TAFF ティーレマン インタヴュー

　子供向きオペラを上演するプローべビューネで、TAFF主催のティーレマンのインタヴューがあった。
　写真撮影禁止はいつものことだが、濃い青と薄い緑の横縞ポロシャツで現れ、ニコニコと機嫌よく早口で話してくれた。音楽的な話ではなく、雑談が主だった。断片的だが、分かった範囲で....
　初めは、やはり先週の暑さの話から。オケの人達は膝に大きなバスタオルを置き、体の汗を拭きながら演奏している。上からでなく足元の空気の通りを良くする空調設備が必要だと。舞台上では、化粧が剥がれ、衣装に汗染みが出てほんとうに大変だったと。ティーレマン自身の暑さ対策は、家で水風呂に入り、ちょっと横になると、元気も回復するとのこと。
　アラーニャのキャンセルの時は、自分でも、あちこち電話して代役を探したそうだ。フォークトはOKだったが、もしマイスタージンガーに支障が出るとお客さんに悪いので、やめた。ベッチャワとはドレスデンで共演しており、6回は無理でも5回は歌える確信があった。
　外国語のオペラを指揮する時、言葉は勉強しないそうだ。ヤナーチェックの時、チェコ語はティーレマンのテンポでは早すぎて歌えないと歌手に文句を言われたことがある。
　一方、外人歌手のドイツ語発音については厳しく、例えば、日本語の「〜の」のような意味でつけるsが2単語間に入り、一語となる例えばTagesschau、Umgangsspracheなど、この手のsの発音が曖昧なので、もっとキチンとドイツ語を学んで欲しいと苦情を漏らした。
　指揮が一番難しいはオランダ人とのこと。とにかくピット内でオケがうるさいからだと。タンホイザーも結構大変。パルジファルは易しい。客席の音の鳴り具合を聞いてくれるスーパーヴァイザーが重要。客観的にOKならばその音量で行く。
　指揮者はAapotheke(薬局)のようなもので、色々薬を混ぜ合わせる仕事だと。（後半に続く）
　
　パルジファル、黄昏は整然と書かれており、別に指揮は難しくないそうだ。トリスタンは好きだが、年に6回指揮すれば十分楽しいと。
　昔は、練習中に、ヴォルフガングや古株指揮者に、一々テンポが遅すぎる、うるさすぎるなど色々言われたが、今は、口うるさい人はいない。自分も他の指揮者に口を出さない。（ちょっと笑いが起こり）嘘は言ってない、Jordanは素晴らしいと。
　2002年のタンホイザープレミエで、ブーイングが起きた時、ヴォルフガングが舞台に出てきて何か文句を言ったらしい。(ここはヴォルフガングの声色を真似て、会場は大受けだったが、私には内容ははっきりとは、聞き取れなかった)
　演出については、政治的なものは、嫌いとのこと。トリスタンについては、カテリーナと随分話し合った。
　オケの人はバイロイトが好きで、楽しみで来ている人が多く、職場オケ（ベルリンのとあるオケの名前も出した）とは別人のごとく生き生きしてくる人もいる。
　ティーレマン自身の暑さ対策は、家で水風呂に入り、ソファーに横になると、気分も元気も回復すると繰り返した。足下も楽にしていると、この日は踝までの靴下に、通気性のある、軽い靴だった。
　暑さ対策と、他の指揮者や奏者に口を出さないという話は、2回出た。
　かつて、カラヤンが木管の配置変更を強要(unterordnen従属するよう)したことがあるが、奏者は本番当日寸前まで待っても結局来なかった。Schade...(残念だ..)と。
　プライヴェートの旅行は、（多分）Schwarzburgが良かったと。 町のガイドツアーを聞き、ゆっくり座ってリラックスしたそうだ。皆にこの町を知ってる？ (後で調べたらチューリンゲンにある町らしいが）会場の皆は知らなかった。
　こんな感じで、1時間15分で雑談終了。質疑応答は無く、Taffからプレゼントを渡し、会員たちは、間近でティーレマンを見、話を聞けたことに感謝の拍手を送った。
　私の感想としては、これまで何度かティーレマンのインタヴューを聞いたが、だいたいよくしゃべる内容は、お愛想だ。二年たってもまだ某指揮者辞退の件について、何か言われているのだろうか。暗に昔自分はあれこれ言われたが他人には言っていないという弁解か自慢か、少なくともまだ気にしているらしいと思った。Taffの今年配布された冊子Hojotoho!にもティーレマンのインタヴューが載っており、補完し合う内容もある。