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新国立劇場 ー夜鳴きうぐいす/イオランタ [オペラ(国内)]

 京王新線が事故で止まっており、久々に新宿から歩いた。甲州街道沿いのお店が、以前と結構変わっていた。一応13:30開通予定と駅員さんは言っていたが、開演は10分程遅れ、終演時間はほぼ予定通りだった。
 コロナ禍でも諦めない、リモートによる演出家参加の、美しいニュープロダクションは、ロシア語のメルヘンオペラ 二本立て、新国立劇場では初の試みだ。完成度に不安なく、新国立劇場の実力が上がってきていると思う。楽日に鑑賞したが、チケットは全席発売したので、残席確認はしなかったが、4階席は満杯だった。
 演出は、ストーリー通りで、夜鳴きうぐいすのいる暗い森は、ジークフリーと森の小鳥を連想させた。イオランタはシンプルな舞台で、感染対策として、どちらも歌手が向かい合って歌うことはない。昔のオペラ映像では、歌手が客席を向いて歌うのが普通だったので、横並びで歌い、接触なしの演技に工夫していることが2021年の記憶となるのだろう。
 メルヘンオペラといえば、ヘンゼルとグレーテルしか見たことはなかった。ストラビンスキーのle Rossignol、チャイコフスキーIolanta、どちらも題名だけは過去にドイツの劇場の上演リストで見たことがあったが、一晩費やしてみようとは思わなかった。今回指揮者が高関先生に変更されなければ、本気で聴かなかったかもしれない。オペラではオケの手堅さが、聴く側の安心感に直結する気がする。
 予習として、夜鳴きうぐいすの方はスコアを追うユーチューブで聴いた。なるほど始まりは火の鳥に似ているし、劇場でも整然と演奏され、きれいな曲だと感じた。
 イオランタは、英語字幕付きの小さな舞台をユーチューブで見ておいた。生で聴くとずっと美しい音楽で、さすがメロディーがあふれ出てくるチャイコフスキー、イタリアオペラのような美しい重唱も音楽はチャイコフスキーだ。高関先生はよくハープをきかせるので、とても美しく、金管もかなり派手に聞えていた。
 メルヘンの台本としては、イオランタは後半が重すぎて、イオランタがヴォテモン伯爵に出会ってからの急激な変化に、ちょっと戸惑う。童話でなければ、罰せられるべきは、秘密をばらした伯爵より、許嫁でありながら、イオランタ以外の女性を愛するロベルトではないかという気もする。あっさり眼の手術も成功してハッピーエンドではあるが、メルヘンといえども、現代では差別に通じかねないお話で上演しにくいのではないだろうか。
 うぐいすも、機械仕掛けのうぐいすを皇帝に献上する日本の使者の演出に、日本を小馬鹿にしたような皮肉を感じないわけではなく、あえて、中国と日本の関係に今こんな形で光を当てることもないような気がする。
 勿論、両作品とも純真な心の尊さを歌ったものではあるが、ストーリーの枝葉の部分を台本通りでなく、現代に合うようアレンジしても良いのではないだろうか。
 題名役のお二人、三宅さんも、大隅さんもとても素晴らしい。国王役妻屋さんは、さすが役柄通り、舞台を引き締めてくれた。この二作は、日本人キャストのレパートリーとして残すのもいいかなと思う。
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