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「オーケストラは語る――《ヴァルキューレ》における音色のドラマトゥルギー」 [その他]

 ワーグナー協会例会、オーケストラが作る音形と音色に焦点を当てたお話。普段から、歌手よりオケを聴いてしまう自分には、音楽が心地良く感じている理由を、音楽学的に説明していただき、和声学以外の音楽の科学に親近感を感じた。
 映画のバック音楽に、登場人物のテーマがあるのは、今は普通のことで、場面に合う効果音が出て来ることには、すっかり慣れ親しんでいる。そういう意味では、ワーグナーは、ハリウッドの冒険映画の元祖みたいなものと、どこかで読んだ。ワーグナーの音楽を嫌いな人の多くは、仰々しい、喧しいと言う。これは19世紀でなく、当代の映画の効果音を連想してしまうからではないかと思う。
 私の印象では、ジークフリート、黄昏の方が、ヴァルキューレより、さらに効果音は増えて来る。初めてリングを聴いた時の驚きは、音のみの管弦楽とは一味違い、場面を複合的に表現する"音"だった。なので、岡田さんのお話は、鮮烈な最初の印象を思い出すきっかけとなり、スコアでの使用楽器の説明や、重なりあうライトモティーフのお話は楽しく、音形と音色を以てワーグナーの特徴を論ずる音楽学は、凄いと思った。
 安易に感覚的に条件づけされてしまう者でも、探究心を失ってはいけないのだ。(G)
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