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東京春祭ワーグナー・シリーズvol.10 《さまよえるオランダ人》 [オペラ(国内)]

 東京春祭ワーグナーシリーズ10作品目。春のワーグナーイヴェントとして生活の中に定着したが、いつしか、これはこれ、何かと比較してはいけない、その方が楽しめると悟り、受け身で聞かせてもらっている。
 今年のオランダ人公演は、去年までのドイツ感を求めたくなる春祭ワーグナーと一線を画し、一つのイヴェントとして明るく楽しませていただいた。ゆっくり目のテンポで、何やら音楽が明るく聞こえ、伸び伸びと、歌手陣は思い思いに歌い上げ楽しそうだ。3幕の幽霊船の合唱も全員舞台上で歌い、オケも隅々まで見えて、オランダ人の陰鬱なイメージを払拭される気がした。
 好かったのは、ザイフェルトの歌うエリックが、力強く、説得力があり、初めてヘルデンテノルーのエリックを体験したこと。ローエングリンのような雰囲気だった。
 ワーグナー自身が女々しくないエリックを望んでいたとを、この前学んだばかりで、なるほどと実感した。2幕のゼンタとのやりとりが作品の中心のようになり、エリックは全うな人間であることに、聴衆として安堵を覚える。
 これまでオランダ人にネガティブな印象を持っていたのは、エリックの優しさが際立つ歌手、或いは、演出しか体験していなかったからなのかもしれない。今になって、作品のイメージが豊かになったこと、春祭プロダクションに感謝したい。
 急遽、ダーラント役の助っ人で来日した、ノルウェー人のイェンス=エリック・オースボーは、よく響く温かみのある声でだった。

指揮:ダーヴィト・アフカム
オランダ人(バス・バリトン):ブリン・ターフェル
ダーラント(バス):イェンス=エリック・オースボー
※出演を予定しておりましたアイン・アンガーは、イェンス=エリック・オースボーに変更となりました。
詳細はこちら
ゼンタ(ソプラノ):リカルダ・メルベート
エリック(テノール):ペーター・ザイフェルト
マリー(メゾ・ソプラノ):アウラ・ ツワロフスカ
舵手(テノール):コスミン・イフリム
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:トーマス・ラング
合唱指揮:宮松重紀
アシスタント・コンダクター:パオロ・ブレッサン
映像:中野一幸
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