バイロイト音楽祭―ジークフリート

　まるで、ワーグナーがそうさせているかのように、音楽は、ワルキューレより、さらに深く雄大になり、大自然の前で、人が無抵抗になるときのような、自然にー対する畏れにも近い気持ちを呼び起こされた。 グリンデルヴァルトで、アイガー北壁に圧倒された時のことを思い出す。
　調子が気になっていたコッホも、この日が一番良く聞こえ、存在感があった。リヤンはジークフリートの経験は豊かで、３幕でへばることは無かったが、2幕の森の場面は余り歌えていなかったように感じた。セットが巨大なため、歌手がどこで歌っているのか認知できない時があるので、映像を使うのだろう。目障りなカメラマンは出て来なくなった。この調子で、来年はもっと、簡略化していくのではないだろうか。他のプロダクションのように。
　２幕以降の演出に、大ブーイングだった。見ていても訳が分からなかった。

　ファンファーレは、下で聞くより、奏者の後ろ建物内で聞いた方が、音が散らず、上手く聞こえることを発見
　ミーメを機関銃で撃ち殺す音が大きく、配役表に注意書が記載されるほど。そのせいかパルケットから誰か、運びだされた。森の場面は、アレキサンダープラッツらしいが、ゴミ箱をあさって、飲み物の缶を潰す音に、楽器の音を重ねてたり、ジークフリートのホルンは、森の小鳥が、ジークフリートを誘惑する場面になっていた。
　2幕でも出たワニが、3幕最後にまた登場、意味が分からない。あの４人の共産主義者の巨大なご尊顔と、アレキサンダープラッツと、周り舞台は二種類。
　ブリュンヒルデが眠らされた場所は、バクー油田、目覚めた場所はあの４人のご尊顔の下、何か関連性有るのか無いのかも分からない。でも、この舞台天井まである、ラシュモア山パロディー（？）は、少なくとも見ごたえはある。（Ｇ）