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東京ハルモニア室内オーケストラ 第62回定期演奏会 江口玲 [コンサート]

 東京の緊急事態宣言は延長したが、音楽活動の規制は緩和され、演奏会が開かれた。元々チケットは半数しか販売しておらず、お客さんは通路後方に集中していたような印象だ。
 今回のコンチェルトは江口玲さんのピアノ。これがとても素晴らしくて、この日のメインだったと思う。使用したピアノ、ローズウッド・スタインウェイ(1887年製)というのが魔法のような楽器だった。高音部の音は輝き、中音域は人の声のように温かく、弦楽器のようなまろやかな響きだ。ピアノの蓋を完全に外していたせいもあるかもしれないが、弦楽合奏のようなミックスした残響が美しい。楽譜はiPadを使用していた。
 初めの第一音に、まず驚いた。近くで聴いているのに、音響のよい大ホールで空間を突き抜けるときのような、クリアで太い音、日本のホールで聴くのとは違う響きのように感じた。弾き終えて振り返った江口さんの表情を拝見して、この温かみのある音は、お人柄をも表しているのかもしれない。
 アンコールは、シューマンの「献呈」、リストがピアノ独奏用に編曲した華麗な曲。独奏だったので、音の特徴がはっきり分かり、とても重い音なのに華麗なタッチで何とも言い難い優美さだった。ピアノに詳しくないので、印象でしかないが、バイロイトで聴いたシュタイングレーバーのピアノをファシル・ツァイが演奏したとき感じた、充実した密度の高い音にプラス、細かな残響が合わさった一つの残像を見るような、言葉で記憶しておくなら、そんな印象だった。
 ドニゼッティのカルテットも初めてだ。最初の和音の響きがとても美しく、イタオペのように心地よい音楽だった。
 江口玲さんは伴奏ピアニストとして有名な方なのかと思っていたが、コンサート後検索し、ホロビッツが弾いていた、ニューヨークの古いスタインウェイで録音されていることなど知り、またライヴを聴いてみたいと思う。
《曲目》
ドニゼッティ 弦楽四重奏曲第3番ハ短調(弦楽合奏による) 
 G.Donizetti Quartetto No.3 c minor
リスト メレディクション(呪い) ピアノと弦楽のための
 F.Liszt Malediction
  ※ピアノ…江口 玲 Akira Eguchi
  使用ピアノ ローズウッド・スタインウェイ(1887年製)
ヴォルフ イタリアン・セレナーデ ト長調
 H.Wolf Italian serenade
レスピーギ リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲
 O.Respighi Antiche arie e danze per liuto
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