SSブログ

新国立劇場ーサロメ(楽日) [オペラ(国内)]

 2000年の初演以来、4回目のレパートリー公演で、すっかり慣れたとはいえ、何度観ても恐怖で胸が苦しくなるのは、作品の凄さだろう。今回の歌手陣はサバサバした印象だった。4階席だと1階席で聴くほど、歌手の声量の差がわからない。今だに謎のPAのおかげかもしれない。それでも最後サロメは少し聞き取りにくかった。ヘロディアス役のハンナ・シュヴァルツは、新国立ではエルダ以来、日本に来てくれたことに感謝。今回指揮者と、フランツが代役を立てることになったが、結果オーライだったと思う。ヨハナーン役の、ジョン・ヴェーグナーは2008年の時は、明るい声だと感じたが、今回も凄みというよりは、穏やかなヨハナーンだったと思う。フランツ代役のヘロデ、マックーアリスターは、軽くて明快、フランツも軽めなので、役の正統なキャラとは違うかもしれないが、さわやか系で嫌いではないなと思った。この10年、海外で観たサロメの舞台を含め、新国立の舞台は豪華で好きだ。今や、サロメでさえ読み替えさえる時代、割と最近では厨房が舞台のケルンのサロメは、どんな評価を受けているのか、7つノヴェールの踊りが、7枚のナプキンになったときは驚いた。
 4階席に届くバランス良いサロメは、新国立のレパートリーに定着したという安定感が感じられ、次の再演への自信はすなわち、新国立劇場の成長でもあり、会員として嬉しいものだ。(G)