彩弦楽四重奏団－第９回演奏会

　さいたま市北区プラザノースの多目的ホールで、さいたま市在住の音楽家、彩弦楽四重奏団のアットホームな演奏会があった。第７回・８回は聴けず一年半ぶりだったが、いつの間にか、すっかり地元に溶け込んだなあという印象を受けた。
　私達オマチュアでも演奏会のアンケートに、もっとみんなが知っている曲も演奏してほしいという要望がしばしば載る。プロであればなおさら、聴衆を楽しませることと、自分達がやりたいことと合致しないことも多いだろう。でも彩カルテットは、地元の人の要望を聞いてくれたのではないだろうか。林先生のユニークな曲目解説も、益々磨きがかかって音楽を聴くの楽しみの一部だ。
　今回は硬軟取り混ぜたプログラム構成で、まずはモーツァルト初期の作品を通してモーツアルトという作曲家を身近に感じ、難しいベートーヴェンのセリオーソでは、実際今度演奏するアマチュアが参考に聴きに来ていた。後半は、カットなしのアイネクを聴けたし、最後はヒンデミットのミニマックス。こういう内輪の演奏会だからこそ、先生方の演技をしながらのの冗談音楽が、聴衆を魅了したのだと思う。
　毎日各地でたくさんのコンサートが催され、最近は対象となる客層をイメージしての選曲や舞台演出などもある。さいたまでも、音楽家が隣人のために演奏してくれているという実感を味わえるようになり、この日も客席はほぼ満席だった。いつも音響面で報われない思いをするのだが、コンパクトで性能のよい、レンタル反響板みたいなものは世の中に無いのだろうか。（Ｇ）
モーツァルト：弦楽四重奏曲第６番ヘ長調 op.159
ベートーヴェン：弦楽四重奏曲第11番ヘ短調 op.95 「セリオーソ」
モーツァルト：セレナーデ第13番 ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 ヒンデミット：ミニマックス
彩弦楽四重奏団 メンバー：vl 林智之　vl 中島ゆみ子　va 臼木麻弥　vc 田澤俊一