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新国立劇場ータンホイザー(楽日) [オペラ(国内)]

 一月の公演の日は睡魔との戦いだったが、その後インタヴューを聞き、トリンクス氏アナセン氏に情が移って、楽日は要求水準も少しアップさせ、覚醒して、積極的に見、聴いた。あえて古典的演出のDVDを下見し、異質なバイロイトの印象を一時消して、公演に臨んだ。
 皇太子殿下も見え、演奏に思わぬ成果が出るのかと思ったが、飛躍的に改善されてはいなかったと思う。
 4階4列の端(Z券)でも舞台全体が見え、歌手が結構演技していたことに気づく。先日はほとんど棒立ちに感じられたのは、見る側の意欲のせいだろうか。
 序曲冒頭から、ゆったり重いテンポにオケが付いていけない印象。音を保つことの難しさを痛感する。木管も相変わらずだ。アナセン氏の咳は止まったようだが、一幕はしゃがれ声で、オケの方は、どうにも難しいようだ。
 2幕は軽快で、オケも安定してきたと思いきや、ヘルマンのレスタティーヴォの伴奏でオケに事故があったような気がする。合いの手やアカペラ後のオケの音程は慣れないと難しい。
 指揮者の言う通り、男声の重唱はよく練習してあったが、2幕の最後はアナセンの声がやはりしゃがれて、ちょっと残念。でも明るい声は意外と通ると関心した。
 3幕は盛り上がってきたが、やはり題名役の柔らかい声はローマ語りにはちょっと、迫力不足だった。でも声の色合いを感じられるということは、大分復調してきているのだろう。この前感じた巡礼合唱の違和感について、今日は、ppで舞台に現れたときは弱々しい歩調で演技をしていたが、Der Gnade Heilでffになったとたん、直立不動の合唱団になった。演技しながら力いっぱい歌うのは大変なのだろう。
 全体的に常にハラハラどきどきして、聞いていて苦しくなるのは、作品のせいだろうか。でも最後の男声合唱は頑張った。しっかりした迫力があって素晴らしかった。
 自分の覚醒度の差もあり、どれだけ進歩があったのか実はよくわからない。でも世界中で気合の入っている生誕200記念の年、気分的には、ごめんなさいワーグナー演奏に区分される新国立のタンホイザーとなってしまったようで残念感をひきずる。(G)
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