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NHK交響楽団-ロリン・マゼール「言葉のない指環」 [コンサート]

 N響の「言葉のない指環」初日、アマオケ仲間に誘われ、当日券を買った。何年か前、とても苦労して演奏したこの作品を、編曲者マゼール自身が指揮するのをやはり聴いてみたかった。
 初めてこの編曲のCDを聴いた当時の印象は、もっと良い場面もあるだろうと期待感が満たされた訳ではなかったが、編曲意図が、原譜の音を音楽が途切れないようにつなぐことにあると教えてもらった。勿論、聴くと弾くとは大違いで、あの重厚な音が紡ぎだされるには、音が溶け合う前に、各楽器が、孤独に耐え、自分の役割を死守せねばならないことを体験した。
 最近、リング以外のワーグナーを聴く機会が多かったので、久しぶりにリングの音楽に出会うと、それぞれの場面が、静止画のイメージとして次々送られていった。そして、やっぱり編曲や抜粋は、個人の想像力で補って聴くようにできているのかもしれないというあたりに落ち着いた。
 今回一曲プロにしたのに、マゼールが満足した演奏だったとはちょっと思えない。二日目の方が、きっとアクシデントは少なかっただろう。黄昏の30分は、安心して聴けたが、三階席のせいか、弦の音が管にかき消されてしまう。全部の音符を弾いて音量も出すのは至難の技、視覚的にも、いつもより冷静に無理せず仕上げた印象を受けた。そんな中、弾きたくて参加したエキストラなのか、所々エネルギー全開な奏者は目立つ。
 ともあれ、ワーグナーでゲストコンマスを呼ぶことが定着したのは嬉しいこと、オケにとっても、聴衆に とっても得るものは大きいと思う。今回はアムステルダムコンセルトヘボウのコンマス、ヴェスコ・エスケナージ氏。
 日曜に、マゼール/ベルリンフィルのCDを見つけて復習。すると、ばっさばっさと、場面は切り取られているものの、残っている音楽は、とても表情豊かで、そこの場面に至るまでのイメージが膨らむ。聴く時の構えによって、手に届くもので、欲求を補う覚悟も、今後自分の「黄昏対策」に必要になるかもしれない。(G)
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