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トリスタンとイゾルデ-二期会 [オペラ(国内)]

 二期会のトリスタンを9/17に聴いた。去年の今頃、読響はカンブルラン指揮で演奏会型式のトリスタンを演奏した。今回は舞台付き、演出はライプチヒ歌劇場のもの。
 音楽の印象は、去年と今年で全く違った。去年のカンブルランはトリスタンに不慣れなオケをシュトゥットガルトから来る歌手に迷惑がかからぬよう、とにかく引っ張っていかねばという必死さが伝わってきたが、今年は二期会の歌手、請け負いでなく、皆で作り上げた舞台だった。曖昧とも流れる感じとも言えるが、コボスは歌手にも自由さを許しているようで、オケメンバーも去年とはかなり違っていたようだと感じた人も周囲に多く、これは、確かに二期会のトリスタンだった。
 池田香織さんのイゾルデは、とても良く声が出ていて、最後まで素晴らしかった。イゾルデ役が決まった時、これをステップに世界を目指すのかと思ったら、池田さんと親しい方から、全曲歌えたら、後はもうどうなってもよという命懸けの覚悟だと伺い、凄いエネルギーだと思った。夢に向かって池田さんが何年も努力を重ねたことを心から尊敬し、舞台からその幸福感を客席にむかって振り撒いてくれたことにとても感動した。お弟子さんも、ファンも、素敵なご家族も、皆が応援したくなる、愛すべきお人柄も歌の魅力だ。夢をの階段を着実に上り、"できる" ということを体現して下さった喜びが伝わって来る。以前フィギアスケートの浅田真央さんの頑張りから力をもらい、自分も諦めない決意したというように話されたこととがあったが、才能を磨き、たゆまぬ努力をする方たちから幸せを分けて貰うという実感を、初めて味わった。
指揮: ヘスス・ロペス=コボス
演出: ヴィリー・デッカー
トリスタン 福井 敬
マルケ王 小鉄和広
イゾルデ 池田香織
クルヴェナール  友清 崇
メロート 村上公太
ブランゲーネ 山下牧子
牧童 秋山 徹
舵取り 小林由樹
若い水夫の声 菅野 敦
東京文化会館
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