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岡本侑也チェロ・リサイタル [コンサート]

 山形でロココを聴いた一週間後、練馬で岡本さんのリサイタルがあった。ピアニスト小林海都さんは、2年前江副財団のコンサートで室内楽を共演して以来とのこと。ベルギーつながりを感じさせる、二人の綺麗な音がまず印象的だ。
 出光音楽賞受賞頃から正式に発表しているが、岡本さんの楽器が変わり、去年、先生も変わり、力強さ、逞しさが加味された方向へ音が向かっている感じがする。シューマンが、かなり硬い音に聞こえ意外だった。
 ベートーヴェンは軽やかと重さのバランスが絶妙で流麗で、ピアノもチェロも音がとても透明で綺麗だった。持ち前の繊細さはさらに音色の幅が出て磨きがかかっている。ヤナーチェックはちょうど今年5月にミュンヘンの教会で、物語の朗読付きで聴いたことがあった。その時は、各楽章の演奏が話の後に来るので、とても短く感じられたが、今回は3つの楽章が一つの流れの中にあって、続けて演奏され、この方が私は好みだ。最後のショパンは凄かった。深刻な曲でありながら、ピアノとチェロが溶け合う美しい世界へ若い二人がグイグイ引き込んでいく。巨匠の演奏を聴いた後のような、恐れ入りましたという感覚だった。さらにこの少し重苦しい興奮状態をクールダウンしてくれる、美しいアンコールは、タイスの瞑想曲と、白鳥。後半冒頭には奏者自身のお話も入り、至れり尽くせり、行き届いた配慮を感じる、聴き応えのある演奏会だった。22〜23歳の若者達であることを忘れる、老成した音楽を聴かせてもらった。

■日時 2018年9月9日(日) 15:00開演(14:30開場)
■場所 練馬文化センター 小ホール(つつじホール)
■出演 岡本侑也(チェロ)、小林海都(ピアノ)
■曲目 
シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調Op.70
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第2番 ト短調Op.5-2
ヤナーチェク:おとぎ話
ショパン:チェロ・ソナタ ト短調Op.65
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