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ルツェルンへ (アバド マラー9番・トリプシェン) [スイス]

 ルツェルンへ来た。15年以上前一度立ち寄り、ピラートスに上ったら、5月だというのに猛吹雪だった。
 ワーグナーがジークフリート牧歌をコジマに贈ったTribschenの家にも再度訪れた。気付いたら2時間半以上いたことになる。バイロイトほど見るものは無いが、避暑地の雰囲気も眺めもすばらしい。時間を忘れて一日中留まってしまう人がいるので、午前、午後と時間を決めて開館しているのかもしれない。
 ラインの黄金の舞台演出を再現したCGがとても面白かった。資料があるなら、本気で誰かワーグナーの舞台を再現してもらいたいものだ。上から下から七重にセットを組めるよう考案されている素晴らしい舞台だ。最前面はガーゼの幕で水の中をイメージしている。
 ルツェルン音楽祭には、アバド・ルツェルンオーケストラのマーラー9番を聴きに来た。今日はそのゲネプロを聴いた。客席はほぼ満員オケも指揮者も本番の服装で、カメラもたくさん動いていた。
 アバドの真後ろにもカメラがあるので、指揮する姿はよく見えなかったが、音楽は素晴らしかった。マラ9の作曲意図はベートヴェンの第九を意識したものとして語られているが、本当に雄大な自然と生と死を物語っていると感じた。自然界の不思議や精霊、生命の行き着く果てを目指した音楽ではないかと肌で感じた。
 たまたま、ここがヨーロッパで厳かな山々を体感してきたせいかもしれないが、マーラー、アバド、オケ奏者が遥か彼方の一点を目指しているような感じでその一体感に聴く側も身の引き締まる思いだった。
 興ざめ話としては、またいつぞやのパリのように、フランス語を話すご婦人が一楽章で何度か耳をふさいでいた。隣りのご主人は安易に咳をしたため前列の4.5人のご婦人から一斉に振り返られた。
 四楽章では思わず涙が出そうになったのは私だけではなかったようで、先ほどフランス人らしき人を睨みつけたご婦人も目を拭いていた。
 演奏後指揮棒が下りるまで相当時間があった。殆どの聴衆はいっしょに祈っていたと思う。でも音が止まるなり、2階から”ブラボー”と叫んだ男性がおり、本番ではそういう人がいないことを祈る。一楽章で困惑していたフランス人も立ち上がって拍手していたので、きっとこの日、新たなマーラーを発見したのだろう。(G)
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コングレスセンター.jpg
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