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第83回日本音楽コンクール本選 チェロ部門 [コンサート]

 オペラシティで、チェロ本選を聴いた。ピアノ伴奏のコンチェルトなので、オーケストラ共演とはまた印象が違い、細部まで聞こえて来る。また、3曲の中から自分で選んだ曲を弾くので、4人を比較するのは素人には難しい。4人のチェロを聴くのは、初めてだが、それぞれの個性が光り、誰もが他より秀でた特徴があるように感じた。
 一人目は長身の大学生。エンドピンが長く、チェロの音は、頭の上を越え、ホール遠くへ飛んだと思われる。私は6列目あたりで聴いた。テクニックもあり、もう立派な演奏家のようで、見た目にもアピールがあり、軽やかに、余裕でサラサラとドボコンを弾いた。4楽章ossiaがある最後、1オクターヴ上げたような気がした。華やかで、ファンクラブやスポンサーがつきそうな印象だった。
 二人目は高校生。とても重量感のある音で、全身全霊を捧げ、エルガーを完璧に弾いた。ピアノともピッタリ合い、がっちりした骨格と、しなやかな筋肉を持っていそうだ。エルガーなら、誰にも負けないという自信に満ち溢れ、暗めな音色も曲に合っていた。暗さの向こうにある、かすかな光りを遠くに見出すような、説得力のある演奏だった。
 三人目も高校生、ラロのラテン的明るさとメロディーの抑揚が、自然で素晴らしかった。軽く流暢な歌だったが、ちょっと音程が気になった。シャイなのか、各楽章、出だしだけが少し苦手のようだ。
 4人目も、高校生、ドホコンをそつなく弾いた。音程はやはり、少し甘かったが、一昔前なら、高校生がここまでバランスよく弾けば、完璧といわれただろう。チェロらしい堂々とした音だった。
 2010年にミュンヘンのコンクールを聞いた時、評価の基準は、各々コンクールの趣旨によって違うことを知った。ミュンヘンのコンクールは個人のステップアップのチャンスであり、大人が自分を売り込む場のようだった。なので、例えばホルンでは、曲の選択肢も、一番難しいものを選んでこそ、優勝する資格があるのだと知った。
 私は本選の結果をまだ知らない。予選を一切聞いていないので、予想がつかない。
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