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新国立劇場ートスカ [オペラ(国内)]

 新国立劇場のトスカは、伝統的な美しい舞台で、お勧めのレパートリーだと思っている。オケはずっと東フィルだったが、今年初めて東京交響楽団だった。空間をとるため、オケピットの弦の人数は減らしており、音量的にちょっと金管が出すぎた感じはある。管楽器以外はマスクをしていたように見えた。演出にも何か変化があるのかと思ったが、1幕最後のテ・デウムでコーラスの人の間隔が取られていたことと、気のせいか黙役が少なかったような気がしたくらい。主役3人は、躊躇なく、いつも通りの演技だったと思う。
 歌手は皆すばらしかった。まず第一声の堂守の声の大きさに驚いた。カヴァラドッシ役をはるか上回る声量で、4階まで届いた。これはPAかと思うほどだが、真相はわからない。
 一幕ではカヴァラドッシがppで語るように歌う場面も結構あるのだが、この日だけなのか、小声が安定せず、かすれたり音程も少し気になった。一方、張った方のテノールの声は全幕通して、とても表情豊かで声に潤いがあり、素晴らしい。スカルピアは見た目が良く、悪人臭さが薄いが、却って今の時期は、穏やかで美しい舞台の方が印象が好いかもしれない。全体的にテンポは結構粘っていたが、3人とも文句無く完璧、ハイレヴェルで、歌い込んでもさっぱり系の歌唱は、素晴らしく、私は好みだった。
 プッチーニの音楽はライトモティーフ(と言って良いのかどうか)が繰り返し現れ、場面や人間を連想させ、作品を盛り上げる。筋は残酷なものだが、残酷な場面ほど美しい、ヴェルディとは違い、物語にふさわしい音楽だと、久しぶりに聴いてやはり感動する。3幕はチェロの重奏がとても美しい。このオペラ自体が短く感じるのは、社交の場としてのイタリアオペラには大切なことなのかもしれない。
 3年前にローマでサンタンジェロ城を訪ね、屋上の狭さが意外だったが、今回のプログラムの表紙となっていて、懐かしい。https://blog.ss-blog.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=103248649
 緊急事態宣言下、劇場内のコロナ対策はさらに強化され、年末のこうもりの時にはあった、ペットボトルの販売は無く、幕が開く前の各客席と、休憩中の一階ロビーでは、マスク着用の注意を喚起するプラカードのような板を掲げ2人くらいホールの人が歩いていた。

指揮ダニエレ・カッレガーリ
演出アントネッロ・マダウ=ディアツ
美術川口直次
衣裳ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
照明奥畑康夫
トスカキアーラ・イゾットン
カヴァラドッシフランチェスコ・メーリ
スカルピアダリオ・ソラーリ
アンジェロッティ久保田真澄
スポレッタ今尾 滋
シャルローネ大塚博章
堂守志村文彦
看守細岡雅哉
羊飼い渡邉早貴子
合唱 新国立劇場合唱団 管弦楽 東京交響楽団
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