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ミュンヘン国際音楽コンクール フルート部門セミファイナル(ARD Musikwettbewerb) [ドイツ]

 一度に6人ものフルートの音色を聴き比べる機会に初めて出会った。フルートは女性の楽器なのだろうか、セミファイナルにの残った6人のうち5人が女性だった。
 課題曲は、このコンクールのために作曲されたBruno Mantovani のアルメニアの4つのメロディとモーツァルトのコンチェルトG-durかD-dur、カデンツアは自作という条件だ。
 委嘱作品というのは面白いもので、チェロもそうだったが、お手本が無い分、演奏家の個性が出る。初めのハンガリーの二人は、日本の横笛か尺八のような、息が漏れる音を多用した。オーストリアの人はヨーロッパ的な普通の音色で吹いた。唯一のフランス人の男性は、水を入れてぶくぶく吹くおもちゃの笛の音のような丸みのある音で複雑な音色を取り混ぜていた。
 この曲は4つのメロディといっても切れ目がよくわからず、譜めくりをした人と、3本の譜面台に楽譜を広げ、途切れずに吹いた人と二分された。
 モーツァルトの方はハンガリーの二人だけG-durを選んだ。やはりD-durの方が華やかで聴き栄えがする。カデンツアもそれぞれ華やかで、また憂いを帯びたところも綺麗だった。同じモーツアルトの曲でも印象が違うものだ。ウクライナの人は妖艶なモーツアルトで常に音が輝いて回遊してもどってくるような、きらきらした音色だった。オーストリアの人は、とても清楚な元祖小鳥のさえずりような淡い音色だった。この人は室内楽向きかもしれない。国籍はアメリカ/韓国で、見た目は東洋人の人は、太い横笛のような筒の中を横方向に音が進む感じで、時々スイングする3楽章のリズム感が、ニューヨークのことを思い出させた。一方間の取り方はエキゾチックでなかなか個性的だと思う。最後のフランス人男性は私にとっては理想的な心地よいモーツァルトだった。軽やかで音の粒に丸みがあって、メロディーは空中を回遊して戻ってくるヨーロッパ音楽の基本どおり、カデンツアでは色々な音色を披露し、かすれるような音や、即座にオクターヴ上下させたり、たっぷりと楽しませてもらった。拍手も一番多かった。
 フルートは鳥の声を真似て作られた楽器だと漠然と思ったいたが、鳥のさえずりは多種多様、フルートの音色も幅広い可能性があるということがよくわかった。どんな楽器も歌うためのものなのだ。
 一夜明けて、ファイナル出場者は4人だった。この4人なら聴衆も納得するだろう。(G)
http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/teilnehmer-floete-2010-ID1277991796494.xml
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