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ルートヴィヒ [映像・放送]

 ルードヴィヒⅡといえば、長大なヴィスコンティの作品イメージが強かったが、もう40年前の映画だった。実際私が見たのはずっと後、ワーグナーを聞くようになってからのことで、2012年製作の映画との時代の差はあまり感じない。ヴィスコンティの描くルードヴィヒⅡ像は、浪費家で大食漢、最新技術を駆使してローエングリンの洞窟を作ったりと具体的だ。言葉はイタリア語だったような気がするが、新作はドイツ語なので、私には身近で想像力が膨らむ。視点も、文化や芸術を通して人々を幸せにするという夢のような構想を持った王、ローエグリンを理想とした王という、ポジティヴな明るさが強調されているようで、馬鹿げた夢というより、理想を求めるロマンティックさが心地よい。批判的視線は強くないので、観客側はストレスを感じずに済む、お楽しみ映画で、映像も風景も綺麗だ。
 監督がローエングリンファンというだけあって、各所に音樂が出てくる。始まるとすぐmein lieber Swanのフォークトみたいな声が聞こえ、どきっとしたり、後の方になると、カウフマンのような張った歌声もあり、詳しい人なら歌手がわかるのかもしれないと思う。アニャ・カンペも一瞬登場し歌っている。
 これからも、何度でも映画化される題材なのだろうが、今回は全てに於いて、刺激が少ない、穏やかで優しい感じに仕上がっているようだ。
監督脚本マリー・ノエル、ピーター・ゼアー
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