ヴァルキューレ新国立劇場2021 アッバス版 [オペラ(国内)]
珍しいアッバス版ヴァルキューレを聴いた。アッバス版については指揮者大野氏がYouTubeで詳しく説明している。
https://www.youtube.com/watch?v=ZeCIPrFPMQ8
Alfons Abbassはマイニンゲン劇場の1Vn.Vla奏者だったが、後に音楽監督になった方らしく、コーブルク劇場でリングチクルスが上演された時(1906-7年)、リングとパルジファルの縮小サイズの版を何種類か作ったらしい。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2012-07-08-3
最近では2017年、客席数1,000席のアン・デア・ウィーン劇場(Theater an der Wien)で使用され、若い人にも関心を示してもらえるようにと、四夜にわたるニーベルングの指環を短く改編し、三夜(三部作として休憩込みで、初日ハーゲン編3時間15分、二日目ジークフリート編4時間半、三日目ブリュンヒルデ編4時間と、一晩一人ずつ描く視点で)の物語として、次世代に向けたDie Ring-Trilogieと名付けた。指揮はトリンクスで楽譜はアッバス版を用いた。
https://www.theater-wien.at/en/programme-tickets/production/765/Hagen
音楽も4夜をミックスして3夜に編集してあるらしい。
http://www.omm.de/veranstaltungen/musiktheater20172018/WIEN-TW-ring-trilogie.html
新国立劇場では、フルート4→3本、他の木管楽器は4→2本、ピッコロ、コール・アングレ、バス・クラリネットは2番奏者が持ちかえなので、2番奏者は大変忙しい。ホルン8→4本、トランペット3→2本、バストランペット1本、トロンボーン4→3本、チューバ1本、ハープ6→2本、ティンパニー2→1、打楽器、弦16→12型、Cb5本は結構な低音のヴォリューム。スコア上足りない音は新国立劇場で独自に書き足した。ワーグナーチューバは無い。
劇場により、ヴァルキューレの出だしは案外、全体の雰囲気を暗示するものだが、第一印象は、音が透明でフランスのオケみたいな明るい感じがした。低弦の音の粒がはっきり楽譜通りに聞こえ、合わせることに専念したせいか、音の躍動感は無かったが、まあ、ドイツ以外ではこんな軽めの演奏もある。2幕以降はオケがまだ練習途上で、事故も多く、音としては、カンマームジーク風ヴァルキューレとう感じか。小劇場ではこんな代用をしていたのかと想像しながら聴いた。恐らく最終日くらいには、楽譜にも慣れ、タイミングよく演奏できるのではないだろうか。2幕はオケの音量をかなり絞っており、歌いやすいかもしれない。
ジークムントが1幕と2幕で交代するというのも初めてだ。村上さんは、明るい声で、イタオペなら素晴らしいと思う。でも多分ドイツ語で歌うことはあまり無いのだろう。語尾の子音が出ないせいなのか、歌うのが苦しかったのか、一幕終盤、盛り上がってくると、端折りぎみで、どんどんテンポが速くなり、オケがついてけなくなった。
2幕の秋谷さんは、暗めの重い声で、村上さんとお互いカヴァーするのは難しいように感じる。これまで、1幕と2幕でジークムントのキャラクターが変化するのは自然なことと思っていたが、まるで別人のように変貌、成長するジークムントをトータルで歌うことが、いかに難しいかと、気づかされた。
ジークリンデ小林さんは声が生き生きしていて、可愛いらしさがあり、ヴァーグナーをもっと歌っていただきたい。藤村さんは、堂々たる神の風格が漂い、久しぶりに聴かせていただいたが、女神フリッカ像に感動した。自分の年齢が上がったせいか、初めてフリッカに思いが至った。ヴォータンはやはり要なので、しっかり役割を果たしてくれて、来日していただき感謝だ。そして池田さんはやはり凄い。経験を重ね、歌も演技も深みのある日本のブリュンヒルデだった。益々期待のふくらむワーグナー歌手だ。
結局、最後はこの作品の素晴らしさに落ち着く。距離をとる演出かと感じる場面もあるが、コロナ禍で、今後新演出は変化するだろう。オリジナル通りの、ヴァーチャルリアリティ演出など見てみたいものだ。
先日のタンホイザーも好かったが、やはり作品の好みで自分の気持ちが動いてしまう。残り3回の上演の完成度が上がると信じ、見守りたい。
コロナ禍の中、ヴァーグナーが上演される日本は素晴らしいが、あえて、劇場の事情として気づいたのは、収容率50%の件、最初の頃は一席おきに販売していたが、ヴァルキューレでは4階席の販売席数を絞ったようで、3、4列は殆ど空席、一方1階席中央部は満杯だった。自分は4階一列目。
劇場のHPに掲載されてはいるが、休憩時間のペットボトル販売もなく、ロビーでの飲食も原則禁止。緊急事態宣言下、日曜に5時間聴いて夜7時過ぎ終演だと、夕食難民も出かねず、せっかくのヴァーグナーの余韻も失せる。緊急事態宣言が3/7に終了することを予想し、チケット追加販売予告のハガキまで送ってくれて、50%のままでは気の毒だ。ひょっとして3/21解除になったら最終日だけ追加販売するのだろうか...
https://www.youtube.com/watch?v=ZeCIPrFPMQ8
Alfons Abbassはマイニンゲン劇場の1Vn.Vla奏者だったが、後に音楽監督になった方らしく、コーブルク劇場でリングチクルスが上演された時(1906-7年)、リングとパルジファルの縮小サイズの版を何種類か作ったらしい。
https://gruen.blog.ss-blog.jp/2012-07-08-3
最近では2017年、客席数1,000席のアン・デア・ウィーン劇場(Theater an der Wien)で使用され、若い人にも関心を示してもらえるようにと、四夜にわたるニーベルングの指環を短く改編し、三夜(三部作として休憩込みで、初日ハーゲン編3時間15分、二日目ジークフリート編4時間半、三日目ブリュンヒルデ編4時間と、一晩一人ずつ描く視点で)の物語として、次世代に向けたDie Ring-Trilogieと名付けた。指揮はトリンクスで楽譜はアッバス版を用いた。
https://www.theater-wien.at/en/programme-tickets/production/765/Hagen
音楽も4夜をミックスして3夜に編集してあるらしい。
http://www.omm.de/veranstaltungen/musiktheater20172018/WIEN-TW-ring-trilogie.html
新国立劇場では、フルート4→3本、他の木管楽器は4→2本、ピッコロ、コール・アングレ、バス・クラリネットは2番奏者が持ちかえなので、2番奏者は大変忙しい。ホルン8→4本、トランペット3→2本、バストランペット1本、トロンボーン4→3本、チューバ1本、ハープ6→2本、ティンパニー2→1、打楽器、弦16→12型、Cb5本は結構な低音のヴォリューム。スコア上足りない音は新国立劇場で独自に書き足した。ワーグナーチューバは無い。
劇場により、ヴァルキューレの出だしは案外、全体の雰囲気を暗示するものだが、第一印象は、音が透明でフランスのオケみたいな明るい感じがした。低弦の音の粒がはっきり楽譜通りに聞こえ、合わせることに専念したせいか、音の躍動感は無かったが、まあ、ドイツ以外ではこんな軽めの演奏もある。2幕以降はオケがまだ練習途上で、事故も多く、音としては、カンマームジーク風ヴァルキューレとう感じか。小劇場ではこんな代用をしていたのかと想像しながら聴いた。恐らく最終日くらいには、楽譜にも慣れ、タイミングよく演奏できるのではないだろうか。2幕はオケの音量をかなり絞っており、歌いやすいかもしれない。
ジークムントが1幕と2幕で交代するというのも初めてだ。村上さんは、明るい声で、イタオペなら素晴らしいと思う。でも多分ドイツ語で歌うことはあまり無いのだろう。語尾の子音が出ないせいなのか、歌うのが苦しかったのか、一幕終盤、盛り上がってくると、端折りぎみで、どんどんテンポが速くなり、オケがついてけなくなった。
2幕の秋谷さんは、暗めの重い声で、村上さんとお互いカヴァーするのは難しいように感じる。これまで、1幕と2幕でジークムントのキャラクターが変化するのは自然なことと思っていたが、まるで別人のように変貌、成長するジークムントをトータルで歌うことが、いかに難しいかと、気づかされた。
ジークリンデ小林さんは声が生き生きしていて、可愛いらしさがあり、ヴァーグナーをもっと歌っていただきたい。藤村さんは、堂々たる神の風格が漂い、久しぶりに聴かせていただいたが、女神フリッカ像に感動した。自分の年齢が上がったせいか、初めてフリッカに思いが至った。ヴォータンはやはり要なので、しっかり役割を果たしてくれて、来日していただき感謝だ。そして池田さんはやはり凄い。経験を重ね、歌も演技も深みのある日本のブリュンヒルデだった。益々期待のふくらむワーグナー歌手だ。
結局、最後はこの作品の素晴らしさに落ち着く。距離をとる演出かと感じる場面もあるが、コロナ禍で、今後新演出は変化するだろう。オリジナル通りの、ヴァーチャルリアリティ演出など見てみたいものだ。
先日のタンホイザーも好かったが、やはり作品の好みで自分の気持ちが動いてしまう。残り3回の上演の完成度が上がると信じ、見守りたい。
コロナ禍の中、ヴァーグナーが上演される日本は素晴らしいが、あえて、劇場の事情として気づいたのは、収容率50%の件、最初の頃は一席おきに販売していたが、ヴァルキューレでは4階席の販売席数を絞ったようで、3、4列は殆ど空席、一方1階席中央部は満杯だった。自分は4階一列目。
劇場のHPに掲載されてはいるが、休憩時間のペットボトル販売もなく、ロビーでの飲食も原則禁止。緊急事態宣言下、日曜に5時間聴いて夜7時過ぎ終演だと、夕食難民も出かねず、せっかくのヴァーグナーの余韻も失せる。緊急事態宣言が3/7に終了することを予想し、チケット追加販売予告のハガキまで送ってくれて、50%のままでは気の毒だ。ひょっとして3/21解除になったら最終日だけ追加販売するのだろうか...
コメント 0