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シラー劇場のリング講座 [講演会]

 劇場のドラマトゥルグが、音楽付きでリングの解説をするというので、てっきり演出の話かと思ったら、ベルリンで上演された、過去の名演の録音を、少しずつ聞かせてくれた。
 録音のせいもあるだろうが、昔はテンポがゆったり、ヴォータンの太い声ものびのびしている。フルトヴェングラーは改めて、凄いなあと思った。一番興味をひかれたのは、His Master's Voice の蓄音機に、リングのライトモティーフが、延々何時間も録音されていたという話だった。数小節の楽譜付きで、初めの数曲聞かせてくれたが、あのニッパーとリングにこんな接点があったとは、感無量だ。
 最後の試聴は2002年のバレンボイムのリングだったが、今より、とても若々しい演奏で、当然とはいえ、ちょっと驚いた。"生"の音楽はその場の人間が作り出す奇跡みたいなものだ。バレンボイムには、益々元気で、新リンデンオパーの開幕公演をプロデュースしてもらいたい(G)
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ウィーン・フィルハーモニー・ クレメンス・ヘルスベルク楽団長講演会-「ヨーゼフ・ハイドンへのオマージュ ―没後200年を記念して―」 [講演会]

 ウィーンフィルメンバーのサロンコンサートとでも言おうか、とてもくつろいだ室内楽を聴き、これぞ癒しの時間だった。先日のチェロのタマシュ・ヴァルガ先生のお話にも出たように、毎日オペラの演奏をしていると、自然と歌うような演奏ができるようになるのかもしれないと思ってしまった。
 本気の室内楽の演奏会ではないのが、かえって良かった。一人一人が自由に心のままに歌い、楽しみ、お互いのどんな歌にもぴったり寄り添う、素晴らしいアンサンブルだった。女性初のコンサートマスター・ダナイローヴァさんが大活躍で、彼女だけは相当のプレッシャーもあっただろう、緊張しているような空気が伝わってきたが、ウィーンののんびりした雰囲気は、何かを楽しむ余裕があるということなのかもしれない。もし、ベルリンフィルだったら、お互いに何かを仕掛けながら、打てば響く反応を楽しみ、美しい調和を見せてくれるような、そんなイメージの違いを感じる。
 団長のクレメンス・ヘルスベルク氏の講演テーマはハイドンの凄さだったが、日本オーストリア修交140周年に関連して、幸田露伴の妹がピアニストでオーストリアに留学していて、プッチーニがマダム・バタフライを書いているとき、彼女に相談したというような裏話もあった。(G)                  
《曲目》
・ハイドン :ディヴェルティメント ト長調 Hob. IV-7
・ハイドン/ザロモン編曲 :交響曲第104番ニ長調 Hob.I-104「ロンドン」 (フルート五重奏編曲版)第3、第4楽章
・ハイドン :バリトン二重奏曲 ニ長調 Hob. X-11 (チェロ重奏)
・ベートーヴェン :セレナーデ ニ長調 op. 8 から第4楽章
・モーツァルト :弦楽四重奏曲 ハ長調 K465「不協和音」から第2楽章
・ハイドン :弦楽四重奏曲 ハ長調 Hob. III-77「皇帝」から第2楽章、他
《出演》おはなし(ドイツ語)/ヴァイオリン: クレメンス・ヘルスベルク
・ヴァイオリン:アルベナ・ダナイローヴァ、ジュン・ケラー
・ヴィオラ:トバイアス・リー
・チェロ:タマシュ・ヴァルガ、ロベルト・ナジ
・フルート:ディーター・フルーリー、他
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ドレスデン国立歌劇場-ゲルト・ユッカー教授 [講演会]

 昭和音大の公開講座、今回はドレスデン国立歌劇場のインテンダント、ゲルト・ユッカー教授の芸術論を聞いた。静岡国際オペラコンクールの審査員として来日中のユッカー教授は音楽家で、インテンダントとしては珍しく、ケルン歌劇場でコレペティをしていたことがあるとのことだ。
 文化や芸術において、オペラの持つ意味は、時代とともに、社会の中で変化していくという、至極ごもっともなお話で、最前列中央の方々は全員寝ていた。その中で物を落とした人に冷たい眼差しを送っていた。日本人はどこでもよく寝るが、ドイツでは講演中に寝るのは大変失礼にあたると、以前ドイツ語の先生から聞いたことがある。まあ当たり前だが。
 今回の話より、11月15日の「日本音楽芸術マネジメント学会」第一回研究大会のお知らせの方に興味を持った。色々な研究テーマがあるが、残念ながら聞きに行かれない。(G)
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ジェラール・モルティエ氏(パリ国立オペラ総裁)講演会 [講演会]

 江古田の武蔵野音大にモルティエ氏の講演を聞きに行った。氏のオペラ観については、2006年2月に昭和音大主催の講演会で聞いた内容とほぼ同じだった。
 武蔵野音大には音楽環境運営学科という、プロデュース能力を持った人材、アートマネージャを養成する学科が昨年設立されたとのこと。日本の大学にもついにできたのだ。喜ばしいことだ。
 質疑応答は率直で興味深かった。日経の池田卓夫氏の質問、初めて見るオペラは人生に影響するか?それが、「青髭公の城」でも子供は大丈夫か?子供向けにアレンジされたオペラをどう思うか?について、劇場で、オケ、歌手、舞台すべて本物を大人といっしょに観ることに意味があると答えた。また初めてのオペラ体験については、トリスタン、ルル、アリアーヌ等は難しいが、舞台に変化のあるスペクタクルは子供にも楽しめるとのこと。例えば青髭は一種のホラーものなのでOKとのことだった。
 博士課程で、ゲッツ・フリードリヒを研究している人の質問、オペラ観に共通したものを見て取れると言うと、フリードリッヒのドキュメンタリー映画を最初に撮ったのはモルティエ氏自身とのことだった。今回はあまり触れなかったが、モルティエ氏は日本の映画監督の人間の描き方を高く評価しており、オペラの演出と共通性があり、演出家としての可能性に期待しているようだ。例えば、北野武氏。(G)
↓武蔵野音大楽器博物館
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大野和士-オペラ・ハウスの芸術運営と創作過程 [講演会]

 モネ劇場音楽監督、大野さんの講演会に行ってきた。
 大野さんの人間性全てを賭けて、音楽に向かい合っているのだと強く感じた。芸術家は自らが創造したものに対し、第三者(聴衆、観衆等)の賛同を得て初めて、認められるものだ。そのためには表現力、説得力がものを言う。まして、オペラプロダクションは人間集団相手であり、コミニュケーションの良さが成功につながるのだと感じた。作品や言語を理解するだけでなく、音楽の隅から隅まで手の内に入れ、そこに表現されている人間の感情を理解し、言葉で説明し、歌手を説得せねばならない。
 勉強不足、不熱心な歌手の個人指導を懇切丁寧にするという話は聞いたことがあったが、その根気がないと、とても100人以上の芸術家集団を取りまとめることができないのだろう。パリのオケのストで楽譜を小編成に書き換えた熱意も、音楽を天職だと感じ、湧き上がる才能がある証拠だ。何の躊躇もなく全人生を音楽に捧げて、十分楽しんでいるようだ。そのため、余計な苦労はしょいこまない姿勢も伺える。
 後半ワークショップでは、歌手にとっては指揮者は眼中に無いという現実も良く分かった。基本的には、主役は俺(私)なのだから、自分に合わせろということ。オペラ指揮者は本当に大変だ。
 モネ劇場では、有名歌手を呼ぶより、新人を発掘し、共に、プロダクションを造っていける歌手を望んでいる。自分の思う方向に人や集団を引っぱっていける天性の信頼感があり、誰からも愛され、警戒心を与えない雰囲気が成功にプラスの要素となっているように思った。何より人間的魅力のある人だと感じた。(G)


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