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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『ニーベルングの指環』ハイライト特別演奏会 [オペラ(国内)]

 海外から来日できなくなった音楽家が続出する中、飯守泰次郎傘寿記念、シティフィルのリング公演のため、入国時2週間の隔離を経て、バイロイト歌手3名が出演してくれた。コロナ禍の中でこの企画を知ったとき、まさか一人のキャンセルだけで、緊急事態宣言下、これほど盛り上がる公演になるとは期待していなかった。実現されたことが、とにかく素晴らしい。チケットは座席の半数のみ販売して、めでたく完売御礼。
 久しぶりに、広く音楽関係の友人たちに出会い、休憩時間の会話を自粛せよと言われてもそれは難しい。ロビーは密にはなっていなかったが、グループで会話する横を、会場係の方が注意喚起のプラカードを掲げ、軽く会釈して通って行った。
 席は3階サイドだったが、特にコニエチュニーの声が轟いていた。自然な演技は舞台を盛り上げる。途中、拍手や歌手の出入りで進行が中断されても、大きな違和感は感じない。実際は作品のごく一部しか演じられないので、先に飛んだ時、カットされた、たくさんの場面が蘇る。
 ワルキューレの騎行に歌は入らず、ホヨトホー!の旋律がVnで演奏され、歌手への音量配慮も無用、オケはエネルギー全開だった。全曲通じて、オケが思いっきり鳴らしていることが多く、抜粋の演奏会形式ならではの、不満解消のような、ちょっとした興奮状態に誘導された。
 シュテファン・グールドは、ジークフリートとして、いきなり最初が1幕の鍛冶の歌で、観客を喜ばせ、大きな拍手を受けていた。3幕3場を歌っても余力が有り余り、黄昏3幕小鳥の回想も力強い歌唱だった。
 ダニエラ・ケーラーは、今年バイロイトで歌うヴァルキューレの一人。さらに期待が膨らむブリュンヒルデだと思う。金子美香さんは、バイロイトでヴァルキューレを歌った方、現地ではよく聴き分けられなかったが、ラインの乙女の、若々しく可愛らしい透明感のある声が耳に残った。
 もしかすると、1階席では歌手陣の声量の差は気にならないかもしれないが、3階まで離れると、日本人との差は紛れもない現実だ。
 この日、知人だけでも、初リング体験という人が何人もいて、コロナ禍の中、忘れられない公演になった。たとえ抜粋でも、ヴァーグナーの音楽は素晴らしい。短くも、幸せな4時間半だった。公演関係者全ての方に感謝してます。

 座席は一列おき、ブロックでは、市松模様。自分はブロックでは2列目だが、1列目、3列目は全部空席、席移動は不可。一階席で杖をつきながら遥々移動したお年寄りが、元の席に戻されるのが見えた。しかしその直後、暗転してから移動した人は見逃された。

指揮:飯守 泰次郎(桂冠名誉指揮者)傘寿記念
ブリュンヒルデ:ダニエラ・ケーラー 
ジークフリート:シュテファン・グールド
アルべリヒ、ヴォータン、グンター:トマス・コニエチュニー
ハーゲン:妻屋秀和
ミーメ:高橋 淳
ヴォークリンデ:増田 のり子
ヴェルグンデ:金子 美香
フロースヒルデ:中島 郁子

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休憩 2回15:00、16:30 各30分
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