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音楽財団設立記念コンサート [コンサート]

 カワイ表参道 コンサートサロンで、国際音楽芸術振興財団設立記念の室内楽コンサートがあった。設立理念としては、若い人たちに、もっとクラシック音楽を聞いてもらい、誰もが気軽に上質なコンサートを聞き、優秀な音楽家たちに自由に活動できる機会を提供したいというようなことで、無料のコンサートだった。素晴らしい。
 立派な理念だと思う。プログラムも工夫されており、前半は主に曲の抜粋、曲目解説付きで、初めて聞く人にも優しい。また、オケの曲を室内楽に編曲して聞いてもらう試みも面白い。アンコールでは、ウィリアム・テル序曲をピアノ五重奏で披露してくれた。冒頭のフィガロも同様、初めての人にとっても原曲を知っている人にとっても楽しい。
 一般にクラシック音楽を聞きに来る人は、プロの音楽家ではないだろう。熱烈なファンも、初めての人もアマチュアだ。世界中でクラシック離れの傾向はあるように思えるが、このようなファン発掘作戦は、演奏家の活動機会拡大のためにも、重要なことだと気付かされた。
出演者:對馬哲男(Vn)読売交響楽団、小関郁(Vn)東京都交響楽団、中村翔太郎(Va)N響、富岡廉太郎(Vc)読響、正住真智子(Pf)東京藝大非常勤講師
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東京春祭 ブラームス弦楽六重奏 2番・1番 東京文化会館小ホール [コンサート]

 春祭での川本嘉子さんのブラームス室内楽シリーズは、第5回とのことで、今年は弦楽六重奏、小ホールは満席だった。クァルテットプラス2名でなく、純粋にソリストだけでの六重奏を聴くのは初めてかもしれない。
 数少ない練習で、ここまで聞き合える集中した音が生まれるとは驚きだ。ソロのメロディーが猛進して、難関を突破する時、2nd Vn, Vlaの若者達の動きは、あたかも、ジャンプしてメロディに飛び込み、ハーモニーを支え、時には音楽をリードして、ソロが燃え尽きると次の楽器のソロに橋渡する勇ましい救急隊のような役割に感じられた。各々方の名器の音色は溶け合って響き、会場は緊張と興奮のるつぼとなった。こんな熱演で、ハーモ二が濁らないアンサンブルを聞けるのは幸せだ。チェロだけ1stを交代し、2番を岡本さん、1番を向山さんが演奏した。
 実は岡本さんを聴きに行ったのだが、キャリアに関係なく、皆さんの唯ひたすら最高の音楽を体現することを使命とされている、素晴らしいソリストのオーラを感じることができた。
 次の岡本さんの演奏は、5月関西フィルとの、ドヴォコンの共演になる。

ヴァイオリン:竹澤恭子 成田達輝 
ヴィオラ:川本嘉子 戸原 直 
チェロ:向山佳絵子 岡本侑也
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東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.9ローエングリン [オペラ(国内)]

 東京の春のワーグナーシリーズが、早9回目とは驚いた。毎年の公演に一喜一憂しているうちに、春のエンターテイメントとして定着していた春祭、今年は、気軽に聞けるローエングリン。フォークトの美声をまた東京で聞くことができた。
 全体の印象として、シルマーの音楽がこんなに情熱的に聞こえたのは初めてだった。ライプチヒの歌劇場では、場の特性かもしれないが、知的に、控えめに、程よく心地良い。でも東京文化会館の舞台でパワー全開のオケの音を聞くと、もしかして、マエストロも、日本で発散して帰る音楽家のお一人ですかとも思える。3階席中央ブロック全てと、4階の左右舞台寄りのお買い得な席にバンダを入れ、2階正面のプロジェクター席も含め合計90席近く潰して、自由に会場を使って満足されただろうか。昨年春、ある宴会でほんの少し、お話させてもらったとき、意外と堅物ではなく、茶目っ気があるというい印象を受けたのだが、今回の公演は、個人的には、シルマー氏のお人柄を感じる、楽しいものだった。バンダも良く制御され、3幕の大音量のファンファーレは楽しませてもらった。
 聞こえる音の印象は、座席により異なるわけだが、4階席サイドではオケの音がとても大きく響いた。 1階の前方の席ではオケの音は薄く、ソリストの声が大きく聞こえたとのこと。どちらも当然のことだが、この演奏会形式で、理想的な席は、どこなのだろう。
 暗譜で歌ったのは、フォークトとペトラ・ラング。役になりきっておられるお二人は、顔の表情や、身振りだけで十分惹きつけられる演技だった。以前、フォークト氏は、演出の意図に合わせて歌い方を変えると言っておられたので、きっと、このお二人にとっては、演奏形式は、自らの歌唱そのものだろうと思い、過去の体験をイメージしながら、楽しませてもらった。相方の特にエルザが譜面を抱え無表情で座っていると、ちょっと不自然に見えるが、これも、東京春祭でしか見られない、イヴェントだからこそ、自由な雰囲気は、お祭公演の長所と思えば面白い。エルザ役のハングラーさんは、一幕では少しおどおどした幼い歌い方だったが、2幕で隣にラングさんが来て歌うと、段々と張った声に変化してきて、ひょっとしたら、パワーに触発されたのか、想定内なのか、聴きばえがよかった。テルラムント役エギルス・シリンス氏は、今日は、良い声だと感じた。実はこのお二方は、二度ずつヴァーグナー公演を聞いていたのだが、印象が薄かった。他の公演に無かった楽しさは、バンダが入るファンファーレの場面、私の席からは、ピッタリ合って聞こえ、心地良かった。
 ポジティブなところを最大限楽しんだあと、不満だったを挙げつらうべきかどうか、年齢とともに、嫌なことを思い出すこと自体が不愉快だが。

指揮:ウルフ・シルマー
ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ:レジーネ・ハングラー
テルラムント:エギルス・シリンス
オルトルート:ペトラ・ラング
ハインリヒ王:アイン・アンガー
王の伝令:甲斐栄次郎
ブラバントの貴族:大槻孝志、髙梨英次郎、青山 貴、狩野賢一
小姓:今野沙知恵、中須美喜、杉山由紀、中山茉莉
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)
合唱:東京オペラシンガーズ

バンダ席
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バッハ・コレギウム・ジャパン J.S.バッハ:『マタイ受難曲』 [コンサート]

 私にとって、長らく聖金曜日、復活祭と言えば、パルジファルだったが、先週友人が所属するアマチュアに続いて、今週は定番バッハ・コレギウム・ジャパンのマタイを聴く機会を得た。開演2時間前に急に行けなくなった友人からチケットを譲り受けた。
 マタイを聞いた記憶は、はっきりと思い出せるのは4回だが、今回の演奏は、音楽にも歌にも、オペラ並の感情の起伏があるのに驚いた。テンポや抑揚など抑えて、説くのが宗教曲なのかと何となく思っていたのだが、やはり、様々な演奏があることを体験した。
 ソプラノのレイチェル・ニコルズさんは、2015年読響のイゾルデを代打ながら純情な印象で歌い上げた歌手で、記憶に残っている。テノールの櫻田亮さんも終始すばらしく語っていた。オケのコンマス二人、寺神戸亮さん、若松夏美さんのソロも、木管のソロも、とってもメロディッシュで、熱い音楽だった。言葉の表現も、オペラの歌詞より意味が明確で、心情表現に説得力があるとも感じた。
 3時間の受難劇の中で、音楽が効果的に言葉を補い、心情を伝え、木管ソロも人の声のような、ときに憂いをおびた音色で語りかける。交互に現れる美しいソリストの声に、天から真っ直ぐ差し込む光のような強さを感じた。

鈴木雅明[指揮]
レイチェル・ニコルズ[ソプラノⅠ]
澤江 衣里[ソプラノⅡ]
クリント・ファン・デア・リンデ[アルトⅠ]
藤木 大地[アルトⅡ]
櫻田 亮[福音史家・テノールⅠ]
中嶋 克彦[テノールⅡ]
シュテファン・フォック[イエス・バスⅠ]
加耒 徹[バスⅡ]
バッハ・コレギウム・ジャパン[合唱・管弦楽]
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