞の絡みの間合いが良く、とても自然に運んだ。ヘロデ役クリスティアン ・フランツはさすが演技上手で、一瞬たりとも役作りを怠たらなかった。ヘロディアス役のハンナ・シュヴァルツも、歌わない時の動きや顔の表情も、念が入っており、歌手も全身で表現するのが、今日の名人なのだと感じ入った。ラフォルジュルネの時ように、舞台をアップで写し出して欲しいほど、どこを切り取っても好印象だった。
 ベテラン、ニールントのサロメ、10月にヴォータンを歌うグリムスレイも、それぞれの狂気が一層エネルギーを帯びて迫ってきて、世界最高レヴェルの歌手に来てもらえ、贅沢な1時間45分だった。(G)
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新国立劇場ーサロメ [オペラ(国内)]

 プログラム掲載データによるとサロメは4年半ぶり、6回目の公演。新国立劇場のサロメは、自分の中ではスタンダードだ。
 今回主役級4人とも超一流、初日から全員素晴らしい。サロメ役ニールントは、伸びる声も、汚い声も、非の打ちどころがない。娘っぽくはないが、バイロイトのタンホイザーでエリザベートをー歌った時も、怪しい魅力があり、視線の使い方が上手だった。新国立劇場の3階下手階段席からは、双眼鏡を覗かないと表情までは、わからないが、一回席の人が、素足までも色っぽいと言っていた。ヘロディアスの、ハンナ・シュヴァルツは、昨日も今日も、声量が一番あった。頭に抜ける声は、確かに良く通る。ヘロデは結構上品だと思ったら、フランツだった。ヨハナーンのグリア・グリムスレイもまた上品で、痩せており、端正な顔立ちで、少しひ弱な聖人らしい雰囲気を醸し出していた。今度新国立劇場で、ヴォータン、さすらい人を歌う。期待できそうだ。
 音楽は、前半はスカスカな音に感じたが、7つのヴェールの踊りから、どんどん盛り上がったので、ニールントに刺激されて、指揮エッディンガーも熱くなったのではないかと言う人がおり、なるほどと思った。
歌手とオケの相乗効果で、狂気も極まった。(G)
ハンナ・シュヴァルツ マスタークラス(バイロイトにて)
http://gruen.blog.so-net.ne.jp/2012-07-08-2
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新国立劇場ーイエヌーファ [オペラ(国内)]

 ヤナーチェックといえば、昔から聴いていたのが有名なシンフォニエッタ、オペラは経験が少なく、カチャ・カヴァノヴァ、マクロプロス、そして今回初めてのイエヌーファ。小品で記憶があるのは、教会で聞いたオルガン曲くらいだ。
 イエヌーファの音楽は親しみやすく感じた。今回チェコを旅行したこともあり、モルヴィアの民族音楽の旋律や、効果音が、自然や生活の音のようにすっと受け入れられた。ヤナーチェックは、民族の言葉を楽譜に表し、独自の音楽を研究したといわれており、旋律のなめらかさや、ワーグナーを連想する雄大なハーモニーも聞こえた気がする。幕切れが、ラインゴルトのヴァルハラ入場にも似て聞こえたのは、自分だけだろうか。
 ゲネラル・パウゼの舞台上の効果が、今一つだったのは、慣れの問題だろう。ベルリン・ドイチェ・オパーの舞台と歌手を揃え、トーマシュ・ハヌスというチェコの指揮者を迎え、このプロダクションは大成功だったと思う。オケにもお手本があったのか、指揮者が有能だったのか、後期のカチャ・カヴァノヴァ、マクロプロスに出てくるような、息苦しいほどの激しい音が少なく、内容も分かりやすかった。(G)
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ライプツィッヒ-ワーグナー史跡巡り [旅行]

 今回ライプツィッヒ~ドレスデン~プラハ~ドレスデンと回って、帰国後数日経った。プラハは初めての訪問だが、ヨーロッパではベネチアと並んで観光客が多い都市ということを実感した。真冬なのに団体客が多い。特に中国人と韓国人だが、日本人は殆ど見ない。それに比べてドイツ2都市は静かだった。
 ライプツィッヒはバッハ、メンデルスゾーン、シューマンなど縁の音楽家は多い。ここが生地のワーグナーもそのひとりだが、これまであまり意識したことは無く、ホテルとオペラの往復だった。今回たまたま大変お詳しい方とごいっしょし、市内を散歩がてら案内して頂いた。
 まずは生誕地だが、往時の建物は既に無く、中央駅はす前の巨大な商業ビルの外壁にプレートが掛かっているのみだ。すぐ横にある広場Richard-Wagner-Platzに面したビルにCafé Wagnerという名のカフェがあり、ライプツィッヒのワーグナー協会の事務所もこの建物にある。
生誕地を示すプレート
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Richard-Wagner-Platzの建物
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 Richard-Wagner-Platzから環境道路沿いの公園を少し行ったところに、新しいワーグナー像がある。生誕200年の2013年に造られたものだそうだ(台座の部分は元からあり、像のみ新設。詳しい経緯は後述のワーグナー博物館に展示されている)が、見て分かるようにあまり評判が良くない。何か安っぽい彩色で、市電に乗った時はワーグナー像とは分からず、誰かが台の上に立っているかと思ったほどだ。
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ライプツィッヒのI
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 カフェ・バウムは、シューマン、ワーグナー、リストが集ったというカフェで、トーマス教会の近く。
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 ニコライ教会に隣接するAlten Nikolaischuleはワーグナーの通っていた小学校で、現在博物館となっている。地下でDer junge Richard Wagner(1813~34)という題する展示会をやっている。これも生誕200年記念でできた新しいものらしいが、今は観光シーズンでなく、客は誰もいない。
 展示は映像と音響を使ったもので、おカネは掛かっているようだ。生家の写真や、先ほどの新しい像の制作経緯なども展示されていた。
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ライプツッヒの古い地図①生家⑤Alten Nikolaischule
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建物の2階はオリエント博物館になっている。ワーグナーとの関連は不明。
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一部梁が見える。この部分はワーグナーの時代のものだとのこと。
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