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トッパンホール ニューイヤーコンサート 2023 シュテッケル [コンサート]

 ユリアン・シュテッケル氏は2010年ARDミュンヘン国際コンクールで一位になったチェリストで、私は現地で二次予選と本選を聴いていた。今は岡本侑也さんの先生だが、ようやく東京で演奏を聴くことができた。2019年には名古屋まで行ったが、音のインパクトとしては今回の方が絶大だ。つまり、作品により表情を変化させる、正統派チェリストなのだと思う。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2019-04-30 https://gruen.blog.ss-blog.jp/2010-09-03-2
 コダーイを弾き始め、音の太さ、幅広い響きに驚いた。シュテッケルは長身なので、右腕に余裕があり、激しく首を振っても、身体をよじっても、音に悪影響ぜず、常に音が美しい。速いパッセージで力をかけているように見えても、音は軽快に粒立って聞こえる。
 一曲終わると、ホールプログラミング・ディレクター西巻氏が新年のご挨拶に舞台に現れた。日本では珍しいパフォーマンスだ。そして新年のサプライズとして、弟子の岡本侑也さんを呼んで、パガニーニのモーゼの変奏曲をデュオで聴かせてくれるという。これは非常に珍しい。シュテッケル氏は日本ではあまり知名度が高くないので、コンサート紹介に、最初から岡本さんの先生として紹介されている。師弟というより兄弟みたいな演奏だと前触れがあり、まさにその通り、二人で楽しそうにスーパーテクニックを披露してくれたのが印象的だった。たまに、師弟共演で各段の差が出てしまったり、弟子が必死になってしまったりする演奏があるが、この組み合わせは二人それぞれが素晴らしい。先生はスケールが大きく、大胆に寄り道やルバートもする。岡本さんは、常に誠実でストレート、完璧だ。お二人とも自然体で、こちらの気持ちが温かくなる演奏だった。
 後半は打って変わり、弦楽トリオ用に編曲されたゴルトベルク変奏曲。バロック奏法にチェロの弾き方も音色も変え、三人で一つの楽器を理想としているのだろう、神経が行き届き、よく集中力を維持できるものだと思う。常設トリオでないのにこれほどの一体感を保つには、何回くらい練習できたのか気になる。
 シュテッケル氏はサプライズ企画含め出ずっぱりで、全くスタイルの違う超難曲3つ、正味1時間半は弾いていたことになる。
 ※2024年春、トッパンホールで、岡本侑也さんの二度目のソロ・リサイタルが催されるとのことです。

ユリアン・シュテッケル(チェロ)
山根一仁(ヴァイオリン)
原ハーゼルシュタイナー麻理子(ヴィオラ)
コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8
J.S.バッハ(D.シトコヴェツキ編):ゴルトベルク変奏曲 BWV988
トッパンホール
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