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ラインの黄金 METライブビューイング [映像・放送]

 メトロポリタン歌劇場のリング新演出の映像(映画)を見に行った。MET開幕初日には、最後のヴァルハラ入場のところで、コンピューターが壊れ、セットが動かなかったという事故があったとのこと。とにかく大掛かりなハイテク舞台らしい。
 演出家ロベール・ルパージュの意図は、ワーグナーが作りたかった理想の舞台を実現したいという、コンサバな一面がある。残されたワーグナーのスケッチには確かに宙吊りのような、空間を移動するような舞台に工夫をこらしたが痕跡がある。
 METの舞台の上にさらに可動式の「すのこ」のような板を置き、それが壁のように移動するのだが、その置き舞台は巨大な「南京玉すだれ」のように、「つり橋」の板のように奥から手前へ何枚もの板が接合して作られており、ワゴンの足に取り付ける車輪が各板に付いているのが見える。多分客席からでは分からないだろうが、映像で歌手の顔がアップになった横に、ワゴンの車輪が見えるのには違和感があった。
 その他の舞台道具は少ないが、衣装はト書きに近い古風なものだ。最初のラインの流れの演出のこだわりはかなり凄いと思った。人魚のような姿の3人のラインの乙女を舞台上方まで引き上げ宙吊りにし、歌うときは足か体が後ろの板に接して安定を得られるようになっている。また歌手の声量に反応してブクブクと泡の映像が出るようプログラムされており、声が大きいと泡もたくさん出るらしい。
 オケは映像のバック音楽になっており、必ずしもワーグナーが意図した盛り上がりとは一致しない。演出上歌手がアップになる場面や、ラインの乙女が3重唱するとことなど、思いっきり音量が上がる。かと思えば、普通オケが盛り上がる、歌がない場面転換の部分ではオケはすーっと引いた感じなり、観客は小休止の心持になり、ぞろっと、トイレに立つ人が出る。
 実際METの舞台の巨大さを体験しているおかげで、私はこの演出の大掛かりなことをに驚きを感じるが、映像を見るだけでは、演出に大した目新しさは感じないかもしれない。むしろ映像で細部を観察できる方が面白みがあるかもしれない。例えば、アルベリヒが捕まって、地下から財宝を持ってこさせるよう指輪に指令を送る場面など、口の動きまで見えるし、隠れ頭巾で姿の見えないアルベリヒにミーメがやっつけられるときの一人芝居の顔の表情まで見ることが出来る。映像を発信するということは、大劇場ならではの理由があり、劇場に実際足を運んでも見えないところを、映像が補ってくれるという長所もある。METのオケは上手で、あれほどの大空間でもずれることは無いという印象を持ってるが、ハイテクを駆使したMETリングの音楽は実際にはどんな盛り上がりを体験できるのか、チクルスが完成したら、実物を聴いてみたい。
 午後は「弦楽器フェア」に行ってきた。(G)
ライン1.JPG
ライン2.JPG
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