SSブログ

METライブビューイング 《トリスタンとイゾルデ》ラトル [映像・放送]

 さいたま新都心に、METライブビューイングがやってきた。さいたまアリーナの反対側に大きなショッピングモールとシネコン等がある。これまで、METのワーグナー作品が出ると、新宿まで行って見ていたので、地元の113席のホームシアターのような小さなスクリーンは、音質も含め、少し物足りなかった。この場所は、老後の楽しみにとっておこう。
 何年も前、ベルリンフィルデジタルコンサート初期のころ、ラトルの黄昏を夜中に頑張って聴いたのに、自分の好みでなかったことがあり、ラトルのワーグナーを聞くのは、それ以来だった。やはり、結構意表を突かれる演奏だった。映画は音量調節されているので、生演奏とは別物として聞くのだが、オケへの要求は、3幕だけ特別に激しく、こんな不満爆発的な3幕は聞いたことがない。後から思えば、出だしのチェロや、その後もVn、金管も2幕までは、おやおやと思うところを許容していたのは、3幕のエネルギーを蓄えるためだからだとうかと勘ぐってしまう。実験好きのラトルらしい演奏だと思う。3幕のイングリッシュホルンの音も、歌い方も、意外なものだった。
 この映画の恒例として、幕間に出演者のインタヴューがある。3幕前には、クルヴェナール役ニキティンのインタヴューもあり、その内容に驚いた。あまり重要な役ではないので、断ろうと思ったが、最終的には、先々役に立つと思い引き受けた、というニュアンスだった。司会のD・ヴォイトとブランゲーネ役のグヴァノバの表情が一瞬こわばった。ニキティンは、ハーケンクロイツ刺青問題でバイロイトを下ろされた人、自分の発言を世界の人が聞くことを、知っていたのかどうか。結局、クルヴェナールの役どころを理解できていなかったのか、彼以外の歌手は皆素晴らしかったのに、彼の音程の悪さで公演の質が下がったように思われた。
 ベテランのステンメは磐石、、スケルトンは初めてのトリスタン役、演出は近代的海軍の船だろうか、モロルトを討つ武器もトリスタンを傷つける武器も剣ではなくピストルだった。演技も表情もカメラのアップも特に怒りを覚えるようなものはなかった。

指揮:サイモン・ラトル 演出:マリウシュ・トレリンスキ
出演:イゾルデ:ニーナ・ステンメ、トリスタン:スチュアート・スケルトン、マルケ王:ルネ・パーペ、ブランゲーネ:エカテリーナ・グバノヴァ、クルヴェナール:エフゲニー・ニキティン
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0