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「ペトラ・ラング氏を迎えて」 [ドイツ語]

 ペトラ・ラングさんのブリュンヒルデ、イゾルデ、オルトルートは、旬の舞台と言えると思うが、ラングさんについて何も予備知識が無かったので、東京の春音楽祭の3つのインタヴュー記事にさっと目を通してから、お話しを聞きに行った。偶然、会場前で、タクシーを降りる外国人女性が見えたので、ひょっとしてと思い、一緒にお迎えした。舞台では、かなりきつめの女性のイメージだったが、エレベーターを待つ間、場つなぎで、桜はご覧になりましたか?と尋ねると、とても明るい声で、見ました、見ました!、ドイツでは、5月中旬にならないと咲かないと、二度繰り返しおっしゃり、失礼ながら、この普通の同世代のドイツ人女性のような反応に、ちょっと驚き、急に親しみを感じた。
 インタヴューでも、言葉を繰り返す話し方はラングさんの癖なんだなあと思った。元々ヴァイオリニストだったとは知らなかった。それで、歌を始めた時点で、音楽的アプローチに難儀することもなく、練習すれば技術は身につくと経験から、地道に練習されたようだ。話の端々に先生や周囲との円満な人間関係が伺え、舞台での役柄を通して、いつも人間の本質に目を向け、出会った現実に上手く適応して、人生の波に積極的に身をまかせ、ふわっと乗り越えてきた、肝の座った女性という印象だった。
 私だけでなく、ラングさんといえば、絶叫するオルトルートのイメージが強く、2年前、バイロイトでイゾルデを歌い始めたとき、意外にも絶叫していないと思ったし、そういう感想を周囲でも随分聞いた。
 声を保つため、リートは大切と、学生時代から歌い続けている。イゾルデを歌うために、年齢に応じた栄養や肉体の変化にも目を向けるなど、ストイックに声を守ろうするのとは少し違い、開放的なお人柄ゆえ、ご自身の声の可能性を真っ直ぐに追求できるのだなあと思う。ヴァイオリン弾きとして、オケの個々の楽器熟知し、聞きあえる利点もあり、気負いを感じさせないところに、まだまだ余裕が伺える。

テーマ:「ペトラ・ラング氏を迎えて」
お 話:ペトラ・ラング(ソプラノ) 聞き手:鈴木伸行(当協会理事) 通 訳:蔵原順子
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