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読響《第九》 [コンサート]

 そういえば、国内で自ら第九のチケットを購入したのは、今世紀に入って無かったと思う。直近が2013年ラトル・ベルリンフィルのWaldbühneだ。普通年末にN響をテレビで見たり、聴かなくても平気だった。ところが今年の年末の第九は演奏されないだろうなあと夏には思っていたため、指揮者Weigle が入国後2週間隔離を覚悟で来日すると聞き、11/21発売日に即購入した。
 https://gruen.blog.ss-blog.jp/2013-06-23
 東京芸術劇場のC席も初めて購入した。1階でどう聞こえたかは分からないが、1Vn10、Vc5、新国立劇場合唱50人という規模の演奏は、各セクションの音が分離してスコアのようによく聞こえ、マルカート的奏法が効果的で、しかも音楽がなめらかにつながり、音が流麗。日本のオケで聴いたことのない音色で、ヨーロッパのように、春を寿ぐような明るい弦の音色にとても満足した。ベーレンライターの新版はちょうど昨年自分も演奏したので、同じテンポ感であまりの上手さに驚愕し、昨年のうっ憤を晴らした気分だ。
 ソリストも一年間歌い過ぎて喉を枯らすこともなく、とても麗しい声だ。新国立劇場の合唱はソーシャルディスタンスに慣れており、余裕を感じさせる上手さで、他に活動しているプロ合唱団があるのかどうか知らないが、他プロオケとも共演している。新国立劇場合唱団がいなければ第九の演奏は難しいのでは無いだろうか。
 Weigle は、バイロイトと東京でのマイスタージンガーと読響就任時のブル9は生で聴いているが、ハンスロットを弾く時、市販されている全てのCDからお手本として選んだ演奏が、Weigleだった。氏が元ホルン奏者であったことにも親しみを感じ、音楽のフレーズをとても大事にしていることが感じ取れて心地良い。穏やかな方なのだろうと思う。
 ベートーヴェン生誕250年の年に、母国ドイツで第九演奏ができたのかどうか、調べたわけではないが、私の中の勝手な物語として、日本でたっぷり時間をとって本番をできるなら、2週間隔離など何のそのという、ドイツ人指揮者の意地とベートヴェンにたいする畏敬の念のようなものがあったのではないかと想像している。
 日本では壮大な第九がお祭りとして広がってきたが、今年各プロオケが様々な工夫をこらし、一旦縮小した規模での第九に取り組み、私たちが耳を傾け、生でじっくり味わえることが出来て、コロナ禍の日本で誇らしい気持ちがする。

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
ソプラノ=森谷真理
メゾ・ソプラノ=ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
テノール=AJ・グルッカート
バリトン=大沼徹
合唱=新国立劇場合唱団
(合唱指揮=冨平恭平)
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
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