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東京シティフィル第342回定期演奏会‐ブルックナー5番 高関健 [コンサート]

 高関先生はカラヤンの弟子として、ベルリンで過去の巨匠たちの指揮を目の当たりにしてこられた。そして、世界的ブルックナーの研究者。この頃NHKにもよくご出演され、マエストロの音楽に接する機会が多い。
 楽譜を隅々まで研究しつくし、暗譜での指揮は巨匠の域。意図的な誇張や起伏は無く、楽譜に忠実で端正な演奏を目指し、オケも本気で挑んでくるので、聴いていて一緒に熱くなる。主題が何度も繰り返され、フーガが流れ、4楽章コーダでは1楽章からのテーマが重なり合い、溶け合い、ちょうど聴き分けられる絶妙な雄大さで、後の8番につながる感じが、また心地良い。
 この日は収容率50%でチケットは完売、ゆったりした座席空間は、オケの響きをさらに高め、贅沢な感じがする。
 マエストロ高関のプレトークには楽しい情報が満載だ。ブルックナー5番が完成したのは1876年1月。8月には第一回バイロイト音楽祭で、ニーベルングの指環4部作が初演されている。ブルックナーも初演を聴いており、その後5番のトロンボーンパートの下にバスチューバを書き加えたそうだ。でも作品が書き直されることはなく、5番は本人の自信作、原典版が存在する。
 プレトークを聞くと、わくわくしてくる。ヴァーグナーのバスチューバの使い方について、別なところで解説を聞いたことがあり、ブルックナーがこの効果を取り入れたのだなあと、色々イメージがふくらむ。
 偶然気づいたのだが、同年11月にはブラームス1番が完成している。ベートーヴェンから続く、ドイツ語圏の作曲家たちの偉業に対する敬意の念が深まる。時代の要求とともに演奏表現は変遷してきたが、自分もその歴史の目撃者の一人になりつつある年代だ。

ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調(原典版)
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